2021/12/17

Vezerkepzo GM December 2021 R2

昨日は試合前にHungarian Championship を見学に行ったため、会場へ向かうルートが前日と違い、地下鉄2番線のBatthyany駅からとなりました。Batthyany駅はブダ側に渡って川沿いすぐですが、対岸正面には綺麗に国会議事堂が見えています。

この日の試合はFirst Saturday から続く参加者、インドのIM Girinath です。この試合も様々なドラマが起こりました。

Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Girinath, P.D.S (IM, IND, 2335)
Vezerkepzo GM December 2021 (2)

1. d4 e6 2. Nf3 f5 3. g3 Nf6 4. Bg2 d5

Classical Dutch をメインに研究していましたが、まさかのStonewall Dutch でした。黒マスビショップを交換するスタンダードな作戦をとります。

5. O-O Bd6 6. c4 c6 7. b3 Qe7 8. a4 a5 9. Ba3 Nbd7 10. Bxd6 Qxd6 11. Qc2 Ne4 12. Nc3 O-O 13. e3 b6 14. Rfd1 Bb7 15. cxd5 exd5 16. Ne2 g5


先日のTuさんとの試合同様にg7-g5 の押し込みにどう対応するか悩みましたが、f5-f4 のブレイクだけしっかり意識して止めておき、ナイトを組み替えることにします。

17. Ne1 Qe6 18. Nd3 Nd6 19. Kh1!? Rae8 20. Ng1!?

d3 のナイトがf4 のマスをカバーしているため、その間にもう1つのナイトをf3 に組み替え、e5 のアウトポストを目指します。

20... g4 21. Ne2 Ne4 22. Nef4 Qd6 23. Rac1 Rc8


ここでGIrinath からドローオファーがありましたが、f4 にナイトを入れさせておいてそれはないだろうと思い、勝負を続けます。

24. Qb2 Rfe8 25. Kg1 Ba6 26. Rc2 Kf7 27. h3 h5 28. h4

少し悩んだやりとりでしたが、h5 をすぐに取って反撃を許すよりも、弱点として固定しておくほうが安全策だと考えました。

28... Nef6 29. Rdc1 c5 30. dxc5 bxc5 31. Rd1 d4 32. Nc1 Ne5 33. exd4 cxd4 34. Rcd2 Qb6 35. Rxd4


これでポーンを落とし、dファイルの支配も強力で勝ちまであと一歩だと感じました。しかし、ここから歯車が狂います。

35... Bb7 36. Nd5?

6段目への侵入は明らかに見えるのですが、持ち時間がほとんどなく読み切れませんでした。36. Rd6! Qc7 37. Bxb7 Qxb7 38. Rxf6+! Kxf6 39. Ncd3+- 少し考えたエクスチェンジサクリファイスでしたが、踏み込めずに悔やまれます。

36... Bxd5 37. Bxd5+ Nxd5 38. Rxd5 Qf6 39. Kg2?!


f3 チェックでのクイーン取りのあからさまなスレットに、キングを上げて受けたのも緩手でした。ぴったりナイトがクイーンに利くので、39. Nd3! とナイトを戻し、駒交換を進めて1ポーンアップのエンドゲームを勝ちにいくべきでした。

39... f4! 40. Nd3? fxg3!

時間の増える40手目、互いにぎりぎりで指した手が相手にポーンを返してしまうものでした。先手でe5 のナイトに交換を迫っているうえ、f2 のポーンさえ受けていれば大丈夫だと思っていましたが、Qf6-Qf3+ がd1、d5 のどちらにも利くことを見落としてしまいました。増えた時間を使い、安全に負けない変化を探します。

41. Nxe5+ Rxe5 42. R1d3 gxf2 43. Qxf2 Qxf2+ 44. Kxf2 Rc2+ 45. Kg3 Ke6 46. Rd6+ Kf5 47. R6d5 Rce2 48. Rxe5+ Rxe5 49. Kf2


本譜でもドローですが、キングが下がる必要はなかったようです。49. Rd8 Re3+ 50. Kg2 Rxb3 51. Rf8+ Ke4 52. Rh8 Ra3 53. Rxh5 Rxa4 54. Kg3= こうしてf4 から黒キングを離してからポーンを取りにいけば白キングは押し込まれることなく安全でした。

49... Kf4 50. Rd4+ Re4 51. Rd3 Rb4 52. Kg2 Re4 53. Kf2 Re5 54. Rd4+ Kf5 55. b4!?

