1か月近い今回の遠征もようやく終わりが見えてきました。First Saturday 7RはウクライナのGM Neverovです。50歳を超えてレイティングは落としていますが、20年近く前には2500後半の実力を持っていたプレーヤーで、現在もGMトーナメントでコンスタントな戦績を残しています。オープニングはd4系かと思いきや、今大会では1. b3も試しており、準備に苦労しながら試合に臨みました。
メインはClassical Slavを用意していましたが、このd2-d4を遅らせる手順からであれば、Semi-Slavにもなりうると思っていました。この変化は前回のハンガリー遠征でも、GM Nagyと指しています。
白のルークの位置にあわせてルークの位置を決め、h7-h6のような得になるであろう手も入れておいてから、重要なセンターブレイクに踏み切ります。13... Bb4!? 14. a3 Bxc3 15. Bxc3 c5 も面白いアイディアで、黒マスビショップをを諦めてもc3のナイトを消し、d5へのプレッシャー、e4のコントロールを弱めてからセンターブレイクを仕掛けます。
この数手の進め方で黒が問題無いことを確認するのに数十分を要しました。前日のSetyaki戦と似ており、白がdファイルにパスポーン、黒がクイーンサイドにポーンマジョリティを持つ展開となります。
24... c3? 25. Bxc3 Qxc3 26. Rc2+- は上手くいかないため、c4-c3の押し込みはもう少しチャンスを待ちます。
勝負のために揺さぶりをかけますが、c4を取られた際にどうするのか、もう少し具体的に読んでから指すべきでした。28... Nxc3 29. Qxc3 g6 30. Nxc4 Qb5 31. Nd6 Qxd5+ 32. Rxd5 Rxc3 33. Ne4= は本譜と似ており、おそらくドローでしょう。
全く読んでいない手だったので非常に焦りましたが、ぎりぎりまで考えてポーンを取り返す方法を見つけました。検討でNeverovが指摘した手の中に、白勝ちになる手が隠れていました。30. Ne5! Qb5 (30... Qe8 31. Nc6! Rxc6 32. Qxa4!+- この手をNeverovは見落としたようで、ナイトの跳びこみを諦めたそうです) 31. Nxf7!!Analysis Diagram
検討では十分黒が守り切れると思っていましたが、その先がありました。31... Rxc3 32. Qg6 Qd7 33. Nxh6+ Kf8 34. Qh7!+- このクイーンの潜り込みからg7まで落とせば、黒のキングは丸裸で白の勝勢でした。
d5に当て続けつつ、ナイトを攻撃するこの手でポーンを取り返せると確信し、一安心しました。
08/06 15:00 R2 Kojima, S (IM, JPN, 2308) - Mirzoev, A (GM, AZE, 2417) 0-1
08/07 15:00 R3 Munkhdalai, A (FM, MGL, 2437) - Kojima, S (IM, JPN, 2308) 1-0
08/08 15:00 R4 Kojima, S (IM, JPN, 2308) - Aveskulov, V (GM, UKR, 2470) 0-1
08/09 15:00 R5 Arhan, C A (FM, IND, 2341) - Kojima, S (IM, JPN, 2308) 1-0
08/10 15:00 R1 Levine, J (FM, USA, 2371) - Kojima, S (IM, JPN, 2308) 1/2-1/2
08/11 15:00 R6 Kojima, S (IM, JPN, 2308) - Setyaki, A (IM, INA, 2401) 0-1
08/12 15:00 R7 Neverov, V (GM, UKR, 2405) - Kojima, S (IM, JPN, 2308) 1/2-1/2
08/13 Rest Day
08/14 15:00 R8 Kojima, S (IM, JPN, 2308) - Samunenkov (IM, UKR, 2515)
08/15 15:00 R9 Dudin, G (IM, HUN, 2537) - Kojima, S (IM, JPN, 2308)
First Saturday August 2023 GM Standings
10年以上前にはまったマグナムアイスは日本で見かけない高級ブランドです。これ1つで缶ビール3本分くらいの値段がします。
Neverov, V (GM, UKR, 2405) - Kojima, S (IM, JPN, 2308)
First Saturday August 2023 GM (7)
1. c4 c6 2. Nf3 d5 3. e3 Nf6 4. Nc3 e6 5. b3 Bd6 6. Bb2 O-O 7. d4 Nbd7 8. Be2 b6 9. O-O Bb7
メインはClassical Slavを用意していましたが、このd2-d4を遅らせる手順からであれば、Semi-Slavにもなりうると思っていました。この変化は前回のハンガリー遠征でも、GM Nagyと指しています。 First Saturday August 2023 GM (7)
10. Rc1!? Rc8 11. Re1 Re8 12. Bf1 h6 13. g3 c5
白のルークの位置にあわせてルークの位置を決め、h7-h6のような得になるであろう手も入れておいてから、重要なセンターブレイクに踏み切ります。13... Bb4!? 14. a3 Bxc3 15. Bxc3 c5 も面白いアイディアで、黒マスビショップをを諦めてもc3のナイトを消し、d5へのプレッシャー、e4のコントロールを弱めてからセンターブレイクを仕掛けます。
14. cxd5 Nxd5 15. e4
ナイト交換からe3-e4だと思っていましたが、d5での交換の際にはポーンで取り返すのが正解です。15. Nxd5 exd5! (15... Bxd5? 16. e4 Bb7 17. dxc5 Bxc5 18. Bb5+-) 16. dxc5 bxc5 17. Bh3 Rc7!= h3のビショップは厄介ですが、ナイトを交換してNc3-Nb5のアイディアを消したことで、単純にルークを避けることができます。15... Nxc3 16. Rxc3 Bf8 17. Rd3 Qc7 18. d5 exd5 19. exd5
この数手の進め方で黒が問題無いことを確認するのに数十分を要しました。前日のSetyaki戦と似ており、白がdファイルにパスポーン、黒がクイーンサイドにポーンマジョリティを持つ展開となります。
19... Rxe1 20. Nxe1 Ba6
私はビショップを交換しておいたほうが白キングがやや不安定で、Bf1-Bh3のような揺さぶりも無いので安心だと考えました。代わりに20... b5 と単にポーンを伸ばす手もありえ、どちらが良いかの比較は難しいと思います。この辺りでNeverovも長考に入り、おそらく自身が思っていてよりも白にアドバンテージが無いことに気づいたのだと察しました。21. Rd2 Bxf1 22. Kxf1 b5 23. Ng2 c4 24. Ne3 Nb6
24... c3? 25. Bxc3 Qxc3 26. Rc2+- は上手くいかないため、c4-c3の押し込みはもう少しチャンスを待ちます。
25. bxc4 bxc4
私は単純なピース交換は互いにポーンブロックし合い、膠着状態になってつまらないと考えました。しかし、コンピュータの評価は黒からナイト交換を仕掛けることで、25... Nxc4! 26. Nxc4 Qxc4+ 27. Kg2 Bd6 でほんのわずかに黒にチャンスがあるとのことです。白はパスポーンが早くできていますが、ポーンがバラバラだということなのでしょう。26. Bc3 Qd7 27. Kg2 Na4 28. Qc2 Bc5!?
