2013/02/19

CAISSA 2013 February 5th and 6th rounds - Heaven And Hell -


18日は前夜にオーガナイザーに言われ、1日2試合のスケジュールにしました。ここを良いスコアで乗り切れば、最後のIM ノームが見えてきます。

Kojima,S (FM, JPN, 2368) - Meszaros, A (IM, HUN, 2243)
CAISSA IM February(5)

1. Nf3 c5 2. c4 e6 3. Nc3 d5 4. cxd5 exd5 5. d4 Nc6 6. g3 Nf6 7. Bg2 Be7 8. O-O O-O 9. Bg5



Queen's Gambit Tarrasch はMeszaros のレパートリーの一つだったので、軽く復習をしていました。

9 ... cxd4 10. Nxd4 h6 11. Be3 Re8 12. Qa4 Na5 13. Rad1 Bd7 14. Qc2 Rc8 15. Nf5 Bf8 16. Bxd5! Re5 17. Nxh6+! gxh6 18. Qg6+ Kh8?


18... Bg7 のほうが良いディフェンスです。しかし決定打を見つけることができませんでした。

19. Bxf7 Nc6 20. Nd5?



20. Bxh6! Bxh6 21. Rxd7!!+- 時間をかけたにもかかわらず、この21手目が読めませんでした。2ピースルークにするよりも、こちらのほうがはるかに簡単な勝利です。

20... Bf5 21. Qxf6+ Qxf6 22. Nxf6 Kg7 23. Bd5 Kxf6 24. Bxc6 bxc6 25. Bd4 Ke6 26. Bxe5 Kxe5


このポジションはほぼイコール(ポーンは多いですが、ダブルビショップは非常に強力!)だと思いますが、まだどちらにもミスがあり得るので、結果はまだ分かりません。勝ちを求めてゲームを続けます。

27. Rc1 Be6 28. Rfd1 Bxa2 29. Ra1 Bd5 30. Rxa7 Bc5 31. Ra4 Rb8 32. Rd2 Bb4 33. Rd3 Bc5 34. Rd2 Bb4 35. Rc2!?



ここでドローにしては面白くないので、リスクを承知で勝負にいきます。

35... c5


35... Bb3 36. Rxb4 Rxb4 37. Rxc6 はイコール評価をコンピュータは下しますが、勝ちのチャンスがあるとすれば間違いなく白でしょう。

36. Ra6 h5 37. Rh6 Ra8 38. Rxh5+ Ke6 39. Rc1! Ra2 40. f3?!


40. Rd1! Bb3 41. Rh6+ Ke7 42. Rdd6 Rxb2 43. Rb6+/- これで白良し評価とは... なかなかこういったダブルルークの使い方は難しいですね。

40... Bd2 41. Rc2 Be3+ 42. Kg2 c4 43. Rh4 Kd6 44. Rhxc4!?



オリンピアードでもそうでしたが、私は相手のパスポーンの価値の評価が苦手なんでしょうか。私としてはここでルークを切って、負けるリスクを完全になくすのがベストだと思いましたが、コンピュータはcポーンをそこまで気にしなくても良いと判断します。

44... Bxc4 45. Rxc4 Rxb2 46. f4 Kd5 47. Rc8 Bxf4!?


予想外の相手からのサクリファイス!f、h のパスポーンのルークエンディングは三阪さんのブログで記事を読みましたが、全て忘れました!時間のない中自分で考え他のしては、ここからうまく指せていると思います。

48. gxf4 Rxe2+ 49. Kg3 Re7 50. Rg8 Ke6 51. Kg4 Kf7 52. Ra8 Re2 53. h4 Rg2+ 54. Kf5 Kg7 55. Ra7+ Kh6 56. Kf6 Rg4 57. f5 Rxh4 58. Ra1 Kh7 59. Kf7 Rh2 60. f6 Rh6 61. Rg1?!



