12月のFS は、昨日最終戦を終え、今日からは南の町、ケチケメートへと戦いの舞台を移します。ブダペストの最終戦は、3連勝スタートを切り、7R まではGM ノームのチャンスがあったIM Torma Robert との対戦です。
Torma, R (IM, HUN, 2417) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
First Saturday Dec 2014 GM (9)
1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. e3 Bg4 5. Nc3 e6 6. Qb3 Qb6 7. Nh4 Bh5 8. h3 Na6!?
First Saturday Dec 2014 GM (9)
Slav 4. e3 対策を、かつて愛用していた4... Bg4 に戻してから初めて、この懐かしいラインを指します。イスラエルのGM Averbukh Boris が、自身の本の中でおススメとして紹介し、一世を風靡したこの変化も、私は前日に散々ゲームを並べて、新しいアイディアを投入しました。かつて私は、8... Be7 9. g4 Bg6 10. Nxg6 hxg6 11. Bg2 g5 12. Bd2 Na6!? という変化を指していましたが、本譜のほうがa6 にナイトを出す狙いが分かりやすいでしょう。
9. g4 Qxb3 10. axb3 Nb4 11. Ke2 g5!?
11... Bg6 も指せますが、私はどうせ白マスビショップを諦めるのであれば、マテリアルを取って勝負することにします。
12. gxh5 gxh4 13. Ra4 Rg8!
このルークはすぐに侵入するマスはありませんが、ひとまずオープンファイルを抑えて、白からのRh1-Rg1 を防いでおきます。
14. Kf3 a5!?
将来的にターゲットにもなりうるので、評価の難しい手です。f1-a6 のダイアゴナルが開いた以上、ナイトをa6 に退くことはありえないので、b4 のナイトを安定させておきます。
15. e4 dxe4+ 16. Nxe4 Nxh5 17. Bd2 Be7 18. c5 Kd7 19. Bc4 Nf6
19... f5 20. Nc3 が最初に考えたアイディアでしたが、自らe6 とe5 を弱めることを嫌いました。マテリアルは返してしまうかもしれませんが、盤の端にいる使いづらいナイトと、相手のセンターにいるナイトを交換すること自体は、悪いはずないでしょう。
20. Nxf6+ Bxf6 21. Bc3 Ke7
21... Kc7 も考えていましたが、ナイトが跳んだ際、a5 を取られてチェックでは困ります。
22. Re1 Rad8 23. Re4 Rg1!?
ここはチャンスを求めて、ルークが大胆に侵入しておきます。23... Rd7 も考えていましたが、これは本譜のようにRa5-Ra7 を確認してからで、遅くはありません。
24. Rxa5 Nc2 25. Ra7 Rd7 26. b4 Nxd4+ 27. Bxd4 Bxd4 28. Rxh4 Rb1!
d4 を取った黒は、異色ビショップですが、残ったポーンの狙いやすさにより、わずかに良いと判断できます。b2 のポーンは、次のf2 のことも考え、当然ルークで取りにいきます。
29. b3 Rb2 30. Rxh7 Rxf2+ 31. Ke4?
31. Kg3! Rf5! 32. Ra2 であれば、まだ苦しいながらも、白はすぐに負けることはなかったでしょう。私はd, f ファイルをルークで抑えている以上、e ファイルに逃げた白キングは間違いなく危ないと思い、残り少ない持ち時間で必死に手を考えます。
31... Rf5?
上記のラインにもある手で、コンセプト自体は悪くありません。c5 をアタックしてb4-b5 を防いでおきながら、e5 のマスもカバーしています。残り時間2分を残してこれを指した直後、黒が完全に勝ちになるスレットを見つけ、この手で間違いなかったと確信しましたが、お互いに見逃した好手がありました。実際には、31... e5! 32. Ra5 Rf4+ 33. Kd3 e4+ 34. Ke2 Rf2+ 35. Ke1 e3-+ と指せば、白はマテリアルを諦めざるをえないため、黒の勝ちとなります。
32. Ra2??
おそらくTorma も、次の黒のスレットに気づいたと思いますが、残り時間ぎりぎりまで考えても、正解が見えませんでした。正しくは、32. Ba6! bxa6 33. Rxd7+ Kxd7 34. Kxd4 e5+ 35. Kd3 Ke6=/+ と指すべきで、白はまだ少し劣勢ではあっても、キングの決定的な危機は乗り切っています。
32... Bg1! 0-1
これで次に、33... Rd4# のメイトスレットが、どうしようもありません。この思いがけない最終戦の勝利で、今回のGM Section はレイティング+2.6 の微増で、フィニッシュすることができました! 非常に嬉しい誤算です。
First Saturday GM Dec 2014
12/06 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fang, X (CHN, 2295) 1/2-1/2
12/07 Flumbort, A (GM, HUN, 2463) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1-0
12/08 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Medvegy, Z (GM, HUN, 2527) 0-1
12/09 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Arngrimsson, D (IM, ISL, 2386) 1-0
12/10 Benkovic, P (IM, SRB, 2395) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/11 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Dragnev, V (FM, AUT, 2364) 0-1
12/12 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/13 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Golubov, S (RUS, 2382) 1/2-1/2
12/14 Free Day
12/15 Torma, R (IM, HUN, 2417) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 0-1
+3 Medvegy, Z (-1.6)
+2 Flumbort, A (+1.8), Torma, R (+8)
+1 Golubov, S (-4.6), Fang, X (+38.6)
0 Benkovic, P (+1.0)
-1 Kojima, S (+2.6), Golubov, S (-4.6)
-3 Dragnev, V (-19.6)
-4 Arngrimsson, D (-17.8)
最終戦では、独走だったMedvegy が、下位に沈んでいたDragnev に負けるという事件があり、まさかの優勝者がレイティングマイナスです。レイティングの増減だけで見れば、最も低いレイティングでありながら、1つ勝ち越しの戦績を収め、レイティング40近く稼いだFang の一人勝ちと言える大会でした。私と同様にレイティング2400 を目指す彼は、明日、私たちと一緒にケチケ―メートに向かいます。
私にとっては、これまで参加したGM Section の中でも、最も厳しい戦いを強いられてきましたが、最後の勝利で良い流れを引き寄せられたように思います。今日から始まるケチケメートのGM Section では、2ケタ単位でレイティングを稼ぎたいですね。引き続き、応援をよろしくお願い致します。
最終戦後は、久々にアンダンテのオーナーたちとゆっくり外食に出かけました。こちらはハンガリーの食べられる国宝、マンガリッツァ豚のスペアリブです。2年半前からマンガリッツァ豚のことは知っていましたが、おそらく食べたのはこの日が初めてでした。
2 件のコメント:
お疲れさまです▼o・~・o▼ レーティングの増減にこだわりすぎるとなんだか麻雀大会レポートみたいになってしまう気がします・・・?▽o・~・o▽ 汗
どうでもです~。どうしてもレイティングを気にしてしまいますが、そうですね、もう少し気楽にいこうと思います。
でも、マイナスだと思っていたのがプラスになったのは、とても嬉しいのですよ!
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