2011/09/20

チーム選手権 Games and Comments

今日は昨日書いたとおり、チーム選手権の6試合を振り返ります。詳しく解説を書くのは最もうまく指せたR2のみとし、あとは棋譜と簡単なコメントのみにしておきます。

R1 小島慎也(慶應藤沢、2369)- 浜根謙一(吉祥寺、1799)1-0 Anti Dutch

1. d4 f5 2. Nc3 e6 3. e4 d5 4. exf5 exf5 5. Qe2+ Be7 6. Bg5 c6 7. O-O-O Kf7 8. Bf4 Nf6 9. Nf3 Re8 10. Ng5+ Kf8 11. Qe6 Bxe6 12. Nxe6+ Kf7 13. Nxd8+ Bxd8 14. f3 Na6 15. Bxa6 bxa6 16. Na4 Nd7 17. Rhe1 Bf6 18. c3 g5 19. Bd2 f4 20. Kc2 Kg6 21. Kd3 Kf5 22. Rxe8 Rxe8 23. Re1 Rxe1 24. Bxe1 h5 25. Nc5 Nxc5+ 26. dxc5 g4 27. Bf2 h4 28. h3 gxf3 29. gxf3 Ke6 30. Bd4 Be7 31. c4 Bf8 32. Kc3 Be7 33. b4 Bg5 34. Bg7 dxc4 35. Kxc4 Bf6 36. Bxf6 Kxf6 37. Kd4 Kf5 38. a3 a5 39. bxa5 a6 40. a4 Kf6 41. Ke4 Ke6 42. Kxf4 Kd5 43. Kf5 Kxc5 44. Ke5 1-0

浜根さんとはレイティング差がありますが、ここ数年は毎年負けがあるため、油断の出来ない相手です。ダッチの奇妙な形で始まった試合は、クイーン交換をした時点でやや白が良いかと思っていましたが、進めてみるとそうでもありませんでした。2つ目のルークを換えた辺りから黒がおかしくし始め、さらには勝ちのポーンエンディングに。最後はちょっと面白い形です。

R2 真鍋浩(松戸A、2034)- 小島慎也(慶應藤沢、2369)0-1 Classical Slav

棋譜と解説は後に回します。

R3 小島慎也(慶應藤沢、2369)- 國府大介(松戸B、1861)1-0 King's Indian Bayonet

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. Nc3 Bg7 4. e4 d6 5. d4 O-O 6. Be2 Nc6 7. O-O e5 8. d5 Ne7 9. b4 Nh5 10. Re1 f5 11. Ng5 Nf6 12. f3 c6 13. Be3 Bh6 14. h4 f4 15. Bf2 Bxg5 16. hxg5 Nh5 17. c5 Ng3 18. Bc4 Kh8 19. dxc6 Nef5 20. exf5 Qxg5 21. Qxd6 Rxf5 22. Rxe5 Qh5 23. Bd4 1-0

國府さんとは初対戦です。今まで色々試してきましたが、最近はキングズインディアンにはバイオネットを用意しています。13...Bh6 は良いアイディアでしたが、...cxd5 を挟み忘れてしまったせいで、白からのブレイクが早く決まってしまいました。17.c5! 以降は黒が厳しい展開だと思います。

R4 塩見亮(東大OB、2157)- 小島慎也(慶應藤沢、2369)0-1 Caro-Kann Classical

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. h4 h6 7. Nh3 Nf6 8. Nf4 Bh7 9. Bc4 e6 10. O-O Bd6 11. Re1 O-O 12. Ngh5 Bxf4 13. Bxf4 Nxh5 14. Qxh5 Qxd4 15. Bxb8 Raxb8 16. Bb3 Qxb2 17. Rab1 Qf6 18. Re3 Rbd8 19. Rf3 Bg6 20. Qg4 Bf5 21. Qb4 b6 22. Qa4 Rd4 23. Qxa7 Rxh4 24. Rg3 Rh5 25. Rd1 Qh4 26. Kf1 Qh1+ 27. Ke2 Bg4+ 28. Rxg4 Re5+ 29. Kd2 Rd8+ 30. Kc3 Qxd1 0-1

