2021/12/21

Vezerkepzo GM December 2021 R6

R6 の相手であるGM Varga は、過去に3回対戦していずれもドローになっています。今大会は初日にいきなりNitish を黒で破り、1つ勝ち越し状態でここまできています。そんな彼を相手に9年ぶりに白を引けましたので、思い切って勝負にいきます。

Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Varga, Z (GM, HUN, 2387)
Vezerkepzo GM December 2021 (6)

1. d4 d5 2. c4 dxc4 3. e3 b5?!

Varga のいくつかあるQueen's Gambit Accepted のレパートリーを調べていましたが、これは予想外でした。3... Nf6 4. Bxc4 e6 5. Nf3 a6 6. 0-0 b5 7. Bd3 Bb7 8. a4! b4 9. Nbd2 Be7 10. Qe2 の変化を調べていました。後ほど説明しますが、本譜はこれに比べて白が得をしている点があります。

4. a4 b4


4... c6? 5. axb5 cxb5?? 6. Qf3+- これでa8 のルークが落ちるため、黒はc4 のポーンを守り切ることができないというのが、多くのQGA の本に載っている有名なアイディアです。

5. Bxc4 Bb7 6. Nf3 e6 7. O-O Nf6 8. Nbd2 Be7 9. a5!?

次にa5-a6 を見せておくと同時に、黒のa7-a6 を誘い、a6 のポーンを固定することで長期的な弱点にします。

9... a6 10. Qe2 O-O 11. e4 c5 12. dxc5 Nbd7 13. e5 Nd5 14. Nb3


白はセンターポーンを伸ばし、将来的なキングサイドへのアタックチャンスをもくろみます。c5 のポーンは返してよいのですが、黒がビショップでこれを取るとg5 の利きが無くなり、Nf3-Ng5 などのアイディアが使いやすくなります。また上記の変化と違い、白のc4 のビショップはポーンにアタックされなかったため、Bc4-Bd3 のタイミング(指すか指さないかも含め)を白が決めることができるのは大きなメリットです。

14... Qc7 15. Bd3! Rfd8 16. Bd2 Nxc5 17. Nxc5 Qxc5 18. Rfc1 Qa7 19. Rc4!

Varga はc5 をクイーンで取り返してきましたが、その間に白はルークをcファイルから4段目に振り、キングサイドへのアタックに参加しやすくします。

19... Rd7 20. Ng5! h6 21. Nxf7!


これが決まると読んでのNf3-Ng5 でした。無防備になった黒キングに襲い掛かるピースはすでに用意できています。

21... Kxf7 22. Qh5+ Kf8 23. Bxh6! Bc5 24. Bg5!

黒が空けたe7 のマスにキングを逃げられないようにしつつ、hファイルを開いてクイーンを突入できるようにしておきます。次にBd3-Bg6 が入れば黒キングは完全に逃げ場が無くなり、Qh5-Qh8 がメイトスレットになります。

24... Bxf2+


試合後、Varga になぜ24... Bd4 を指さなかったのか聞きましたが、それはメイトされるとの回答でした。試合中すぐ気づけてなかったのですが、25. Bg6! Ne7 26. Bxe7+! Kxe7 27. Qh4+ Kf8 28. Qh8+ Ke7 29. Qxg7+ Kd8 30. Qf8# で単純にメイトでした。

25. Kh1 Ne7 26. Rf4+ Nf5 27. Bxf5 1-0

Varga はここで試合を諦めました。27... exf5 28. e6!? からルークをアタックしつつf7 を抑えてメイトスレットを作れば勝ちだと思っていましたが、28. Qh7! もあったようです。いずれにせよ、白の必勝形となり、今回の遠征で初白星をつかむことができました。

12/15 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Nitish, B (FM, IND, 2464) 1/2-1/2
12/16 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Girinath, P.D.S (IM, IND, 2335) 0-1
12/17 Ajay, K (IND, 2401) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1-0
12/18 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Avinash, R (IND, 2391) 1/2-1/2
12/19 Aditya, V P (IND, 2281) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1-0
12/20 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Varga, Z (GM, HUN, 2387) 1-0
12/21 Pasti, A (FM, HUN, 2377) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
12/22 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Mirzoev, A (GM, AZE, 2420)
12/23 Nagy, G (GM, HUN, 2527) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)

Vezerkepzo GM December 2021 Standings

+3 Nagy
+1 Nitish、Mirzoev
+-0 Avinash、Varga、Girinath
-1 Ajay、Pasti、Aditya
-2 Kojima

今大会もNagy が独走で3つ勝ち越しになりました。私もようやく星に恵まれましたので、次のPasti Aron との試合も頑張ってきます!
この日は少し気分を変え、試合前の昼食は外で食べることにしました。ハンガリー料理が手頃な値段で食べられるFrici Papa は、長くブダペストで愛されるお店です。アンダンテに宿泊していた時代も、お勧めの店ということで何度か足を運びました。この日、揚げ物×揚げ物にしてちょっと失敗だったかもしれません。
対岸中央に国会議事堂が見えます。

試合直前も漁夫の砦から写真撮影などでリラックスしていました。 3つ負け越しまできてしまったのである意味開き直って試合に臨めたかもしれません。試合前の準備をどれくらいやり、リラックスタイムをどれくらい取るかは何年チェスをやっていても尽きない悩みですね。

2021/12/20

Vezerkepzo GM December 2021 R5

このVezerkepzo で使われているDGT のチェスクロックはおそらく最新式で、時計にプレーヤーの名前が表示されています。それだけでなく、試合後に画面タッチから結果入力もできるので驚きです。

今大会折り返しとなるR5 は、14歳のAditya との対戦です。First Saturday ではIM セクションでプレーしており、好成績でGM セクションに乗り込んできています。

Aditya, V P (IND, 2281) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
Vezerkepzo GM December 2021 (5)

1. d4 d5 2. c4 e6 3. g3 Nf6 4. Nf3 Bb4+ 5. Nbd2!?

