2013/07/08

1st IV League - A New Style Tournament -


韓国から帰国した翌日の7月7日は、日本のFM たちは西でも東でも大忙しでした。南條くんはカザンで開催されるユニバーシアードに参加するため、羽田空港から家に帰らずに、直接ロシアへと旅立っていきました。京都では、羽生さんが池田君のもとを訪れ、京都大学チェスサークルのメンバーも交えながら、トレーニングを行いました。カザンの情報は現地からの連絡を、京都でのトレーニングは池田くんのブログでの報告を待つことにしましょう。

私もこの日は朝からバタバタでした。帰国翌日はゆっくり休みたかったのですが、表参道でのミニトーナメントへの参加が決まっていたのです。この日の試合は、参加者の平均レイティングが2100を超えるハイレベルなラウンドロビンで、今回が初めての開催となります。韓国とは違い(笑)、そちらでは内容の良いゲームができたので、写真を交えて大会の様子をお伝えしようと思います。


IV League と名づけられた今大会の第1回参加メンバーは、以下の通り。全日本チャンピオン経験者3名を含みます。

1. 小島慎也 (2385)
2. 佐野富 (2135)
3. 中村龍二 (2126)
4. 塩見亮 (2107)
5. 井上祥 (2043)
6. 吉村謙治 (1911)


FIDE のレイティングでリストを決め、ラピッド5R の総当りを行いました。私は井上さんとのゲームで最後に緩手がありましたが、他の4試合はとてもうまく指せたと思います。最終戦の佐野さんとのゲームを、簡単にご紹介しておきます。

Kojima, S (FM, JPN, 2385) - Sano, T (JPN, 2135)
1st IV League(5)


1. Nf3 Nf6 2. c4 c5 3. Nc3 e6 4. g3 b6 5. Bg2 Bb7 6. O-O Be7 7. d4 cxd4 8. Qxd4 d6 9. Bg5!



韓国ではクラシカルな9. b3 を試しましたが、こちらのほうが白のプランが分かりやすく、近年の勝率も良くなっています。実戦での投入は5年前の龍二さんとのゲーム以来となります。

9... a6 10. Bxf6 Bxf6 11. Qf4 O-O 12. Rfd1 Be7 13. Ne4 Bxe4 14. Qxe4 Ra7 15. Nd4 Rc7 16. b3


白はビショップを取り返し、長期的なd6 へのプレッシャーでイニシアチブを握ります。盤上に残ったビショップは異色ですが、うまいタイミングでクイーンサイドのアクションを起こせば、白はチャンスを掴めると確信しています。

16... Re8 17. Rd2 Qc8 18. Rad1 Bf8 19. Qb1 Nd7 20. e3 Qb8 21. a4 Ne5 22. h3 Qc8 23. Kh2 Rc5 24. Rc2 Qc7?



ごくごく自然な一手にも見えますが、白にクイーンサイドでのポーン突きのチャンスを与えてしまいます!

25. f4! Nd7 26. b4! Rh5


26... Rxc4?? 27. Rxc4 Qxc4 28. Rc1 ならば、黒のクイーンは生還できません。

27. g4 Rh6 28. g5 Rg6 29. h4 e5 30. h5 exd4 31. hxg6 hxg6 32. Rxd4 Rxe3 33. Qg1 Re8 34. Bd5! a5 35. Kg3! 1-0



ここで佐野さんの時間が落ちましたが、hファイルにヘビーピースを2つまわすメイティングアタックを止める、うまいすべが黒にはありません。4R まで4連勝で、この試合の始まる前から1位が決まっていましたが、この白星で完全優勝です!


お昼ごはんは、みんなで近くのハンバーガーショップへ。


今大会は、サッカーと同じ勝ち点3のソフィアルールを採用しました。ドローを減らしてトーナメントを盛り上げる狙いがあります。


全体の勝敗はこんな感じ。全15ゲームの棋譜は、pgn 形式で参加者に配布済みです。


2位3位のタイブレークは、3-2 を2試合で決めます。結果は佐野さんがストレート勝ちでした。

井上さんの企画によってスタートしたIV League は、今後もゲストを交えて拡大していこうと考えています。会場の立地も素晴らしかったですし、良いトレーニングの場として確立していけそうです。次回の開催は8月末の予定ですので、参加者の皆さん、よろしくお願い致します!

