2023/08/02

SixDays July-August 2023 GM B R2, R3

今回の試合会場であるハンガリーチェス連盟の壁には、オリンピアードでのハンガリー栄光の歴史が綴られています。1978年ブエノスアイレスオリンピアード優勝メンバーの1人、Andras Adorjan は今年亡くなってしまい、少し寂しいです。もしチャンスがあればハンガリー代表としてオリンピアード最多出場の記録を持つ、Lajos Portisch に会ってみたいですね。

今日からは1日2試合が続きます。この日の午前は黒番を持ち、新しいCaro-Kann の変化でアメリカのFM相手にドローを取りました。続く午後のラウンドでは、午前にGM Horvath Adam を破った、15歳のFM Levine Joseph との対戦を迎えます。

Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Levine, J (FM, USA, 2356)
SixDays July-August 2023 GM B (3)

1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 e6 4. Nc3 dxc4 5. e3!?

Queen's Gambit Vienna Variation はこの遠征中どこかで指されると思い、自分の納得いく変化を模索していました。以前の遠征で指していた5. e4 から手を変えます。

5... a6 6. Bxc4 b5 7. Bb3 Bb7 8. O-O c5 9. e4 cxd4 10. Nxd4 Nbd7 11. Be3!?


互いの駒組みは白にcポーン、黒にdポーンのないSozin Attack のようです。10手目で黒がナイトを低く展開してきた際は、e4のギャンビットも見据えて本譜のビショップの出る手を準備していました。相手はこの私の誘いに乗ってきます。

11... b4? 12. Na4 Nxe4 13. Qh5!

白は大事なe4ポーンを捨てましたが、代わりに展開の早さとe6を集中的に狙う作戦で戦います。f6からナイトが離れたことでh5に出られたクイーンは、g7-g6を誘いつつ、h3からe6を見据えます。

13... g6 14. Qh3 Nec5 15. Nxc5 Nxc5 16. Rad1! Nxb3?


ここが勝負のポイントだとゲーム中は感じていました。16... Qe7 17. Nxe6! fxe6 18. Bxc5 Qxc5 19. Qxe6+ Qe7 20. Ba4+ はすぐにメイトです。一番難しいのは16... Qf6 17. Rfe1! Rd8 18. Qg3! Be7 19. Nxe6! Nxe6 20. Rxd8+ Bxd8 21. Bc5!+- と進む変化でしょうか。いずれも白勝勢なのですが、本譜は私にとって分かりやすく、ありがたかったです。

17. Nxe6!+-

狙い通りにe6を突破して勝ちです。クイーンの避け場によっては、f8のビショップを取る手がポイントとなります。

17... Qc8


17... Qe7 18. Nxf8! Kxf8 19. Bh6+ Kg8 20. Rfe1+- h6でのチェックが入ればマテリアルですぐ差がつかずとも、h8のルークが取り残されてしまい、黒は勝負できません。このようなh6-f8ダイアゴナルや、a1-h8ダイアゴナルを利用してルークやキングを攻める筋を作れるのが、g7-g6を誘ったメリットとなります。

18. Rd8+ Qxd8 19. Nxd8 Rxd8 20. axb3

本譜でも悪くありませんが、ここはナイトを取る前に20. Re1! とする手がより厳しかったでしょう。いずれにせよクイーンを取れて一安心ですが、チェコではクイーンを取ってから負けることもあったので、慎重にゲームを続けます。

20... Bc8 21. Qf3 Be7 22. Bh6 Rg8 23. Re1 g5 24. Qe4


h7を取る本譜も白勝ちですが、24. Qh5!? Rg6 (24... Be6 25. Rxe6! なんとd1は抑えており、バックランクの反撃はありません) 25. Bxg5+- とg5を取る作戦もあることは気づきませんでした。

24... Be6 25. Qxh7 Rg6 26. Qh8+ Kd7 27. Rd1+ Kc7 28. Rxd8 Bxd8

ルークを交換し、黒の反撃を制限します。g6のルークで反撃を作るには、まだ時間がかかるでしょう。

29. Qe5+ Kd7 30. Bf8 a5


これはポーンが2つとも落ちるため、ありがたいと感じました。

31. Qb5+ Kc7 32. Qxa5+ Kc8 33. Qc5+ Kb7 34. Qxb4+ Kc7 35. Qd6+ Kc8 36. Qc6+ Kb8 37. Bd6+ Ka7 38. Qe8 Bb6 39. Qb8+ Ka6 40. Qa8+ 1-0

最後は40... Kb5 41. Qa4# のメイトか、40... Ba7 41. Bc5 でビショップが落ちるかのどちらかであるため、ここで黒はリザインしました。チェコでは当たることすらなかった格上のプレーヤー相手に白星を挙げることができ、少し安心しました。

7/31 16:00 R1 Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Ngo, B (FM, USA, 2345) 1/2-1/2
8/01 10:00 R2 Chandran, K (FM, USA, 2333) - Kojima, S (IM, JPN, 2335) 1/2-1/2
8/01 16:00 R3 Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Levine, J (FM, USA, 2356) 1-0
8/02 10:00 R4 Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Mirzoev, A (GM, AZE, 2395)
8/02 16:00 R5 Plat, V (GM, CZE, 2516) - Kojima, S (IM, JPN, 2335)
8/03 16:00 R6 Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Liu, E (CM, USA, 2327)
8/04 10:00 R7 Horvath, A (GM, HUN, 2369) - Kojima, S (IM, JPN, 2335)
8/04 16:00 R8 Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Fromm, M (FM, GER, 2457)
8/05 09:00 R9 Pribelszky, B (FM, HUN, 2402) - Kojima, S (IM, JPN, 2335)

SixDays July-August 2023 GM B Standings

今日は最もハードなGMとの連戦です。ポイントを落とさぬよう、食らいついてこようと思います。

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