この辺りで残り時間が2分を切り、正確な勝ちのプランが分からなくなってきました。とりあえずはメイトスレットを残しつつ、gファイルでキングをカットだと思って指しましたが、シンプルにルークがパスポーンの裏に回って勝ちでした。61. Rf1! Rh4 62. Kf8 Ra4 63. f7 Ra7 64. Ke8 Ra8+ 65. Ke7 Ra7+ 66. Ke6 Ra6+ 67. Kd5+-

61... Rh2 62. Rg3 Rh1 63. Rg2 Rh3 64. Rg4 Rh1 65. Rg5 Rh2 66. Kf8?


やはりルークがf1 に回れば勝ちです。66. Rg1 Rh4 67. Rf1+-

66... Ra2 67. Rg7+ Kh6 68. Re7 Kg6 69. f7 Ra8+??



試合後、Meszaros には69... Kf6!= がオンリーディフェンスではないかと話しました。これならば、白はf7 を守りきることができず、ドローになります。この形で勝てないとは意外でした。

70. Re8 Ra7 71. Re6+ Kh7 72. Re2 Ra8+ 73. Ke7 Ra7+ 74. Kf6 Ra6+ 75. Re6 1-0


最後はブダペストから応援に駆け付けてくれた友人2人が見守る中、しっかり黒の反撃を振り切って勝利です。しかし、エンドゲームは難しい!時間がなくても、正確に勝ちきるプランを見つけられるよう、別途のトレーニングが必要ですね。


昼食は、ブダペストから遊びに来てくれた友人たちとイタリアンへ。


Coleman, J (CM, ENG, 2126) - Kojima,S (FM, JPN, 2368)
CAISSA IM February(6)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. Nc3 dxc4 5. a4 e6 6. e4 Bb4 7. e5 Nd5 8. Bd2 b5 9. axb5 Bxc3 10. bxc3 cxb5 11. Ng5 Nc6 12. Qh5 Qe7 13. h4 b4 14. Bxc4 bxc3 15. Bc1 g6 16. Qd1 Qb4 17. Ne4 c2+ 18. Qd2 Qxd2+ 19. Kxd2!



相手は私のFirst Saturday のFarkas, L 戦を見て研究してきたのでしょう。ここはキングで取り返すのがベターで、ここからカオスなポジションに突入します。

19... Nxd4 20. Nd6+ Kd7 21. h5 g5 22. Ba3 Nb6! 23. Ba2 Ba6 24. Nxf7 Rhc8 25. Bb2! Rf8!? 26. Bxd4 Rxf7 27. Bxe6+?


27. Kxc2! Bb7 28. f3+/= ならば、ダブルビショップを持つ白がやや良さそうですが、d5 にアウトポストを持つ黒もさほど悪くないだろうと考えていました。

27... Kxe6 28. Rxa6 Rd7



28... Rd8 29. Ke3 Rc7 30. Rc1 Kf5 31. Bxb6 axb6 32. Ra2 Rc5!!(試合中、このメイティングネットを貼るアイディアが思い付きませんでした。パスポーンに相手ルークをくぎ付けにしておき、センターのキングを仕留める大胆な狙いです。) 33. g3 (33. g4+ Kxg4 34. f3+ Kg3 35. Ke4 Rdc8-+) 33... g4 34. f4 Rc3+ 35. Ke2 Rdc8-+

29. Ke3 Rc8 30. Rc1 Kf5 31. Bxb6 axb6 32. Ra2 Rdc7?!


ここも先述の32... Rc5! のアイディアで黒勝ちです。

33. Rb2 Rc6 34. Kd2 Rd8+ 35. Ke3 Rdc8 36. Kd2 Kxe5 37. Re1+



ここでポーンを取ったエンドゲームが白に助かるチャンスがあるのかは、かなり難しい判断です。コンピュータの評価は黒勝ちでした!37. Rbxc2 Rxc2+ 38. Rxc2 Rxc2+ 39. Kxc2 Kf4! 40. Kb3 g4 41. Kb4 Kg5 42. Kb5 Kxh5 43. Kxb6 g3!-+

37... Kf6 38. Kc1 Ra8 39. Kd2??