2013/06/27

The Highest Level Training In Japan

今月は韓国のトーナメントに向けたトレーニングとして、羽生さんと個人的に2回お会いし、ラピッドとブリッツを数試合ずつこなしています。今日の試合から1つ、ゲームを紹介させていただきます。なお、ブログの不調で画像サイズが大きく表示されている可能性がありますが、あまり気にしないでください。

Kojima,S (FM, JPN, 2385) - Habu, Y. (FM, JPN, 2404)
Training

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 d5 4. d4 c6 5. e3 Nbd7 6. Qc2



Semi-Slav Anti-Meran はここまで7連勝中。私の大好物です。

6... Bd6 7. Bd3 O-O 8. O-O dxc4 9. Bxc4 b5 10. Bd3 Bb7 11. Rd1 Qc7!?


早めにh2 のポーンをアタックすることで、このラインの特徴であるNf3-Ng5 を防いでおきます。同じアイディアの11... Qb8!? も面白く、本譜とはまた違った流れになるでしょう。

12. Bd2! Rac8 13. b4!+/=



これがQd8-Qc7 に対して、もっとも有効だと私が考える手です。単純にc6-c5 を防ぐことで、黒の白マスビショップの働きを封じ込めます。また13... Bxb4 14. Nxb5! と進んでも、白の優勢はゆるぎないでしょう。

13... Qb8 14. a3 Rfe8 15. h3 h6 16. Rac1 a6 17. Be1 Rcd8 18. Ne4!


ゆったりと準備をしてから、ピースを捌きにいきます。

18... Nxe4 19. Bxe4 e5!?



c6 をいきなり捨ててくるとは意外でした。19... Nf6 20. Bd3 とシンプルに進めても、黒からはアクティブなカウンタープレーがなく、面白みがないだろうというのが、羽生さんの意見です。

20. Bxc6 Rc8 21. d5 e4 22. Nd4 Ne5 23. Qb3 Nd3 24. Rxd3! exd3 25. Qxd3+/-



黒のカウンターの軸であるアクティブなナイトを消してしまいます。2ポーンエクスチェンジのマテリアルで、ナイトが黒陣に食い込んでいれば、白のアドバンテージは十分だと直感的に判断しました。

25... Bxc6 26. Nxc6 Qc7 27. Bc3!


ビショップはいつまでも、e1 にいては仕方がありません。黒キングにプレッシャーをかけるように位置を改善します。

27... Qd7 28. Bd4 f5 29. Rc2 Kh8 30. Qd1 Qf7 31. Bc5 Qg6 32. Qf3?



ここまではほぼ完璧な試合運びだったはずが、終盤でやや緩手です。オープンファイルを作ることは、ルークを持つ黒にとって有利です。そのため、f5-f4 は最も警戒すべきアイディアでした。ここは焦らずに、32. Qd3 とクイーンを戻すべきだったでしょう。

32... f4! 33. Rc1 fxe3?!


試合後に羽生さんは、先にビショップを交換しておくべきだったと指摘しています。33... Bxc5! 34. bxc5 fxe3 35. fxe3 Qd3! ならば、黒は十分なカウンタープレーを作れており、形勢不明です。

34. Bxe3 Qd3 35. Bc5!




a3 を守りつつ、ここからは何度も黒マスビショップの交換を迫り、パスポーンを押し進める算段を立てます。

35... Qd2


35... Qxf3 36. gxf3 Bf4 37. Rd1 このポジションは、コンピュータではほぼイコール評価ですが、人間としてはこういったポジションを嫌がるでしょう。白はここから、残したクイーンでゆっくりとプレッシャーをかけるように指していきます。

36. Qd1! Qf4 37. g3 Qf6 38. Bd4 Qg5 39. h4 Qf5 40. Qd2 Kh7 41. Bc5 Qf6 42. Qc2+ Kh8 43. Qc3 Be5 44. Qc2 Bd6 45. Qc3 Be5 46. Nxe5!



