2019/06/14

Asian Continental Chess Championships 2019 R8


レストランの片隅では、こうしてゲームの中継と解説がされています。解説をしている中国のGMは、名前が中国語で表記されているので字面と顔から推測するしかないですが、Zao Jun でしょうかね。

8R は再び中国のマスターで、U18 の現在中国ランキング1位、IM Xu Zhihang との対戦です。その強さを体感してきました。

Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Xu Zhihang (IM, CHN, 2504)
Asian Continental 2019 (8)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. Qc2 O-O 5. a3 Bxc3 6. Qxc3 b6 7. g3 Bb7 8. Bg2 d5 9. d3 d4 10. Qc2 e5 11. Bg5!



ここはダブルビショップを返しても、e4 のマスのコントロールを奪い返し、e5-e4 を警戒しておきます。

11... h6 12. Bxf6 Qxf6 13. O-O Qd6 14. e4 dxe3 15. fxe3 Nd7


未経験の形ですが、d3-d4 もタイミングを見て狙えそうですし、白が悪いはずはないだろうと思っていました。

16. Rad1 Rae8 17. Ne1 Bxg2 18. Nxg2 f5 19. d4 e4 20. b4



白はセンターからクイーンサイドのポーンマジョリティをいかし、c4-c5、もしくはd4-d5 と仕掛けるチャンスがあり、e3 のポーンの弱さを十分補えていると感じました。後は仕掛けるタイミングと、反撃あの対処がポイントです。

20... Kh7 21. Rf2 g6 22. Rfd2 Nf6 23. c5!?


どちらのポーンから伸ばすか迷いましたが、早めにe5 のマスを与え、Nf6-Ng4-Ne5 の組み替えチャンスを与えるのは嫌だと考えました。23. d5 Ng4 24. c5 Qd7 25. d6 c6 なら互角の展開でしょう。

23... Qd5 24. Nf4 Qf7 25. d5 Ng4 26. Re2?!



しかし、ここを間違えました。最初頭にあったアイディアは、Qc2-Qc3 だったのですが、Vignesh とのゲームで、クイーン交換を許したことで弱点のポーンが守りづらくなったことを思い出し、相手にクイーンをぶつけさせないほうが良いと考え直しました。しかし、これが大きな間違いで、e3 の守りを消されても、ここでのクイーン交換は白にとって良いものです! 26. Qc3! Ne5 (26... Qf6 27. Qxf6 Rxf6 28. d6! cxd6 29. Rxd6 (29. c6!? g5 30. Nd5 Rff8 31. b5+/-) 29... bxc5 30. bxc5 g5 31. Rd7+ Kh8 32. Rd8 Rxd8 33. Rxd8+ Kh7 34. Rd7+ Kh8 35. Nd5 Ra6 36. Kf1+/- ) 27. Ne6 Nf3+ 28. Kg2 Nxd2 29. Nxf8+ Rxf8 30. Rxd2+/- こうしたルークを取り合い、駒交換の進む変化は当然のようにdポーンのブレイクが残る白にとって良いと分かっていましたが、分岐の変化でe3 を守らずにd5-d6 と押し込んで十分であることが読めませんでした。本譜のルークが寄る手は試合中は上手いと思っていたのですが、この変化と比べてしまうと仕掛けが遅くなってしまいます。

26... Ne5! 27. Qc3 Qf6 28. Rc2 Rf7 29. d6 bxc5


d5-d6 と押し込むべきなのか、それともナイトがe6 に跳びこむべきなのか、迷った末に前者にしました。しかし、ここでの三択で、ひどい手を選んでしまいました。

30. Qxc5?



30. bxc5 c6 31. Qb3 g5 32. Ne2 Qg6 ならばまだ形成不明です。もう一つ、メインで読んでいながら諦めたのは、30. dxc7 Rxc7 31. Nd5 Nf3+ 32. Kg2 Qxc3 33. Rxc3 Rc6 34. Rxc5 Rd6= という変化で、試合後に相手からはこうするべきだったと指摘されました。もちろんこの流れは考えていたのですが、このイコール変化よりももっと本譜にチャンスがあると勘違いしてしまいました。

30... g5!?


お互い見落としていましたが、30... Rd8! ならばd6 まで進めたポーンが困っていて黒が優勢です。Xu はこの手こそ見逃したものの、実戦的に十分ありえるサクリファイスで勝負を仕掛けてきます。私は残り時間が10分を切り、相手は1時間弱。かなり時間に押されながら、正確な手を探さなくてはいけなくなります。

31. dxc7 gxf4 32. c8=Q Rxc8 33. Qxc8 fxg3



これが黒の思い描いたポジションで、エクスチェンジを捨てても白キング前を崩せばチャンスがあるとの判断なのでしょう。これを守り間違えました。

34. Qd8?


34. Rg2! Nf3+ 35. Kh1 Nxh2 36. Rxg3 Ng4 37. Qd8 Qb2 38. Rg2 Qc3 39. Rd7 Qa1+ 40. Rg1 Qg7 41. Rd2 こう進んでいれば黒に決定的なアタックは無く、白は耐えています。この変化と同様に、私もQc8-Qd8, Rc2-Rg2 を指しましたが、順番が逆ではダメでした。

34... Qg6 35. Rg2?



白はこれでも苦しいですが、35. h3 Rg7 36. Rc8 Nf7-/+ としなければいけませんでした。

35... Nf3+ 36. Kh1 Nxh2-+


こうしてhポーンをナイトで取ってhファイルを開き、次にクイーンをhファイルに送り込まれると白にはディフェンスがありません。

37. Rd7 Nf3 38. Rxf7+ Qxf7 39. Rxg3 Qh5+ 0-1



試合終了時、相手の残り時間は53分でした。もちろん早く指せば良いというものではないですが、待ち時間90分フィッシャーで、1日2試合をこなすタフなセルビアのThird Saturday で勝ち続けるには、彼のような早く読み、早く決断できる強さも必要なのかと感じさせられました。

Asian Continental Chess Championships 2019 R9 Pairigs

そして最後に再びGM を引きました。GM Vishnu は間違いなく経験も力もあるプレーヤーですが、今回は3連敗で2つ負け越しまで落ちてきました。泣いても笑っても最後の試合ですので、ここを踏ん張りたいですね。そしてトーナメント終了から閉会式までの間には、ブリッツ大会も開催され、私は参加することを決めています。Chess Results に載っているということは、公式ブリッツだと思いますので、こちらもレイティングは変動すると思います。6年前、ヘロヘロの状態で参加してレイティングを大きく落とした、スペインマヨルカ島のブリッツ大会の借りを返してきたいですね。

Asian Continental Chess Championships 2019 Blitz Open Entry List

スタンダードのレイティングが2400弱なのに、ブリッツのレイティングが1700のやつは流石にずるいのでは(笑)


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