Japan Open からCatalan 対策は2つの変化を用意しています。3R で4... Be7 のClosed Vatiation が思ったよりも上手くいかなかったため、もう1つの準備をここで使うことにします。

5... dxc4 6. Bg2 b5 7. O-O O-O 8. a3 Be7 9. Ne5 c6 10. a4 Nd5!


直前でa2-a3 からビショップを追い払ってもらったことは、b4 に代わりにナイトが行けるようになったので黒にとってのプラスが大きいと感じました。d3 に潜り込む強力なナイトは、先日のCarlsen - Nepomniachtchi のマッチでも登場しています。

11. e4 Nb4! 12. d5 Qc7!

おそらく相手はこの手を見落としていて、単純にc6 で駒が捌けるのは黒にとってありがたいです。しかし、c6 のポーンをいつ回収するかが後々大きな影響を与えました。

13. Nxc6 N8xc6 14. dxc6 Ba6! 15. Nb1 Rfd8 16. Qg4 Nd3!?


私は予定通りにd3 のマスにナイトを入れましたが、c2 もありえました。16... Nc2 17. axb5 Bxb5 18. Bh6 Bf8 19. Na3 Nxa1 20. Nxb5 Qxc6 21. Nc3 Nb3 22. e5 Qc8 23. Bxa8 Qxa8-/+ くらいでも黒は十分です。

17. Nc3 b4 18. Nb5 Bxb5 19. axb5 Bc5?!

ここまでほぼ完ぺきでしたが、ここからのプランでミスが続きました。d3 のナイトと協力するならば、c5 にビショップを置いてf2 を攻め、f1 のルークを動けなくさせようと考えました。しかし、最も気にすべきはg2 のビショップです。19... Qe5!e4-e5 を止めつつ、b2 も狙う攻防に利く位置でした。

20. Bg5 Bd4?


ここもエクスチェンジを捨てる覚悟を決めたのであれば、20... Qe5! 21. Bxd8 Rxd8 22. Rad1 Qxb2-/+ が良かったでしょう。d4 のビショップも良い働きをしているように見えますが、e4-e5 を止めていないのがクイーンとの違いです。またエクスチェンジを捨てず、20... Rdb8 からポーンを回収するアイディアでも黒は十分でしたが、dファイルの好位置からずらすことに抵抗がありました。

21. e5! Qxe5?

ここは当然のごとく時間を使って考えましたが、e5 を取る駒を間違えてしまいました。21... Nxe5 22. Bxd8 Rxd8 23. Qe2 くらいで白にf2、b2 のディフェンスを許してしまいますが、せめてこうしておくべきでした。 クイーンがe5 にいくことでb2 に当たり、f2 取りも狙いになるかと思った本譜でしたが、それを活用する暇がありませんでした。

22. c7 Rdc8?


22... Nxf2! 23. cxd8=Q+ Rxd8 24. Rxf2 Bxf2+ 25. Kh1 h5 26. Qf4 Qxf4 27. Bxf4+/= が唯一黒が戦える方法でしたが、ルークを取らせてプロモーションを許すのは考えづらかったです。

23. Bxa8 Rxa8

23... Nxf2 24. Rxf2 Bxf2+ 25. Kxf2 Qxb2+ 26. Qe2 Qd4+ 27. Kg2 Qxa1 28. Qd2+- だとd8 を受けることができず、黒の負けは明らかです。f2 を取るタクティクスの暇が無いことに気づき、白マスビショップにルークを取らせるアイディアは失敗であったことを悟りました。

24. Be3!?

24. b6! Bxb6 25. Qxc4 Bxc7 26. Be7+- は白が大きく有利になるアイディアですが、本譜も似ています。

24... Bxe3 25. Qxc4 Bc5 26. b6!


このタイミングは読めていませんでした。決定的な駒損を避けてなんとかしようとしますが、エクスチェンジアップでも白は十分です。

26... Rf8 27. bxa7 Qxc7 28. Qxd3 Bxa7 29. Qe4+-

即負けこそ避けましたが、このマテリアルは厳しいです。

29... Rb8 30. Ra4 Qc5 31. Qf3 g6


b4 を守りつつ粘るとすれば、31... Qc7 32. Rfa1 Bc5 33. Ra8 Rf8 34. Rxf8+ Bxf8 だったかもしれません。

32. Rfa1 Bb6 33. Ra8 Rxa8 34. Rxa8+ Kg7 35. Rb8 Qc1+ 36. Kg2 Bd4 37. Rb7 Bf6 38. Qe4 Kg8 39. b3 Bc3 40. Qf3 1-0

R2 もそうでしたが、大きく優勢な局面から進め方を間違えるのは反省です。もう少し自分のプレーを見返してみようと思います。

12/15 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Nitish, B (FM, IND, 2464) 1/2-1/2
12/16 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Girinath, P.D.S (IM, IND, 2335) 0-1
12/17 Ajay, K (IND, 2401) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1-0
12/18 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Avinash, R (IND, 2391) 1/2-1/2
12/19 Aditya, V P (IND, 2281) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1-0
12/20 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Varga, Z (GM, HUN, 2387)
12/21 Pasti, A (FM, HUN, 2377) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
12/22 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Mirzoev, A (GM, AZE, 2420)
12/23 Nagy, G (GM, HUN, 2527) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)

Vezerkepzo GM December 2021 Standings

+2 Nagy
+1 Nitish、Mirzoev、Varga、Girinath
+-0 Ajay、Pasti
-1 Avinash
-2 Aditya
-3 Kojima

まだまだ厳しい結果が続きますが、丁寧に試合をこなしていこうと思います。

2021/12/18

Vezerkepzo GM December 2021 R3 & R4

会場ホテルの中庭にはなぜか砲台がありました。

急遽今日のR4 が午前10時30分からだと発表されました。こちらも早く終わったため、今日は2試合分まとめて更新しようと思います。まずは前日のAjay との試合からです。