手を繰り返した後、ナイトビショップの交換を決断します。

46... Qxe5 47. Qd3 Red8 48. Rd1 Rd7 49. d6 Rxc5


ここで黒は焦れてエクスチェンジを返しますが、d6 にパスポーンが1つ残れば、勝ちには十分です。49... Re8 50. a4!+/= でも、白はゆっくりアドバンテージを拡大していけるでしょう。

50. bxc5 Qxc5 51. Qg6 Qe5 52. Kf1 1-0



ここで黒の時間が落ちて勝ち。持ち時間が少なくなったポジションでも、相手のカウンターを許さないように指すことは、これからの課題だと感じました。

羽生さんとは2回のトレーニングで、ラピッド1つ勝ち越し、ブリッツ1つ負け越しと、なかなか良い勝負をしています(笑)他には面白いと思ったポジションを互いに持ち寄り、こういった手はどうかと意見を出し合う研究をしています。色々と自分だけでは出ないアイディアを学ぶことができ、とても勉強になりました。羽生さん、ありがとうございます! トレーニングの成果を出して、韓国は良い戦績を残せるように頑張ってきます。

2013/06/25

My Best Supporter - Sho Inoue -


Nigel Short と対戦中の井上さん

つい先日、日本国内の新レイティング、S89 が公開されました。そこで新しく2000 を突破したプレーヤーがいます。それが、私の中学高校の5代上の先輩である、井上祥さんです。良い機会ですので、私が公私共に大変お世話になっている井上さんについて、今回はご紹介しようと思います。

井上さんとは私がチェスを始めてすぐ、麻布学園チェスサークルの部室で出会いました。とは言え、中学1年生のペーペーと、すでに引退して受験勉強に励む高校3年生では、ほとんど縁はありません。2003年の秋、大学生になった井上さんが、ジャパンオープンでチェスの世界に戻ってきた時からが、本格的な私たちの付き合いのスタートです。直前の東京オープンで優勝し、2000に乗るのも時間の問題だと思っていた私は、復帰したばかりのうえ、レイティングが300も下の井上さんにあっさり負け。ぽっきりと鼻を折られました。井上さんはこの後、岩崎さんと塩見さんにも勝って、Aクラスでの入賞を果たしています。

私が大学生になる直前、2007年の頭からは、私たちの付き合いが濃くなってきます。私の自宅から比較的近い場所で一人暮らしを始めた井上さんの下へ、一緒にトレーニングをやるために、私が通うようになりました。井上さんの部屋に泊まるのも当たり前で、午後4時から午前4時まで12時間、対戦と研究を続けるような日もありました。一緒にトレーニングをするようになった直後の2007年のカペルでは、井上さんは2200近いパフォーマンスを残しています。それが、この時のトレーニングのおかげだと本人から言葉を貰えたことは、私にとって大変光栄なことです。


2007年全日本選手権にて

ところが、こうしたトレーニングの中で、井上さんが国内レイティングを順当に伸ばしたかと言えば、そうでもありません。2005年には1892 まで到達したものの、その後、レイティングの上げ下げを繰り返し、1700~1900台を何年も彷徨うことになります。どうしてレイティングが2000 に到達しないのか、トレーニングに付き合っていた私も、そして当然のことながら本人も、長い期間悩んでいました。

そういった経緯もあり、2013年の今年、井上さんのレイティングが全日本での好調を受けて2000 を突破したことは、私たち2人にとって大変喜ばしいことです。麻布学園チェスサークルのOB では、東芝さんに次いで、おそらく19人目となります。井上さん、おめでとうございます。2000という数字に満足することなく、今後は2100、そしてそれ以上を目指してください!

