2013/04/30

GM Nielsen & Cmilyte 京都大学イベントレポート

今夜は京都の池田くんから、京都大学でのイベントレポートが届きましたので、そちらを公開しようと思います。全日本直前の忙しい時期に、立派なレポートを書いてくれた池田くんには、心から感謝しています。


4月28日、日曜日の午後から、京都大学で2つのチェスイベントが開催されました。デンマークのGM Peter Heine Nielsen がレクチャーを、リトアニアのGM Viktorija Čmilytė が同時対局を行いました。参加者は25人ほど集まりました。Peterのレクチャーは2時間ほどの長さで、非常に面白かったです。講義は彼が子供の頃にチェスを習った時から、現在のプロ選手、そしてセコンドに至るまでのチェス人生についての話で始まり、その中では次の文(大まかな和訳)が印象的でした。

「チェスのプロには意識してなったというよりも、他の多くのプロも同じだと思うが、子供の時からチェスが大好きで、どんどん上手くなるにつれ、当たり前のようにチェスが生活の、そして意識や思考の一部となっていて、プロになったのは自然に起こった事なんだ」

Peter はFIDE 2700にも到達した事があり、2010年には世界トップ40にランクインしたほど強い選手ですが、広いチェス界の中でも彼が特別なのは、セコンドとしての役目を通してでしょう。2001年のチェス・ワールドカップで彼はAnand と対戦し、1.5-0.5で負けたものの、オープニングの鋭さやチェスのセンスにAnand が目を付け、一緒にトレーニングをしないかと聞かれたそうです。Vishy のセコンドとしての10年はそこで始まり、2007年でVishy が世界チャンピオンになった大会を始め、2008年、2010年、そして去年の2012年のタイトル防衛を、Peter がチームの一員としてサポートしていました。

そして、今年1月にチェスメディアを沸かせたニュースは、Peter がAnand のセコンドをやめ、世界ランキング1位のCarlsen のセコンドに就いたというものでした。今年11月の世界タイトル戦はまさにこの2人がぶつかるのですが、王者・挑戦者の両方をよく知っているPeter としては中立の立場を取り、どちらのサポートもしないと決めています。

レクチャーの締めくくりとしては、つい最近のドラマティックなCandidates 大会の中から、Peter がMagnus の一番良い試合だと思う、対Gelfand 戦(R10)を解説してくれました。Magnus のどの資質が他のトップ選手より結果を残せる事につながるのか、彼は実戦においてどういうところが特に秀でているのかなど、現在世界で一番強いプレーをする選手に近しいPeter から直に聴く事ができたのはとても貴重でした。

笑えるエピソードもありました。2005年のワールドカップにて、14歳のCarlsen はロシアのGM Malakhov とのマッチで、2引き分けのあとRapidplay の1試合目で負け、残るには勝つしかあとがなくなりました。さらに、このマッチを勝てばCandidates 大会への史上最年少出場者となるプレッシャーもありました。次の試合までの短い30分間の休憩で、セコンドを務めていたPeter はMagnus にどう接し、励ますべきか悩みましたが、友人の「とにかく笑わせろ!」という助言をもとに、選手とセコンドは・・「動物たちがなんかのスポーツをやる、変なコンピューターゲーム」を時間ぎりぎりまで楽しみ、Carlsen は次もその次の試合も難なく勝ち、前述の記録を塗り替えました。

レクチャーが終わり、Viktorija のSimul へと移りました。参加者は13人で、僕もせっかくの機会なので指しました。彼女が13の机、そして盤を一回りしている間、たっぷり考える時間があるにも関わらず、ミドルゲームでひどい手をいくつか指してしまい、代償もなしに2ポーンダウンとなってしまいました。しかしSimul をやる側としてはじっくり、細部まで全て考える余裕も猶予もないため、彼女は勝勢となった直後にバックランク関連のブランダーを犯してしまい、試合は27手で黒の勝ちで終わりました。

Peter は「日本のSimul に参加する選手のレベルは高い」と驚いていました(前日は東京で彼もViktorija もSimul を行いました)。今回は13試合の内、Viktorija は8勝をおさめることができましたが、3人は引き分けを成し遂げました(Viktorija がまだ頑張れた試合もありましたが、時間の都合で早めにドローとしたりもありつつ)。その内1人は小学6年生の大多和君で、彼の試合への集中力へは僕も感心しました。高校生の平尾君も引き分けました(3人目は分かりません)。そしてもう1人、Viktorijaを破った参加者がいましたが、名前はあいにく覚えていません。スイスで7年働いていた眼鏡をかけた社会人の方です。

Simul のあとは大学の近くのカフェで、Peter とViktorija 含め15人ほどでディナーを食べ、チェスや将棋を主に和やかな話が色々交わされました。京大の若島教授と、直接は会った事はありませんが、Peter とViktorija に連絡を取り、このイベントを企画してくださったジャック・ピノー氏、そしてイベントの準備・運営を手伝ったスタッフ・ボランティアの方々にはこの場を借りて感謝の言葉を贈りたいと思います。参加者は皆楽しめたと思います。

僕はこの4月から来年の2月まで、キャンベラのオーストラリア国立大学からの交換留学生として京都大学に来ているのですが、日本でもチェスをやり、チェスコミュニティーの人たちと知り合うのを楽しみにしています。京都大学ではチェスクラブが4月に設立され、これから京都、そして関西から、チェス選手や愛好家、チェスに興味のある初心者など、メンバーが増える事を期待しています。5月の日本選手権は2006年のジャパンオープン以来、日本での2大会目となるのでとても楽しみにしています。2月までの短い間ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

Written by FM Junta Ikeda

4 件のコメント:

bmasahiro さんのコメント...

>スイスで7年働いていた眼鏡をかけた社会人の方

Mr.Matsuoですかね。

Shinya_Kojima さんのコメント...

なるほど、彼で間違いないでしょうね。
なぜ私は気付かなかったのか(笑)

匿名 さんのコメント...

若島氏のツイッターのページを発見

https://twitter.com/propara

匿名 さんのコメント...

8/2R4p/7k/2P3p1/8/8/2r5/7K w - - 0 1
松尾氏(?)のところはg5としたところでこんな局面で(うろ覚えでRのいる筋が怪しいですが)お茶飲みに行って帰ってきたら終わってて池田さんがシメの挨拶をしていました。

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