Ajay, K (IND, 2401) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
Vezerkepzo GM December 2021 (3)

1. d4 d5 2. c4 e6 3. Nf3 Nf6 4. g3 Be7 5. Bg2 O-O 6. O-O c6 7. Qc2 b6 8. Ne5 Bb7 9. Nc3 Nbd7 10. e4 Nxe5 11. dxe5 Nxe4 12. Nxe4 dxe4 13. Bxe4 h6

私は黒マスを弱める13... g6 のほうが不自然に感じて本譜を選択しましたが、実戦の流れを見ると難しい決断だったと思います。

14. Qe2! Qc7?!


14... Qd7! 普通はターゲットになるdファイルからは早々に逃げたいものなので、この手の意味がよくわかりませんでした。 15. Rd1 Qc7 16. Bc2 (16. Bxh6 gxh6 17. Qg4+ Kh8 18. Qh5 Kg7= このドロー変化は考えていました。) 16... Rad8 17. Rxd8 (17. Bxh6=) 17... Rxd8 18. Qe4 g6 19. Bxh6 c5 20. Qe2 Qc6 21. f3 Qxf3 22. Qxf3 Bxf3=/+ これは分かりませんでした。あえてRf1-Rd1 を誘うことで、後でf3 でポーンを回収するというアイディアでした。これが白にとって上手くいかないのであれば、Qe2-Qg4 のような本譜とは別のアタックプランを考えなければいけません。

15. Bc2 c5 16. Qd3 f5 17. exf6 Rxf6 18. Qh7+ Kf7

これはきわどい形で、しっかり白が指せば潰れていそうですが、a8-h1 ダイアゴナルを使った反撃などにも気を付けなければいけないため、人間が指す変化としてはなかなか難しいのではないかと感じました。

19. Bd2 Bd6 20. Rae1


20. Bd1! Rg8 21. Bc3 Be5 22. Bh5+ Kf8 23. Bxe5 Qxe5 24. Rad1 Qc7 25. Rd2+/- こうしてBc2-Bd1-Bh5 を見せておけば、g8 ルークが分断された黒はdファイルからの侵入に対抗できませんでした。

20... Be5 21. Rxe5?!

これは上手い手に見えますが、実際には駒が捌けるほど黒のキングが安全になるため、ありがたい交換だと思っていました。

21... Qxe5 22. Bc3 Qh5 23. Bxf6 Kxf6 24. Rd1 Rf8!


Rf8-Rf7 を用意し、7段目への白ルークの侵入に備えます。

25. f3!? Rf7?!

しかしこの手は余計で、25... Bxf3 26. Rf1 Ke7 27. Qxg7+ Rf7 28. Qg8 Qe5= くらいで難しいポジションでした。g7 を捨ててf3 を取るのは勇気のいる決断です。

26. Qd3! Qe5 27. f4 Qc7 28. Qg6+ Ke7 29. Be4?!


黒の白マスビショップは消しておいたほうが安全ですが、違うアイディアで消せば白勝ちでした。29. Ba4! Bc6 30. Bxc6 Qxc6 31. f5!+- この6段目の利きは互いに見えていませんでした。

29... Bxe4 30. Qxe4 Kf6! 31. Qa8?

これは勢いはあるように見えますが、冷静になれば対処できる手です。31. Qd3!+/- ならばdファイルを抑えてまだ白にチャンスがありそうです。

31... e5?


時間が無い中、ポーンを捌くのが良いと思ってしまいました。eファイルを開けば、白キングへの反撃が容易になると思ったのです。しかしe6 の孤立ポーンは意外なほどディフェンスに役立つものでした。31... Rd7! 32. Qf8+ Rf7! この単純なルーク戻りを見ておらず、チェックされるのはまずいと勘違いしてしまいました。 33. Qe8 Re7 34. Qh8 Rd7= 白はルーク交換を避けられず、形勢は互角でした。

32. fxe5+ Qxe5 33. Qc6+! Ke7 34. Rd7+ 1-0

6段目のチェックはどうとでも対処できるだろうと思っていましたが、5段目も7段目もルークの跳び込みを食らうためにダメでした。中盤の厳しい局面を耐えて盛り返してきただけに、1つのミスで試合を崩してしまい残念です。続けて今朝のAvinash との試合です。

Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Avinash, R (IND, 2391)
Vezerkepzo GM December 2021 (4)

1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nf3 Bg7 4. g3 d5 5. Bg2 dxc4 6. Na3 c5 7. O-O O-O 8. Nxc4 Be6 9. b3!?

先日First Saturday で敗れたラインを改良して試合に臨みました。いくつかのセットアップがありますが、d4 のマスでの交換を見据え、このマスに利きを集めるのは自然なアイディアです。

9... Nc6 10. Bb2 cxd4 11. Nxd4 Nxd4 12. Qxd4


12. Bxd4 b6 13. Ne5 Bd5 14. Nc6 Bxc6 15. Bxc6 Rc8 16. Bf3 と白マスビショップを貰う変化もチェックしましたが、勝負できるアドバンテージがあるのか疑問で今回は避けました。

12... Qxd4 13. Bxd4 Nd5 14. Bxg7 Kxg7 15. Na5 Rac8 16. Nxb7 Rc2 17. Rfc1 Rfc8 18. Rxc2 Rxc2 19. Nd8 Nc3 20. Nxe6+ fxe6 21. Kf1

ここまではGM Ernst の実戦があり、調べていた手順でした。21. e3 a5! でも白にはクイーンサイドのポーンを守る上手い手段がないですし、黒のアクティブルークは1ポーン分を十分に補えると思います。Ernst の実戦では21... Kf6 22. e3 Nxa2 23. Be4 Rb2 24. Bd3 a5 25. Bc4 と白マスビショップを切り替え、白が勝ちを収めました。ではこの試合の流れと異なり、e2 をすぐに取られたらどうなるのか考えていたら実際にそうなりました。

