今年も年内最後の大きな公式戦、ジャパンオープンが終了しました。優勝は最終日も連勝の南條くんで、2位に1P 差をつけ、7/8 というスコアでした。南條くんは最後で、今年の国内トーナメント初優勝を果たしました。南條くん、優勝おめでとう!
1st Place Nanjo Ryosuke (IM, JPN, 2427) 7/8
2nd Place Tran Thanh Tu (CM, VIE, 2495) 6/8
3rd Place Kojima Shinya (IM, JPN, 2457) 6/8
4th Place Yamada Kohei (CM, JPN, 2217) 6/8
5th Place Habu Yoshiharu (FM, JPN, 2415) 6/8
2nd Place Tran Thanh Tu (CM, VIE, 2495) 6/8
3rd Place Kojima Shinya (IM, JPN, 2457) 6/8
4th Place Yamada Kohei (CM, JPN, 2217) 6/8
5th Place Habu Yoshiharu (FM, JPN, 2415) 6/8
最終的には大きな波乱もなく、上位を占めたのはレイティングの高いタイトルホルダーでしたね。A,B クラスで入賞したみなさんも、おめでとうございます。私は7R でAlex 相手に難しいゲームを勝ち切ったものの、最終戦で東京オープン同様、Tuさんに黒を持って敗れ、3位に後退してしまいました。また次の対戦でこそ、リベンジを果たしたいと思います。
31. Bxc6!?
ここは残り12分ほどまで考え、勝負を仕掛けることにしました。本譜のルークエンディングになった場合、勝てるのかは定かではありませんでしたが、白が優勢なのは確実ですので、思い切って試してみることにします。31. Bf3 Kg8 32. Ra1+/= として、ゆっくり指すのもありだったでしょう。
31... Rxc6 32. Qh7 Ke8
ここはAlex の決断は早かったです。32... Bd8 33. Rxc6 Bxc6 34. d5 Rxd5 35. Bxg7+ Ke7! (35... Ke8? 36. Qg8+ Kd7 37. Qxf7+ Be7 38. Bf6 Qf8 39. Qxe7+ Qxe7 40. Bxe7+/-) 36. e4 Rd3 37. Bxh6 Qd7 38. Bg5+ Kd6 39. Bxd8 Qxd8 40. Qxf7= こうなった場合、形勢評価は非常に難しいでしょう。本譜はピースを返して1ポーンダウンになっても、キングは確実に生きる安全策です。
33. Qg8+ Bf8 34. Rxc6 Bxc6 35. d5 Rxd5 36. Bxg7 Ke7 37. Bxf8+ Qxf8 38. Qxf8+ Kxf8 39. Rxc6
こうしてピースを取り返した白ですが、クイーンサイドの2ポーンはお互いに取り合いになるため、キングサイドの4対3 のポーンで、勝てるかどうかがこのエンドゲームの焦点となります。
39... Rd3 40. Rc7 Rxb3 41. Rxa7 Ra3 42. g4 b3 43. Kg2 b2 44. Rb7 Rxa6 45. Rxb2 h5?!
このポーン突きは不用意だったのではないかと、検討で話をしています。黒は45... Ra5 ぐらいで5段目をカットオフし、白キングの動きを制限するほうがタフなディフェンスができたでしょう。
46. g5!?
ポーンを交換した場合、白に残るのはhファイルのパスポーンですので、これを武器に勝ち切るのは心もとないと考えました。そこで、gポーンは交換せずに盤上に残します。46. gxh5 Ra5 47. h6 Rg5+ (47... Rh5?! 48. Rb8+! Ke7 49. Rh8+/-) 48. Kh1 Kg8 49. f4 Rh5 これは黒は本譜よりディフェンスしやすいかもしれません。
46... Ra5 47. h4 Ra4 48. Kh3 Kg7 49. f3 Ra3 50. Re2 Kg6?!
