2019/06/08

Asian Continental Chess Championships 2019 R2


今回のAsian Continental では、選手は何棟も並ぶコテージ風の建物(部屋はほぼホテル) に割り振られて宿泊しています。宿泊棟から坂を上がっていった頂上に試合会場があり、全体が選手村のようになっています。チェス以外の競技でも使えそうですね。

2R は初戦負けにもかかわらず、ほとんどレイティングの変わらないGM との対戦になりました。彼は初戦、インドの2300台に負けており、初戦負けたプレーヤーの中でリストトップでした。もちろん、こういうあたりになることも覚悟の上で参加しています。

Zheg, Chongsheng (GM, CHN, 2561) - Kojima, S (IM, JPN, 2400)
Asian Continental 2019 (2)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bc4 Nf6 4. Ng5 d5 5. exd5 Na5 6. d3!?



Two Knights のメインラインになることは事前の準備で分かっていましたが、まさかこんなマイナーラインを指されるとは... かすかな記憶を頼りに手を探します。

6... h6 7. Nf3 e4 8. Qe2 Nxc4 9. dxc4 Bc5 10. Nfd2 O-O 11. Nb3 Bb4+?!


しっかり考えたつもりでチェックを挟みましたが、ビショップがe3 のマスを抑えている状況で、先にBc8-Bg4 を入れておくほうが良かったでしょう。11... Bg4 12. Qf1 Bb4+ 13. c3 Bd6 と進めば、白はf1 に下がったクイーンをどうするか、まだ課題が残ります。

12. Bd2 Bg4 13. Qe3 Bxd2+ 14. N1xd2 b5



これが私のアイディアで、e3 にクイーンを上げさせたうえでd5 を取りかえせるようにすれば、ポーンダウンでも面白いポジションなのではないかと考えました。

15. h3?!


本譜では黒がポーンを取りかえして楽になるため、15. cxb5 Nxd5 とするほうが良かったでしょう。

15... bxc4 16. Nxc4 Nxd5 17. Qg3 Be6



ここは17... Bh5 と迷いましたが、白キングがどちらにキャスリングするにせよ、e6 のほうがバランスよく白キングにプレッシャーをかけられると思いました。c4 の浮いたナイトを白がどうするかも気になります。

18. O-O-O Qe8!? 19. Rd4 f5 20. Nc5 Nb4 21. Ne5 Nc6


Qd8-Qe8-Qa4 や、Nd5-Nb4 からa2 を狙う構想でしたが、上手くいかなかったためにナイトを捌いて耐えることにします。

22. Nxc6 Qxc6 23. Qc3 Rad8 24. Rhd1 Rxd4 25. Qxd4 Bf7 26. g3 Re8



dファイルを抑えられてはいますが、ビショップをキープしたままルークもゲームに参加させることができるようになり、黒はさほど悪くないのではないかと思える状況になりました。しかし、初戦同様に持ち時間がすでに2分近くとピンチです。

27. Qe3 Qb5 28. b3 a5!? 29. Rd7 a4 30. Kb2 axb3 31. cxb3 Ra8?


孤立したaポーンを捌き、白キング前を弱体化させる作戦はOK でした。しかし、ここでの緩手で黒はチャンスを逃します。aファイルが開いたのでルークをaファイルにというのは安直で、a2-a4 を突かせても、b3 のポーンはさほど問題にはなりません。ルークをaファイルではなく、5段目に上げるアイディアは頭にあったのですが、本譜を指してからそちらのほうが良かったのではないかと後悔しました。31... Re5! 32. Rxc7 (試合後、32. Rd8+ Kh7 33. Nd7 この手筋を相手に示されましたが、33... Rd5! 34. Nf8+ Kg8 35. Nd7+ Kh7= これでパペチュアル以上は無く、黒は問題ありません。) 32... Rd5! 33. Na4 Rd3 34. Qa7 Rd2+ 35. Rc2 Qe5+ 36. Nc3 Rd3 本譜のようにパッシブに待つだけでは黒はジリ貧ですので、c7 を捨ててでもルークをアクティブにして反撃すべきでした。

32. a4! Qc6 33. Qd4! Re8 34. a5 Ra8 35. a6 Qb6 36. Qc3 Rb8 37. g4 f4 38. Qd4 Re8 39. Rxf7!?



相手も段々時間切迫になり、互いに待望の40手目を迎える直前で、相手が予期せぬ手を指してきました。もちろん黒はこのサクリファイスに応じるほかありません。

39... Kxf7 40. Qd5+ Ke7 41. Qxe4+ Kd8?


時間が増えた直後、余裕もできた状況でこのミスはひどかったです。キングをf,d のどちらに寄せるか迷い、不正解を選びました。直感的にはセンターにとどまり、e8 のルークの利きも遮る本譜はおかしいのですが、一度ルークがクイーンに当たるならば良いだろうと楽観視していました。41... Kf7! 42. Qd5+ (42. Qxf4+ Qf6+ 43. Qxf6+ Kxf6 44. Kc3+/- これでも白が良いですが、黒はもうひと踏ん張りすべきです。) 42... Ke7 43. a7 Qd6 44. Qe4+ Kf6 45. Qxe8 Qd4+ 46. Kc2! (46. Ka2? Qxf2+ 47. Ka1 Qd4+ 48. Kb1 Qd1+ 49. Kb2 Qd4+=) 46... Qxc5+ 47. Kd3 Qxa7 48. Qf8+ Ke6 49. Qxf4+/- これで1ポーンアップの白良しというコンピュータ評価ですが、途中は互いに難解です。これであれば、分岐の2ポーンエクスチェンジの勝負を白が選ぶこともありえそうです。

42. a7! Qxa7 43. Qd5+ Ke7 44. Qe6+ Kf8 45. Nd7# 1-0



ポーンを伸ばされた瞬間、メイト筋は見えていましたが、最後までやることにしました。初戦同様、2500後半のGM 相手にゲームは作っているつもりですが、肝心のところで間違えて負けという展開が続きます。トーナメント連敗は久々なのでへこみますが、気を取り直して明日ポイントを取れるようにプレーしてきたいと思います。


中国の山の中に来た感が強い光景です。


下の宿泊棟から会場まで徒歩で坂を上がるのは大変なので、こうしたゴルフカートのような車に選手は乗ることができます。

そしてこの日は、妻のなつみが女子セクションでフィリピンの2100台からドローを挙げ、連敗の私に代わって日本勢初ポイントを取りました! 準備が当たったこともありましたが、中盤も危なげなく指して勝っていてもおかしくない試合内容でした。白を再び引く3日目も期待したいですね。

私が連敗で迎える3日目は、台湾のジュニアとの対戦が組まれています。どこかで見たことあるなと思っていましたが、昨年のバツミオリンピアードで、台湾の1B を務めていた子です。台湾で実力がNo.1 ではありませんが、トップボードに据えられるということは、将来を期待されているのでしょう。レイティングは下ですが、油断せずに試合をしてこようと思います。

Asian Continental Chess Championships 2019 R3 Pairings

1 件のコメント:

ピカチュウ さんのコメント...

次のお相手は台湾でレーティング3番目みたいですよ

https://ratings.fide.com/topfed.phtml?ina=1&country=TPE

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