井上さんが2000 に到達できたのは、勉強や仕事が忙しい時期でも、こつこつと時間を作ってトレーニングや研究、大会への参加や自分の試合の復習を繰り返してきた、努力の賜物だと私は思っています。2008年の秋に医学部卒業試験直前にもかかわらず、北京で開催された大会に参加したことは、医学部生にとっては信じられないことでしょう。そういった井上さんのバイタリティは、私も見習っていかなければいけないと思っています。

現在、井上さんには、私のIM へのチャレンジを応援をしてもらっているとともに、仕事のやり方や今後の方針についても、様々なアドバイスをいただいています。さらにはあまり知られていないことかもしれませんが、今週から韓国で開催されるアジアインドア&マーシャルアーツゲームズの、チェス日本代表チームの担当医師(NFドクター)も引き受けていただいています。(韓国には同行しませんが)今後も、井上さんとは長い付き合いになるでしょう。私だけがお世話になるのではなく、少しずつでも恩返しができればと思っています。


井上さんの長男と私。現在は成長して、元気に歩き回っているそうです。

井上祥

1984年3月生まれ
2002年麻布学園高等学校卒
2009年横浜市立大学医学部医学科卒

2008年全日本選手権5位タイ
2008年北京World Mind Sports Games 日本代表
2013年全日本選手権7位タイ

2013/06/23

8x8 CARNEVALE 2013 Tournament Report


昨日、汐留で開催された大会の報告です。優勝は5連勝の後、同じく全勝の酒井くんをタイブレークで破ったAlex が優勝です。今年は全日本こそ崩れましたが、他の大会では安定した強さを見せていますね。私がポイントを削らなければいけませんでしたが、ピースアップの局面で時間が落ちました...

私はAlex に負け以外、要くん、中郡さん、岩崎さん、三阪さんに勝ち。不思議と強豪に当たり続けたペアリングは、韓国に向けたトレーニングになるようにという、運営側の配慮でしょう。肝心な内容はと言えば、良くなってから詰めが甘いゲームがあり、もう少ししっかり指さなければと思います。そんな中でも、唯一しっかり指せた最終戦のゲームをご紹介しておきます。

Misaka, S (2109) - Kojima,S (FM, 2409)
8x8 CARNEVALE 2013 (5)

1. Nf3 d5 2. d4 c5!?



久々に指す、Queen's Gambit Accepted です。私のコーチであるMisha の得意変化で、Slav とは別に使える武器として少し研究していました。

3. c4 dxc4 4. e4 cxd4 5. Qxd4 Bd7!?


クイーン交換は避けて、ポジションの単純化を避けます。

6. Bxc4 Nc6 7. Qe3 e6 8. O-O Qb8!?



2011年にAronian によって導入された手です。ややパッシブにも見えますが、e5 のマスを抑えつつ、白の出方を伺います。

9. Nc3 Nf6 10. Qg5?!


私はこの手はうまくないと考えます。クイーン交換は白のアドバンテージを消し、黒に楽な展開を与えてしまうことになるでしょう。ナチュラルな10. Rd1 ぐらいで、白が指しやすいのではないかと思います。

10... h6 11. Qg3 Qxg3 12. hxg3 a6 13. Be3 Rc8 14. Rac1 Bb4 15. Bd3 Ng4!



e5 のマスをコントロールしてナイトの位置を切り替え、白陣にプレッシャーをかけます。

16. Bb6 Nce5 17. Nxe5 Nxe5 18. Be2 Nc4


ここまでナイトを運び、黒は一息つきます。白がどちらのビショップを動かそうとも、黒は満足なポジションです。

19. Bd4 O-O 20. Na4?!



この手は、私の読みの中で早々に切り捨てました。確かにb6 のマスへの侵入は、白がクイーンサイドでチャンスを掴むきっかけになりそうです。しかし、エクスチェンジ取りのスレットを先に黒に作られては、分が悪いと言わざるを得ないでしょう。

20... Nd2 21. Rxc8 Rxc8 22. Nb6 Rd8!?


