2014/12/12

FS 2014 December GM 6th round


12月のFS も、この日から後半戦に突入します。相手はオーストリアのジュニアで、最近1回の更新でレイティングを170伸ばし、FM になったDragnev。ここまで4敗1ドローで最下位に沈んでいたので、なんとか勝ちたい相手でしたが...

Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Dragnev, V (FM, AUT, 2364)
First Saturday Dec 2014 GM (6)

1. Nf3 c5!?



完全にQGD だと思っていたので、かなり面喰います。しかし、何度も指しているオープニングですので、とにかく指すしかありません。

2. c4 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 e6 6. a3


以前はハンガリーで6. g3 も試しましたが、うまい感触はつかめませんでした。他の変化も研究していましたが、結局はオーソドックスなこの手が勝ちにいくにはベストだと判断します。

6... d5 7. cxd5 exd5 8. Bg5 Be7 9. e3 O-O 10. Be2 Be6 11. O-O Qd7 12. Rc1 Rac8 13. Qa4



このIQP ポジションであれば、白は満足でしょう。ここからゆっくりd5 にプレッシャーをかけていけば、優位に試合を進められるはずです。コンピュータはここで、13. h3+/= を勧めますが、もちろん本譜でも問題はありません。ただ結果としては、バックランクに最後の最後まで泣いたのですが...

13... h6 14. Bf4 Nxd4 15. Qxd4 Bc5 16. Qe5 a6?!


ここは黒は多少方向性を見失っていると言えます。16... Be7 17. Rfd1+/= と指すほかありませんが、それではBe7-Bc5 と出た意味がなく、白の優勢は疑いようがありません。

17. Rfd1?!



試合後に、Dragnev からは、なぜポーンを取らなかったのかと指摘されました。17. Bxh6! Bd6 18. Qd4!(恥ずかしながら私は、18. Qg5?! しか読んでおらず、h6 取りは成立しないと思っていました。) 18... Bc5 19. Qh4+/- ならば、白は何事もなくポーンアップです。

17... Be7 18. e4!


私はこれでd5 のポーンが落ち、完全に勝ちモードに入ったつもりでした。しかし、Dragnev が本領を発揮したのはここからです。

18... Rfe8! 19. exd5 Bg4!



ここまで進み、私は思ったよりポジションが単純ではないことを悟りました。マテリアルは白のポーンアップですが、黒のカウンタープレーは十分で、どのように指せば白の優勢が明らかになるのか、正しいプランを見つけるのが簡単ではありません。

20. Bxg4


試合後はこの手が悪かったとのだと思いました。コンピュータは、20. d6 Bxe2 21. Qxe2 Bxd6 22. Qf3 Rc6= この変化を示しましたが、当然イコールです。もう1つ、私が読んでいた変化がありませんでしたが、それは読み落としがあり、全然だめでした。 20. Qd4? Bc5! 21. Qd3 Bxf2+! 22. Kxf2 Rxc3!=/+ 試合直後、20. Qd4 と指すべきだったという私の読みは、完全に間違いでした。本譜は勝負にいくための唯一の正しい手ですが、その先がまずかったです。

20... Nxg4 21. Qh5 g6 22. Qh3 Bc5 23. Bg3?



クイーンをh3 に孤立させる形がおかしいことは分かっていましたが、他にどうするのかが分かりませんでした。正しくは、23. Rf1! f5 24. Qd3 と指すべきで、これならば白はクイーンをセンターに戻すことができます。しかし、ピースのポジションをゆっくり改善していくポジショナルプレーを基調とする私にとって、センターのルークを(一番武器となりそうなパスポーンを、後ろからサポートする最高のルークを!) ディフェンスのために、fファイルに戻す手は不自然で、指すのに大きな躊躇いがありました。しかし、本譜の流れを見れば、f2 のディフェンスをきちんとしなければ、自然な手も何もありません。常識的な手に囚われて、肝心の読みが不正確になってしまうことは、私の弱点だと思います。

23... Qf5! 24. d6 Rcd8


ここはすでに黒が勝負を決めることができました。24... Bxf2+! 25. Bxf2 Qxf2+ 26. Kh1 Rc4!(お互いに読み落とした手) 27. Qd3 Qb6!-+ これでf2 のナイトフォークが避けられないようでは、白はどうしようもありません。

25. Rd2?



私がd5-d6 と突くことを決めた時点では、d5 にマスを作り、Nc3-Nd5 から、Nd5-Ne7+ のフォークや、Qh3-Qxg4 とピースを取るのがメインの狙いでした。しかし、残り時間ぎりぎりまで考え、25. Nd5? Bxf2+ Bxf2 Qxf2+ 27. Kh1 Rxd6 28. Qxg4 Rxd5!-+ とナイトが落ちて負けであることに気づき、愕然とします。バックランクの弱さを突くことは、いつでも単純ですが効果的な作戦です。そこで、ルークでひとまずf2 を守り、その後でタイミングを見てNc3-Nd5 を考え直そうとしましたが、これは完全に失敗でした。

25... Bxd6!-+


なんとルークが1つバックランクを離れたために、f2 をクイーンで取られた後で即メイトです。さらにポーンが落ちただけでなく、d2 のルークが浮いていて勝負になりません。

26. Rxd6 Rxd6 27. f3 Qc5+ 0-1



最後までバックランクの弱さが響き、なんとも悲しい最後です。このトーナメント、もっとも大事だと思った白番のゲームを落としてしまい、かなりがっくり。それでも、試合後にロンドンにいる生徒とレッスンをする中で、少しずつ元気を取り戻してきました。残り3戦も強い相手が続きますが、しっかりと戦い抜くしかないですね。

First Saturday GM Dec 2014

12/06 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fang, X (CHN, 2295) 1/2-1/2
12/07 Flumbort, A (GM, HUN, 2463) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1-0
12/08 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Medvegy, Z (GM, HUN, 2527) 0-1
12/09 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Arngrimsson, D (IM, ISL, 2386) 1-0
12/10 Benkovic, P (IM, SRB, 2395) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/11 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Dragnev, V (FM, AUT, 2364) 0-1
12/12 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/13 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Golubov, S (RUS, 2382)
12/14 Free Day
12/15 Torma, R (IM, HUN, 2417) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)

+4 Medvegy, Z
+2 Fang, X, Torma, R
+1 Fominyh, A, Flumbort, A
0 Golubov, S, Benkovic, P
-2 Kojima, S
-3 Dragnev, V
-5 Arngrimsson, D

Medvegy はこの日、GM ノームのチャンスが十分にあったTorma を捻り、単独トップに立っています。後輩のノームチャンスも、躊躇なく潰すんですね。その強さ、鬼神のごとしです。そしてArngrimsson...


このお昼ご飯が多すぎたのか、それとも買ったばかりの。Santoro Gorjuss のペンで棋譜を取ったのが悪かったのか、それとも単に実力不足なのか... 気を取り直して、最後のGM 戦に挑んできます。

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