2011/05/19

Candidates Matches Final - Boris Gelfand -

現在、タタールスタン共和国の首都、カザンでCandidates Matches 2011が開催されています。これは現世界チャンピオンのViswanathan Anandへの挑戦者を決めるもので、8人いた選手は2人まで減り、決勝戦が行われている最中です。決勝の組み合わせはロシアのAlexander GrischukとイスラエルのBoris Gelfandです。

世界ランキング1位のCarlsenが参加を辞退したため、今回の本命はアルメニアのAronianとブルガリアのTopalovだと言われていました。しかし蓋を開けてみれば、その2人は初戦で姿を消し、先述の2人が決勝まで残りました。これを意外だという声は多いですが、私はGelfandが残ったことは、そう不思議でもないと考えています。今日はそんなGelfandにスポットを当て、彼がどういった人物がご紹介します。

Gelfand はイスラエルのトップGMであり、10年以上2700台をキープし続ける、世界でもトップクラスのチェスプレーヤーの一人です。20代、10代の台頭が激しいチェス界で、彼らに一歩も退かず第一線で戦い続けるベテランプレーヤーです。白ではCatalanを中心とした1.d4系、黒ではSlavやPetrofを好み、そのスタイルは、Avrukh,Postny,Roiz,Rodsteinといった、他のイスラエル代表にも大きな影響を与えています。
彼の最近の大きな活躍としては、2009年のFIDE World Cupでの優勝が挙げられるでしょう。Karjakin, Polgar, Ponomariovを破っての価値ある勝利でした。黒ではPetrofを使って徹底したドロー狙いを貫き、白で勝ちに行くことでマッチを勝ち抜いていきました。イマイチGelfandのチェスは地味で、魅力が分からないという人は是非一度、以下の試合を並べてみてください。

Karjakin,S(2723)-Gelfand,B(2758)
FIDE World Cup 2009

1. e4 e5 2. Bc4

Petrofを嫌っての判断です。しかし、これこそGelfandの思うつぼです。

2...Nf6 3. d3 Nc6 4. Nf3 Be7 5. O-O O-O 6. Bb3 d5 7. exd5 Nxd5 8. h3 a5 9. a4 Nd4 10. Nxd4 exd4 11. Re1 Ra6!!
非常に力強いルークのマヌーバリングです!これ以降も白キングを直接攻める力強いプレーが続きます。

12. Qh5 Nb4 13. Na3 Rg6 14. Bf4 b6 15. Qf3 Be6 16. Bxe6 fxe6 17. Qe4 Bd6 18. Bxd6 cxd6 19. Qxd4 Qg5 20. g3 Qf5 21. g4 h5 22. Re4 d5 23. Kh2 Qf3 24. Ree1 hxg4 25. Qe3 gxh3 26. Qxf3 Rxf3 27. Rg1 Rxf2+ 28. Kxh3 Rxg1 29. Rxg1 Nxc2 30. Nb5 Rf3+ 31. Kg4 Rxd3 32. Nd6 Ne3+ 33. Kf4 Nc4 0-1
今回のGrischukが1.d4ばかりを採用しているため、Petrofの出番はなさそうですが、その代わりにQueen's gambitでの熱い試合が続きそうです。是非皆さんも、Gelfandの活躍をチェックしてみてください。決勝の試合は、以下のサイトからチェックできます。

http://kazan2011.fide.com/live-games.html

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