2023/08/04

SixDays July-August 2023 GM B R6

この日は2日連続1日2試合から解放され、ゆっくりスケジュールになりました。久々にブダペストのヴァ―チ通りでお土産屋さんを覗いたり、ドナウ川沿いを散策することができました。今回滞在の宿や試合会場であるハンガリーチェス連盟のあるドナウ川東のペストからは、対岸のブダに王宮が見えます。

6Rの相手であるLiu Ericは力はある若者ですが、今回は負けが込んで苦戦しています。もう1つのGMクラスでは2400オーバーのIMが1回も勝てずに最下位におり、誰が沈んでもおかしくありません。

Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Liu, E (CM, USA, 2327)
SixDays July-August 2023 GM B (6)

1. Nf3 Nf6 2. c4 d6 3. d4 Nbd7 4. g3 e5 5. Bg2 c6 6. Nc3 e4!?

このポーンの押し込みは用意していませんでした。前日のPlat戦と似たポーンストラクチャーにもなりえますが、色が逆に白なので早さでチャンスを作ろうと考えます。

7. Nh4 d5 8. cxd5 cxd5 9. O-O Nb6 10. f3! exf3 11. Rxf3!


黒はe5のマスのコントロールを弱めているため、Nh4-Nf3-Ne5と戻る作戦も考えましたが、ルークのサポートを得てNh4-Nf5と跳びこむほうがシンプルかつ強力でしょう。

11... Be7 12. Qd3 O-O 13. b3?

ここは素直に当初の作戦通り、f5にナイトが跳びこむべきでしたが、展開の遅れている白マスビショップとすぐに交換されるより、何か役立つ手を先に入れておくほうが得になると思ってしまいました。13. Nf5 Bxf5 14. Rxf5 Rc8 15. a4! a5 16. Bg5!? h6 17. Bxf6 Bxf6 18. Raf1+/- くらいで白は満足すべきです。

13... Ne4 14. Nf5


14. Nxe4 dxe4 15. Qxe4 f5! 16. Qd3 g5! は跳びこみそこねた白のナイトが困っています。b2-b3を突いてしまったせいで、d4取りの際にチェックとルーク取りのフォークになるのを見落としました。

14... Bf6 15. Bb2 Be6 16. Raf1 Re8 17. Nxe4!?

ここは他にもゆっくりやる選択肢もありそうですが、一気に駒を捌いて勝負に出ます。おそらく彼には少し見落としがあり、黒が有利にはなりません。

17... dxe4 18. Qxe4 Bxf5


取るのはf5で正解だと思いました。エクスチェンジを取りにいく変化は、白がポーンを多く持ち満足でしょう。18... Bd5 19. Qg4 Bxf3 20. Bxf3 h5 21. Qxh5 Rc8 22. Qg4+/=

19. Qxf5 Rxe2 20. R3f2 Rxb2 21. Rxb2 Bxd4+ 22. Rbf2 Qe7 23. Qe4!

b6のナイトは上手く動けないのに対し、g2から利く白マスビショップは強力です。d4を取らせましたが白はb7を取り返し、クイーンサイドにポーンマジョリティ+ビショップを持つ有利なエンドゲームになると考えました。

23... Bxf2+


23... Qxe4 24. Bxe4 Rb8 25. Kg2 Bxf2 26. Rxf2 Kf8 27. Rc2 Nd7! 28. Rc7 Nf6 29. Bxb7 Ne8 30. Rd7 Nf6= 7段目に潜り込んでb7を落とす流れは読んでいましたが、これでドローが強制なのは気づきませんでした。

24. Rxf2 Re8 25. Qxb7 Kf8 26. Qxe7+ Rxe7 27. Rc2 Ke8 28. Kf2 Kd8 29. a4 Nd7 30. Bf1?

ここで間違えました。黒のNd7-Ne5-Nd3に何で対抗するかを悩み、ビショップをパッシブに組み替えてしまいました。cファイルのカットオフを解いても、ルークでd3を守るべきです。30. Rd2! Kc7 31. b4 Ne5 32. h3+/= b4にポーンを早めに伸ばすのもポイントで、黒のナイトに対して白マスビショップであるため、b4の黒マスのほうが白マス全体よりも抑えづらくなっています。クイーンサイドのポーンマジョリティを活かすには、b4までポーンを進めることが重要でした。

