2011/07/08

Philadelphiaを振り返って

アメリカから帰国して2日が経ちました。Philadelphia International、World Openの2大会を振り返り、思ったこと、感じたことをまとめてみます。良かった点は青、悪かった点は赤で示しています。ちょっと長くなりますが、お付き合いください。

<試合内容>
- 白番での戦績が良かった -
今回の遠征から、2年ぶりに初手を1.Nf3に戻しました。多少不安はありましたが、結果は5勝1敗2ドローと上々でした。2300台相手に2年ぶりの勝ちをもぎ取りましたし、1.Nf3はしばらく問題なく指し続けられそうです。

- 多くの試合で安易にドローにせず、勝負に行けた -
これは「本当に?」と疑う人もいると思いますが、本当です。今までは受けていたであろう局面でのドローオファーを蹴って、勝った試合が3つありました。今回は体力勝負でしたので短手数のドローもありだと思いますが、短期的なポイントを得るよりも、指し続けることを様々な局面を勉強することのほうが、長期的に見て自分のためになるとようやく気がつきました。もちろん勝負に行って負けた試合もありますが、それも勉強のうちです。

- 黒番での戦績が悪かった -
カペル、タイ、全日本と負けのなかった黒番でいくつかの負けを喫しました。そして勝ちが1試合もありませんでした。Slav,Caro-Kannともに、自信のあるラインがほとんどだっただけに少しショックです。

- いくつも逆転を許した -
World Openでの4敗の全ては、優勢からの負けでした。もちろんチェスは優勢からでも負けるゲームですが、「これはさすがに勝たないとまずいだろう」と思えるほど優勢の試合でも、負けることがありました。ドローにした試合もそうです。もう少しミドルゲーム、エンドゲームの勉強をし、相手にチャンスを与えずに、優勢を勝ちにつなげられるように意識したいと思います。

<大会運営>
- 選手のレベルが高かった -
今回のアメリカ遠征18試合で、GM4人、IM4人、FM4人と試合をしました。マスターとの連戦は、日本では間違いなくできない経験であり、とても勉強になりました。特にPhiladelphia International R7からは9戦連続マスターでした。これは人生初ですね。

- ペアリング発表が遅かった -
これは大変いただけません。午後7時からの試合で、午後6時半にペアリングが未発表である理由は理解できません。ペアリングはソフトで一瞬で組めるのですし、昼過ぎには公開すべきだと思います。

- 試合開始時間が曖昧 -
アメリカの大会は盤、駒、時計をプレーヤーで持ち寄ります。そのために会場内で様々なチェスセットで試合が行われるのを見かけたり、知り合ったプレーヤーとチェスセットを貸し借りしたりする様子は面白かったです。(私は思い切ってGM Lendermanに声をかけて、チェス盤を借りることもありました。)ただし盤、駒、時計が揃わなければ試合を始めることができないため、試合開始予定時刻を20分過ぎても、試合準備すらできていないボードもあれば、片方の時間が20分減っているボードもありました。またPhiladelphia Internationalでは試合開始が遅れた場合、アービターの判断で両者が持ち時間を減らして試合を始めることもありました。自分の時間を減らしたくなければ遅刻するな、道具を揃えろ、ということなのかもしれませんが、アジア、ヨーロッパのチェスに慣れていると少し変な気もします。

<ホテル>
- チップはおいたほうが無難か -
チップをどうするかは、初日に池田君とも話をしました。部屋のシーツ、タオル交換などの際には、特に部屋を汚していなければチップは不要と何かで読みました。しかし、実際にはチップを置かなかった日には、タオル交換がされていないことがあったため、毎日1$ずつベッドに置くようにしました。これはアメリカの文化ですので、特に悪いことだとは感じません。

- Sheraton は満足 -
会場となったSheraton City Center Hotel には計9泊しましたが、とても満足です。(上記のタオル無視はありましたが)空港からも電車で簡単に行けますし、また来年もここが会場であれば、参加を前向きに検討します。

- Crowne Plaza はダメ -
Sheraton の予約が取れなかったために7/1から移ったCrowne Plaza というホテルはイマイチでした。防音がいい加減で、隣の部屋の騒ぎ声がずっと聞こえ、眠りにくかったです。

<その他>
- 食事は人それぞれだが、自分は満足 -
アメリカの食事はどんなものかと思っていましたが、自分は特に困ることはありませんでした。ヨーロッパ同様、サンドウィッチが日本よりも遥かに美味しいので(全く別物です)、向こうでの主食にしていました。ホテルでは一回も食事を取りませんでしたが、周りにはサンドウィッチ、ホットドッグの屋台が多く出ていて気軽に食事ができました。また昼には行列ができる人気のカフェにも、池田君たちと足を運びました。
- チェスショップは最高 -
会場内に出ていたチェスショップは、私が今まで見てきた中で最高クラスのものでした。品揃えは、さすがにオリンピアードのチェスショップには劣りますが、値段が素晴らしく、新作の本が定価より安く売られていました。さらには10$均一コーナーが設置されており、多少古くても使える本がいくつも格安で売られていました。(もちろん新品です。)以下に私が買った商品のリストを出しておきます。左から書名、出版年、値段です。

Play the Catalan/ 2009/ 20$
Chess Lessons/ 2011/ 22$
Mastering Positional Chess/ 2010/ 19$
concise chess middlegames/ 2004/ 10$
consise chess endings/ 2004/ 10$
Winning Chess Explained/ 2006/ 10$(!)
DGT 960/ 35$
Reggio Emilia 2007/2008/ 2009/ 10$(!!)
The Chess Greats of the World Victor Korchnoi/ 2007/ 10$
携帯用チェスセット×4/ 5$×4

携帯用チェスセット1つと、下の2冊は篠田君へのお土産にします。次回、学生チェス連盟主催の大会の賞品にでもしてもらおうと思います。

- Saitek Clock 紛失 -
実に個人的なことです。誰かが持って行ったのであれば、大切に使ってほしいと思います。皆さんも忘れもの、私物の紛失には気をつけましょう。

今回は急な遠征で調整も難しかったですが、とても楽しむことができました。(最後は落ち込みましたが)やはり行くことを決めて良かったです。行動をともにしたオーストラリアの二人は、これらオランダ、インドと遠征を続け、池田君に至ってはその後、マレーシア、日本と続きます。彼らの活躍も今後、こちらで追いかけていこうと思っています。もちろん私も負けていられません。とりあえず、明日から二日間は新潟遠征です!

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