2011/05/31

Challenging the tournaments in USA

すでにスケジュールページにある通り、来月、アメリカのフィラデルフィアで開催されるPhiladelphia International と World Open への参加を決めました。チェスでの渡米は6年ぶり、3回目となります。大会のスケジュールは以下の通りです。

6/22(水) 現地到着&チェックイン
6/23(木) Free Day(おそらく惇多君と観光か、トレーニングをします。多分・・・)
6/24(金) Philadelphia International R1 11:00 a.m~ R2 6:00 p.m~
6/25(土) R3 11:00 a.m~ R4 6:00 p.m~
6/26(日) R5 11:00 a.m~ R6 6:00 p.m~
6/27(月) R7 11:00 a.m~ R8 6:00 p.m~
6/28(火) R9 11:00 a.m~ World Open R1 7:00 p.m~
6/29(水) R2 7:00 p.m~
6/30(木) R3 7:00 p.m~
7/01(金) R4 6:00 p.m~
7/02(土) R5 6:00 p.m~
7/03(日) R6 11:00 a.m~ R7 6:00 p.m~
7/04(月) R8 10:00 a.m~ R9 5:00 p.m~
7/05(火) チェックアウト&現地発
7/06(水) 日本着

こうやって書くと長いですね・・・今回のフィラデルフィアの話は、上杉君のお母さんからもたらされました。オーストラリアで活躍する19歳のFMコンビ、Ly, Moulthun君(FIDE 2375)と池田惇多君(FIDE 2315)がこれらの大会に臨むに当たり、ホテルチェックイン時の保護者代理が必要とのことでした。アメリカには、21歳未満は保護者付きでないとチェックインできないホテルがあり、今回の試合会場となるホテルもそうらしいのです。そのため私は今回、2人の保護者代理兼プレーヤーとして、アメリカに赴くことになります。

アメリカはマレーシア、フランスに比べれば訪れた回数は少ないものの、私のチェス人生において、思い出深い国です。最初の渡米は中学3年生の夏休み、14歳の頃でした。中学の同級生が親の都合でアリゾナに移り住むこととなり、私は長期休みを利用して遊びに行くことになりました。初めて一人で飛行機に乗り、サンフランシスコ経由でアリゾナに向かうのは、ちょっとした冒険でした。(今では海外の空港のトランジットよりも、新宿駅や東京駅での乗り換えの方が複雑だと考えています。)

初のアメリカでは、2週連続で週末に州のチェスセンターに連れて行ってもらい、アメリカのチェス協会(USCF)に入会して計8戦をこなしました。また別の日には、どこか忘れてしまいましたが、大学のチェスサークルの活動に参加させてもらい、地元の大学生たちと多くのブリッツを楽しみました。これらが私にとって初の海外でのチェス経験であり、中学からチェスを始めて本当に良かったと感じた思い出です。

2回目の渡米は2005年、初の全日本優勝の直後でした。ミネアポリスで行われたHB Global Chess Challenge という大会に誘われ、日本から私を含め、5人のプレーヤーが参加しました。私にとっては初の海外トーナメントであり、参加者何百人というその規模は、日本国内の大会しか知らなかった私にとって、大きなサプライズでした。人生で初のFM,IMとの公式戦があり、試合を寝過ごすトラブルがあり、一緒に行ったプレーヤーの方々にも、日本で応援して下さった方々にも色々とご迷惑をおかけしました。懐かしいHB Global のレポートは、以下のサイトで読めるので、よろしければどうぞ。

http://uscfosaka.web.fc2.com/msc/note_6.html

私にとって3回目のアメリカ挑戦は、何かの初体験になるでしょうか。もちろん一番に狙うべきは、初のIMノーム獲得です。オーストラリアからの若きFM2人も、当然それを狙っているでしょう。保護者代理と言う立場ではありますが、次回のレイティング更新では3人のうち一番レイティングが下になるため、胸を借りるつもりでトーナメントに臨もうと思います。日本のチェスプレーヤーの皆さん、応援よろしくお願い致します。

2011/05/30

松戸スプリングトーナメント

今日は松戸チェスクラブ主催のスプリングトーナメントに参加してきました。松戸のの大会に参加するのは、実に3年ぶりのことです。上位陣は少しさびしい面子でしたが、全体として26名の参加者があり、十分盛り上がったと思います。

R1 小島慎也(2365)-阿部真大(1845)
1-0/ 16手/ Four Knights


中学2年生の真大君とは、今年の1月にも同じ色で対戦しています。今回はPetrofを避けてFour Knightsにしてみたところ、黒が早々に間違え、あっという間に勝勢になりました。真大君も昨年から1800台で苦しんでいますが、ちょっとしたきっかけを掴めばすぐ1900,2000に乗るでしょう。

R2 星野栄造(1872)-小島慎也(2365)
0-1/ 35手/ Caro-Kann Classical without 8.h5


星野さんとは3年ぶりの対戦です。Caro-Kannに何を指してくるかは知りませんでしたが、メインのh5を指さないラインでした。白がショートキャスリングをしてきたので、h4をターゲットにしてキングサイドを攻め、ポーンをいくつかもらったところでディフェンスに回り、勝ち切りました。少しひやりとするところもありましたが、時間切迫でも冷静にさせたと思います。

