2021/12/18

Vezerkepzo GM December 2021 R3 & R4

会場ホテルの中庭にはなぜか砲台がありました。

急遽今日のR4 が午前10時30分からだと発表されました。こちらも早く終わったため、今日は2試合分まとめて更新しようと思います。まずは前日のAjay との試合からです。

Ajay, K (IND, 2401) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
Vezerkepzo GM December 2021 (3)

1. d4 d5 2. c4 e6 3. Nf3 Nf6 4. g3 Be7 5. Bg2 O-O 6. O-O c6 7. Qc2 b6 8. Ne5 Bb7 9. Nc3 Nbd7 10. e4 Nxe5 11. dxe5 Nxe4 12. Nxe4 dxe4 13. Bxe4 h6

私は黒マスを弱める13... g6 のほうが不自然に感じて本譜を選択しましたが、実戦の流れを見ると難しい決断だったと思います。

14. Qe2! Qc7?!


14... Qd7! 普通はターゲットになるdファイルからは早々に逃げたいものなので、この手の意味がよくわかりませんでした。 15. Rd1 Qc7 16. Bc2 (16. Bxh6 gxh6 17. Qg4+ Kh8 18. Qh5 Kg7= このドロー変化は考えていました。) 16... Rad8 17. Rxd8 (17. Bxh6=) 17... Rxd8 18. Qe4 g6 19. Bxh6 c5 20. Qe2 Qc6 21. f3 Qxf3 22. Qxf3 Bxf3=/+ これは分かりませんでした。あえてRf1-Rd1 を誘うことで、後でf3 でポーンを回収するというアイディアでした。これが白にとって上手くいかないのであれば、Qe2-Qg4 のような本譜とは別のアタックプランを考えなければいけません。

15. Bc2 c5 16. Qd3 f5 17. exf6 Rxf6 18. Qh7+ Kf7

これはきわどい形で、しっかり白が指せば潰れていそうですが、a8-h1 ダイアゴナルを使った反撃などにも気を付けなければいけないため、人間が指す変化としてはなかなか難しいのではないかと感じました。

19. Bd2 Bd6 20. Rae1


20. Bd1! Rg8 21. Bc3 Be5 22. Bh5+ Kf8 23. Bxe5 Qxe5 24. Rad1 Qc7 25. Rd2+/- こうしてBc2-Bd1-Bh5 を見せておけば、g8 ルークが分断された黒はdファイルからの侵入に対抗できませんでした。

20... Be5 21. Rxe5?!

これは上手い手に見えますが、実際には駒が捌けるほど黒のキングが安全になるため、ありがたい交換だと思っていました。

21... Qxe5 22. Bc3 Qh5 23. Bxf6 Kxf6 24. Rd1 Rf8!


Rf8-Rf7 を用意し、7段目への白ルークの侵入に備えます。

25. f3!? Rf7?!

しかしこの手は余計で、25... Bxf3 26. Rf1 Ke7 27. Qxg7+ Rf7 28. Qg8 Qe5= くらいで難しいポジションでした。g7 を捨ててf3 を取るのは勇気のいる決断です。

26. Qd3! Qe5 27. f4 Qc7 28. Qg6+ Ke7 29. Be4?!


黒の白マスビショップは消しておいたほうが安全ですが、違うアイディアで消せば白勝ちでした。29. Ba4! Bc6 30. Bxc6 Qxc6 31. f5!+- この6段目の利きは互いに見えていませんでした。

29... Bxe4 30. Qxe4 Kf6! 31. Qa8?

これは勢いはあるように見えますが、冷静になれば対処できる手です。31. Qd3!+/- ならばdファイルを抑えてまだ白にチャンスがありそうです。

31... e5?