かなり悩んだ末、どちらの変化が勝ちやすいのかよく分からず、罠を張ってみることにしました。自然にルークを取りに行っても、もちろん黒は駒得できます。22... Nxf1 23. Nxc8 Nxg3 24. fxg3 Bxc8=/+

23. Rd1?



ルークを逃すべきは、cファイルかdファイルか。白は運命の選択を間違えました。これこそ私が22手目で期待したブランダーです。正しくは、23. Rc1 Bc6 24. Be3 Nxe4 と進めるべきで、こうしても黒は1ポーンを取れるので、優位に試合を進められるでしょう。

23... Bb5!


この静かな一手で白のピースを殺します。白マスビショップの交換を強制することで、d1 の守りを消し去るアイディアです。

24. Bxb5 axb5 0-1



少し珍しい形かもしれませんが、これで勝負ありです。白はd4 のビショップを逃がせば、Nd2-Nf3+ のディスカバードアタックが決まり、黒のエクスチェンジアップとなります。この後はジリ貧になりますし、潔くここでリザインとなりました。


女子トップ賞を獲得したのは長谷川さん。韓国での活躍も期待しています。


会場はイタリア街のバー、オリビエロです。40人で指すにはやや手狭ですが、雰囲気はとても良い場所でした。

今大会は、4月後半に企画を聞かされたときから楽しみにしており、内容も満足でした。8x8 チェスクラブの皆さん、大会運営お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。また次回のイベントを楽しみにしています。そのときには私も、IM を獲得できていればと思います!


2013/06/21

The Week In Chess 971


今日も明日も、チェスの試合というものは世界のどこかで行われています。そしてそれらの棋譜は、The Week In Chess というサイトで、一週間に一度まとめられ、公開されています。世界中のチェスプレーヤーは、棋譜が新しくアップデートされるたびに、それらを自分のデータベースに上書きし、最新の棋譜をチェックできるようにしているのです。私もここ数年は、この作業を欠かしたことはありませんが、日本のチェスプレーヤーの皆さんは、どれぐらいデータベースの更新をしているのでしょうか。

さて、そんなTWIC で公開されている棋譜ですが、最新版のTWIC 971 に、先月の全日本選手権の棋譜110局(正確には、不戦勝だった2局を除く108局)が入力されています。日本での試合がTWIC に送られることは、これまでほとんどなく、私のデータベースで確認できた一つ前の大会は、実に22年も前の1991年の全日本選手権の棋譜でした。いったい誰が、どのような目的で、TWIC に棋譜を送ったのでしょうか。(一つ、心当たりはありますが)少なくとも、JCA ではないでしょうね。

いずれにせよ、日本での試合の棋譜が海外に流れるというのは、良いことだと私は考えています。日本でもFIDE 公式戦をしているというアピールになりますし、今後これをきっかけに、日本と交流を持ちたいと考えるマスターが出てくる可能性もあるでしょう。2009年にSam 経由で全日本の棋譜がChess Today で扱われるという出来事もありましたし、こういったことは積極的にやっていくべきだと思います。TWIC では、全日本の棋譜を扱ってくれることが今回の件で分かったので、次はどうでしょう。思い切って、Chess Games なんかに棋譜を出すのも、面白いかもしれませんね。

The Week In Chess

2013/06/20

8×8 CARNEVALE 2013 直前再告知


6月22日(土)に予定されている、汐留での大会まであと二日と迫ったので、もう一度告知の記事を出します。大会の詳細と、現在までのエントリーリストは、以下のページから確認ができます。

8x8 Chess Club
8×8 CARNEVALE 2013 エントリーリスト

リストを見る限り、参加者は30名に到達したようですね。これも全て、運営側の努力の賜物でしょう、素晴らしいことです。まだエントリーは受け付けているはず(当日も可)ですので、まだ参加を迷っている方は、この機会に是非どうぞ。リストには名前のないゲストも登場する可能性があるそうなので、それも楽しみにしておきます。

この日は学生チェス連盟の主催で、新人戦も開催される予定です。そちらにも20名を越える参加者がいると伺っているので、今週土曜は都内で50名以上がチェスを指す日になりそうです! 私たち韓国への遠征組みにとっては最後のトレーニングの機会となりますが、参加者の皆さんが楽しめる大会になると良いですね。それでは明後日、汐留でお会いしましょう!