21... Nxe2 22. Re1


ここまで10分も使わず進めてきた私は、この手に40分ほどかけました。黒はNe2-Nd4、e6-e5 とできれば理想の形で、7段目に侵入したルークも相まってチャンスがありそうです。これに対抗する方法を時間をかけて探していましたが、どうしても見つけることができず、黒が望むならドローを受け入れるラインにしました。

22... Nd4 23. Re4 Rc1+ 24. Re1 Rc2

勝負を続けるならば、24... Rc5!? とする手もあり、これならば先述のようにナイトをd4 に残す形ができそうです。しかし白もルークを追い払っている点がプラスで、形勢互角の勝負ができるでしょう。

25. Re4 Rc1+ 26. Re1 Rc2 1/2-1/2


他の試合はまだ進行中で結果が出ていないものもありますが、現時点で分かっている最新の星取りを載せておきます。

12/15 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Nitish, B (FM, IND, 2464) 1/2-1/2
12/16 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Girinath, P.D.S (IM, IND, 2335) 0-1
12/17 Ajay, K (IND, 2401) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1-0
12/18 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Avinash, R (IND, 2391) 1/2-1/2
12/19 Aditya, V P (IND, 2281) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
12/20 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Varga, Z (GM, HUN, 2387)
12/21 Pasti, A (FM, HUN, 2377) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
12/22 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Mirzoev, A (GM, AZE, 2420)
12/23 Nagy, G (GM, HUN, 2527) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)

Vezerkepzo GM December 2021 Standings

+2 Nagy
+1 Mirzoev、Ajay、Varga、Pasti
+-0 Nitish、Girinath
-1 Avinash
-2 Kojima
-3 Aditya

Follow Chess などのアプリで中継も始まりましたので、よろしければそちらもご覧ください。そろそろ今滞在最初の勝ち星が欲しいです!
試合会場はブダ側の観光名所の1つ、漁夫の砦のすぐ近くです。ブダペスト生活も長いですが、こちらには初めて足を運びました。

2021/12/17

Vezerkepzo GM December 2021 R2

昨日は試合前にHungarian Championship を見学に行ったため、会場へ向かうルートが前日と違い、地下鉄2番線のBatthyany駅からとなりました。Batthyany駅はブダ側に渡って川沿いすぐですが、対岸正面には綺麗に国会議事堂が見えています。

この日の試合はFirst Saturday から続く参加者、インドのIM Girinath です。この試合も様々なドラマが起こりました。

Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Girinath, P.D.S (IM, IND, 2335)
Vezerkepzo GM December 2021 (2)

1. d4 e6 2. Nf3 f5 3. g3 Nf6 4. Bg2 d5

Classical Dutch をメインに研究していましたが、まさかのStonewall Dutch でした。黒マスビショップを交換するスタンダードな作戦をとります。

5. O-O Bd6 6. c4 c6 7. b3 Qe7 8. a4 a5 9. Ba3 Nbd7 10. Bxd6 Qxd6 11. Qc2 Ne4 12. Nc3 O-O 13. e3 b6 14. Rfd1 Bb7 15. cxd5 exd5 16. Ne2 g5


先日のTuさんとの試合同様にg7-g5 の押し込みにどう対応するか悩みましたが、f5-f4 のブレイクだけしっかり意識して止めておき、ナイトを組み替えることにします。

17. Ne1 Qe6 18. Nd3 Nd6 19. Kh1!? Rae8 20. Ng1!?

d3 のナイトがf4 のマスをカバーしているため、その間にもう1つのナイトをf3 に組み替え、e5 のアウトポストを目指します。

20... g4 21. Ne2 Ne4 22. Nef4 Qd6 23. Rac1 Rc8


ここでGIrinath からドローオファーがありましたが、f4 にナイトを入れさせておいてそれはないだろうと思い、勝負を続けます。

24. Qb2 Rfe8 25. Kg1 Ba6 26. Rc2 Kf7 27. h3 h5 28. h4

少し悩んだやりとりでしたが、h5 をすぐに取って反撃を許すよりも、弱点として固定しておくほうが安全策だと考えました。

28... Nef6 29. Rdc1 c5 30. dxc5 bxc5 31. Rd1 d4 32. Nc1 Ne5 33. exd4 cxd4 34. Rcd2 Qb6 35. Rxd4


これでポーンを落とし、dファイルの支配も強力で勝ちまであと一歩だと感じました。しかし、ここから歯車が狂います。

35... Bb7 36. Nd5?

6段目への侵入は明らかに見えるのですが、持ち時間がほとんどなく読み切れませんでした。36. Rd6! Qc7 37. Bxb7 Qxb7 38. Rxf6+! Kxf6 39. Ncd3+- 少し考えたエクスチェンジサクリファイスでしたが、踏み込めずに悔やまれます。

36... Bxd5 37. Bxd5+ Nxd5 38. Rxd5 Qf6 39. Kg2?!


f3 チェックでのクイーン取りのあからさまなスレットに、キングを上げて受けたのも緩手でした。ぴったりナイトがクイーンに利くので、39. Nd3! とナイトを戻し、駒交換を進めて1ポーンアップのエンドゲームを勝ちにいくべきでした。

39... f4! 40. Nd3? fxg3!

