2012/05/17

FS 2012 May 11th round - Crowning Glory -


ハンガリーの来て最初のFirst Saturday は、なんとか最終試合を勝って締めくくることができました。内容はさほど良かったわけではないですが、何とかレイティングも+14 で終わることができ、まずはほっとしています。次のケチケメートでのトーナメントに向け、また準備を始めたいと思います。

Kojima, S (FM, JPN, 2264) - Wang, X (CHN, 2041)
First Saturday 2012 May IM (11)

1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 c6 4. Nc3 e6 5. e3 Nbd7 6. Qc2 Bd6 7. Bd3 dxc4 8. Bxc4 b5 9. Bd3 Bb7 10. O-O O-O 11. Ng5!?



センターポーンを伸ばすよりも、e4 のマスにピースを置き、c5 のマスを抑えることをメインに考えます。

11...h6


相手はノータイムでこの手を選んできました。11...Bxh2+!? 12.Kxh2 Ng4+ 13.Kg1 Qxg5 14.f3 Nf6 15.e4 Qh4 16.Be3 と進む形は典型的なポーンサクリファイスで、白は厚いセンターとダブルビショップで、十分な代償があると考えられます。

12. Nge4 Nxe4 13. Nxe4 Be7 14. Rd1


14. Bd2 c5 $1 15. Nxc5 Nxc5 16. dxc5 Qd5 17. f3 Qxc5 18. Qxc5 Bxc5 19. Rac1 Rfd8 20. Rxc5 1/2-1/2 Eljanov,P (2761)-Aronian,L (2783)/ Plovdiv 2010 という試合があるのは知っていたので、ここで手を変えます。

14... Qb6 15. a3N



これまでの実戦をチェックすると、15.Qe2 という手も指されています。アイディアはb5 を狙い...c5 を止めることです。本譜の手は...c5 を許す代わりに、ピースの展開で勝負しようという手です。黒がすぐに...c5 を突いてこなければ、b2-b4 としてc5 のマスを抑えてしまいます。

15...c5 16. Nxc5 Nxc5 17. dxc5 Qc6!?


黒はポーンを取り返す前に、g2 のメイトスレットを作ってきました。17... Bxc5 18. b4 Be7 19. Bb2 Qc6 20. Qxc6 Bxc6 21. Rac1 Rac8+/= こう進んだ場合、センターにルークを回している白が良いのは明らかですが、ポーンストラクチャーが同じクイーンレスミドルゲームを勝ちきれるかは疑問です。

18. f3!


ビショップをf1 に退いては面白くないので、e3 を弱めても勝負にいきます。

18...Bxc5 19. b4!?



ここはどちらの方針でいくか、判断の難しいところです。ビショップをe4 でぶつければ白のピースアップじゃないのかと思った方は、もう少し注意深く読んでみてください。思わぬ落とし穴があります。

19. Bh7+ Kh8 20. Be4 Qc8 (20... Qc7 21. b4 Bxe4 22. Qxc5 Qxc5 23. bxc5 Bc6 24. Bb2+/= この異色ビショップも白が良いのは明らかですが、勝てると断言はできません。) 21. b4 (21. Bxb7?? $2 Bxe3+ 22. Bxe3 Qxc2 23. Bxa8 Rxa8-+ このクイーン落ちは黒勝ちです。) 21... f5 22. bxc5 fxe4 23. fxe4+/= このポーンアップもコンピュータは白良しの評価ですが、実戦的にはなかなか難しそうです。

19... Bb6 20. Qe2!?


勝つためにはクイーンを残します。格上が相手でドローでも良いゲームであれば、20. Qxc6 Bxc6 21. Kf2= と進めたでしょう。

20... Rfd8 21. Bb2 a6 22. Rac1 Qe8=



18手目辺りで思い描いた局面になりましたが、これはイコールでしょう。しかし、上記のクイーンを交換したポジションと違い、どちらにも形勢が転がりうるイコール局面で、ドロー局面とは全く異なります。

23. Bb1 Qe7 24. Kf1


ビショップのダイアゴナルからキングを外し、e3 を取られた際にチェックがかからないようにします。

24...e5!?



黒マスビショップのダイアゴナルをカットするのは面白いアイディアですが、代わりにe5 自体がターゲットとなり、a2-g8 のダイアゴナルが開くことには、注意が必要です。24... Rxd1+ 25. Rxd1 Bd5 が黒としては、より安全な進め方です。

25. e4!?


敵ビショップのダイアゴナルを開いてキングを危うくするのは大変勇気が要りますが、e3 自体がずっとターゲットになるより良く、クイーンをうまく使えば守りきれると判断しました。

25...Qg5 26. Ba2!


地味な手ですが、このf7 への利きが黒としては面倒です。黒はe5 を守るためのf7-f6 を封じられています。

26...Be3??



対戦相手の少女は残り時間が5分を切るまで考え、このブランダーをチョイスしてしまいました。私は早くからこの手はダメだと読んでいましたが、他に黒が良くなりそうな候補手も、なかなか思いつきませんでした。

26... Rac8? 27.Rxc8 Bxc8 (27...Rxc8?! 28.Rd7!) 28.Rxd8+ Bxd8 29.Qc2! Bd7 30.Qd3+/= ならば、白がかなり盛り返しています。

おそらくベストは26... Qh5 27. g3 Qh3+ 28. Qg2 Qh5 29. Qe2 Qh3+ 30. Qg2 Qh5=


とドローにすることだったと思います。おそらく彼女は私の不安定なキングを見て、何か自分にチャンスがあると過信したのでしょう。(私もかなり危ないと思っていました。)イコールに近い局面を、自分が良い方向に過大評価して失敗するのは、若いプレーヤーにありがちなミスです。

27. h4! Qf4 28. g3+-



飛び込んできたビショップが死んでしまいました。あとは注意深く指すだけです。

28...Qxg3 29. Qxe3 Rxd1+ 30. Rxd1 Bc8 31. Ke2 a5 32. Rg1 Qxh4 33. Bxe5 g5 34. Qb6 1-0


こうして、5勝3敗2ドローでのフィニッシュです。10戦を通して振り返った記事は、また日本時間の夜にでもアップしようと思います。まずは最初のFS お疲れ様です、私!

勝利のとんかつです。

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