2011/07/05

World Open R8 & R9 - Nightmare -

フィラデルフィアでの最終日は、2100台に1敗1ドローというひどい結果に終わりました。両方の試合とも、勝勢からのミスです。今夜は反省の意味を込めて細かく試合を振り返ろうと思います。

FM Kojima,S (2328,JPN)-Krishnan,V (2110,USA)
World Open(8)

R8の相手は、国籍はアメリカになっていましたが、名前や顔つきからインド人だと分かりました。まだ12歳ほどです。

1. Nf3 d5 2. d4 e6 3. c4 c6 4. e3 Nf6 5. b3 Nbd7 6. Bb2 Bd6 7. Bd3 O-O 8. O-O
私の人生のベストゲームである、Li Hanbin戦(http://chessplayer.jugem.jp/?eid=98)と同じ形になりました。俄然やる気になります。

8...b6 9. Nbd2 Bb7 10. Ne5 Qe7 11. Qf3 c5 12. Qh3 cxd4?

指された瞬間、この手はブランダーで、もう白の勝ちになるのではないかと考えました。しかし対応を間違えてしまいます。

13. Nxd7! Qxd7 14. Bxd4?!

アイディアはあっていますが、14.cxd5がベストでした。ビショップとクイーンでh7を狙っているために、黒はナイトでもポーンでもd5を取り返すことができず、苦しい展開となります。

14...dxc4!

d3のビショップが浮いていることを利用したディフェンスです。14.cxd5を入れておけばこのアイディアはありませんでした。

15. Bb1!?

h7とf6への利きを残しておきます。これで1ポーンアップ確定なので白が良いと考えましたが、黒には強力なダブルビショップも残っています。

15...Rfd8?!

15...h6 16.Bxf6 gxf6 17.Qxh6 f5 18.Nxc4 Be7 19.a4!+/= のほうがベターでしょう。

16. Bxf6 gxf6 17. Qxh7+ Kf8 18. Nxc4 Bc7 19. Be4!

正しい方針です。相手の強力なダブルビショップは消すに限ります。

19...Bxh2+?

驚きの一手です。少し読めば駄目なことが分かるはずです。

20. Kxh2 Ke7 21. Bxb7 (21. Rfd1! Qc7+ 22. Kg1 Rh8 23. Bxb7 Rxh7 24. Bxa8+-) 21... Rh8 22. Bxa8 Rxh7+ 23. Kg1
2ピース+ルークvsクイーンなので、白の勝勢は明らかです。あとは丁寧に指すだけだったのですが・・・

23...b5 24. Nb2 Qc8 25. Bf3 Qc3 26. Rab1 Rh8 27. Rfc1 Qe5 28. Nd3 Qh2+ 29. Kf1 Rd8 30. Ke2 Qd6 31. Rd1 Qa6 32. Nb4 Rxd1 33. Rxd1 Qa3 34. Nc6+ Kf8 35. Rd2 a5 36. Nd4 Qb4 37. Rc2 a4 38. Rc7?!

これが少し焦りすぎでした。f7を狙うのはクイーンサイドを完全に捌いた後でも遅くありません。

38...Qa3 39. Bh5??

メイトになると勘違いしていました。時間はたくさん残っていただけに、惜しすぎるミスです。
(39. Rc8+ Kg7 40.Rc2+-)

39... Qxa2+ 40. Kf3 axb3

40.Kf3を指した後で自分の愚かさに気がつきました。41.Bxf7 b2 42.Nxe6# だと思っていたのです。実際には黒はクイーンでe6を守っているため、これは幻でした。慌てて何とかする方法を考えます。

41. Rxf7+ Kg8 42. Nxe6 b2 43. Rf8+ Kh7 44. Rf7+ Kg8 1/2-1/2
「勝勢と勝ちは異なり、最後まで油断してはいけない」ということは、私がレクチャーなどで口にしていることであり、自分でこのようなミスをしてしまうとは恥ずかしい限りです。しかし今日はこれで終わりません。

WGM Ni,V (2167,LAT)-FM Kojima,S (2328,JPN)
World Open(9)

またもや未成年が相手でした。私も参加したWMSG(ワールドマインドスポーツゲームズ)のラトビア代表だった少女です。

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. e3 Bg4 5. Qb3 Qb6 6. Nc3 e6 7. Nh4 Bh5 8. h3 Be7 9. g4 Bg6 10. Nxg6 hxg6 11. Bg2 Na6

こちらはR1のMikhalevski戦と同じ流れになりました。よほどのミスが来ない限り、黒でアドバンテージを得るのは難しいだろうと思っていましたが、そのよほどのミスがいきなり飛んできます。

12. g5?! Nd7

もちろんd7を空けておくための11...Na6です。

13. e4?
さすがに驚きました。もう試合終了かとまで思いました。

13...Qxb3! 14. axb3 Nb4!

このナイトはd3とc2に潜り込むチャンスがあり、g5,d4,b2などがターゲットになります。白にはポーンを守る方法がありません。

15. Kd1 dxc4 16. bxc4 Nd3 17. Rf1 e5!

g5は逃げられないため、黒は慌ててポーンを取る必要がありません。先にc5にマスを作っておきます。

18. d5 N7c5 19. Ra2 Nxc1 20. Kxc1 Nd3+

コンピュータはここで20...Bxg5+ もありだと示しますが、私は別のポーンを狙いに行きます。

21. Kb1 Nf4 22. Bf3 Rxh3

ここから白勝ちになるとはアンビリーバブルです。

23. Bd1!
これは面白い試みです。狙いはもちろんc6へのカウンターアタックです。これを少し軽視していて白にチャンスを与えてしまいました。

23...Bc5?!

23... a5! ならルークの侵入がないため、c6の守りがさほど問題なくなります。

24. dxc6 bxc6 25. Ra6 Rb8 26. Rxc6 Bd4

26... Bxf2 でもOKですが、なぜか試合中全く思い浮かびませんでした。
26...Rxc3 27.Rxc5 Nd3 28.Ba4+ Kf8 29.Rb5 では黒は不十分です。

27. Nb5 Nd3 28. b3 Bb6!

これでa6からナイトを追い払ったり、あわよくばルークをトラップするなど、黒にチャンスがあると考えていました。

29. Rd6 Nc5?

指した時はb3とe4を狙う良いアイディアだと思いましたが、実際には白にチャンスを与えてしまう悪手でした。ここでは29... Nb4!と指す手がうまく、d5のマスを抑えたうえでa6-Bd4ができます。

30. Rd5 f6 31. f4!
全く考えていない手でした。f1のルークがアクティブになり、いきなり黒のキングが危険にさらされます。

31... Nxb3?

これで完全に逆転を許してしまいました。正しくは
31... exf4 32. gxf6 gxf6 33. Rxf4 a6 34. Nd4 と進めてほぼイコールでしょう。

32. gxf6 gxf6 33. fxe5 Bd8 34. Bxb3 Rxb3+ 35. Kc2 Re3 36. exf6 Kf8 37. e5 Ba5 38. Rh1 Kg8 39. Rd7 1-0

最後はひどい形でした。予想外の手で相手が盛り返した時、一気に悪くしてしまう癖を直さないといけないですね。とりあえず現地からの報告はこれぐらいにして、あとは帰国後にいくつか振り返って記事を書こうと思います。最後は恥ずかしい結果となってしまいましたが、応援して下さった皆さん、ありがとうございました。

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