2019/01/25

International Chess Festival in Leányfalu 2019 R3


インドのAudi Ameya とは、11月のブダペストで当たって以来、3回目の対戦となります。最初は黒でぼろ負け、2回目は白で怪しく勝ち、ここまで1勝1敗でした。私もGM との黒での連戦を終えて迎えた今大会初めての白ですので、ここは何とか勝っておきたいところです。

Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Audi, A (FM, IND, 2322)
International Chess Festival in Leanyfalu 2019 (3)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. d4 Bg7 4. g3 O-O 5. Bg2 d6 6. O-O Nc6 7. Nc3 a6 8. d5 Na5 9. b3 Rb8 10. Bg5 c5 11. dxc6 Nxc6 12. Qd2 b5 13. cxb5 axb5 14. Rac1!



前回とは違い、King's Indian Fianchetto になりました。GM Ilincic のゲームでは、14. Bh6 b4 15. Bxg7 Kxg7 16. Nd5 Nxd5 17. Qxd5 と進んでいましたが、私は事前の準備でこれよりも面白い変化を見つけ、それを今回は指すことにします。

14... Bd7 15. Rfd1 b4


彼はこの手を悔やんでいましたが、他に自然に思える手もあまりなく、これでなければ次にBg5-Bh6 と入るつもりでした。

16. Bxf6! Bxf6 17. Nd5 Bg7 18. Rc4!



Audi が見落としたのはこの手で、これで白はb4 のポーンを確実に取ることができます。黒にはダブルビショップと厚いセンターによる多少の代償があると記憶してましたが、その具体的な方法は私も覚えていませんでした。

18... e6 19. Nxb4 Nxb4 20. Rxb4 d5


b4 を取らせるなら早めに取らせ、d6 の弱いポーンは伸ばしてカバーするという本譜の流れも自然に見えます。私もこれが読み筋でしたが、以下のように進めるとどうなるのか、Audi に投げかけてみることにします。

21. Rxb8 Qxb8 22. e4!?



g2 のビショップを活用するためには、d5 のポーンを崩し、h1-a8 のダイアゴナルを開くのが最も効果的です。しかし、その一方でナイトと白マスビショップの交換は異色ビショップを残すことになりますし、e2-e4 のブレイクは将来的にf2 を狙われやすくします。白が勝ちにいくためには異色ビショップにしてでも本譜のように早々にセンターを開くべきなのか、e2-e3、Bg2-Bf1 のようにゆっくりやるべきなのか、判断がつきかねるところです。コンピュータは本譜で良いと評価しますが、ここはもう少し検討の余地がありです。

22... dxe4 23. Qxd7 exf3 24. Bxf3 Qb4?!


Audi には試合後、24... Bf6! が良い手なのではないかと指摘しました。彼のアイディアはクイーンとビショップで早めに黒マスを抑え、白の2コネクテッドパスポーンを動けなくすることですが、f8 のルークがパッシブなままでは面白くないでしょう。Bg7-Bf6 でd8 のマスに利きを作ると、Rf8-Rd8 からルーク交換を狙うことができ、本譜より黒は楽になるのではないかと思います。白がルーク交換を避けようものなら、Rf8-Rd8-Rd2 が強力な反撃になり、dファイルを抑えた黒はビショップをd4 に置いて、f2 を狙うことも容易でしょう。そのためルークの交換は強制だと考えていました。

25. Kg2 Qa3 26. Rd2 Bc3 27. Rc2 Be1 28. h4 h5 29. Qb5!?



ここは29. Qd4 からc3 のマスを抑え、f6 への侵入を見せるアイディアもありました。本譜はh5 でビショップを捨て、黒キング前を崩す狙いになっているため、黒はこれに対処しなければいけません。

29... Qb4 30. Qxb4 Bxb4 31. a4


これでクイーンを交換し、局面はまた違った特徴を見せることになります。黒はビショップでb4, a5 のマスを抑えてなるべく白のパスポーンの前進を防ぎ、白はそれらの黒マスをどう奪い返すかという勝負になってきます。白としてはありがたいのは、クイーンが消えたことでf2 への反撃はあまり怖くなくなったので、キングがゲームに参加しやすくなったことです。

31... Rd8 32. Rc4 Rb8 33. Bc6 Kf8 34. Bb5 Bd6 35. Kf3!



a4, b4 のポーン並びにしても、白マスビショップとルークだけでは、そこからポーンを前進させるプランがありません。そこでキングをクイーンサイドに回し、ポーンを進める手助けをします。

35... Ke7 36. Rc6 Be5 37. Ke4 Bd6 38. Kd3 Bb4 39. Rc7+ Kf8 40. Rc4 Bd6 41. b4


あとはキングをb3 に置き、Bb5-Bc6, a4-a5 というのが私の作戦でした。黒は何とかして反撃を作らなくてはいけません。

41... Ke7 42. Kc2 f6 43. Kb3 Rb6 44. Rc8 Rb8 45. Rc6 g5



何かしら手を作らなければいけない黒はキングサイドを開こうとします。実戦的に良いアイディアだと思います。

46. Kc4 gxh4 47. gxh4 Rg8!


この手を見落としており、少し作戦の練り直しです。

48. Kb3 Rg1 49. Bd3! Rd1 50. Bc2 Rd4 51. Rc4!



ここまでくればルークを交換しても白が勝つことができます。

51... Rxc4 52. Kxc4 Kd7 53. a5


異色ビショップの基本は、2コネクテッドパスポーンを相手のビショップと同じ色になるよう進めることです。誤って逆の色にポーンを進めてしまうと、相手のビショップにブロックされ、そこから進める手段を失ってしまいます。

53... Kc7 54. b5 f5 55. b6+ Kc6 56. Ba4+ Kb7 57. Kb5 Be7 58. a6+ Ka8 59. Bd1 e5 60. Bb3 Bxh4 1-0



最後は2枚目の棋譜を取りにいこうとしたところで相手がリザイン。少し自信のない局面もありましたが、こうしたゲームを勝ち切れたのは素直に嬉しいです。これで1/3 を消化し、1勝1敗1ドローのイーブンに星を戻しています。

1/22 14:30 R1 Horvath, A (GM, HUN, 2508) - Kojima, S (IM, JPN, 2393) 1-0
1/23 14:00 R2 Varga, Z (GM, HUN, 2439) - Kojima, S (IM, JPN, 2393) 1/2-1/2
1/24 14:00 R3 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Audi, A (FM, IND, 2322) 1-0
1/25 14:00 R4 Chan, K (MAS, 2228) - Kojima, S (IM, JPN, 2393)
1/26 14:00 R5 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Xu, Y (IM, CHN, 2528)
1/27 Rest Day (Hungarian Team Championship のため)
1/28 14:00 R6 Krstulovic, A (FM, HUN, 2332) - Kojima, S (IM, JPN, 2393)
1/29 14:00 R7 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Kantor, G (IM, HUN, 2514)
1/30 14:00 R8 Aczel, G (GM, HUN, 2551) - Kojima, S (IM, JPN, 2393)
1/31 09:00 R9 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Mahalakshmi, M (WIM, IND, 2218)

+3 Horvath
+1 Aczel, Xu, Krstulovic
+-0 Kantor, Kojima
-1 Varga, Mahalakshmi
-2 Audi, Chan

International Chess Festival in Leányfalu GM Section


この日もHorvath は止まらず、ちょっと悪いかなと思った局面から逆転勝ちで、3連勝の独走態勢です。私も今日勝って、GM トーナメントで久々の勝ち越し状態に入りたいですね。

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