さて、昨日はカペル後半戦の初戦、6R でした。前日に勝ったのにも関わらず、対戦相手のレイティングは下がり、やる気が少し削がれますが、この大会の性質上仕方がありません。そしてこの日の対戦相手のフランスのおじさんは、前年に南條くんと対戦したプレーヤーのようですね。
Le Pape, V (FRA, 2004) - Kojima,S (FM, JPN, 2368)
Cappelle la Grande 2013 (6)
1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. Nc3 dxc4 5. a4 Bf5!?
Cappelle la Grande 2013 (6)
ハンガリーでは出番のなかったこちらを、久々に指してみることにします。もちろん白では何でも指しており、直前のラウンドもこれでしたね。
6. e3 e6 7. Bxc4 Bb4 8. O-O O-O 9. Qe2 Bg4!?
数年前にPlay The Slav の勧めとして発見、それ以降研究してきたラインです。FIDE 公式戦では、2011年のタイでのゲーム以来の登場となります。
10. h3 Bh5 11. Rd1 Nbd7 12. e4 Qe7 13. Na2!?
ノータイムで指す私に対し、相手はここまでかなりの時間を使ってきました。ここでナイトを退いてビショップを追い返すアイディアは、黒がh2-b8 のダイアゴナルを取れるため、満足な流れだと思います。13. e5 Nd5 14. Ne4 f6!? が私のメインの準備でした。
13... Ba5 14. b4 Bc7 15. Ba3 e5!
黒は完璧なタイミングで、e6-e5 のセンターブレイクを成功させ、すでにイコアライズに成功しています。ここまで私の消費時間は8分ほど、対する相手は1時間以上を使っていました。それによって無理をしなくても相手が自滅するだろうと考えたことが、この先のプレーを不正確にする要因だったと反省しています。
16. d5 cxd5!?
16... Nb6 17. dxc6 Bxf3! 18. gxf3 bxc6(この形でc6 が将来的な弱点になるかと思いましたが、白の開いたキング前のほうが明らか問題となっていることは一目瞭然でした。) 19. Bb3 Nh5! 20. Bc1 Rad8=/+ すぐに攻めきれずとも、ここからじっくりと白キングにプレッシャーをかけていけば、黒が優勢でしょう。
17. Bxd5 Nxd5 18. Rxd5 Nb6?!
ここで目先のマテリアルを重視したのは、この試合最初のミスでした。18... Nf6 19. Rd3 Rfd8 20. b5 Qe6=/+ 黒はダブルビショップを得たことで満足しておくべきです。
19. Rd3 Nxa4?! 20. b5 Nc5 21. Rd5 b6?!
21... Bd6 22. Rad1 Rfd8 23. Nc1 ならば白にポーンの代償がありますが、勝負の行方はまだまだ分からないでしょう。本譜の21... b6 は、c6、a6 のマスを弱めてしまい、白の反撃を許す形になってしまいます。
22. Nb4! Qf6?! 23. Na6!
なぜかc6 のマスしか見ておらず、このシンプルな手を見逃していました。白は落としたポーンを取り返し、イニシアチブを掴めそうです。そしてさらに、予想外の展開に動顛したか、ミスが続きます。
23... Ne6?
23... Bd6 24. g4 Bg6 25. Nxc5 Bxc5 26. Bxc5 bxc5 27. Rxc5+/= ポーンを取り返した白が明らかな優勢ですが、このように耐えるしかありません。
24. Nxc7?
これは相手の時間切迫によるミスで、再び黒が息を吹き返します。シンプルにエクスチェンジを取りに行けば、問題なく白の勝勢でした。24. Bxf8! Nf4 (24... Rxf8 25. Qe3!(なぜかこのクイーンが避ける手を考えておらず、黒にまだチャンスがあると勘違いしていました。)26... Bxf3 26. Qxf3 Qe7 27. Nxc7 Qxc7 28. Qf5+-) 25. Qd1 Qg6 26. g4 Nxh3+ 27. Kf1 Bxg4 28. Nxc7 Bxf3 29. Qxf3 Qg1+ 30. Ke2 Qxa1 31. Qxh3 Rxf8 32. Rd7+/- この3ポーンピースは白の駒の配置が良く、なかなかポイントを削るのは難しいでしょう。f8 を取られていれば、敗色濃厚でした。
24... Nxc7 25. Bxf8 Nxd5 26. exd5 e4!-/+
白が見落としていたのはこの一手です!黒はf3とa1 のダブルスレットによって、再び攻勢に戻ります。
27. Qe1 exf3 28. Be7 Qg6 29. g3 Qf5!
h3 とd5 をダブルアタックする、勝つための重要なアイディアです。これで駒数は2ポーンアップとなり、丁寧に指せばあとは勝てるはず...でしたが?
30. d6 Qxh3 31. Qf1 Qd7 32. Rc1 Rc8 33. Kh2 Bg4 34. Rc4 h6?
コンピュータで解析するまで、この手が悪手だとは全く考えませんでした。バックランクを守るのを遅らせ、34... Rxc4! 35. Qxc4 Qf5-+ ならば黒勝ちです。
35. Qc1??
黒は再び、相手のミスに助けられました。35. Rxg4! Qxg4 36. Qh3!(驚くべきアイディアで、白はd7 のマスを奪い、パスポーンを生かしてマテリアルを取り戻します。)36... Qc4 37. d7 Ra8 38. d8=Q+ Rxd8 39. Bxd8 Qxb5=/+
35... Rxc4 36. Qxc4 Qf5-+
これでようやく黒は一息つけます。白はg2 でのメイトを防ぐためにクイーンが自由に動けず、ジリ貧の展開となります。
37. Qf1 Qh5+ 38. Kg1 Bh3 39. Qd1 Bd7 40. Qa4?? Qh3 0-1
今大会の相手で一番レイティングの低い相手に、危うくポイントを落とすところでした。残り3戦、より気を引き締めて試合に臨まなければいけませんね。連勝でようやくボードが上がり、7RはロシアのGM Kiselev, V との対戦です。今大会は不調のようで、下にドローを続けているようですので、私のここに一枚噛んでポイントを削ってこようと思います!
この日は三村くんと石塚さんが2100台に挑みましたが、あえなく負け。小林くんは1600台とドローで意気消沈です。一方で橋本さんは相手のミスに助けられながらも、1600のFIDE を持つプレーヤーに勝ち!4人はそろって3P になりました。彼らもハーフ、そして勝ち越しを目指すのであれば、最後の3戦をより一層、しっかりと指さなければいけません。
Kojima, S (FM, 2368) 4/6 RP 2360
Kobayashi, A (1997) 3/6 Rp 2023
Ishizuka, M (1790) 3/6 Rp 1856
Mimura, K (1770) 3/6 RP 1926
Hashimoto, A (UR) 3/6 Rp 1664
あれ、私だけパフォーマンスがレイティングより下? でも、ここまではレイティングプラスです。大丈夫!
さて、今日の記事の最後は今大会の女子プレーヤー特集とします。今回のメインですね(笑)カペルには毎年、各国からとても多くの女子プレーヤーが参加しており、その数は他のオープン大会と比べ物にならないと思います。(全体数が多いので当然ですが)去年は半数近くのラウンドで、女子プレーヤーを引いた日本の若者もいましたね。