ここはポーンを捌いてもドローにできると思い、実行しました。判断は間違いではないのですが、読みが不十分で最後に事件が起こります。

55... axb4 56. Rxb4 Re4 57. Rb5+ Kf4 58. Rxh5 g3+ 59. Kg2 Re2+ 60. Kf1??


後で振り返れば真っすぐ後退するのが自然でした。なぜかe2 のルークに一度当てておこないといけないと錯覚し、負けの変化に入ります。60. Kg1! Kf3 61. Rf5+ Kg4 62. Rb5! Kh3 63. Rb1!= こうして1段目にルークを戻せば、a、hポーンが両方取られても負けない形です。

60... Ra2? 0-1

黒はここで60... g2+! 61. Kg1 Kg3 62. Rg5+ Kh3-+ と指していれば勝ちでした。白は自身のhポーンが邪魔をして黒キングにチェックをかけることができません。このミスで白に再びドローチャンスが出たところで、私は61. Rg5?? と指し(たつもりで)時間が落ちました。最初、相手の手番で時計が動かず、時計を止めてしまったのかと思ってアービタ―を呼びました。私は時間間際に指したつもりでしたが、アービターがパソコンに送られているデータをチェックしたところ、私の時間落ちが告げられました。確実に数秒は残っていると思って時計を押したので若干納得できませんでしたが、61. Rg5?? Kf3 62. Rf5+ Kg4 63. Rb5 Kh3! 64. Rb1 Kh2!-+ ならば黒勝ちではないかとGirinath に指摘され、負けを受け入れました。最後にh2 に潜り込まれてしまうのがf1 にキングを下げた手が失敗であるポイントです。代わりに61. Rb5! Kf3 62. Rb3+! と横からのチェックに切り替えればドローでした。縦横の反撃の使い分けがルークエンディングのポイントだと自分で生徒に教えておきながら、時間切迫になると実践できていないのは反省です。試合終了直後は自分の情けなさに怒り心頭でしたが、落ち着いて振り返れば学びの多いゲームでした。 もちろん、悔しいは悔しいのですが。

12/15 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Nitish, B (FM, IND, 2464) 1/2-1/2
12/16 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Girinath, P.D.S (IM, IND, 2335) 0-1
12/17 Ajay, K (IND, 2401) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
12/18 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Avinash, R (IND, 2391)
12/19 Aditya, V P (IND, 2281) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
12/20 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Varga, Z (GM, HUN, 23)
12/21 Pasti, A (FM, HUN, 2377) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
12/22 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Mirzoev, A (GM, AZE, 2420)
12/23 Nagy, G (GM, HUN, 2527) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)

Vezerkepzo GM December 2021 Standings

+1 Varga、Pasti、Girinath
+-0 Nagy、Mirzoev、Ajay、Avinash
-1 Nitish、Kojima、Aditya

この日はNitish がVarga に白で敗れる波乱があり、私のボードも含めて星が動いています。まだ始まったばかりですので、次は黒番ですが良いゲームをしてきたいと思います。
今回の会場にはチェスの本も並べられています。初日は一部の本の著者である、GM Balogh Csaba が来ていました。

2 件のコメント:

ラパンキ さんのコメント...

勉強になります。

Shinya_Kojima さんのコメント...

返信遅くなりました。

ありがとうございます。そう言っていただけると負けた甲斐(?)があります。私自身とても勉強になりました。

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