R3 小島慎也(2365)-南條遼介(2337)
1/2-1/2/ 51手/ Sicilian Alapin 2...d6


今日は南條君ともファイティングです。彼もAlapin対策は色々と考えているようで、前回の2...e6から2...d6へと変えてきました。お互いにチャンスのある局面はありましたが、時間切迫により最善手を逃し合い、最終的にはドローに落ち着きました。色々と考えることが多く、指していて楽しい試合でした。

R4 小笠誠一(1828)-小島慎也(2365)
0-1/ 27手/ Caro-Kann Classical

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. h4 h6 7. Nf3 Nd7 8. h5 Bh7 9. Bd3 Bxd3 10. Qxd3 e6 11. Bd2 Ngf6 12. O-O-O Be7 13. Kb1 Qb6!?

14. c4?!

私はこのようなポジションでは、白はc4を突くべきではないと思っています。将来的なターゲットなる可能性があるためです。

14...O-O 15. Bc3?!

黒は黒マスビショップを交換する準備ができているため、この手はあまり働きません。

15...Rfd8

Rfe8-Rad8-c5とセンターを崩しに行っても、黒は十分イコアライズできますが、私はRfd8を好みます。a8のルークを、aファイルから使う可能性を残すためです。

16. Qe2 Bb4 17. Qe1?! a5!=/+
あとは...c5からセンターを崩し、ナイトをc5,e5で使えるようにします。白はc4とf2が負担となり、苦しい展開が続きます。

18. Kc2 c5! 19. a3 cxd4 20. Nxd4 Bxc3 21. Kxc3 (21. Qxc3 Qc5) 21... Nc5 22. Nb5 Rxd1 23. Qxd1 Nce4+ 24. Kb3 Rd8 25. Qe2 Rd2 26. Qe3 Qxe3+ 27. fxe3 Nxg3 0-1

結局、白はg3のナイトとh1のルークが使えずに終わりました。Caro-Kannのメインラインは、私も手順だけはチェスを始めて数カ月で覚えましたが、お互いの正しい指し方を理解するのは難しいものです。Caro-Kannには、これからも私のメインウエポンとして仕事をしてもらうつもりです。

2011/05/28

Philadelphia への誘い

来月、アメリカのフィラデルフィアで、Philadelphia International とWorld Openの二大会が開催されます。この二大会はSheraton Philadelphia City Center Hotel という同じ会場で開催され、日程は前者が6/22-28,後者が6/28-7/4となっています。6/28は、どうやら前者の最終戦と、後者の初戦が両方行われるようです。驚くべき運営スタイルですね。

先日、突然の誘いがあり、私もこの二大会に参加してみようという気になっています。スケジュールの都合と航空券の確保が出来次第、もう少し詳しい話を書こうと思います。参加するとなれば、実に高校2年生以来、6年ぶりの渡米&アメリカでのチェスとなるので、とても楽しみです。

2011/05/26

Gelfand won the important match !!!

すでに多くの人がご存じだと思いますが、昨夜のWch Candidate Match Gelfand-Grischuk のGame6で、イスラエルのGelfandが勝利し、Anandへの挑戦権を得ました。Gelfandファンとしては喜ばしい限りです。最終戦は難解なファイティングゲームでしたが、私なりに試合を振り返ってみようと思います。

Gelfand,B(2733)-Grischuk,A(2747)
Wch Candidate Match Final (6)

1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nf3 Bg7 4. g3 d5


最終戦、黒のチョイスはGrunfeldでした。黒で勝ちに行くオープニングとして、大変人気があります。しかし、センターを取らせての戦いは難しく、センスと経験がものを言うオープニングだと個人的には考えています。

5. cxd5 Nxd5 6. Bg2 Nb6 7. Nc3 Nc6 8. e3 O-O 9. O-O Re8 10. Re1

Khanty-Mansisk Olympiad でもg3 Grunfeldの試合解説はいくつか見ましたが、私もさほど詳しくないため、問題の局面まで流します。

10...a5 11. Qe2 Bg4 12. h3 Be6 13. b3 a4 14. Rb1 axb3 15. axb3 Qc8 16. Kh2 Ra5 17. Rd1 Rh5 18. Nh4 Bf6 19. f4 Rd8
ここはポーンを取ったらどうなっていたのか、非常に気になるところです。おそらく
19... Bxh4 20. gxh4 Rxh4 21. Kg3 Rxh3+ 22. Bxh3 Bxh3 とエクスチェンジを捨てるのではないでしょうか。

20. Qf2 Bxh4

ここは難しい判断です。黒はナイトを取って白のポーンストラクチャーを崩しますが、代わりに自身の黒マスを弱めます。

21. gxh4 Nd5 22. Nxd5 Rhxd5 23. Bb2

白はa1-h8のダイアゴナルを狙いに行きます。これが綺麗に開けば、白にチャンスが訪れます。

23...Rb5 24. Qe2 Rh5 25. e4!
ここで白はセンターの厚みを活かして黒にプレッシャーをかけます。コンピュータの評価はさておき、黒にとってどう指すか難しいポジションだと私は考えます。

