2014/12/11

FS 2014 December GM 5th round


Arngrimsson から初勝利を挙げた翌日、午前中から買い物のためにブダペスト西駅のショッピングモール、WEST END へとやってきました。残念ながら目当ての品が見つかりませんでしたが、ハンガリーに到着して約1週間、初めて青空を見ることができたのが収穫でした。

この日の対戦相手は、セルビアのIM Benkovic です。去年、セルビア遠征で大苦戦した苦い思い出を払拭すべく、負けられない一戦に臨みます。

Benkovic, P (IM, SRB, 2395) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
First Saturday Dec 2014 GM (5)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. cxd5 cxd5 5. Nc3 Nc6 6. Bf4 Bf5 7. Qb3!?



このタイミングでクイーンが上がる手は初めて見ましたが、これまで何度も指してきた、Bc1-Bf4, e2-e3 の形で、Qd1-Qb3 と指す形と同じになります。

7... Na5 8. Qa4+ Bd7 9. Qc2 e6 10. e3 Rc8 11. Bd3 Bb4 12. O-O O-O 13. Ne5 Be8


このビショップ退きは、ナイトビショップの交換を避けるというよりも、d7 のマスにナイトを退けるようにするのがメインの狙いです。ルークの連携が取れなくなることを気にするのであれば、13... h6 から、Qd8-Qe7, Rf8-Rd8, Bd7-Be8 という手順で指すのもありでしょう。

14. a3?!



これは小さな白のミスではないかというのが、私たちの見解です。黒はタイミングによっては、Bb4-Be7 と退き直し、b3 のマスを弱めたことで満足しますが、ここ場合であれば、c3 にターゲットとなる弱いポーン、c4 にアウトポストを作って勝負です。

14... Bxc3 15. bxc3 h6!


この手は、f6 のナイトをフリーにするために必要な1手です。ナイトを1組交換してしまえば、白はc4 のマスのコントロールを失うため、そこにナイトを運んで黒が満足に戦えると私は考えました。

16. h3 Nd7 17. g4?!



以下にも怪しげなこの1手は、私も想像していませんでした。17. Nxd7 Bxd7 18. Rfb1 Bc6 19. Rb4+/= と指していれば、ポーンストラクチャーは変わらずとも、c4 を早めにカバーし、本譜よりもチャンスを作れたでしょう。

17... Nxe5 18. Bxe5 Nc4 19. Bg3 Bb5!?


ここは実に迷うところです。19... Qa5 20. a4= であれば、黒はa4 とc3 にプレッシャーをかけられますが、白マスビショップがパッシブなままです。 19... b5!? も考えましたが、このようにビショップを完全に閉じ込めて良いものなのか、よく分かりませんでした。そこで本譜のようなアイディアで、白マスビショップをアクティブに使い、あわよくば相手のビショップと交換してしまおうと考えました。

20. Rfb1 Qd7 21. a4 1/2-1/2



ここで相手からのドローオファーがあり、しばらく考えてから受けることを決めました。黒の強力なナイトは、ダブルビショップに十分対抗できるものですが、ポジションを改善するのは容易ではないと考えたためです。私とBenkovic は、いくつか検討戦でアイディアを出し合いましたが、実際ドローになりそうでした。このクラスでは、白で勝ち、黒でドローならば、十分にレイティングは上がります。ここはドローで満足し、次の白番に備えます。6R は、4敗1ドローのDragnev に白ですので、ここが勝負所だと思ってプレーしてきます!

First Saturday GM Dec 2014

12/06 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fang, X (CHN, 2295) 1/2-1/2
12/07 Flumbort, A (GM, HUN, 2463) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1-0
12/08 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Medvegy, Z (GM, HUN, 2527) 0-1
12/09 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Arngrimsson, D (IM, ISL, 2386) 1-0
12/10 Benkovic, P (IM, SRB, 2395) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/11 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Dragnev, V (FM, AUT, 2364)
12/12 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/13 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Golubov, S (RUS, 2382)
12/14 Free Day
12/15 Torma, R (IM, HUN, 2417) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)

+3 Torma, R, Medvegy, Z
+2 Fang, X
+1 Fominyh, A, Flumbort, A
0 Golubov, S
-1 Benkovic, P, Kojima, S
-4 Dragnev, V, Arngrimsson, D


ロシアのGM Fominyh と中国のFang は熱戦の末にドロー。Fang は私との初戦では危ないプレーがありましたが、それ以降は2つの白星を挙げ、順調な前半戦となっています。試合後、彼の母親と話をしましたが、彼も3つのIM ノームをすでに揃え、あとはレイティングを上げるだけだそうなので、立場は私と同じですね。


Medvegy はこの日も、黒番でArngrimsson を破り、3連勝です。彼にとって、2300台を負かすことなど大したことではないのでしょうか... そう思えるほど、彼のテクニックは素晴らしいですし、勉強になります。


こちらは夜のブダペストの西駅です。16日の午前中には、現在ロンドンでプレー中の酒井創くんと、西駅からケチケメートへ向かいます。

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