キングを上げるのは自然な手にも見えますが、すぐにポーンを交換するほうが安全です。50... f6 51. gxf6+ (51. Kg3 fxg5 52. hxg5 Kg6 53. f4 e5! 54. Kh4 Ra4= これはどう考えてもドローです。) 51... Kxf6 52. Kg3 Ke5 これであれば、黒は本譜よりも1手得しています。
51. Kg3 f6 52. gxf6 Kxf6 53. e4
私はここまできて、ようやく具体的に勝てる形が見えてきたように感じました。白のf3、h4 はさほど負担にならず、逆に黒の2つの孤立ポーンを両方守るのは大変そうです。しかし、うまく指せばここからでも、まだ黒はタフなディフェンスを見せることができます。
53... Rb3 54. Ra2 Rb5 55. Ra8 Rc5 56. Kf4 e5+ 57. Kg3
一度キングの侵入を見せ、e6-e5 を指させておけば、f5 とg5 のマスにルークが侵入するチャンスができます。そうなれば、黒は5段目にある2つのポーンを守り切ることが難しくなると考えました。
57... Rb5?
これはうかつな一手でした。57... Kg7! が正しいディフェンスで、f8-h8 の3マスを抑えることで、白のルークにポーンを狙う隙を与えません。e5 だけであれば、ルークの横利きで守っておけばOKです。ここから局面は一気に動きます。
58. Rf8+ Kg6 59. Rf5 Ra5 60. Kf2
ルークをf5 に入れた後は、いよいよキングの出番です。白キングが上がってきてe5 をアタックすることは防げないため、黒はe5 とh4 を交換するしかありません。
60... Ra2+ 61. Ke3 Ra3+ 62. Ke2 Ra2+ 63. Kd3 Rh2 64. Rg5+ Kh6 65. Rxe5 Rxh4
これで狙い通りに2コネクテッドパスポーン vs ポーンのルークエンディングになりました。これは勝てるはずだと信じながらも、今年の全日本の塩見さんとの試合で意外なほどに苦戦したため、気を引き締めてゲームを続けます。
66. Re8 Rh1 67. Ke3
ここは見返してみれば、67. Rg8 とカットオフするほうが良いに決まっています。
67... Kg5 68. Rg8+ Kf6 69. Kf4 Rh4+ 70. Kg3 Rh1 71. Kf4 Rh4+ 72. Ke3 Rh2 73. Rg1 Ke5??
時間を増やしながら、ゆっくりとポジションを改善していこうと思っていた矢先、Alex にひどいミスが出ました。これは白がメイトスレットを作れるため、hポーンを取ることができます。
74. Rg6! Rh3
f3-f4 がメイトスレットになっているため、3段目でルークを使うしかありません。
75. Ra6! h4 76. Rh6!
これでツークツワンクとなり、黒はhポーンを見捨てなければいけません。ここまで来れば、後は時間の問題です。
76... Rg3 77. Rxh4 Rg1 78. Rh5+ Ke6 79. Kf4 Rg8 80. Rh6+ Ke7 81. Ke5 Rg5+ 82. Kd4 Ra5 83. e5 Rb5 84. Ke4 Rb3 85. f4 Rb4+ 86. Kf5 Kf7 87. Rh7+ Kg8 88. Ra7 Rb8 89. e6 Rf8+ 90. Ke5
90. Kg6 と指してf4 を捨てても、ルークを交換したポーンエンディングは白勝ちです。
90... Rb8 91. f5 Rb1 92. Ra8+ Kg7 93. f6+ Kg6 94. Rg8+ 1-0
この長いエンドゲームを勝ち切れただけに、最終戦の負けは悔しかったです。次の試合は12月最初のIVL になるので、そちらまた頑張ります。ジャパンオープン参加者の皆さん、お疲れ様でした!
2日目を休んだ羽生さんは、7R で小林くんとドロー、8R でSimutanyi さんに勝って、6P グループに入りました。次回のトーナメントはフルで出場し、上位勢との対戦を多くこなして欲しいですね。
2日目に0.5/3 と崩れた青嶋くんも、最終日は立て直して連勝し、5.5P でのフィニッシュです。来年の全日本選手権の出場権利も獲得しましたので、今後ますます頑張ってもらいたいですね。そろそろ南條くんとの対戦も見たいところです。
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