2018/09/29

Batumi Olympiad R5 Japan - Luxembourg


オリンピアードの折り返し、休憩日前のラウンドはルクセンブルクとの対戦です。ここまでの5試合、オープンの相手は全てここ数回のオリンピアードで対戦経験があり、ルクセンブルクには毎回負けています。私もこれまで1敗1ドローのIM Wiedenkeller と、3回目の対戦です。

Kojima, S (IM, JPN, 2408) - Wiedenkeller, M (IM, LUX, 2464)
Batumi Olympiad (5)

1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 e6 4. Nc3 Bb4 5. Bg5 h6 6. Bxf6 Qxf6 7. e3 O-O 8. Rc1 dxc4 9. Bxc4 c5 10. O-O cxd4 11. Ne4 Qe7 12. a3 Ba5 13. Qxd4 Nc6!?



ここでカペルの最終戦の変化から外れました。13... Rd8 14. Qe5 Nc6 15. Qh5 Bd7 16. g4! は白が面白い展開だと思います。本譜はすぐにクイーン交換になりますが、白はピースの展開の早さとb7 へのプレッシャーでチャンスを作ろうとします。

14. Qc5 Bd8 15. Rfd1 Qxc5 16. Nxc5 Bf6 17. Rc2 Ne5 18. Be2 Nxf3+ 19. Bxf3 Rb8


この時点ですでに黒は十分にイコアライズできており、大きな問題はありません。異色ビショップにもなることは承知で、白はわずかなチャンスがどこでかつかめないか模索します。

20. b4 b6 21. Nd7 Bxd7 22. Rxd7 Rfc8 23. Rcc7 Rxc7 24. Rxc7 a5 25. g3 Bb2 26. bxa5 bxa5 27. a4 Ba3



異色ビショップでポーンのファイルも同じですが、7段目にすでにルークが侵入していることと、ここから始めるキングサイドのアクションで実戦的には白がわずかに有利です。

28. h4! g6 29. h5! g5


私はこのようにポーンを突き越してくるものだと思いましたが、Misha はポーンをなるべく交換するほうが黒にとっては良いので、29... Kg7 とするべきだと指摘されました。いずれにせよ黒のキングサイドのポーンストラクチャーを多少崩して勝負です。

30. Bb7 Kg7 31. Kg2 Rd8 32. Bc6 g4!?



このポーンは伸びすぎかと思いましたが、白のh5も同様です。f2のポーンや白キングを動けなくすることが、黒がポーンを押し込んだ狙いとなります。

33. Bb5 Rd5 34. Be2 Rg5


ここはポーンを守ることに固執せず、素直に取り合ってもドローだと思います。相手のhポーンが孤立することで少し良くなるかと思いましたが、勝ちに結び付けられるほどではありません。

35. Rc4 f5 36. Rc6 e5 37. Rc7+ Kh8 38. Rb7 Bb4 39. Rb5 Kg7?



私もこのポーン捨ては何事かと思いました。39... e4! 40. Bd3 Kg7 41. Bxf5 Kf6 ならば、黒はポーンを捨ててもルークを交換し、異色ビショップでドローに持ち込めます。こうしたエンドゲームでは、いかにポーンを落とさないかではなく、いかにポーンを落としてもドローのエンドゲームに持ち込めるかを考えるほうが大切です。

40. Rxe5 Kf6 41. Rb5 Bc3


Wiedenkeller はもしかすると、41... Rxh5 42. Bxg4! を見落としていたのでしょうか。白はe5 を安全に取り、ルークを残したまま1ポーンアップのエンドゲームになりました。ここから黒に待たれた場合、どのように局面を改善するかがここからの課題です。

42. Bd3 Bb4 43. Bc2 Bc3 44. Kf1 Rxh5!?



黒はここで動いてきました。黒が待ち続けた場合でも、44... Bb4 45. Ke2 Bc3 46. Rb6+ Kg7 47. e4! fxe4 48. Bxe4+/- として白は進めることが可能です。

45. e4 Bd4!?