逆転優勝を狙う東大OBチームにとって、悲劇的なゲームだったと言えるでしょう。f4のナイトを間違えて、ビショップで取り返してしまったミスで、すでに勝負ありです。

R5 小島慎也(慶應藤沢、2369)- 南條遼介(東大AA、2347)1/2-1/2 Ducth Classical

1. Nf3 f5 2. d4 e6 3. g3 Nf6 4. Bg2 Be7 5. O-O O-O 6. b3 d6 7. Bb2 Ne4 8. Nbd2 Bf6 9. Ne1 d5 10. f3 Nxd2 11. Qxd2 c5 12. e3 Nc6 13. f4 Bd7 14. Nf3 cxd4 15. exd4 Qb6 16. Rfe1 Rfe8 17. Kh1 Rac8 18. Rac1 a5 19. Red1 Red8 20. Ba3 Be8 21. Bc5 Qc7 22. Re1 b6 23. Ba3 Bf7 24. Bf1 Bh5 25. Ne5 Nxe5 26. fxe5 Bf3+ 27. Bg2 Bxg2+ 28. Kxg2 Be7 29. Bxe7 Qxe7 1/2-1/2

南條くんと久々にダッチのゲームです。少し良いかと思ってサクサク進めていましたが、24.Bf1?! からごっそりピースを交換せざるを得なくなり、そのままドロー。彼からのオファーは少し意外でした。

R6 竹本寛(慶應OB、2102)- 小島慎也(慶應藤沢、2369)1/2-1/2 Caro-Kann Exchange

1. e4 c6 2. d4 d5 3. exd5 cxd5 4. c3 Nc6 5. Bd3 Qc7 6. h3 Nf6 7. Nf3 g6 8. O-O Bf5 9. Re1 Bxd3 10. Qxd3 Bg7 11. Ne5 O-O 12. Bf4 Qb6 13. Nd2 e6 14. Ndf3 Nxe5 15. Bxe5 Rac8 16. Re2 Nd7 17. Bxg7 Kxg7 18. Ne5 Nxe5 19. dxe5 Rc4 20. Rd1 Rfc8 21. Qf3 Qd8 22. g3 Qg5 23. Kf1 h5 24. h4 Qe7 25. Qe3 b5 26. Rd4 b4 27. cxb4 Qxb4 28. Red2 Qb5 29. Kg2 a5 30. b3 Rc3 31. Qe2 Qc5 32. R2d3 Rc1 33. Rd1 Rc2 34. R4d2 Rc3 35. Rd4 Qb6 36. R4d3 R3c5 37. Qf3 Kg8 38. Qf6 Rc3 39. Qf3 Qb4 40. Qe3 Qg4 41. Rxc3 Rxc3 42. Qxc3 Qxd1 43. Qc8+ Kg7 44. Qd8 Qe1 45. Qf6+ Kg8 46. Qd8+ Kh7 47. Qf6 Kg8 1/2-1/2

竹本さんとは中学3年生以来、8年ぶりの対戦です。典型的なカロカンエクスチェンジのポーンストラクチャーで、クイーンサイドを食い破りチャンスを作ったはずでしたが、40...Qg3? で勝利は幻となりました。このエンドゲームを黒がどのように進めるべきか、今度大勢で集まったときに話し合ってみようと思います。

それではベストゲームである真鍋さんとの試合解説にいきましょう。


Manabe, H (2034) - Kojima, S (2369)
Team Championship 2011 (2)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. Nc3 dxc4 5. a4 Bf5 6. Ne5 Nbd7 7. Nxc4 Qc7!?

アメリカでのGerzhoy 戦以降、Sokolov's Variation (7...Nb6) よりも、こちらがベターなのではないかと思い始めました。
チーム選手権の一週間ほど前から研究を始め、すぐに試す場に恵まれました。

8. g3 e5 9. dxe5 Nxe5 10. Bf4 Nfd7 11. Bg2 g5!?

