2019/06/10

Asian Continental Chess Championships 2019 R4


空き時間に選手村(?) を散策すると、宿泊棟の合間には様々な空間があることがわかります。中国式の庭園もあれば、こうした人口の池もあります。意外と深いので、決して飛び込まないようにという立て看板も、漢字ですので意味はすぐ理解できました。

4R の相手はフィリンピン代表のGM Gomez John Paul です。フィリピンのGM とはこの10年で、かなり多く対戦をしてきましたが、彼とは初対戦になります。初手が4種類ほど、なんでもあるGomez ですので準備は大変で、しかも簡単に裏切られした。

Gomez, J P (GM, PHI, 2467) - Kojima, S (IM, JPN, 2400)
Asian Continental 2019 (4)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. d3 d6 6. c3 g6 7. O-O Bg7 8. Nbd2 O-O 9. Re1 Re8 10. h3



ここまで手順は違えど、今年の全日本の弘平くんと同じRuy Lopez のラインになりました。以前の記事で書いた通り、 Nd2-Nf1 を遅らせるため、h2-h3 で待たれると、Nd2-Nb3 のアイディアが残るため、b7-b5 にa5 を弱めるリスクが生まれます。はっきりと決めていたわけではなかったのですが、弘平くんとの試合とはここで手を変えることにします。

10... h6!? 11. a3!?


またもや白は手を待ちます。この手はa2 にマスを作りつつ、b2-b4 の準備になります。一方で、a2-a4 とくる可能性が下がったため、クイーンサイドで動くことにします。

11... b5 12. Bc2 Bb7 13. b4 a5!



a2-a4 の前にbポーンが伸びてくるのであれば、黒からクイーンサイドの反撃を仕掛けます。のんびりしてきて、a2-a4, Nd2-Nb3 を食らうのは好ましくないと考えました。

14. Bb2 Nd7!?


すでに白のナイトがd2 からf1 に移動していれば、Nc6-Nb8-Nd7-Nb6 のマヌーバリングもありえましたが、ここではNd2-Nb3-Na5 を先にされて、b7 のビショップを狙われてしまいます。そこで別のナイトをb6 に向かわせ、a4 のマスへの飛び込みチャンスを作っておきます。

15. Bb3 Nb6 16. h4



全く予想していなかった手で、指された直後はf6 からナイトがいなくなったことを上手く利用し、クイーンサイド、キングサイドどちらからも手を作るのとても巧みなGM の指し回しだと感心しました。h5 まで指されたポーンを安易にg6-g5 でかわそうとすると、Nf3-Nh2, g2-g4, Nh2-Nf1-Ng3, Nd2-Nf1-Ne3 から完全にf5 のマスを抑え込まれ、苦しい流れになると感じました。

16... Bc8!?


私のアイディアは白マスビショップ同士をぶつけ、a2-g8 のダイアゴナルをカバーすることで、g6 をf7 のポーンで取り返せるようにすることでした。しかし、ここでの判断はお互いに不正確でした。

17. h5 Be6?! 18. Bc2?!



白マスビショップをぶつけてから初めて、あれ? と思い、相手がビショップ交換を避けたことで私の確信は強まりました。白はビショップ交換とポーン交換に応じ、黒キングの前を弱めたことで満足すべきでした。

18... gxh5!


Gomez はこのポーン取りを過小評価していたのでしょう。f5 がアウトポストになり、h5 のポーンがダブルで弱ければ、ポーンを捨てた代償は十分あると考えたのだと予想できます。しかし、私はKing' Indian Fianchetto で黒からh7-h5-h4 とされた経験から、意外にこのポーンを取っても大丈夫だと知っていました、ただし、正確には17手目で取るべきだったので、その点は反省です。

19. Nf1 Qf6 20. g3


f3 のナイトが弱まるので、まさかこのポーンはついてこないだろうと思いましたが、Gomez はf4,h4 のマスのコントロールを重視してきました。20... Bg4 21. N1h2 ならば問題ないということでしょう。ならば私は計画通り、ナイトを回してf5 のマスをカバーします。

20... Ne7 21. Nh4 1/2-1/2



今から振り返れば本当に良くないと思うのですが、相手のオファーを受けてドローにしてしまいました。意外なタイミングのオファーに、1ポーンの代償なく黒が十分良いという自分の形成評価に、だんだんと自信がなくなってしまい、余計なことを考えた挙句に受けることにしてしまいました。実際には21... Bg4 22. f3 Be6 23. Ne3 axb4 くらいで、黒は十分なアドバンテージがある状況です。評価のしづらいポジションであっても、悪いということがないのであれば、もう少し強気にゲームを続けるべきでした。

次の相手は中国のIM Dai Changren です。またもや力のあるジュニアプレーヤーと当たることになりますが、そろそろ中国勢への負けをストップさせないといけません。折り返しとなる明日のゲームも頑張ります!

Asian Continental Chess Championships 2019 R5 Pairigs



トップ写真の続きで、こうした中国風庭園もあります。涼しい時間帯なら、こうした場所でのんびりチェスをするのも悪くありませんね。




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