昨日は青嶋くんと2人でトレーニングをしてきました。これまで羽生さんや中村くんを交えて、3人でのトレーニングの機会はありましたが、2人だけは4年以上の付き合いで初めてです。考えてみるとちょっと意外ですね。青嶋くんとのトレーニングは、全日本の閉会式後に話をして、今後お互いに上を目指すために必要だと考えました。午前中から早速、25/10 でゲームを始めます。
Aoshima, M (FM, JPN, 2313) - Kojima, S (IM, JPN, 2395)
Training (1)
1. d4 d5 2. Nf3 Nf6 3. c4 c6 4. Nc3 a6 5. Qc2 g6 6. e3 Bg7 7. Bd3 O-O 8. O-O Bg4 9. Ne5 Be6 10. b3 c5 11. cxd5
Training (1)
手順の入りは違いましたが、この変化は去年の全日本での大多和くんとの試合と同じです。その時は11. Ne2 としてd4 を守りましたが、青嶋くんが指したようにピース交換を進めるのが、ポピュラーなアイディアだと思います。
11... Nxd5 12. Nxd5 Bxd5 13. Qxc5 Bxe5 14. dxe5 Bxg2
Avrukh の本で研究していたラインで、実際に知らないでこの変化に跳びこむのは白は嫌かもしれません。私自身もブリッツで一度経験があるくらいで、セオリーはかなりうろ覚えでした。
15. Rd1!
15. Kxg2 Qxd3 16. Qxe7 Nc6 17. Qxb7 Rfc8!? がトルコのGM Atalik が指したゲームの流れです。この変化は黒に危険がなく、ドローのラインがいくつか研究されています。
15... Nd7 16. Qd4 Bf3 17. Rd2 Rc8!?
本譜の流れを防ぐために17... e6!? もありますが、ルークを早めにcファイルに回す手は、c1 のビショップを取りにいく狙いが生まれるため、より面白みがあるように見えます。
18. e6!
私にとってはうろ覚えながら研究手順ですが、青嶋くんはよく初見のポジションでこの手を見つけるなと驚きました。黒には次にNd7-Nc5 や、Qd8-Qa5 といった手があるため、黒マスを開いて積極的に仕掛けるのが白のベストです。
18... Nf6 19. exf7+ Kg7 20. Qf4 Be4!
この手が成立するのが、早めのRa8-Rc8 のポイントです。
21. Bb2!?
21. Bxe4 Rxc1+ 22. Rxc1 Qxd2 23. Rc2 Qd1+ 24. Kg2 Rxf7= これでイコールというのが本に載っているラインでした。本譜では黒マスビショップを残し、g7 の黒キングへのプレッシャーを残しておきます。
21... Bxd3 22. Rad1 Qa5 23. Rxd3 Qxa2
f7 はどうせ取れるはずだと、クイーンを早めに避けて別のポーンをいただいておきます。
24. Qe5?!
ビショップを避ける手では遅いと青嶋くんは判断し、私も試合後に同意しました。しかし、この手が実際には緩手で黒にチャンスが生まれます。24. Be5!? Rxf7 25. Qb4! でb7 を狙ってまだ形勢不明です。
24... Rc2! 25. R3d2 Rxd2
指した直後、25... Qxb3 のほうが安全だったかとも思いました。実際に、26. Rxc2 Qxc2 27. Rd7 Rxf7 28. Rxe7 Qd1+ くらいしか白にも手が無く、この変化はドローです。しかし、本譜は十分に黒が勝ちを狙えます。
26. Rxd2 Qb1+ 27. Kg2 Rxf7
27... Kxf7! が指されてみると実は白の困る手で、危なく見える黒キングには実のところチェックがかかりません! ナイトのピンも外れれば、すぐにRd2-Rd7 もこないため、e7 も危険ではありませんでした。
28. Rd7 1-0
ここで迷った瞬間、私の時間が落ちました。落ちる直前、指そうとしていた手は28... Kg8? なので、これだとf6 のナイトが動けないままで、黒はb7 を取られて少し悪い形勢だったでしょう。しかし、検討で見つけたキングの上がる手が正解でした。28... Kh6! これでナイトが動けるようになるため、次のNf6-Ng4 が意外なほど強力なスレットになります。Qb1-Qe4+ がクイーン強制交換の安全策になるのもポイントです。29. f4! Qc2+ 30. Kg3 Nh5+ 31. Kf3 Qc6+ 32. Qd5 Qxd5+ 33. Rxd5 ならば、白は1ポーンダウンながらドローを十分目指せるポジションでしょう。b3 のポーンを取るか、自分からルーク交換に応じるかで迷い、時間を消費してしまって勿体ない時間落ちでしたが、指してみたいラインでしたし、色々と勉強になりました。
昼食後は私が白番で勝ち。この日の対局は1勝1敗でした。そして試合の合間には私の手持ちの本から、エンドゲームのポジションを研究します。トップの写真はこちらのポジションで、Endgame Manual にも、Endgame Challenge にも掲載されている、Kaparian の有名な局面です。青嶋くんはチェスの勉強に本を使っていないということで、今後はこうして2人で本のポジションを考えてアイディアを出し合うのも良いかなと思っています。私は主に知識と経験で、彼は読みの力で解こうとするので、互いに足りない部分を補い合い、吸収していきたいですね。青嶋くんとのトレーニングは、今後も時間を見つけて続けていきたいと思います。
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