時間の増える40手目、互いにぎりぎりで指した手が相手にポーンを返してしまうものでした。先手でe5 のナイトに交換を迫っているうえ、f2 のポーンさえ受けていれば大丈夫だと思っていましたが、Qf6-Qf3+ がd1、d5 のどちらにも利くことを見落としてしまいました。増えた時間を使い、安全に負けない変化を探します。

41. Nxe5+ Rxe5 42. R1d3 gxf2 43. Qxf2 Qxf2+ 44. Kxf2 Rc2+ 45. Kg3 Ke6 46. Rd6+ Kf5 47. R6d5 Rce2 48. Rxe5+ Rxe5 49. Kf2


本譜でもドローですが、キングが下がる必要はなかったようです。49. Rd8 Re3+ 50. Kg2 Rxb3 51. Rf8+ Ke4 52. Rh8 Ra3 53. Rxh5 Rxa4 54. Kg3= こうしてf4 から黒キングを離してからポーンを取りにいけば白キングは押し込まれることなく安全でした。

49... Kf4 50. Rd4+ Re4 51. Rd3 Rb4 52. Kg2 Re4 53. Kf2 Re5 54. Rd4+ Kf5 55. b4!?

ここはポーンを捌いてもドローにできると思い、実行しました。判断は間違いではないのですが、読みが不十分で最後に事件が起こります。

55... axb4 56. Rxb4 Re4 57. Rb5+ Kf4 58. Rxh5 g3+ 59. Kg2 Re2+ 60. Kf1??


後で振り返れば真っすぐ後退するのが自然でした。なぜかe2 のルークに一度当てておこないといけないと錯覚し、負けの変化に入ります。60. Kg1! Kf3 61. Rf5+ Kg4 62. Rb5! Kh3 63. Rb1!= こうして1段目にルークを戻せば、a、hポーンが両方取られても負けない形です。

60... Ra2? 0-1

黒はここで60... g2+! 61. Kg1 Kg3 62. Rg5+ Kh3-+ と指していれば勝ちでした。白は自身のhポーンが邪魔をして黒キングにチェックをかけることができません。このミスで白に再びドローチャンスが出たところで、私は61. Rg5?? と指し(たつもりで)時間が落ちました。最初、相手の手番で時計が動かず、時計を止めてしまったのかと思ってアービタ―を呼びました。私は時間間際に指したつもりでしたが、アービターがパソコンに送られているデータをチェックしたところ、私の時間落ちが告げられました。確実に数秒は残っていると思って時計を押したので若干納得できませんでしたが、61. Rg5?? Kf3 62. Rf5+ Kg4 63. Rb5 Kh3! 64. Rb1 Kh2!-+ ならば黒勝ちではないかとGirinath に指摘され、負けを受け入れました。最後にh2 に潜り込まれてしまうのがf1 にキングを下げた手が失敗であるポイントです。代わりに61. Rb5! Kf3 62. Rb3+! と横からのチェックに切り替えればドローでした。縦横の反撃の使い分けがルークエンディングのポイントだと自分で生徒に教えておきながら、時間切迫になると実践できていないのは反省です。試合終了直後は自分の情けなさに怒り心頭でしたが、落ち着いて振り返れば学びの多いゲームでした。 もちろん、悔しいは悔しいのですが。

12/15 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Nitish, B (FM, IND, 2464) 1/2-1/2
12/16 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Girinath, P.D.S (IM, IND, 2335) 0-1
12/17 Ajay, K (IND, 2401) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
12/18 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Avinash, R (IND, 2391)
12/19 Aditya, V P (IND, 2281) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
12/20 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Varga, Z (GM, HUN, 23)
12/21 Pasti, A (FM, HUN, 2377) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
12/22 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Mirzoev, A (GM, AZE, 2420)
12/23 Nagy, G (GM, HUN, 2527) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)

Vezerkepzo GM December 2021 Standings

+1 Varga、Pasti、Girinath
+-0 Nagy、Mirzoev、Ajay、Avinash
-1 Nitish、Kojima、Aditya

この日はNitish がVarga に白で敗れる波乱があり、私のボードも含めて星が動いています。まだ始まったばかりですので、次は黒番ですが良いゲームをしてきたいと思います。
今回の会場にはチェスの本も並べられています。初日は一部の本の著者である、GM Balogh Csaba が来ていました。

2021/12/16

Vezerkepzo GM December 2021 R1

ちょうど新旧トラムが交わるSzell Kalman広場が撮れました。

First Saturday が終わったばかりですが、すぐに次のGMトーナメントであるVezerkepzo が始まりました。初日はSzell Kalman からのバス乗り場が分からず、地図を見ながら会場であるSt. George Residence Hotel に徒歩で向かうことにします。途中長い階段を上がったり、トンネルをくぐって砲台の並ぶ広場に出たり、道中が面白かったのでまた徒歩ルートを選ぶかもしれません。

20分弱でSt. George Residence Hotel の到着。それにしても絵画あり、シャンデリアありの凄い会場です! 五つ星であるSt. George Residence Hotel のレストラン、カフェフロアを借りているとのことです。主催者のGM Atilla に挨拶をしてペアリングを聞くと、なんと前日に120手指したインドのNitish との連日対戦でした。試合ギリギリに来た彼も思わず苦笑いです。

Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Nitish, B (FM, IND, 2464)
Vezerkepzo GM December 2021 (1)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. Nc3 dxc4 5. e4 b5!?

Queen's Gambit Vienna Variation 5... b5!? は何年か前に流行の兆しを見せ、私も黒で指そうかと一時研究しました。前日はSemi-Tarrasch でしたが、早くも変えてきます。

6. e5 Nd5 7. Nxb5 Nb6 8. Be2 Nc6 9. O-O Be7 10. Be3 O-O 11. Qc1 Rb8 12. Nc3 Bb7 13. Rd1 Nb4 14. Nd2 Qe8!?


うろ覚えながら、14手目までが私の研究手順でした。本譜の14... Qe8 は新手ですが、基本的なアイディアは14... Qd7 と同じでc6 にクイーンを上げ、c4ポーンのサポートとg2 へのアタックチャンスを作ることでしょう。

15. a3 Qc6 16. Bf3 N4d5 17. Be4!?

