昨日はいつもトラムで通過するセナ広場の近くに、ミレナーリシュという大きな公園があることに気づきました。最近のブダペストは30度を下回る涼しい日もありますが、この日はかなりの陽気で、カフェのテラス席は冷たい飲み物を飲むお客さんでにぎわっていました。
First Saturday後半戦はインドネシアのIM Setyakiとの試合からです。インドネシアのプレーヤーは今大会、GM,IM,レイティング各クラスに団体で参加しており、10年前にこのブダペストでしのぎを削り合ったIM Seanとも再会しています。この日対戦するSetyakiはSeanらとともに、強豪ひしめくインドネシアの中でオリンピアード代表に入るレベルのプレーヤーです。
Kojima, S (IM, JPN, 2308) - Setyaki, A (IM, INA, 2401)
First Saturday August 2023 GM (6)
1. Nf3 d5 2. d4 e6 3. c4 c5 4. cxd5 exd5 5. Bg5!?
チェコ同様Semi-Tarraschでも良かったのですが、新しい変化を試してみることにします。
5... Nf6 6. Nc3 Be6 7. e3
7. e4 Be7 が良い手だと覚えており、白がさほどアドバンテージを取れないので本譜のようにゆっくり組むことにします。Bc1-Bg5を避けるためにNb8-Nc6から指すのがTarraschで長く信じられてきたセオリーですが、近年の研究ではBc1-Bg5を受けても良いと分かってきており、オープニングセオリーの変化を感じます。
7... c4 8. Be2 Bb4 9. Nd2
黒がBf8-Bb4としたことで、QGD Ragozinのような形になりました。ひとまずここまでは満足で、ナイトをe4のマスの受けに使うか、Nf3-Ne5と使うかで悩み、前者を選択しました。
9... Nbd7 10. O-O Qa5 11. Qc2 O-O 12. Bf3 Rfe8 13. Bh4 Rac8 14. a3 Be7 15. Bg3 b5 16. e4
ここでd4を孤立ポーンにしても、アクティブに指すためにセンターから仕掛けます。
16... dxe4 17. Ndxe4 Qb6 18. Ng5 Nf8 19. d5!?
このゲームでは白が早くパスポーンを作りましたが、これが強いのか弱いのか、黒のクイーンサイドのマジョリティが生むパスポーンの早さはどれくらいか、全く分からずゲームを進めました。d5-d6と早めに押す判断もありそうですが、現状ではc6,e6の2マスを抑えていることに価値がありそうです。
19... Bd7 20. Rad1 Bd6 21. Nge4 Nxe4 22. Nxe4 Bxg3 23. Nxg3
最初はhポーンで取るつもりでしたが、Ng3-Nf5の含みを持たせるのが面白いアイディアではないかと考えを変えました。
23... a5 24. Rfe1?!
ここで一番働いていないピースを交換しましたが、少し違ったようです。
24. Qd2 b4 25. axb4 axb4 26. Rc1!? は私に無かったアイディアで、cポーンを受けつつ、Rf1-Rd1とルークを入れ替えるのが安全策でした。
24... Rxe1+ 25. Rxe1 b4 26. axb4 axb4 27. Be4
将来的にc2のマスを受けられるようビショップのダイアゴナルを切り替えます。
27... g6 28. Nf1 Bb5 29. Ne3 Nd7 30. Rd1 Qd6?!
