すでに2週間前の出来事ですが、コトル滞在について今夜は記事を書こうと思います。私がこの2か月、試合で訪れているモンテネグロは、アドリア海に面する小さな国で、日本人にはさほど馴染みが無いと思います。首都のポドゴリツァという地名も、聞いたことのない人が多いのではないでしょうか。そんなモンテネグロには小さいながらも、ポドゴリツァより人気があるといっても過言ではない観光地があります。それがモンテネグロの中央付近に位置するコトルです。
私がコトルを訪れた際は、ブダペストからバスでウィーン空港へ。ウィーンからポドゴリツァに飛び、そこからタクシーで市内のバス停へ向かい、さらにバスでコトルへというルートでした。観光客の多くはこのポドゴリツァ経由ではないく、クロアチアのドゥブロブニクからバスで訪れます。私はブダペストからの長距離バス停、ネプリゲットを初めて訪れました。
ポドゴリツァは一国の首都とも関わらず、とても小さな空港でした。空港からはバスが無く、7km 先のバス停までタクシーを使うしかありません。タクシー乗り場に表記がありましたが、料金は一律12ユーロ。10分しか乗らないのに高いです... この2時間乗るコトルへのバスは、この半額近い7ユーロでした。
コトルに到着したのは夜だったので、翌日から行動開始です。コトル観光のメインであり、一番の醍醐味と言えば、この山を登ることです。2つある入り口のどちらかで8ユーロを払うのでだと、宿泊したホステルで説明を受け、まずは旧市街に入ります。
ピレ門ほど立派ではなく、観光客が押し寄せているわけではないですが、こうして城壁で旧市街が囲まれている構造は、ドゥブロブニクとよく似ています。私は南側の入り口から中に入りました。
朝10時半のコトルは、教会前の広場でもまだ人はまばらです。山を登るのにふさわしく、快晴だったのもラッキーでした。
登り始めだと、この地域でよく見るオレンジ屋根もまだ近い位置にあります。段々と高度が上がるにつれ、この形式も変化していきます。
こうした石段を、ひたすら山頂に向けて登り続けます。見ての通り狭いので、降りてきた人と石段を譲りあわないといけない時もあります。石段以外の石の道を歩いても良いのですが、長く歩いていると足が痛くなります。
5分程上がると、オレンジ屋根の奥にコトル湾が見えるようになりました。これは良いペースで行けるかなとも思いましたが、朝ご飯抜きで装備は水だけ、しかも運動不足ということもあり、すぐにばてます。休憩を挟みながら、無理のないペースで進んでいきます。
20分程上がったところには、小さな教会があり、お土産や飲み物が売っていました。どこの山でもそうですが、こうした場所まで商品を運ぶのは大変そうですね。地図で確認する限り、頂上の砦はまだまだ先です。ここからも無心で登り続けます。
コトルは猫が有名で、町中だけでなく山の上にも猫がいます。人間と同じように、石段を上がってきたのでしょうか?
50分かけて頂上付近までくると、コトル湾の形もはっきりわかるようになります。この景色を見るために、コトルを訪れた観光客はひたすら石段を上るわけです。一緒にきたメンバーは言葉を交わさずとも、ともに同じ課題に挑んできた仲間意識のようなものが芽生えると思います。ちなみに私は途中で、ヨーロッパに留学中だという日本の男子大学生2人とたまたま出会い、ここまで上がってきました。
頂上にあるのは砦と言うよりも、崩れた砦跡と呼ぶほうが正確ですね。ここで少し休憩を取り、続きをどうするか考えます。1つは同じ道を辿って旧市街まで降りる。もう1つは途中で合流する別の道に出て、旧市街のはずれに降りる。最後は別の道に出て、さらに高い位置を目指すです。ひとまず別の道との合流地点を目指すことにします。
しかし、その合流地点がどこかよく分かりません。地図アプリで目星をつけた辺りを探しても見つからず、途方にくれていたところ、見つけたのがこれ。道の合流地点じゃなくて、ただ壁に空いた穴じゃん!
穴をくぐった先も石が転がる道なき道。ただしここで合ってますよといわんばかりに、赤い目印がついています。おっかなびっくりここを進むと、その先の広場でピクニックをしていたロシア人家族から、熱いお茶と今年のワールドカップの記念メダルを貰うことができました。彼らにも穴をくぐったのか聞いてみましたが、そうではなく、下から別ルートで上がってきたとのことです。普通くぐらないですよね...
さらに先の広場に動物らしき影が見える。でも全然動かないから、藪かなにかだろうなと思って近づくと、この通りロバでした。野生ということもないでしょうし、誰がどこから連れてきたのでしょうか。猫以上の謎です。
ロバ発見以降、進むか降りるか大学生たちと相談し、彼らの時間の都合で私も降りることにしました。ロシア人家族が上がってきたというこのくねくね道を、逆に降りてコトルの町を目指します。後でホステルの人の話を思い出したのですが、このくねくね道は石段ルートよりも時間かかる代わりに、通行料がかからずにタダで山頂を目指すことがです。
ロバの広場から40分ほどで麓までは降りることができ、大学生たちとは解散しました。この後は少しホステルでゆっくりし、昼食には前夜にも利用したグリルのお店へ。コトルは魚も出す店もあるようですが、10月からモンテネグロでは肉ばかり食べていました。
コトルのお土産屋にも、チェスセットコーナーがありました。モンテネグロでもチェスはポピュラーだよと、店員さんが教えてくれました。元はソ連と並ぶ世界最強クラスのチェス国家、ユーゴスラビアですものね。それも当然です。
猫の町、コトルでは猫関連のお土産もたくさん並んでいます。私も小さなものですが、1つお土産を購入しました。
そろそろこの記事も締めくくりにしようと思います。私としては、10月末に訪れたクロアチアのドゥブロブニクよりも、コトルのほうがお気に入りの町になりました。私が感じたコトルの良いところは、以下の通りです。
・物価がドゥブロブニクよりも、はるかに安い
・小さいので、1日もあれば十分に町を見て回れる
・基本的に山登りしかやることがないが、他の観光客と同じことをする一体感があり、それが楽しい
また年内にコトルは行く機会があると思いますので、その際は11月に逃がした山頂の眺めの良いカフェを訪れてみるつもりです。コトルへはドゥブロブニクからの日帰りツアーもあるので、こちらを訪れる人は2つの町を両方行って、どちらがお気に入りになるか比べててみても面白いと思いますよ。