30... Ne5 31. Be2 Rb7 32. Rc5 f6 33. Rd5+ Kc7 34. Bd1 Kc6 35. Ra5


試合後、ここはポーンエンディングにすれば白勝ちなのではないかと指摘されましたが、それは誤りです。35. Rxe5 fxe5 36. Bf3+ Kc7 37. Bxb7 Kxb7 38. Ke3 Kc6 39. Ke4 Kc5 40. Kxe5 Kb4 41. Ke6 Kxb3 42. Kf7 g6 43. Kg7 Kxa4 44. Kxh7 Kb5 45. h4 a5 46. g4 a4 47. h5 gxh5 48. gxh5 a3 49. h6 a2 50. Kg8 a1=Q 51. h7=

35... Kd6 36. Ke3 Nc6 37. Ra6 Re7+!

37... Kc5?? 38. Rxc6+ Kxc6 39. Bf3+ Kc7 40. Bxb7 Kxb7 41. b4 Kc6 42. Kd4+- こちらのポーンエンディングは白勝ちです。これを期待してのRa5-Ra6でしたが、ルークを逃がすチェックがあることを見落としていました。

38. Kd2 Kc5 39. Bc2


すでに時間がギリギリでした。39. Kc3 Re3+ 40. Kd2= ここで黒のルークは退くしかなく、3段目のチェックは嫌がらなくても大丈夫でした。

39... Nd4 40. Bxh7 Kb4 41. Bg8 Nf3+ 42. Kc2 Nxh2 43. Rd6 Nf1 44. g4 Re2+ 45. Kc1?!

これでもドローになりますが、あえて危険な端に寄る理由がありません。45. Kd1= はなぜか全く考えていませんでした。

45... Ne3 46. Rd7 a5 47. Rxg7 Rc2+ 48. Kb1 Ka3 49. Be6 Rb2+ 50. Kc1 Rc2+ 51. Kb1 Rg2 52. Kc1?


この試合唯一、私にはっきり負けになるミスがここでありました。52. Rc7 Nxg4 53. Bxg4 Rxg4 54. Rb7=

52... Ka2?


ここは相手の緩手に助けられました。52... f5! 53. g5 Rc2+ 54. Kb1 f4 55. Rf7 Rd2 56. Rd7 Rb2+ 57. Kc1 Rc2+ 58. Kb1 Rg2 59. Kc1 f3-+ で黒勝ちです。

53. Rc7 Ka3 54. Rc5 Kb4 55. Rb5+ Kc3 56. Rc5+ Kb4 57. Rb5+ Kc3 58. Rc5+ 1/2-1/2

互いに最後の20手くらいは時間ギリギリでした。安易にドローにせず、エキサイティングなゲームにして良かったと思っています。

7/31 16:00 R1 Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Ngo, B (FM, USA, 2345) 1/2-1/2
8/01 10:00 R2 Chandran, K (FM, USA, 2333) - Kojima, S (IM, JPN, 2335) 1/2-1/2
8/01 16:00 R3 Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Levine, J (FM, USA, 2356) 1-0
8/02 10:00 R4 Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Mirzoev, A (GM, AZE, 2395) 0-1
8/02 16:00 R5 Plat, V (GM, CZE, 2516) - Kojima, S (IM, JPN, 2335) 1-0
8/03 16:00 R6 Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Liu, E (CM, USA, 2327) 1/2-1/2
8/04 10:00 R7 Horvath, A (GM, HUN, 2369) - Kojima, S (IM, JPN, 2335)
8/04 16:00 R8 Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Fromm, M (FM, GER, 2457)
8/05 09:00 R9 Pribelszky, B (FM, HUN, 2402) - Kojima, S (IM, JPN, 2335)

SixDays July-August 2023 GM B Standings

会場近くに素敵な席のあるカフェを見つけました。

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