dポーンを一度止めておくのは自然に見えますが、ここは
30... Nc5! 31. Bf3 c3! が厳しいアイディアで、ナイトのサポートによりBb5-Ba4が狙いになっています。
31. Qd2 f5 32. Bb1 Nf6 33. g3?!
次にf5-f4からナイトをどかされるとc2の受け、d5の守りのどちらも面倒になると思い、バックランクを守る狙いもかねてgポーンを突きましたが、これが不正確でした。読んだものの踏み込めなかったのはビショップを捨てる変化で、
33. Bxf5!? gxf5 (33... c3 34. bxc3 bxc3 35. Qe1! gxf5 36. Nxf5 Qd7 37. Ne7+ Kg7 38. Nxc8 Qxc8 c4-c3にはクイーンを退く位置を工夫すれば、e7に利きができることを試合中見落としました)
34. Nxf5 Qf8 35. d6 この局面は2ポーンピースではありますが、黒も白のパスポーンと守りの薄い自分のキングを気にしなければならず、難しい形勢のようです。
33... f4! 34. gxf4 Qxf4
34... Nh5! 35. f5 c3 36. bxc3 bxc3 37. Qd4 Nf4!-/+ ナイトでゆっくり取り返す手も考えていましたが、c4-c3の際にe2に利きができるのを見落としていました。
35. Qd4!
最初はbポーンが落ちるのでf5-f4はやりすぎだと思いましたが、
35. Qxb4?? Ng4!-+ がありました。白がキングを守るにはクイーンをぶつける1手です。
35... Qf3 36. Rd2
36. Bf5! Bd7 37. Ng4 Bxf5 38. Nxf6+ Kf8 39. Nxh7+ Kg8 40. Ng5= このビショップの踏み込みからナイトでのぎりぎりのディフェンスは難しいでしょう。
36... c3 37. bxc3 Rxc3 38. Bc2 Nh5 39. Qg4??
あと2手で時間が増える38手目で間違え、ゲームは終わりを迎えました。残り1秒まで考えましたが、Nh5-Nf4-Nh3#に対する正しい受けが分かりませんでした。
39. Bd1! Rc1 40. Ra2!
Analysis Diagram
ビショップを退く手は当然考えたのですが、ルークに潜り込まれて危険が増すだけだと切り捨ててしまいました。自身のキングを守るのではなく、2段目を開き、aファイルから積極的に反撃するのが白のベストチャンスでした。
40... Nf4 41. Ra8+ Be8! (41... Kf7?? 42. Qa7+ Kf6 43. Rf8+ Kg5 44. Qe7+ Kh6 45. Qh4+ Kg7 46. Qf6+ Kh6 47. Nf5+ Kh5 48. Qh4# なんとキングが単に逃げる手にはぴったりメイトです)
42. Rxe8+ Kf7 43. Re7+! こうしてルークのただ捨ては、今年の全日本選手権の青嶋くんの試合で目にしました。
43... Kxe7 44. Qg7+ Ke8 45. Qg8+ Kd7 46. Qf7+ Kd6 47. Qf8+= 黒キングは逃げきれず、ドローになります。
39... Rxe3! 40. Qxf3 Re1+ 0-1
ピースが落ちたかと思いきや、ぴったりメイトでした。
08/06 15:00 R2 Kojima, S (IM, JPN, 2308) - Mirzoev, A (GM, AZE, 2417) 0-1
08/07 15:00 R3 Munkhdalai, A (FM, MGL, 2437) - Kojima, S (IM, JPN, 2308) 1-0
08/08 15:00 R4 Kojima, S (IM, JPN, 2308) - Aveskulov, V (GM, UKR, 2470) 0-1
08/09 15:00 R5 Arhan, C A (FM, IND, 2341) - Kojima, S (IM, JPN, 2308) 1-0
08/10 15:00 R1 Levine, J (FM, USA, 2371) - Kojima, S (IM, JPN, 2308) 1/2-1/2
08/11 15:00 R6 Kojima, S (IM, JPN, 2308) - Setyaki, A (IM, INA, 2401) 0-1
08/12 15:00 R7 Neverov, V (GM, UKR, 2405) - Kojima, S (IM, JPN, 2308)
08/13 Rest Day
08/14 15:00 R8 Kojima, S (IM, JPN, 2308) - Samunenkov (IM, UKR, 2515)
08/15 15:00 R9 Dudin, G (IM, HUN, 2537) - Kojima, S (IM, JPN, 2308)
First Saturday August 2023 GM Standings
ミレナーリシュの入口では、落ちてくる水が絵や文字の形を描いていました。こちらはBEL-BUDAと書いてあるようです。国会議事堂の絵もありました。