2019/06/02

Tokai Open 2019 Tournament Report



この週末は東海オープンに参加するため、名古屋にきています。土曜日の昼過ぎまで東京で仕事をし、夕方の新幹線で試合前日に現地入りしました。土曜日の楽しみは夕飯だけですが、せっかくならと初めての名古屋グルメに挑戦します。伏見駅前にある鯱壱は、味噌煮込みうどんならぬ、カレー煮込みうどんの専門店。和風だしとあわせながらも、しっかりスパイシーで、蕎麦屋のいわゆるカレー南蛮とは一風違った美味しさです。味噌煮込みうどんどうように、麺をかなり堅めにゆでてあるのも特徴的ですね。

明けた日曜日は、朝からハードな1日4試合のスケジュールです。30分+1手30秒の早指しで、私は浜根さん、高田くん、田中くんに3連勝。そして3年連続、東海オープンでトリを務めるのはScott です。しかも今年も黒でした(笑) 序中盤を飛ばして終盤を解説します。


Scott, T - Kojima, S
Tokai Open 2019 (4)
Position after 56. b6

56... Rh1+?


時間が無かったとはいえ、ルークを交換すれば駒得している黒が有利だと思ったのは浅はかでした。ここは代わりに56... Bb7! 57. Rb4 Rd2 58. Rxd4 Ke7-/+ と指していれば、まだ黒にチャンスがあったでしょう。b7 でのブロッケードは当然考えましたが、d4 を取られた局面の評価が正確にできませんでした。

57. Kf2 Rxb1 58. Bxb1 Bb7 59. Ke2 Ke7 60. Kd3 f6!



ルークを交換した後、単純にb6 を取りにいくと負けのポーンエンディングになることに気付いて愕然とします。60... Kd6? 61. Kxd4 Kc6 62. Be4+ Kxb6 63. Bxb7 Kxb7 64. Ke5+- と進めば、黒のポーンは根こそぎ取られて万事休すです。しかし本譜のように、白もd4 を取りにいくために一時的にキングでb1-h7 のダイアゴナルをブロックしなければいけないため、f7-f6, g7-g5 を指すことができるとぎりぎりで気付きました。

61. Kxd4 g5 62. Bf5!?


私は試合中、62. Be4 ならば白の勝ちなのではないかと考えており、Scott がそれを見落としたのはラッキーだと思いました。しかし、この変化は我々が考えていたよりも複雑で、検討で出した結論も間違いでした。62. Be4 Bxe4 63. Kxe4 Kd6 64. Kf5?! (64. fxg5 fxg5 65. Kf5 h4 66. gxh4 gxh4 67. Kg4= これはドローが明白なため、肝心なのはもう1つの変化です。) 67... g4!


Analysis Diagram

検討でこの手を見つけ、私が試合中に考えていた白勝ち結論は誤りだと判明しました。それではこれで黒勝ちかと言えば、なんとこれでもドローです! 65. b7 Kc7 66. Ke4 Kxb7 67. f5! Kc6 68. Kd4 Kd6 69. Ke4 Kc5 70. Ke3 Kd5 71. Kf4= 黒がポーンをg4 まで進め、h5-h4 のブレイクスルーを作った時点で黒勝ちだと検討では話していましたが、なんと白はステールメイトのトリックを使うことでドローに持ち込むことができます。71... Ke4 だとステールメイトになるため、黒はf5 を取りにいくことができません。この3vs. 2 のポーンエンディングの形は、ぜひとも覚えておきたいところです。

62... Kd6 63. fxg5 fxg5 64. Be4



白は1手ロスしましたが、こうしてビショップをぶつけて交換すれば、上記の変化と同じでドローは明らかです。

64... Bxe4 65. Kxe4 Kc6 66. Kf5 1/2-1/2


途中でチャンスを逃したのは悔しかったですが、それにより面白いエンドゲームの勉強になりました。これだけでも名古屋に足を運んだ甲斐がありました。


Scott とのドローで3.5/4 で2人が並びましたが、タイブレークでなんとか優勝することができました。入賞者の皆さん、おめでとうございます! そして参加者の皆さん、運営の堀江さん、今日1日お疲れ様でした。全体の最終順位は、以下から確認できます。

Tokai Open 2019 Final Standings


入賞者の5名には賞品があり、私は本を2冊いただきました。どちらも嬉しいですが、Caruana move by move は早めに時間を見つけて読み進めたいですね。


そしてもう1つ、この日の楽しみは生徒と会って食事に行くことでした。海外に住んでいた時期から、日本に戻ってきてからもオンラインで数年レッスンを続けている生徒とは、実に6年ぶりの再会です! 海外にも日本の地方にも生徒がいると、遠征の魅力が増えますね。

0 件のコメント:

コメントを投稿

Copyright © 2011 Shinya Kojima All rights reserved.