勝負のために揺さぶりをかけますが、c4を取られた際にどうするのか、もう少し具体的に読んでから指すべきでした。28... Nxc3 29. Qxc3 g6 30. Nxc4 Qb5 31. Nd6 Qxd5+ 32. Rxd5 Rxc3 33. Ne4= は本譜と似ており、おそらくドローでしょう。
29. Nxc4! Bb6?
c4を取るのはc4,c3,c2に一直線にピースが並ぶ白が危ないと思っていたのですが、具体的に何を返すのがベストか、残り2分まで考えても分かりませんでした。b6にビショップを退いたのは、d4のマスを抑え続けることでRd2-Rd4を防ぐことですが、お互いに正しく評価できていない部分がありました。29... Bf8! 30. Ne5 Qe8 31. Nc6 (31. d6 Rxc3 32. Qf5 Nb6 33. d7 Nxd7 34. Rxd7 Rc5 35. Qxf7+ Qxf7 36. Nxf7 Rc2 37. Ne5 Bc5= これでf2に反撃して十分というのも、難しい変化です) 31... Nb6! このc6でブロックされた際、ナイトをb6に戻してd5を落とすアイディアは気づきませんでした。 32. Qd3 Nxd5 33. Qxd5 Qxc6= これは間違いなくドローです。30. Qd3?
全く読んでいない手だったので非常に焦りましたが、ぎりぎりまで考えてポーンを取り返す方法を見つけました。検討でNeverovが指摘した手の中に、白勝ちになる手が隠れていました。30. Ne5! Qb5 (30... Qe8 31. Nc6! Rxc6 32. Qxa4!+- この手をNeverovは見落としたようで、ナイトの跳びこみを諦めたそうです) 31. Nxf7!!
検討では十分黒が守り切れると思っていましたが、その先がありました。31... Rxc3 32. Qg6 Qd7 33. Nxh6+ Kf8 34. Qh7!+- このクイーンの潜り込みからg7まで落とせば、黒のキングは丸裸で白の勝勢でした。
30... Nxc3 31. Qxc3 Qb5!
d5に当て続けつつ、ナイトを攻撃するこの手でポーンを取り返せると確信し、一安心しました。
32. Nd6 Qxd5+ 33. Rxd5 Rxc3 34. Rd2 h5 1/2-1/2
続けても良い局面ですが、ここで私からドローオファーして試合を終わらせました。手数としては短めですが、精神的にはかなりタフなゲームでした。試合後に最終戦の相手であるDudin Glebから、休憩日の13日に試合をしないかと誘われましたが、13日連続で試合をしている私は休みが欲しく、これを丁重にお断りました。久々の試合のない日を満喫したら、最後の2500台との連戦も頑張ってきます。08/06 15:00 R2 Kojima, S (IM, JPN, 2308) - Mirzoev, A (GM, AZE, 2417) 0-1
08/07 15:00 R3 Munkhdalai, A (FM, MGL, 2437) - Kojima, S (IM, JPN, 2308) 1-0
08/08 15:00 R4 Kojima, S (IM, JPN, 2308) - Aveskulov, V (GM, UKR, 2470) 0-1
08/09 15:00 R5 Arhan, C A (FM, IND, 2341) - Kojima, S (IM, JPN, 2308) 1-0
08/10 15:00 R1 Levine, J (FM, USA, 2371) - Kojima, S (IM, JPN, 2308) 1/2-1/2
08/11 15:00 R6 Kojima, S (IM, JPN, 2308) - Setyaki, A (IM, INA, 2401) 0-1
08/12 15:00 R7 Neverov, V (GM, UKR, 2405) - Kojima, S (IM, JPN, 2308) 1/2-1/2
08/13 Rest Day
08/14 15:00 R8 Kojima, S (IM, JPN, 2308) - Samunenkov (IM, UKR, 2515)
08/15 15:00 R9 Dudin, G (IM, HUN, 2537) - Kojima, S (IM, JPN, 2308)
First Saturday August 2023 GM Standings
10年以上前にはまったマグナムアイスは日本で見かけない高級ブランドです。これ1つで缶ビール3本分くらいの値段がします。
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若い人多すぎ
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