2000年頃にMorozevich が指したことを機会に、注目が高まってきたラインです。黒は自らポーンストラクチャーを乱しますが、その分、ダイナミックな攻撃のチャンスを得ます。

12. Ne3


最も良く指される手です。
12.Bxe5 Nxe5 13.Qd4 f6 0-0-0 Rd8!? (Aronian,L)
12.Nxe5 gxf4 13.Nxd7 0-0-0!


12...gxf4 13. Nxf5 O-O-O 14. Qc2 Kb8!?


ここは14...Nc5(最も多く指されている)や 14...Ng6Chess Explained, Main line Slav のお勧め)ではなく、あえてマイナーな手を選択しました。将来的なcファイルからの攻撃に備え、キングを避けておきます。

15. a5!?


一長一短あり、判断の難しい手です。a4のマスが活用できるようになりましたが、その代わりにa5自体がターゲットになったり、Nb5 とナイトをサクリファイスる可能性が消えてしまいます。個人的には、ロングキャスリングされるのが最も嫌だったため、その可能性が消える15.a5 は、ありがたい手でした。

16. O-O-O Bb4 17. Na2 Bc5 18. e3 a5 19. Kb1 Bb6 20. Nc3 Nc5 21. Nd4 h6 22. Rh5 Na6 23. Na2 Nc5 24. Nc3 Na6 25. Na2 Nc5 26. Nc3 1/2-1/2 Giri, A - Aronian, L / 73rd Tata Steel GMA

15... a6 16. O-O fxg3 17. hxg3 h5 18. Rfc1 Nf6 19. Ne3?

あまり見たことのない手だったため、少し驚きました。d5にナイトが跳びこもうという狙いですが、h5-h4を警戒してf5にナイトを残しておくのが普通です。15.a5 を生かした19.Ra4 ぐらいが無難だと思います。ここまではほぼ準備どおりだったため、ノータイムで指してきましたが、ここでじっくり時間をかけて考えます。

19... Neg4!?


19... h4 20. Qf5 Ned7 でも黒が優勢だとコンピュータは示しますが、私はなるべくナイトを退きたくありませんでした。そこで先にナイトを跳びこんで交換を狙い、後からhポーンを突く構想を立てます。

20. Nxg4 Nxg4 21. Na4 Bh6!


いつ...Bc5 が指せるかばかり考えていましたが、ナイトがf5から退いたことにより、このマスでビショップが使えることに気がつきました。c1のルークが攻撃されたことよりも、e3のマスに跳びこまれることのほうが不気味です。

22. Rd1 Rdg8!?


h5-h4からhファイルを開いても、e3にナイトなりビショップなりを跳びこませても、黒には強力な攻撃のチャンスがあります。そこでルークは交換せず、盤上に残します。

23. Ra3 Be3!

白のキング周りを崩し、一気に攻め込む強力な一手です。白にはうまいディフェンスがありません。

24. Nc5


単純にf2を落としては勝負にならないようにも見えますが、他の手でもダメです。

24. fxe3 Qxg3 25. Nc5 Nxe3 -+
24. Rxe3 Nxe3 25. fxe3 Qxg3 26. Qe4 Rg4 -+


24... Bxf2+ 25. Kh1 h4 26. Nxa6+ bxa6 27. Rb3+ Ka7 28. Bxc6 hxg3+ 29. Kg2 Rh2+ 30. Kf3 Ne5+ 31. Ke4 Rh4+ 32. Kf5 Rg5+ 33. Kf6 Nxc6 0-1

真鍋さんとしては不本意な試合だったかもしれませんが、マレーシアでなかなか勝ちに恵まれなかった私にとっては、嬉しい快勝でした。

今年のチーム選手権は色々と不備もありましたが、例年通り盛り上がったと思います。いつか慶應日吉チームとも、エキシビジョンマッチを組んでみたいですね。

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Shinya_Kojima さんのコメント...

Games ページにチーム選手権の全6試合を追加しました。

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