Khanty-Mansisk Olympiad より。左から私、Almasi、山田君です。
現在、FIDEのレイティングが2700を超えているプレーヤーは、世界中に42名います。皆さんはその中で、誰が一番好きでしょうか。Kramnik? Carlsen? Topalov? Gelfand と答える人は、かなり渋いですね。
私が今日ご紹介するのは、ハンガリーのトップGMである、Zoltan Almasi というプレーヤーです。彼は現在、FIDEレイティング2726で、世界ランキングは19位です。しかし、これほどの実力がありながら、日本でのAlmasi の知名度はかなり低いと言えるでしょう。果たしてはそれはなぜでしょうか。
その理由は二つあると私は考えています。一つはハンガリーには、Leko,Polgar という2大GMの存在があるためです。Peter Leko は10代前半でGMとなり、2700に到達してからは、世界のトップGMとしのぎを削ってきました。2004年には、当時世界チャンピオンであったKramnik への挑戦権を得て14回戦のマッチに挑みましたが、最終戦で惜しくも敗れ、チャンピオン交代とはなりませんでした。
一方でJudit Polgar と言えば、歴史上最もチェスの強い女性だと断言して良いでしょう。現在は中国のHou Yifan, インドのHumpy Koneru が女性プレーヤーとして2600を超えましたが、他に2600の女性がいなかった時代に、一人2700を超えていたPolgar は、完全に別次元の強さだったと言えます。結婚と出産を経てカムバックした彼女は、もう少しで2700にレイティングを戻すでしょう。地元のハンガリーではLeko 以上の人気を誇るアイドルのような存在です。
この二人の影に隠れていたことに加え、Almasi の知名度が低いもう一つの要因は、彼がトップGMの世界では遅咲きであったことです。現在の2700台42人のうちの多くは、10代か20代で2700に到達しています。さらに言えば、Carlsen やGiri のように今現在、20歳前で活躍するプレーヤーは話題になりやすく、私たちも名前をよく耳にします。それに対し、Almasi は昨年、30代で初めて2700に到達しました。彼は19歳で2600を超えましたが、そこからレイティングを100上げるのに15年かかっているのです!
私がいつAlmasi のことを知ったのかは定かではないですが、ハンガリーのチェスに興味を持った中学3年生頃だった気がします。以来、ずっと彼の試合を追ってきたわけではありませんが、Ruy Lopez の力強い試合などはいくつも目にしてきました。彼の正統派1.e4 スタイルと、長く努力を続けてきた姿勢は、是非私たちが見習うべきでしょう。私は今後のAlmasi の活躍に大いに期待しているので、日本でも彼のことを応援してくれる人が増えれば、私としては嬉しい限りです。
Zoltan Almasi
http://www.chessgames.com/perl/chessplayer?pid=14210
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