2018/11/24

Third Saturday GM November 2018 R7


ハンガリーよりモンテネグロのほうが調子が良い理由を色々考えてみましたが、遅く寝ても朝は8時台に起きて、朝食を欠かさずとっていることは挙げられるかもしれません。最近は生ハムが出るようになって嬉しいです。これにハム、チーズ入りのオムレツをいつも食べて試合の準備に臨んでいます。

ペアリングが決まった際、一番きついと思われていたGM 3連戦は、意外なことに初戦、2戦目を勝つことができました。この勢いで3試合目のDrasko戦も勝つことができれば、2敗した時点で風前の灯火だったノーム獲得のチャンスが復活します。色々と考え、新しいセットアップで勝負に挑みました。

Drasko, M (GM, MNE, 2434) - Kojima, S (IM, JPN, 2432)
Third Saturday GM November 2018 (7)

1. Nf3 d5 2. g3 Nc6!?



King's Indian Attack の新しい対策として、この2... Nc6 を用意してきました。1. e4 e5 プレーヤーにとっては自然に受け入れられるc7 のポーンとc6 のナイトの組み合わせも、Caro-Kann, Slav を長く指し続けている私にとっては、違和感を強く感じます。しかし、白がd2-d4 と突かなければ、3... e5 からReversed Pirc に、突けば本譜のような流れになるのは分かりやすいと、ゲームを調べていて思いました。

3. d4 Bf5


3... Bg4 のラインも調べましたが、Drasko がドローにしかならないラインを白で指しており、今回のゲームでの投入は諦めました。別の機会では指すかもしれません。

4. Bg2 Nb4 5. Na3 c6 6. O-O Nf6



Nb4-Nc6 と戻るセットアップもありえますが、私はやはりc6 にポーンがあるほうが安心です。お互いに端に出たナイトをどう活用するかがゲームのポイントとなります。

7. c3 Na6 8. Nc2 h6 9. Nce1!?


私自身、黒でNa6-Nc7-Ne8-Nd6 のマヌーバリングをタイミングによっては考えていたので、白がこれを選んだことも理解できます。ただし手数をこのナイトにかけてくれるようであれば、黒としてはありがたいという面もあります。

9... e6 10. Qb3 Qb6 11. Bf4 Be7 12. Nd3 O-O 13. Nfe5 Rfd8 14. Rfe1 Rac8 15. Rac1 Ne8!



以前、Fianchetto Grunfeld を調べていた際に、a6 にナイトがある局面で、もう1つのナイトをe8 に退く組み合わせがあったことを思い出しました。アイディアはd6 への組み直しと、c7 のマスをカバーすることです。ここではさらに白のe2-e4 を誘っています。

16. e4?!


Drasko は私の狙いに見事に引っ掛かりました。このポーンブレイクは、黒がe4 のコントロールを減らしたので成立しますが、先まで読むと黒に分があることがわかります。さらにCaro-Kann プレーヤーの私としては、e4 とd5 のポーンを交換するCaro-Kann のポーンストラクチャーは願ったりかなったりです。

16... Qxb3! 17. axb3 Bxe4 18. Bxe4 dxe4 19. Rxe4 c5?!



白マスビショップが消えれば、h1-a8 のダイアゴナルの脅威が消え、このcポーンのブレイクが容易になるのは間違いありません。しかし、ここはもう1つの手を挟んでおくのが正確な手順でした。19... g5! 20. Bd2 (20. Be3?? Nf6!-+) 20... c5! 21. Nf3 Nd6! 22. Re2 cxd4 23. Nxd4 Bf6 24. Nc2 Nf5 25. Nce1 Nc5 26. Nxc5 Rxc5=/+ これで次にdファイルにルークを重ねれば、黒が指しやすいことは明らかでしょう。g7-g5 はもう少し掘り下げて効果を考えるべきでした。

20. Nf3?!


20. dxc5 Nxc5 21. Nxc5 Bxc5= 相手にダブルポーンがある分、黒はなんら不満のない局面ですが、アドバンテージがあるかと言われれば疑問です。

20... Nf6?!


ここが20... g5! と突く最後のチャンスでした。

21. Re2 cxd4 22. Nxd4 Nc5 23. Nxc5 Bxc5 24. Nf3 Nd5 25. Bd2 a6



黒はとても満足なポジションですが、これを勝ちにいくのは相当大変です。色々と試してみますが、Drasko はとても手堅く進めてきます。

26. Kg2 Be7 27. Rce1 Nb6 28. Be3 Nd5 29. Bd4 Kf8 30. Re4 Nf6 31. R4e2 Nd7 32. b4


Nd7-Nc5 を防ぐこのbポーン突きは、c4 のマスを空けるために弱みもあるかと思いましたが、黒にはそれをあまり利用する手段がありません。

32... Bf6 33. Bxf6 Nxf6 34. Nd2 Rd3 35. Nb3 Nd7



白のNb3-Nc5 の侵入を防ぎ、これでお互いにあまり手が無くなります。

36. Re4 Rc7 37. R1e2 Rd6 38. Nd4 Nf6 39. Re5 Nd7 40. R5e4 Nf6 41. Re5 Nd7 42. R5e4 Nf6 1/2-1/2


ノームチャンスのためにとことん戦うことも考えましたが、全く白を崩せるイメージが持てず、ここでドローにしました。5つ勝ち越しのノーム達成条件は今月もクリアできませんでしたが、GM トーナメントでGM に1敗もせず、2.5/3 で乗り切ったのは今回が初めてのことです。残り2戦の結果にかかわらず、これを今大会の1つの収穫にしたいと思います。

11/17 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Akshat, K (IM, IND, 2399) 1-0
11/18 14:30 Srinath, R (FM, IND, 2357) - Kojima, S (IM, JPN, 2432) 1-0
11/19 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Audi, A (FM, IND, 2347) 1-0
11/20 14:30 Nikolic, N (MNE, 2326) - Kojima, S (IM, JPN, 2432) 1-0
11/21 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Pikula, D (GM, SRB, 2485) 1-0
11/22 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Nikcevic, N (GM, MNE, 2429) 1-0
11/23 14:30 Drasko, M (GM, MNE, 2434) - Kojima, S (IM, JPN, 2432) 1/2-1/2
11/24 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Der Manuelian, H (USA, 2271)
11/25 09:30 Plenkovic, Z (IM, SRB, 2398) - Kojima, S (IM, JPN, 2432)

Third Saturday GM November 2018

+3 Pikula, Srinath
+2 Drasko, Kojima, Nikcevic
-1 Akshat, Nikolic
-3 Plenkovic, Audi
-4 Der Manuelian

残りの2戦は下位に沈んでいるDer Manuelian とPlenkovic が相手です。ノームが消えても勝ちを目指して戦うことには変わりませんので、残り2試合、良いプレーで結果も出せるように頑張ります!

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