このアイディアも何事かと思いました。少し考えて、ビショップを交換してルークエンディングに持ち込むつもりなのだと気付きましたが、それが黒にとってよりドローチャンスのある変化なのかは分かりません。ある程度読んで、aポーンの後ろにルークを回すアイディアが見えたところで、相手の誘いに乗ることにします。

46. Rxa5 Bxf2 47. Kxf2 Rh2+ 48. Ke3 Rxc2 49. Rxf5+ Kg6 50. Rd5!



黒のアイディアはg3を攻撃し、2コネクテッドパスポーンを作ることです。白はそれを防ぎつつ、ルークを自分のポーンの後ろに回せるように位置を変えます。

50... h5 51. Rd2 Rc4 52. Ra2 Rc3+ 53. Kf2 Rf3+ 54. Kg2 Re3?


この手が決定的なミスであると、相手のキャプテンとMisha は瞬時に見抜いたそうです。こうしたエンドゲームでは、駒を取りかえすよりもaポーンをなるべく早い段階でブロックすることが大切です。54... Rf6! 55. a5 Ra6 56. Kf2 Kg5! と進んだ場合、黒は次にh5-h4 からのブレイクの準備ができます。これを防ぎつつ白が局面を改善できるか、昨夜の検討では答えを見つけることができませんでした。

55. a5 Rxe4 56. a6 Re8 57. a7 Ra8 58. Ra5!



後ろからルークに支えられたパスポーンがここまで進めば、決着まであと一歩です。ここはキングを上げても良いですが、わかりやすくするために先に5段目を抑えておきます。

58... Kh6 59. Kf2 Kg6 60. Ke3 Kh6


この手は分かりやすく白が勝ちになるのでありがたかったです。代わりに黒がキングをg6 にキープしたまま、正面からのチェックをしてきたらどうなるか、ゲーム中は考えていました。60... Re8+ 61. Kd3 Rd8+ 62. Ke4 Ra8 63. Kd4 Kh6 64. Ra6+! Kg5 65. Ke4 Re8+ 66. Kd5 Ra8 67. Ra5 Kg6 68. Kc6+- こちらの変化でも、黒のh5-h4 を十分に注意しつつ、キングを上げていければ黒勝ちです。

61. Kf4 Rf8+ 62. Rf5 Rg8 63. Rf6+ Kh7 64. Ra6 1-0



最後はhポーンを取りに行って白の勝ちです。こうして、ついにWiedenkeller から初白星を挙げることができました! 前日の悔しい負けを払しょくする勝利で、前半戦を3勝1敗1ドローの2つ勝ち越しで終えています。

Open R5 Japan - Luxembourg 1-3

Kojima Shinya (IM, JPN, 2408) - Wiedenkeller, Michael (IM, LUX, 2464) 1-0
Nanjo Ryosuke (IM, JPN, 2324) - Berend, Fred (IM, LUX, 2358) 0-1
Yamada, Kohei (FM, JPN, 2128) - Linster, Philippe (LUX, 2273) 0-1
Otawa, Yuto (JPN, 2161) - Gengler, Pierre (LUX, 2205) 0-1

Women R5 Cameroon - Japan 0-4

Magne, Kouokam Sylviane (WCM, CMR, 1308) - Hoshino, Karen (WFM, JPN, 1945) 0-1
Tchouateu, Tankeu Stephanie (CMR, UR) - Sakai Azumi (JPN, 1713) 0-1
Danwe Mais, Siri Carole (CMR, UR) - Kojima Natsumi (WCM, JPN, 1655) 0-1
Youwou Pedhom, Grace Christie (CMR, UR) - Hoshino, Meilin (JPN, 1533) 0-1


しかし、チーム自体は私以外の3人が負けてしまい、またしてもルクセンブルクには敗北です。また次回のオリンピアードで、リベンジできると良いですね。一方で女子はカメルーンを全く寄せ付けず、4-0のストレート勝利でした。マッチ自体はこれで、オープン女子ともに2勝3敗で前半戦を終えています。

続く後半戦のスタート、6Rはオープンがスリナム、女子がトリニダード・トバゴとの対戦です。どちらも勝って気持ちよく後半戦のスタートを切りたいですね。ちなみに今日は休憩日で試合はありません。日本チームはホテルに残って運動やチェスをするメンバー、外に観光に行ったメンバーなど様々です。私がどのように休憩日を過ごしたかは、また翌日の記事でお知らせしようともいます。オリンピアード後半戦も、日本チームの応援よろしくお願い致します。

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