昨日、NCS主催の最初の大会、東京チェス選手権は今日2日目が開催されました。6戦を戦い、最終結果は以下の通りです。
1st Place Aoshima Mirai (FM, JPN, 2445) 5.5/6
2nd Place Kojima Shinya (IM, JPN, 2494) 5/6
3rd Place Schweizer Simon (JPN, 2230) 5/6
トップは5連勝後、最終戦をSimon とドローにした青嶋くんで、5/5/6 の単独優勝です。私は5R で青嶋くんに敗れ、残念ながら2位止まり。Schweizer さんは、初戦をドローにしながらするするっと上がってきて、最後青嶋くんに勝つかとも思われましたが最終的にはドロー。4勝2ドローで私と並ぶ5P でした。オープンクラス以外、3セクションの入賞者の皆さんも、おめでとうございます!
Kojima, S (IM, JPN, 2494) - Furuya, M (JPN, 2168)
Tokyo Chess Championship 2019 (6)
1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. Nc3 e6 5. e3 Nbd7 6. Qc2 Bd6 7. Bd3 dxc4 8. Bxc4 O-O 9. O-O b5 10. Bd3 Bb7 11. Rd1 Qc7 12. Bd2! a6 13. b4!
ここまでは研究手順で、過去に羽生さんとのトレーニングでも指したことがあります。黒の
c6-c5 を防ぎ、b7 のビショップを使わせなければ、白は優位にゲームを進めることができます。
13... Rac8 14. Rac1 Bxb4?!
黒マスビショップを諦めるアイディアは初めて見ました。白は予定通りにポーンを取りかえしつつビショップナイトの交換を進め、悪いはずはありません。
14... h6 15. h3 Rfe8 とじっくり指すほうが黒は良いでしょう。
15. Nxb5! axb5 16. Bxb4 c5
古谷くんのアイディアは黒マスビショップを諦め、さらにはポーンを捨ててでも、白マスビショップの利きを開くことです。
17. dxc5
コンピュータはこちらでもOK だと評価しますが、黒マスビショップを消しても駒交換を進め、1ポーンアップのエンドゲームを戦う方針も選択できます。本譜の難解さを踏まえれば、
17. Bxc5 Bxf3 18. gxf3 Qb7 19. Qe2 Nxc5 20. dxc5+/- とするほうが分かりやすかったです。
17... Bxf3 18. gxf3 Ne5 19. Be2 Qc6 20. Kg2?!
しかし、この手が緩手で黒に多少の反撃を許してしまいます。
20. Rd6! Nxf3+ 21. Kh1 Qa8 22. c6! Ne5 23. Bxb5+- このようにf3 を捨てても、cポーンを進めて
a8-h1 のダイアゴナルをブロックし、b5 を取れば白勝勢でした。
20... Nd5 21. Bd2 f5
試合後、古谷くんに指摘したのは
21... Ng6!? という手です。1ポーンアップの白が有利であることは変わりませんが、2つのナイトをf4 に利かせることで
e3-e4 を防ぎ、d5 にナイトが残りやすい状況をキープします。本譜はルークをキングサイドに振る狙いがありますが、代わりにe6 のポーンと7段目を弱めてしまいます。
22. Qb2! Nc4 23. Bxc4 bxc4 24. Rxc4 Rf6 25. Rb1!
この手は落ち着いてよく見つけられたと思います。狙いはb7 にクイーンを入れることでクイーンを強制交換し、白勝ちのエンドゲームに持ち込むことです。もし、黒がナイトを捨ててf3 を取るような展開になっても、
Qb2-Qb7 は遠くからクイーンを利かせ、キングのディフェンスとして働きます。
25... Rg6+ 26. Kf1 Qa6!
ナイトを捨ててf3 を取ってもメイトスレットになっていないため、黒はじっと耐えるしかありません。c4 のルークをピンにするアイディアは見ておらず、ここでどうするか悩みます。
27. Qd4!? Qxa2 28. Rbc1
cポーンを押していくのに、後ろからルークで支えるのは良いアイディアですが、2つも必要なかったかもしれません。
28. Ra1 Qb3 29. c6+/- とすぐに進めても白は良さそうです。
28... Qa6 29. Qa1 Qc6 30. Qa4 Qc7 31. Qa6 Rd8?!
古谷くんが見落としていたのは、eポーンを進めて6段目を開き、g6 のルークを活用するアイディアです。
31... e5! 32. c6 Ne7 33. Rc5! Kh8 (33... Rxc6 34. Qa2+ Kh8 35. Rxc6 Nxc6 36. Qe6!-/+) 34. Ba5 Qd6 35. Bb4 e4 36. f4 h6+/= これならば白はまだプロモーションを実現する具体的な見通しが立っておらず、黒はなんとか戦えそうです。
32. c6
ここがポーンの押しどころだと判断し、プロモーションに近づけます。一見単純な串刺しがあるように思えますが、e3 の守りを外すと反撃が不安でした。
32. Ba5 Qe5 33. Bxd8 (33. R4c3!?) 33... Nxe3+! 34. fxe3 Qxe3 35. Bg5 Rxg5 36. Qc8+ Kf7 37. Qd7+ Kg6 38. Qe8+ Kf6 39. Qd8+ Kg6 40. Qxg5+ Kxg5 41. R4c3+/- 落ち着いて局面を見れば、2ルークvs. クイーンで、新たなパスポーンを押す明確なプランのある白が有利ですが、この局面まで冷静に読んで進めるのは至難の業です。
32... Qxh2?
代わりに何を指すか難しいところですが、c7 のブロックを外してもらえれば白は楽になります。h2 のポーンが落ちても、白キングは危なくありません。
33. c7 Nxc7 34. Rxc7 Rg1+ 35. Ke2 Rxc1 36. Qxe6+ Kh8 37. Rxc1+-
e2 までキングが逃げたうえで、ルークを交換してしまえば白の勝ちです。
37... f4 38. Rc8 Qh4 39. Qd7 1-0
この勝利でなんとか入賞圏内に滑り込みました。5R の青嶋くんとのゲームは、彼が自分の
ブログの中で紹介してくれています。勝負所で正しい変化が見えなかったのは反省ですね。もう少し読めるように鍛えます。
また今回の大会戦績で10名が、ゴールデンウィークに開催される全日本選手権の出場権利を獲得しました。全日本予選は今週末、最後の仙台と大阪が開催されます。まだ権利を獲得していないプレーヤーは、是非遠征も視野に入れてみてください。また次の大会、全日本選手権でお会いしましょう!