2013/06/18

An interview from Singapore


懐かしのCML の写真です。

シンガポールのチェスコラムニストから取材のメールが来ており、その記事が先ほど公開されました。一つ修正すべき点がありますが、すでに指摘はしたので、すぐに直してくれるでしょう。こちらでも、記事を紹介しておきます。

Six Questions for FM Shinya Kojima

ハンガリーでのチェス留学を経たことで、日本にもチェスを頑張る若いプレーヤーがいるということが、少しずつですが他国のチェスファンにも認識されているようで嬉しいです。イスタンブールのときは、Chessbase News の記事でも紹介されましたね。(そして馬場さんから厳しい突込みを受けましたw)

シンガポールからは別件でのオファーも来ており、他国のマスターと積極的に関わっていこうという姿勢が見受けられます。2007年に訪れたときも思いましたが、非常にプレーヤーの教育に熱心な国です。(日本のチェス協会も真剣に見習ってください!)こちらについては、また機会があればご紹介したいと思います。シンガポールとはどういった形になるかは分かりませんが、これから良い関係を築いていければと思います。

2013/06/16

快速選手権 Day2


快速選手権2日目の報告です。私は南條くんとAlex にあえなく負け。入賞を逃しました。弘平くんとの1ドローのみで、残り7戦を全て勝った南條くんが貫禄の優勝。2週間後からの韓国も、期待したいと思います。(もちろん私も頑張りますよ!)次いで6P の弘平くんと、Alex が2位、3位の盾をゲットしました。

5R Nanjo,R (2365) - Kojima,S (2408) 1-0 Caro-Kann Advanced
6R Kojima,S (2408) - Fukuda,T (1797) 1-0 Maroczy Bind
7R Kojima,S (2408) - Averbukh,A (2325) 0-1 Queen's Gambit Declined
8R Tanaka,T (1886) - Kojima,S (2408) 0-1 Caro-Kann Classical


過去に快速選手権の優勝経験もある弘平くんは、南條くんにドロー、Alex に勝って、ブランク明けとは思えない好成績での入賞でした。競合の復帰により、これから本格的に始まる夏のトーナメントも、楽しくなりそうです。

私は南條くんとのゲームはともかく、Alex とのゲームは勝ちたいポジションだったので、それを逆転されたのは大変悔しいです。悪くなったポジションを反省するとともに、短い時間での正確なプランの立て方を考えて、韓国への課題にしようと思います。

来週末は汐留で、8x8 主催の大会が開催されますので、そちらに参加される皆さんは、またよろしくお願いします。韓国前、最後の調整として、今度こそ良い結果を残せることを願うばかりです。

2013/06/15

快速選手権 Day1


Photo by Uesugi

快速選手権初日です。4連勝スタートを狙いましたが、馬屋原くんに3R でストップをかけられ、3.5/4 と半ポイント落として2日目を迎えます。4連勝の南條くんとの直接対決が、トーナメントの山場となることは間違いないでしょう。

1R Fletcher,W (1456) - Kojima,S (2408) 0-1 Caro-Kann Advanced
2R Kojima,S (2408) - Uchida,N (1826) 1-0 Dutch Classical
3R Umayabara,G (2045) - Kojima,S (2408) 1/2-1/2 Caro-Kann Panov Botvinnik
4R Kojima,S (2408) - Yamada,K (2205) 1-0 Grunfeld Russian


1年半ぶりの公式戦復帰となる弘平くんとのゲームは、完全にラッキーでした。今日は遅くなってしまったので、また後日、棋譜を公開しようと思います。それでは参加者の皆さん、2日目も頑張りましょう!