時間が無い中、ポーンを捌くのが良いと思ってしまいました。eファイルを開けば、白キングへの反撃が容易になると思ったのです。しかしe6 の孤立ポーンは意外なほどディフェンスに役立つものでした。31... Rd7! 32. Qf8+ Rf7! この単純なルーク戻りを見ておらず、チェックされるのはまずいと勘違いしてしまいました。 33. Qe8 Re7 34. Qh8 Rd7= 白はルーク交換を避けられず、形勢は互角でした。

32. fxe5+ Qxe5 33. Qc6+! Ke7 34. Rd7+ 1-0

6段目のチェックはどうとでも対処できるだろうと思っていましたが、5段目も7段目もルークの跳び込みを食らうためにダメでした。中盤の厳しい局面を耐えて盛り返してきただけに、1つのミスで試合を崩してしまい残念です。続けて今朝のAvinash との試合です。

Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Avinash, R (IND, 2391)
Vezerkepzo GM December 2021 (4)

1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nf3 Bg7 4. g3 d5 5. Bg2 dxc4 6. Na3 c5 7. O-O O-O 8. Nxc4 Be6 9. b3!?

先日First Saturday で敗れたラインを改良して試合に臨みました。いくつかのセットアップがありますが、d4 のマスでの交換を見据え、このマスに利きを集めるのは自然なアイディアです。

9... Nc6 10. Bb2 cxd4 11. Nxd4 Nxd4 12. Qxd4


12. Bxd4 b6 13. Ne5 Bd5 14. Nc6 Bxc6 15. Bxc6 Rc8 16. Bf3 と白マスビショップを貰う変化もチェックしましたが、勝負できるアドバンテージがあるのか疑問で今回は避けました。

12... Qxd4 13. Bxd4 Nd5 14. Bxg7 Kxg7 15. Na5 Rac8 16. Nxb7 Rc2 17. Rfc1 Rfc8 18. Rxc2 Rxc2 19. Nd8 Nc3 20. Nxe6+ fxe6 21. Kf1

ここまではGM Ernst の実戦があり、調べていた手順でした。21. e3 a5! でも白にはクイーンサイドのポーンを守る上手い手段がないですし、黒のアクティブルークは1ポーン分を十分に補えると思います。Ernst の実戦では21... Kf6 22. e3 Nxa2 23. Be4 Rb2 24. Bd3 a5 25. Bc4 と白マスビショップを切り替え、白が勝ちを収めました。ではこの試合の流れと異なり、e2 をすぐに取られたらどうなるのか考えていたら実際にそうなりました。

21... Nxe2 22. Re1


ここまで10分も使わず進めてきた私は、この手に40分ほどかけました。黒はNe2-Nd4、e6-e5 とできれば理想の形で、7段目に侵入したルークも相まってチャンスがありそうです。これに対抗する方法を時間をかけて探していましたが、どうしても見つけることができず、黒が望むならドローを受け入れるラインにしました。

22... Nd4 23. Re4 Rc1+ 24. Re1 Rc2

勝負を続けるならば、24... Rc5!? とする手もあり、これならば先述のようにナイトをd4 に残す形ができそうです。しかし白もルークを追い払っている点がプラスで、形勢互角の勝負ができるでしょう。

25. Re4 Rc1+ 26. Re1 Rc2 1/2-1/2


他の試合はまだ進行中で結果が出ていないものもありますが、現時点で分かっている最新の星取りを載せておきます。

12/15 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Nitish, B (FM, IND, 2464) 1/2-1/2
12/16 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Girinath, P.D.S (IM, IND, 2335) 0-1
12/17 Ajay, K (IND, 2401) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1-0
12/18 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Avinash, R (IND, 2391) 1/2-1/2
12/19 Aditya, V P (IND, 2281) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
12/20 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Varga, Z (GM, HUN, 2387)
12/21 Pasti, A (FM, HUN, 2377) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
12/22 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Mirzoev, A (GM, AZE, 2420)
12/23 Nagy, G (GM, HUN, 2527) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)

Vezerkepzo GM December 2021 Standings

+2 Nagy
+1 Mirzoev、Ajay、Varga、Pasti
+-0 Nitish、Girinath
-1 Avinash
-2 Kojima
-3 Aditya

Follow Chess などのアプリで中継も始まりましたので、よろしければそちらもご覧ください。そろそろ今滞在最初の勝ち星が欲しいです!
試合会場はブダ側の観光名所の1つ、漁夫の砦のすぐ近くです。ブダペスト生活も長いですが、こちらには初めて足を運びました。

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