試合中、この手を読んでいなかったので時間が増える間際で焦ってしまいました。ところが、これは全くディフェンスになっていません!39. Rxc2 Ra1+ 40. Kb2 Rxc2+ 41. Kxa1 Rxf2-/+ ならば、白キングの位置はかなり悪く、黒が順当に勝てそうです。

39... Rd8+? 40. Kc1 Ra8 41. Kd2 Ra4?



指した後で即勝ちの手があったことに気が付きました。時間が増えたのもかかわらず、冷静でなかったですね... 41... c1=Q+! 42. Rxc1 Rd8+-+

42. g3 Ra5 43. Rxc2 Rxc2+ 44. Kxc2 Ra2+ 45. Kd3 Rxf2 46. Rb1 g4 47. Ke4 Kg5 48. Rb5+ Kh6 49. Rxb6+ Kxh5 50. Rb5+ Kg6 51. Rb6+ Rf6 52. Rb5 h5


このルークエンディングはドローになりそうです。ところが最後の最後で相手にとんでもないミスが出ます。

53. Ra5 Rf3 54. Ra6+ Kg5 55. Ra5+ Kg6 56. Ra6+ Rf6 57. Ra5 Rb6 58. Ra4



この手はダメですはないですが、58. Rc5= と5段目をキープしておくほうがはるかに簡単でしょう。

58... Re6+ 59. Kf4??


代わりに59... Kd4! ならば黒のブレイクは成功しません。

60... Rf6+ 60. Ke4 h4!-+ 61. Ke5 Rf5+ 62. Ke6 hxg3 0-1



最後は相手のミスで勝ったから良かったものの、39手目付近の簡単な勝ち筋を見逃し、結果がドローだったら悔やんでも悔やみきれません。まさに結果オーライといった具合です。そして2試合とも60手を超えるゲームで、大変疲れました。

この日の連勝で勝ち越しは早くも4に!残り3戦も気を引き締めて臨みます。

02/14 Lyell, M (FM, ENG, 2200) - Kojima, S (FM, JPN, 2368) 0-1
02/15 Kojima, S (FM, JPN, 2368) - Farkas, T (IM, SRB, 2251) 1-0
02/16 Zhou, G (CHN, 2178) - Kojima, S (FM, JPN, 2368) 1/2-1/2
02/17 Kojima, S (FM, JPN, 2368) - Hajnal, Z (IM, HUN, 2364) 1/-1/2
02/18 Kojima, S (FM, JPN, 2368) - Meszaros, A (IM, HUN, 2243) 1-0
02/18 Coleman, J (CM, ENG, 2126) - Kojima, S (FM, JPN, 2368) 0-1
02/19 Mede, I (FM, HUN, 2235) - Kojima, S (FM, JPN, 2368)
02/20 Korpa, B (FM, HUN, 2357) - Kojima, S (FM, JPN, 2368)
02/21 Kojima, S (FM, JPN, 2368) - Juhasz, A (HUN, 2185)

3 件のコメント:

misaka さんのコメント...

一試合目、黒キングd5で f+h をドローにできるとは到底思えませんが、絶望的な 4P vs B を続けるよりは practical chance があるとの判断は正しいと思います。
もし白のポーンが f2 or f3 なら 50.Rf8! で一瞬で終わりなのが明らかですが、f4 だから 50.Rf8 がないと読んだならば、f+h をかなり知っていると思います。

その後の 53...Rg2+ からの一連の流れはセンスがないと思います。53...Kg7 か 53...Rb2 で普通に守れます。h-pawn を取りに行って難しくするのは dvoretsky の Endgame Manual をきちんと読んでれば、絶対に指さない手です。改めて見返すと Polugaevsky - Ree, Amsterdam 1981 で色とサイド違いで Polugaevsky が本譜とまったく同じ間違いをしていました。

なお9手目から10手目にかけて一手飛んでいます。

Shinya_Kojima さんのコメント...

丁寧なコメントありがとうございます。

私ももう一度記事を見直してみますので、帰国してお会いした際には、また教えて下さいな。楽しみにしてま~す。

Yumi さんのコメント...

あとちょいですね‼ 頑張って‼

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