別の変化で白マスビショップをBe2-Bd1-Bc2 と組みなおして黒のキングサイドを狙うアイディアがあり、それを違うルートで試してみることにしました。コンピュータが提案する17. Nxd5 exd5 18. Nf1+/= も考えたのですが、白マスビショップの切り替えが上手くできなければ、キングサイドへのプレッシャーは大したことが無いと思い、本譜を選びます。

17... Nxc3 18. Qxc3 Qb5?!


指されてなるほどと思いましたが、本譜通りのc4 とb2 の取り合いは白にアドバンテージが残ります。18... Nd5! 19. Qc2 c3!!
Analysis Diagram

20. bxc3 Qxc3 21. Bxh7+ Kh8 22. Re1 (22. Be4 Qxc2 23. Bxc2 c5!=/+ これで黒優勢というコンピュータ評価は驚きです。確かにd5 のナイトが強力で、黒はポーンの代償が十分ありそうです。) 22... g6 23. Bxg6 Rg8! 24. Qxc3 Nxc3 25. Rac1 Rxg6 26. Rxc3 Rxg2+ 27. Kf1 Rxh2= これは両者選びづらいですね。思いがけないアイディアが出てくるものです。

19. Bxb7 Rxb7 20. Rdc1 Rc8 21. Nxc4 Nxc4 22. Qxc4 Qxb2

22... Qxc4 23. Rxc4 Rxb2 24. g3+/= クイーンを交換しても、白はc7 へのプレッシャーで少しアドバンテージがあるでしょう。本譜では2ピースルークに持ち込むアイディアが残るため、黒はやや悪いのを覚悟でクイーンを交換した変化を選ぶのもありでした。

23. Qc6 Rcb8 24. a4 a5 25. g3 h6 26. Kg2


ここは勝負のポイントでした。私もコンピュータが指摘する2ピースルークの交換は頭にありました。それを仕掛ける準備として先にキングを2段目に上げておきましたが、実際には必要なかったかもしれません。26. Rab1! Qxb1 27. Rxb1 Rxb1+ 28. Kg2 Bg5!? (28... Bb4 29. d5 exd5 30. Qxc7 Re8 31. Qc6 Rf8 32. e6 fxe6 33. Qxe6+ Rf7 34. Bxh6!+-) 29. f4 (29. Bxg5?! hxg5 30. Qxc7 R1b4=) 29... R1b3 30. Bf2 Be7 と進んだ変化は、ばらばらのa5、c7 が負担になるうえ、白からはd4-d5、e5-e6 という仕掛けで黒キング周りを弱めるアイディアがあり、2ルークvs. クイーンでもクイーン側の白が優勢だというのがコンピュータ評価です。2ルークよりもクイーンのほうがビショップとの組み合わせの相性が良いというのもポイントだと思います。

26... Bb4 27. Rab1

私はこの時点で勝ちをほぼ諦めていましたが、やはり2ルークvs. クイーンに持ち込むアイディアは有効だったようです。27. Qc4! Bd2 (27... Bf8 28. Rcb1 Qxb1 29. Rxb1 Rxb1 30. Qxc7 Ra8 31. d5 exd5 32. Qd7+/-) 28. Rab1 Bxc1 29. Rxb2 Bxb2 30. d5+/- クイーンとビショップの組み合わせを利用して、キングサイド、クイーンサイドのどちらにもプレッシャーをかけてチャンスを作りにいくというのは盲点でした。

27... Qa2 28. Ra1 Qb2 29. Rab1 Qa2 30. Ra1 1/2-1/2


初日は早めに試合を終わらせ、明日から本番です。First Saturday と違い、白の多い良いリストを引けましたので、上手くこれを活かして今度こそ勝ち星をゲットしてきたいと思います。

12/15 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Nitish, B (FM, IND, 2464) 1/2-1/2
12/16 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Girinath, P.D.S (IM, IND, 2335)
12/17 Ajay, K (IND, 2401) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
12/18 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Avinash, R (IND, 2391)
12/19 Aditya, V P (IND, 2281) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
12/20 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Varga, Z (GM, HUN, 2387)
12/21 Pasti, A (FM, HUN, 2377) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
12/22 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Mirzoev, A (GM, AZE, 2420)
12/23 Nagy, G (GM, HUN, 2527) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)

Vezerkepzo GM December 2021 Standings

初日は全員ドローだったため、星の変動は無しです。R2 はFirst Saturday で3つ勝ち越しと大暴れしたGirinath です。50代とは思えない力強いプレーが持ち味の相手ですが、先日とは色が逆ですのでチャンスを作っていきたいと思います。

2021/12/15

First Saturday GM December 2021 R9


12月のFirst Saturday 最終戦はタフなロングゲームでした。最終盤だけ簡単にご紹介しようと思います。
Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Nitish, B (FM, IND, 2464)
First Saturday GM December 2021 (9)
Position after 79. Qxh5

紆余曲折を経てこのようなポジションにたどりつきました。ラッキーなことにh5 にあったポーンが取れ、白は2ポーンアップになりました。79... Qxa4? 80. Qg4+! は簡単な白勝ちポーンエンディングになるため、黒はa4 を取ることができません。これは勝てるだろうと思いましたが、パペチュアルチェックを避けながら考えるクイーンエンディングはなかなか難しいものです。

79... Qa1 80. Qf3 Qe1 81. Kh2 Qa1 82. Qb3 Qe1 83. Qa2 Qa5 84. Qc2 Kf7 85. Kh3 Qe1 86. h5 Qh1+ 87. Kg4 Ke7 88. a5 Qd5 89. Qe2+


時間がほとんどない中、e2 のマスであればどちらもポーンも守れると考えました。代わりに89. Qh7+! Kd6 90. Qf5! Qd1+ 91. Qf3 f5+ 92. Kf4 Qd2+ 93. Kxf5 Qxa5+ 94. Kg6+- は明らかな勝ちだったようです。

89... Kf7 90. a6 Qd4+ 91. Kh3 Qa1 92. Kh2 Qa5 93. g4 Qc7+ 94. Kh3 Qc3+ 95. Kh4 Qa5 96. Qf1 Qg5+ 97. Kg3 Qe5+ 98. Qf4 Qe1+ 99. Qf2 Qe5+ 100. Kh3 Kg7 101. a7 Qa1 102. Kg2

ポーンもa7 まで進め、勝ちが近くなっているように見えます。本譜はとりあえずチェックをかけられない位置にキングを移動しましたが、102. Qe3! Qh1+ 103. Kg3 Kf7 104. h6!+- というアイディアがありました。白クイーンがe3、白キングがg3 だとチェックがかからないんですね。

102... Qa4 103. Qf5!?


