前夜の雷雨が嘘のように朝は晴れ、21日は良い天気で1日を迎えることができました。日差しは強いですが、それでも空気は冬の冷たさを感じます。ここケチケメートのGM トーナメントも、そろそろ開始から1週間が過ぎ、終盤に差し掛かっています。
Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Santarius, E (USA, 2319)
Chess in Kesckemet 2014 December GM (7)
1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 d5 4. d4 Nbd7 5. Bf4 c6 6. e3 Nh5!?
Chess in Kesckemet 2014 December GM (7)
この手は見たことがありませんでしたが、調べてみるとCarlsen やKramnik たちにも最近指されていました。黒は早めのピース交換から、ポジションの単純化を図ります。それでも私は、黒のc8 のビショップさえ抑えておけば、白のアドバンテージは十分だと考え、黒マスビショップの交換を受け入れることにします。
7. Bg5 Be7 8. Bxe7 Qxe7 9. Qc2 Nhf6 10. a3 O-O 11. Rd1
QGD Rubinstein Variation と同じアイディアで、白はQd1-Qc2, a2-a3, Ra1-Rd1 などで手を待ち、黒からポーンを交換をさせて、c4 を取り返す1テンポをロスしないようにします。
11... dxc4 12. Bxc4 c5 13. O-O Nb6 14. Be2?!
私の構想は、このビショップをBe2-Bf3 と組み直すことでしたが、これはイマイチでした。素直にBc4-Ba2 と退いておくべきだったでしょう。
14... cxd4 15. Nxd4 Bd7 16. Bf3 Rac8!
これは私にとって予想外で、Be2-Bf3 が失敗だったことを十分に予感させる手です。黒は素早くBd7-Ba4 のスレットを作ることで、通常はあまり良くないはずの、b6 のナイトとd7 のビショップの位置の組み合わせを、問題無いようにします。
17. Qb1 Nc4!
この手に対しても警戒が弱かったことは、この試合の反省ポイントです。黒は完全にb7 を無視し、主導権を握っています。
18. e4 Qc5 19. Rfe1 Nxa3!?
この手は私の予想よりも早く、このタイミングであれば、何とか持ちこたえられるのではないかと考えました。とは言え、先に駒を失った白は、慎重に正解を見つけていく必要があります。
20. bxa3 Qxc3 21. e5 Nd5 22. Bxd5 exd5 23. Qxb7 Ba4 24. Ne2
白はこの絶対手により、なんとか駒数イコールのままゲームを進めることができます。
24... Qxe5 25. Qxd5 Qxd5 26. Rxd5 Rfe8 27. Kf1
ビショップナイトの勝負であり、さらには先にピンを作った黒にチャンスがありそうにも見えますが、このキング寄りでぎりぎりディフェンスできるのではないかというのが、私の計算でした。もちろん、これでもダメならば諦めるしかないのですが...
27... Bc6
検討戦でのIlincic の指摘は、27... Bb3 でしたが、これには28. Rd4 と指してルークがビショップに張り付くことで、もう1つの黒のルークが、e2 のナイトをアタックする暇をえ与えないディフェンスのアイディアが有効なのではないかと思います。
28. Ra5 Rb8 29. f3 Bb5 30. Kf2 Bc4 31. Rc5 Ba6 32. Rc6
ここはうっかり、32. Ra5? と指そうものならば、32... Rb6! からの、Rb6-Rbe6 で負けとなります。白のポイントは、ルークでビショップを攻撃し続けることで、黒のルークの侵入を防ぎ、きちんとナイトを逃がしてやることにあります。
32... Bb5 33. Rc7 Rbd8 34. Rc2
一瞬、ルークをビショップから離したのはミスだったかと思いましたが、きちんとルークが退けば問題ありません。
34... Ba4 35. Rc4 Bb5 36. Rc2 Kf8 37. Nc3
長かったピンからようやく解き放たれたナイトは、黒のビショップに対抗すべく、前進を開始します。
37... Rc8 38. Rxe8+ Bxe8 39. Ke3
黒は再び、ナイトをピンにしましたが、今度はキングを自由に動かせる白に、大きな問題はありません。むしろ、黒がピースを動かしている間に、キングを前進させるチャンスを得ました。
38... Rb8 40. Nd5 Bd7 41. Rc7 Be6 42. Nf4!?
