2015/09/29

The Highest Level Training in Japan on 28th September


昨日は羽生さんと、今月2回目となるトレーニングを行ってきました。IVL での試合でもそうだったように、時間切迫は私の天敵です。黒番でのゲームを紹介しておきます。

Habu, Y (FM, JPN, 2398) - Kojima, S (IM, JPN, 2400)
Training

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. Nc3 dxc4 5. a4 Bf5 6. Nh4!?



羽生さんはサイドラインも詳しいですが、この手は私がClassical Slav を指してきて、1回も経験したことがありませんでした。Play the Slav には、6... Bg4 のラインが載っていますが、この日は違った変化を試すことにします。

6... Bc8!? 7. e3 e6!?


試合後、羽生さんからは7... e5 8. Bxc4 exd4 9. exd4 9... Qe7+!? と指す変化があることを教えてもらいました。白のc,eポーンと黒のd,eポーンを交換してIQP にするポーンストラクチャ-は、基本的に黒が満足なことが多いでしょう。

8. Bxc4 c5 9. Nf3 cxd4 10. exd4 Nc6 11. O-O Be7 12. Qe2 O-O 13. Rd1 Nb4 14. Ne5 Bd7 15. a5!?



私がかつて愛用していた、5... Bf5 の代わりに5... e6 と突くラインに手順前後します。このポジションでは、15. d5 と指されてドローになった経験がありますが、白でポジションを単純化せず、勝負にいくのであれば、羽生さんの選んだ15. a5!? は良い手だと思います。黒からのa7-a5 を防ぎつつ、a5-a6 と白から突く狙いも持っています。

15... Be8!? 16. Bg5 Nfd5 17. Bxe7 Qxe7 18. Ne4 Rd8 19. Ra3 a6


6年前に似たポジションで、アイルランドのGM Baburin には、f7-f6 と突いてはどうかと指摘されました。私はe6 のポーンを自ら弱めるのが信じられませんでしたが、e5 とg5 を抑えてしまうほうが重要であるのは、このポジションでも当てはまりそうです。19... f6! 20. Nd3 Nc6! ならば、黒はe6 を狙われる前に、d4 を先にアタックできそうです。本譜ではNb4-Nc6 と退いておきながら、f7-f6 とミックスするアイディアが出てきませんでした。

20. Rg3 Nc6 21. Nxc6 Bxc6 22. Qh5 Nf4



将来的なNe4-Ng5-Nxf7 のアイディアが見え、これが正しいディフェンスなのか自信が持てませんでした。f2 へのカウンターで、黒は大丈夫なはずだと自分に言い聞かせながら決断しますが、ここで時間を使いすぎたのが後々響きました。

23. Qg4 Ng6 24. Ng5 Bd5!


この手を入れなければ、f7 が崩された後でe6 がターゲットになってしまいます。

25. Bd3 Qf6 26. Qh5 h6 27. Nxf7 Rxf7 28. Rxg6?



私は羽生さんがかなり迷った挙句、ルークで取ったことに驚きました。黒キングへのプレッシャーを考えれば、クイーンで取るほうが自然でしょう。28. Qxg6 Qxf2+ 29. Kh1 Kf8 こうなれば互いにキングが危険な状態で、形勢不明でしょう。

28... Qxf2+ 29. Kh1 Rdf8?!


私はfファイルからの攻撃を強めるのが自然だと思いましたが、d4 が孤立している以上、それを狙えるd8 の位置はルークにとって悪くないはずです。さらにはバックランクの弱さを利用し、ここではタクティクスがありました。29... Be4! (これはg6 をクイーン取られた際に考えていたアイディアでしたが、なぜかルークになった瞬間に頭から消えてしまっていました。) 30. Rxg7+ (白はf1 のマスからビショップがそらされてしまっては、バックランクメイトで即負けなので、こうするほかありません。) 30... Kxg7 31. Qg4+ Kf8 32. Qxe4 Rxd4 33. Qxe6 Rxd3 34. Qxh6+ Rg7 35. Qh8+ Kf7 36. Qh5+ Ke6 37. Qe8+ Kf6 38. Qf8+ Kg6-+


Analysis Diagram

こうしてキングが逃げ切り、パペチュアルチェックもなくなれば黒の勝ちでしょう。

30. h3 Qe3 31. Rg4 Rf6 32. Kh2 Qf2??



試合後に羽生さんからは、32... Bb3 で黒勝ちでしょうと指摘されてびっくり。最も前のポジションでは、Bd5-Bb3 を考えていたはずでしたが、ここにきてg2 へ向かうダイアゴナルしか見えていませんでした。本譜の手は駄目なことが分かっていましたが、時間が落ちる寸前で何を指して良いか分からず、つい手が動いてしまいました。

33. Rf1 Qe3 34. Rxf6 Rxf6 35. Qe8+ Rf8 36. Rxg7+ 1-0


最後は綺麗にメイトになりました。1手のチャンスを見逃して負けるのは悔しいですが、やはり羽生さんとのトレーニングはとても勉強になります。また10月も、互いの予定が合えば、こうしたトレーニングの機会を設けたいですね。羽生さん、9月もお世話になりました。

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