ここも再度103. Qe3! のチャンスでしたが、気づきませんでした。aポーンを取らせても、fポーンを落とせば勝てるだろうと思って本譜を選びます。

103... Qa2+ 104. Kh3 Qxa7 105. Qg6+ Kh8 106. Qxf6+ Kg8 107. Kh4 Qg1 108. Kg5

108. h6 Qh1+ 109. Kg5 Qd5+ 110. Kg6 Qe4+ 111. Kh5 Qh1+ 112. Qh4! Qb7 113. Qg5+ Kf8 114. Qg7+ Qxg7 115. hxg7+ Kxg7 116. Kg5+- どこかでポーンを返してもクイーンを交換し、オポジションを取れば勝ちのポーンエンディングです。

108... Qe3+ 109. Kg6 Qe4+ 110. Kh6?


5時間を超えるゲームで集中力も切れつつありました。110. Qf5 Qc6+ 111. Kg5 Qb7 112. Qe5 Qc6 113. h6 Qb7 114. Kh5 Qf7+ 115. Kh4 Qf2+ 116. Kg5 Qf7 117. h7+! Kxh7 (117... Qxh7 118. Qe8+ Kg7 119. Qe7+ Kg8 120. Qxh7+ Kxh7 121. Kf6+-) 118. Qf5+ Qxf5+ 119. Kxf5 Kg7 120. Kg5+- で上記と同様の白勝ちポーンエンディングです。本譜はひどいとしても、このアイディアを短時間で見つけられたか自信がありません。

110... Qxg4=

ポーンを取る手を相手が指すまで、全く考えもしませんでした。ぴったりメイトのアイディアも、白勝ちポーンエンディングに持ち込めるクイーン交換もなく、形勢互角になってしまいました。

111. Qd8+ Kf7 112. Qc7+ Kf8 113. Qd6+ Kg8


相手は一瞬キングをf7 に置こうとし、考え直してg8 に戻しました。113... Kf7?? 114. Qg6+ Qxg6+ 115. hxg6++-

114. Qd5+ Kf8 115. Qc5+ Kg8 116. Qd5+ Kf8 117. Qd6+ Kg8 118. Qf6 Qd7 119. Qg6+ Kh8 120. Qf6+ 1/2-1/2

5時間45分を超える試合でした。クイーンエンディング、勉強しなおそうと思います。

12/4 Girinath, P.D.S (IM, IND, 2335) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1/2-1/2
12/5 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Pap, M (GM, SRB, 2373) 1/2-1/2
12/6 Seres, L (GM, HUN, 2399) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1/2-1/2
12/7 Berczes, D (GM, HUN, 2453) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1/2-1/2
12/8 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Avinash, R (IND, 2391) 0-1
12/9 Rest Day
12/10 Souhardo, B (IM, IND, 2354) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1/2-1/2
12/11 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Nagy, G (GM, HUN, 2527) 0-1
12/12 Rest Day
12/13 Pasztor, B (FM, HUN, 2347) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1/2-1/2
12/14 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Nitish, B (FM, IND, 2464) 1/2-1/2

First Saturday GM December 2021 Standings

+4 Nagy
+3 Girinath
+2 Avinash
+1 Berczes
+-0 Nitish
-1 Souhardo、Pap
-2 Seres、Kojima
-4 Pasztor

星に移動はなく、全試合を終了しています。私は2敗7ドローで、20年を超えるチェス人生で初めてとなる勝ち星のないトーナメントでした。3つ以上負け越したGMトーナメントもありますし、内容自体はさほど悪くはないので、気落ちせずにまた次の試合に向かおうと思います。

2021/12/14

First Saturday GM December 2021 R8

8試合が行われたこの日は、試合前に少しだけMargit hid のトラム駅で途中下車して、マルギット島に寄り道してきました。マルギット島はドナウ川にある島で、ブダペスト市民の憩いの場となっています。意外と広くテニス場やプール、ホテルなどもあったはずです。
マルギット島の全体像はこんな感じ。細長い種子のようです。南のマルギット橋から入るルートが一般的だと思いますが、北のアールパッド橋も繋がっており、バスルートも通っています。これまで徒歩とトラムばかりで上陸していましたが、バスを利用するのも良さそうですね。

さて試合は15歳のPasztor に黒を持つ8試合目です。GMセクション初挑戦の彼は3つ負け越しと苦しんでいますが、私も負ければ彼と立場逆転のため、気を緩めずに試合に臨んできました。緩めてなかったはずなんですがね...

Pasztor, B (FM, HUN, 2347) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
First Saturday GM December 2021 (8)

1. d4!?