2013/06/14

Practical Rook Endings Vol.2 - Phildor Position -

第2回はルークエンディングにおけるディフェンスの基礎アイディア、フィリドールポジションを扱います。しかし基本と言いつつも、自分の試合では今まで経験したことがないな、と思って試合を漁っていましたが、自分でも完全に記憶の底に封印したゲームが出てきました。


Sakai, S - Kojima, S
Japan Open 2009

酒井くんとの初対戦のゲームです。気合で1ポーンを掠め取りましたが、ポーンは同じサイドにおり、さらには唯一のパスポーンは武器になりにくい端ポーンです。そしてディフェンス側の白キングが、そのパスポーンをすでにブロックできる位置にいることが重要です。

59. Re3 Kg4 60. Rb3 Rc2 61. Ra3 Rb2 62. Rc3 Rg2+ 63. Kh1 Rg3 64. Rc4


fポーンとhポーンを簡単に交換しては、すぐにドロー(ノーマルなフィリドールポジション)が確定するので、なんとか手を作ろうとしますが、白は当然ルーク交換は拒否して抵抗を続けます。

64... Rd3 65. Kh2 Rd2+ 66. Kh1 Rg2 67. Rc3


もちろん本譜のように進めて問題ないですが、ここはもう一つ、全く別のアイディアでドローにすることも可能でした。

67. f5+!? Kxf5 68. Rf4+!


Analysis Diagram

白はキングが動けない状態にあるので、前回紹介したステールメイトのアイディアでドローに持ち込むことができます。68... Kg5 69. Rf5+ Kh4 70. Rh5+ Kg4 71. Rg5+ Kf3 72. Rf5+ Ke4 73. Rf4+= 黒はどうあがいても、ルークのチェックを切ることができません。このアイディアも確認したうえで、本譜に戻ります。

67... Kxf4 68. Rxh3


黒はこれ以上キングとルークを動かしていても進展が望めないので、ここでポーンを交換することにしました。

68... Ra2 69. Rb3 g5 70. Kg1 Re2 71. Ra3 g4 72. Rb3 Ra2 73. Rc3



このようなポーンが一つだけのルークエンディングで、ディフェンス側のキングがすでにパスポーンをブロックできる位置にもぐりこんでいる形を、フィリドールポジションと呼びます。このとき、メイティングスレットに気をつけつつ、ルークをうまく活用すれば、ディフェンス側はドローに持ち込むことができます。ここでは他の手でも良いのですが、白は分かりやすくルークで3段目をキープします。それにより、黒はキングをこれ以上進めることができず、メイティングスレットを作ることができません。

73...Kg5 74. Rb3 Kh4 75. Rc3 g3 76. Rc8!


進展のない黒は、ポーンを3段目まで進めますが、このタイミングでルークを8段目に上げるのがポイントです。(もちろん、8段目でなくてもOK ですが)狙いは黒キングが侵入してきた際に、後ろからチェックをかけることで、連続チェックでのドローに持ち込むことです。

76... Kh3 77. Rh8+ Kg4 1/2-1/2



黒はこの後ろからのチェックを切ることができず、ドローに合意するしかありません。もしキングがg3 のポーンから離れていけば、白はRg8 と指してgポーンを取りにいくことができます。

フィリドールポジションは、私も実戦であまり出てきたことはないですが、だから知っていても役に立たないわけではなく、ルークエンディングにおけるルークの理想的な使い方を私たちに教えてくれます。それはルークは強力な駒であり、縦と横の利きのうまく使って、アクティブに活用すべきである、ということです。フィリドールポジションでは、まずは3段目にルークをおいて、横の利きで相手のキングの前進を止めつつ、最後は縦の利きを利用した後ろからのチェックでドローに持ち込みます。こういったルークの柔軟な使い方を知っておくことは、他のエンドゲームや、ミドルゲームでも大変役に立つでしょう。エンドゲームを勉強することは、チェスを勉強することである、ということがよく分かる一例だと思います。

次回はルセナポジションと、ルセナ+フィリドールポジションの応用を扱う予定です。2回に分けるかな?


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