Arngrimsson から初勝利を挙げた翌日、午前中から買い物のためにブダペスト西駅のショッピングモール、WEST END へとやってきました。残念ながら目当ての品が見つかりませんでしたが、ハンガリーに到着して約1週間、初めて青空を見ることができたのが収穫でした。
この日の対戦相手は、セルビアのIM Benkovic です。去年、セルビア遠征で大苦戦した苦い思い出を払拭すべく、負けられない一戦に臨みます。
Benkovic, P (IM, SRB, 2395) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
First Saturday Dec 2014 GM (5)
1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. cxd5 cxd5 5. Nc3 Nc6 6. Bf4 Bf5 7. Qb3!?
First Saturday Dec 2014 GM (5)
このタイミングでクイーンが上がる手は初めて見ましたが、これまで何度も指してきた、Bc1-Bf4, e2-e3 の形で、Qd1-Qb3 と指す形と同じになります。
7... Na5 8. Qa4+ Bd7 9. Qc2 e6 10. e3 Rc8 11. Bd3 Bb4 12. O-O O-O 13. Ne5 Be8
このビショップ退きは、ナイトビショップの交換を避けるというよりも、d7 のマスにナイトを退けるようにするのがメインの狙いです。ルークの連携が取れなくなることを気にするのであれば、13... h6 から、Qd8-Qe7, Rf8-Rd8, Bd7-Be8 という手順で指すのもありでしょう。
14. a3?!
これは小さな白のミスではないかというのが、私たちの見解です。黒はタイミングによっては、Bb4-Be7 と退き直し、b3 のマスを弱めたことで満足しますが、ここ場合であれば、c3 にターゲットとなる弱いポーン、c4 にアウトポストを作って勝負です。
14... Bxc3 15. bxc3 h6!
この手は、f6 のナイトをフリーにするために必要な1手です。ナイトを1組交換してしまえば、白はc4 のマスのコントロールを失うため、そこにナイトを運んで黒が満足に戦えると私は考えました。
16. h3 Nd7 17. g4?!
以下にも怪しげなこの1手は、私も想像していませんでした。17. Nxd7 Bxd7 18. Rfb1 Bc6 19. Rb4+/= と指していれば、ポーンストラクチャーは変わらずとも、c4 を早めにカバーし、本譜よりもチャンスを作れたでしょう。
17... Nxe5 18. Bxe5 Nc4 19. Bg3 Bb5!?
ここは実に迷うところです。19... Qa5 20. a4= であれば、黒はa4 とc3 にプレッシャーをかけられますが、白マスビショップがパッシブなままです。 19... b5!? も考えましたが、このようにビショップを完全に閉じ込めて良いものなのか、よく分かりませんでした。そこで本譜のようなアイディアで、白マスビショップをアクティブに使い、あわよくば相手のビショップと交換してしまおうと考えました。
20. Rfb1 Qd7 21. a4 1/2-1/2
ここで相手からのドローオファーがあり、しばらく考えてから受けることを決めました。黒の強力なナイトは、ダブルビショップに十分対抗できるものですが、ポジションを改善するのは容易ではないと考えたためです。私とBenkovic は、いくつか検討戦でアイディアを出し合いましたが、実際ドローになりそうでした。このクラスでは、白で勝ち、黒でドローならば、十分にレイティングは上がります。ここはドローで満足し、次の白番に備えます。6R は、4敗1ドローのDragnev に白ですので、ここが勝負所だと思ってプレーしてきます!
First Saturday GM Dec 2014
12/06 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fang, X (CHN, 2295) 1/2-1/2
12/07 Flumbort, A (GM, HUN, 2463) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1-0
12/08 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Medvegy, Z (GM, HUN, 2527) 0-1
12/09 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Arngrimsson, D (IM, ISL, 2386) 1-0
12/10 Benkovic, P (IM, SRB, 2395) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/11 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Dragnev, V (FM, AUT, 2364)
12/12 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/13 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Golubov, S (RUS, 2382)
12/14 Free Day
12/15 Torma, R (IM, HUN, 2417) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
+3 Torma, R, Medvegy, Z
+2 Fang, X
+1 Fominyh, A, Flumbort, A
0 Golubov, S
-1 Benkovic, P, Kojima, S
-4 Dragnev, V, Arngrimsson, D
ロシアのGM Fominyh と中国のFang は熱戦の末にドロー。Fang は私との初戦では危ないプレーがありましたが、それ以降は2つの白星を挙げ、順調な前半戦となっています。試合後、彼の母親と話をしましたが、彼も3つのIM ノームをすでに揃え、あとはレイティングを上げるだけだそうなので、立場は私と同じですね。
Medvegy はこの日も、黒番でArngrimsson を破り、3連勝です。彼にとって、2300台を負かすことなど大したことではないのでしょうか... そう思えるほど、彼のテクニックは素晴らしいですし、勉強になります。
こちらは夜のブダペストの西駅です。16日の午前中には、現在ロンドンでプレー中の酒井創くんと、西駅からケチケメートへ向かいます。
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