1. e4 しかこれまでデータベースになかった彼が、初手から変えてきました。私が指すRuy Lopez の変化に、今回Berczes との試合で負けていることが関係あるかもしれません。私の2日間の研究は、後日の試合に回すことになります。

1... d5 2. c4 e6 3. Nf3 Nf6 4. g3 Be7 5. Bg2 O-O 6. O-O c6 7. Qc2 b6 8. Rd1 Ba6


私もBerczes との試合でCatalan があるかと思い、先週調べていた変化に入りました。ジャパンオープンではOpen Variation を試したCatalan ですが、今回はClosed Variation を試してみます。

9. Ne5 Nfd7 10. cxd5 cxd5 11. Nc3!?

この手は少し意外でしたが、ありえる選択肢です。11. e4 Nf6 12. Nc3 Bb7 ならばd5 を交換させたことで満足し、ナイト、ビショップを戻してd5 を強化するつもりでした。

11... Nxe5 12. dxe5 Qc7?


しかし少し進んだこの局面で私におかしい手が出ました。c7 でクイーンが浮いていることは分かっていながらも、数手読んで相手のタクティクスは上手くいかないものだと思い込みました。代わりにクイーンを浮かせない 12... Qc8!? か、もしくは12... Nd7 13. e4 (13. Nxd5? exd5 14. Bxd5 Rc8 15. Qa4? Nc5! 試合中はなぜかこの変化で黒がつぶれていると思っていました。) 13... d4! 14. Rxd4 Qc7 15. Bf4 Rac8 16. Rad1 Rfd8 17. h4 Nb8!? は違う手順から実戦もある形で、黒は1ポーンを捨てても十分に戦えます。私も途中まで白を持って指したことのある形で、本譜でもこうなることを期待しました。

13. Bf4 Nd7 14. Rac1 Rac8 15. Nxd5!

このナイトの跳び込みを一番に警戒していたつもりなので、指されてとても驚きました。私が見落としていたのは、駒交換の最後にd7 のナイトまで取られてしまうことです。それに気が付いてかなりがっくりきましたが、本譜のように進めて意外と白の方針は難しいのではないかと考えました。

15... Qxc2 16. Nxe7+ Kh8 17. Rxc2 Rxc2 18. Rxd7 Rxb2 19. h4


ここでバックランクを受けるために1手使わなければいけないのがポイントで、これがなければリザインしていてもおかしくありません。

19... Rxa2 20. Rxa7 Bc4 21. Rxa2 Bxa2

ここまで進んで案外何とかなる気もしてきました。5R のAvinash戦同様に2ピースvs. ルークのマテリアルですが、今回はルーク側にパスポーンがあり、それを進めるというプランが明白です。まずはf8 ルークを起こして使いやすい場所に移動させることを目標します。

22. Be3 b5 23. Bc5 Rb8 24. Bd6 Rb6 25. Nc6 Ra6 26. Nb4 Ra3 27. Nd3 Rb3 28. Be4 Bb1


ずっとb4 のマスをブロックし続けてくるかと思いましたが、白はナイトを簡単にどかしてきました。そこでビショップのダイアゴナルを切り替え、隙あらばピース交換からポーンの前進も考えます。

29. Kf1 b4 30. Ke1 Rc3!

もしかするとPasztor はこのルークのスイッチを見ていなかったかもしれません。31. Bxb4 Rc4 32. f3 Bxd3 ならば黒はピースを取り返してエクスチェンジアップになります。もちろんそれでもビショップvs. ルークが黒勝ちなのかは分かりませんが、黒が勝ちを目指す側になるのであればもちろん文句はありません。

31. Kd2 Rc2+ 32. Ke3 b3 33. Nb4 Rb2 34. Bxb1 Rxb1 35. Nd3 Rc1!


これも正しいアイディアで、白キングをパスポーンに寄らせないようにします。36. Nxc1?? b2 ならばクイーンを作って大逆転です。

36. Kd2?!

この後も議論のポイントがあるのですが、自然に見える白キングのdファイルへの移動は実は必要のないものでした。36. Ba3! Rc2 37. Bb2! h5 38. Bd4 Kh7 39. Nb2+- これが白の理想的なフォーメーションで、次に白キングがKe3-Kd3 と寄ってきます。すると次にNb2-Nc4-Nd2 などでポーンを狙うことが可能になり、黒ははっきり困っています。こんなアイディアがあることを知れただけでも、このマテルアルノエンドゲームにしてしまった甲斐がありました。

36... Rc4 37. Ba3 Rc2+ 38. Kd1?


やはり上記の変化同様、38. Ke3! と上に戻るのが正解です。d1 の位置でも問題は、d4、c4 のマスにキングの利きが無いため、Ba3-Bb2-Bd4 に対してRc2-Rc4! ができることです。

38... h5 39. Bb2 1/2-1/2

とことんやってくるかと思いましたが、ここで相手からドローオファーが来たため、これを受けて試合を終わらせました。もう少し2ピースvs. ルーク+パスポーンのエンドゲームも勉強してみようと思います。

12/4 Girinath, P.D.S (IM, IND, 2335) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1/2-1/2
12/5 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Pap, M (GM, SRB, 2373) 1/2-1/2
12/6 Seres, L (GM, HUN, 2399) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1/2-1/2
12/7 Berczes, D (GM, HUN, 2453) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1/2-1/2
12/8 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Avinash, R (IND, 2391) 0-1
12/9 Rest Day
12/10 Souhardo, B (IM, IND, 2354) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1/2-1/2
12/11 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Nagy, G (GM, HUN, 2527) 0-1
12/12 Rest Day
12/13 Pasztor, B (FM, HUN, 2347) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1/2-1/2
12/14 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Nitish, B (FM, IND, 2464)

First Saturday GM December 2021 Standings

+4 Nagy
+3 Girinath
+2 Avinash
+1 Berczes
+-0 Nitish
-1 Souhardo、Pap
-2 Seres、Kojima
-4 Pasztor

この日はNitish がSeres に勝ち、Berczes がSouhardo に勝ちました。明日の最終戦も一部終わっており、星は上のようになっています。いよいよNitish との最終戦です。これ以上白で負けないよう、準備を整えて試合に向かいます。
帰りはクリスマスバージョンのトラムにも出会えたので、ラッキー7効果はまだ消えていないはずです。
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