2011/07/14

IM elect Ly Moulthun

1991年生まれのLy Moulthun君は、現在オーストラリアでトップクラスの実力を持つジュニアチェスプレーヤーの一人です。2007年にシンガポールで開催されたWorld Youth Olympiad では、オーストラリアチームⅠの1番ボードも務めています。

2005年に13歳でオーストラリアのジュニアチャンピオン、2006年には2つのIMノームを獲得した彼は、オーストラリア期待の星として順風満帆のチェス人生を歩んでいました。ところが3つ目のIMノームがほぼ確定という大会で、最後の試合を落としてしまい、そのショックでチェスから3年程離れてしまいます。当然のことですが、彼はこのことを「大きな間違いだった」と指摘しています。

2010年にチェス界に復帰したMoulthun君は、すぐに3つ目のIMノームを獲得し、あとは2400にレイティングを乗せればIMとなります。今年から来年にかけての目標は、IM獲得に加え、チェスオリンピアードのオーストラリア代表メンバーに入ることでしょう。オーストラリアには二人の現役GM(Zhao,Z,Smerdon,D)と、ベテランのIMが数人います。彼らを押しのけてオーストラリア代表に入るのは、並大抵のことではありません。来年5月に開催されるSydney International Open までの戦績で、オリンピアード代表選手が選考されると聞いているので、池田君とともにそれまで突っ走ってほしいと思います。

私は、つい先日終了したPhiladelphia Open とWorld Openで、Moulthun君の強さを間近で確認してきました。特に1,2Rをbyeで参加したPhiladelphia International の3,4Rでは、FM2人を相手に何もさせずに勝ちです。私は4Rの試合が衝撃的だったので、今回それを公開しようと思います。

FM Ardaman,Miles (2301,USA)-FM Ly,Moulthun (2375,AUS)
Philidephia International(4)

1. b3 e5 2. Bb2 d6 3. e3 g6 4. g3 Bg7 5. Bg2 f5 6. Ne2 Nf6 7. d3 O-O 8. a3 a5 9. Nd2 c6 10. c4 Be6 11. Qc2 Nbd7 12. h3 Bf7 13. O-O Qe7 14. e4 $6 fxe4 15. dxe4 b5 16. f4 Nc5 17. f5?!
[removing the tension doesn't seem to be the best option]
17...Bh6! 18. Rad1 a4 19. b4 Nb3
(19... Bxd2 20. Qxd2 Ncxe4 21. Qe3 d5 [with a not so clear position])

20. Nxb3 axb3 21. Qxb3 Bxc4 22. Qc2 Nh5
(22...Qa7+ 23. Kh2 Qe3 24. Rde1 [unfortunately i can't win the exchange as Bc1 is always coming] Qd2 25. Qc3)

23. Kh2 gxf5 24. exf5 d5 25. Rde1 Rae8 26. Bf3 Qf7 27. Bxh5 Qxh5 28. g4 Qh4 29. Bc1 d4 30. Ng3 Bxf1 31. Rxf1 Bf4 32. Bxf4 exf4 33. Ne4 Rxe4 34. Qxe4 Qg3+ 35. Kh1 Qxh3+ 36. Kg1 Qe3+ 0-1
最後はクイーンを交換し、確実に勝ちです。Moulthun君はこの試合を、特別なゲームではないと評価していますが、私はこのレベルの試合をそう言い切れるところが、彼の強さを表しているように感じました。

Moulthun君はこれから、池田君とともにオランダのDutch Open、そしてインドのWorld Juniorに参加予定です。是非、オーストラリアに帰る前に2400に乗せてください。

Good Luck Moulthun, see you again!

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