一時的に1ポーンダウンにはなりますが、ルークとキングの位置が最高の白は、ドローには十分でしょう。ここでビショップを消して、ポジションをシンプルにしてしまいます。
42... Rb3+ 43. Kd4 Rxa3 44. Nxe6+ fxe6 45. Ke5 Re3+ 46. Kd6
白はルークとキングでそれぞれ別のポーンをアタックし続け、どちらかを取れる状態にします。こうなれば、ドローはすでに目の前です。
46... Re2 47. Rxa7 Rxg2 48. Kxe6 Re2+ 49. Kf5 Rg2 50. h4 1/2-1/2
オープニングに失敗し、多少苦しい展開にはなりましたが、丁寧に指すことでポイントを確保しました。この日はGM クラスは全ドローで、順位に変動はありません。残りは明日からのGM3連戦で、最終日の24日夜にはブダペストに帰還し、アンダンテのクリスマスパーティーに参加する予定です。
12/16 15:30 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Betaneli, A (FM, USA, 2268) 1-0
12/17 15:00 Santarius, E (USA, 2319) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/18 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Varga, Z (GM, HUN, 2473) 1/2-1/2
12/19 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Ilincic, Z (GM, SRB, 2432) 1-0
12/20 09:00 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 0-1
12/20 16:00 Betaneli, A (FM, USA, 2268) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 0-1
12/21 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Santarius, E (USA, 2319) 1/2-1/2
12/22 15:00 Varga, Z (GM, HUN, 2473) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/23 15:00 Ilincic, Z (GM, SRB, 2432) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/24 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fominyh, A (GM, RUS, 2438)
+4 Kojima
+2 Santarius
0 Varga, Fominyh
-2 Ilincic
-4 Betaneli
7R 終了時点での星取表です。トップシードのVarga は本調子ではありませんが、最も警戒すべき相手でしょう。アメリカのSantarius も、このままの調子であれば、2つ勝ち越しが条件のIM ノームが取れそうですね。
この日はケチケメートに留学している友人と1年ぶりに会い、酒井くんと3人で食事をしてきました。私が頼んだXLのピザは、直径が45cm あり、左にある酒井くんのピザと比較しても、その巨大さが分かります(笑) 久しぶりに本気を出しましたが、3/4 でギブアップし、残りはお持ち帰りとなりました。1人で食べるサイズじゃないですしね...
もう1つ、ちょっとしたお守りのエピソードを紹介しておきます。上の写真は仙台の大崎八幡宮の勝守です。実はこちら、昨年のヨーロッパ遠征中、友人たちが私の必勝祈願のため、仙台からブダペストに送ってくれたのですが、不幸なことに荷物はロストしてしまい、私の手元に届かずじまいでした。それを残念に思った私は、スペインからの帰国直後、仙台の大崎八幡宮に足を運んで、これを手に入れたのです。それからずっと、この勝守は私の財布に入っていました。
昨晩、少し気になって調べてみたところ、仙台を訪れたのは2013年の12/21 だったので、ぴったり1年前のことでした。そして一般的に、お守りの有効期間は1年間と言われていますので、IM タイトルを確定させた一昨日の12/20 は、ちょうどこの勝守の効果が切れる日だったのです。ただの偶然と言えばそれまでですが、私には、仙台でこれを手に入れたことに、大きな意味があったように思えます。
2 件のコメント:
羽生さんがスウェーデンのRilton Cupという大会に出るらしいですよ▼o・~・o▼
http://www.chess-results.com/tnr144653.aspx?lan=6
本人から直接聞いています ( ̄▽ ̄)
近いうちに、それも記事で取り上げますね。
コメントを投稿