25...Bxb3 26. Rdc1 Na5 27. d5 b6 28. Be5 c5 29. dxc6
これで白には強力なパスポーンができました。白マスビショップとルークが、これを支える絶好の位置にいることもポイントです。

29...f6 30. Ba1 Rc5 31. Rxc5 bxc5 32. Qb5!
私はライブを見ていて、32.e5から黒マスビショップのダイアゴナルを開く手もありかと思いましたが、本譜のほうが自然かつ、強烈です。

32...Qc7 33. Rxb3 Nxc6 34. e5 Nd4 35. Qc4+ 1-0

最後は時間切迫もあり、Grischuk があっというまに崩れてしまいました。Grischuk にとっては、前半で優勢な試合を勝ち切れなかったことが悔やまれるマッチだったでしょう。なにはともあれ、

Congratulations! Boris Gelfand!


2011/05/25

第7回国際親善チェス大会 in 新潟

今年も新潟でのチェス大会の日程が近づいてきました。これは新潟チェスクラブが年に一回、開催する大会で、今年の開催日は7/9(土)です。詳細は公式HPをご覧ください。

https://sites.google.com/site/kokusaishinzenchesutaikai/

私は一昨年、2009年に参加して、大変楽しませてもらいました。昨年は都合が合わず参加を見送りましたが、今年は参加します。すでに主催者側に参加の意思を伝え、新幹線と宿泊の予約も済ませてあります。ちなみにセットで20000円程でした。

一昨年は全日本チャンピオン経験者が四人参加し、上位ボードで激しい優勝争いをしました。(写真はAクラス3R,1B,Collins-上杉、2B,小島-Pineau の様子です。)また、賞品は新潟の名産品や地酒等、とても豪華でした。優勝したCollinsは折り畳み式自転車までゲットしています。
今年はまだ、関東圏から参加するという声は聞いていませんが、これから増えてくることを期待しています。特に最近活動が活発な学生たちには、積極的に参加してほしいと思います。一月半後を楽しみにしています。

2011/05/22

Fighting with the Ruy Lopez (1)

昨日、吉祥寺チェスクラブで行われた、私の自戦記レクチャーにご参加くださった皆さん、ありがとうございました。取り扱った試合がなかなか難しかったため、始める前はどうなるかと思いましたが、結果としては色々アイディアが飛び交い、楽しいレクチャーだったと思っています。来月のレクチャーは、オープニングを絞った試合解説にしようかと考えてており、今のところ、Ruy Lopezの予定です。

Ruy Lopezは1.e4 e5では王道中の王道であり、e4プレーヤーならば一度は必ず学ぶべきオープニングだと考えています。私自身1...e5に対しては、Bishop Opening, Vienna, Giuoco Piano, Scotchと色々試してきましたが、今はRuy Lopezに落ち着いています。Ruy Lopezの多彩なアイディアは、他のラインにも応用することができるので、他のオープニングをチョイスする人にも、Ruy Lopezを多少なりともかじってほしいと思います。

しかし、Ruy Lopezは実際に指してみると、初心者のうちは白の何が良いのか分からないことが多いでしょう。私も昨年、1.e4メインに戻して指しているうちに、ようやくRuy Lopezの本質が飲み込めてきたように思えます。そこで来月のレクチャーで扱う前に何回かに分けて、Ruy Lopezの試合を解説しようと思います。来月のレクチャーと合わせ、日本のチェスプレーヤーの皆さんが、Ruy Lopezを理解するための一助となれば幸いです。

Kojima,S-Sato,K
2nd Closed Training
2010.05.21

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. O-O Be7 6. Re1 b5 7. Bb3 O-O 8. h3 d6 9. c3 Na5 10. Bc2 c5 11. d4 exd4 12. cxd4 Nd7 13. Nbd2 Nc6 14. d5 Nce5
多少の手順前後はありましたが、Ruy Lopez Chigorin Variationの一変化になりました。

15. a4!

Ruy Lopezではポピュラーな手です。aファイルを開き、キングサイドとセンターだけでなく、クイーンサイドでもプレーできるようにします。

15...Rb8 16. axb5 axb5 17. Nxe5 Nxe5 18. f4 Ng6 19. Nf3 Bh4 20. Rf1 Bg3 21. f5 Ne5 22. Ng5!
黒はe5のマスをうまく抑えていますが、白はここでナイト交換を避け、黒キングへアタックを仕掛けます。少し気づきにくいですが、Ra3からビショップを狙うアイディアも隠れています。次は慎重に受けなければいけないところですが、要君は間違えてしまいました。

22...c4?

22...h6? 23. f6! hxg5 24. Bxg5 g6 25. Ra3!+/-
22...Bh4 23. Qh5 Bxg5 24. Bxg5+/= Anand-Bruzon/2006

私が黒のベストだと考えているのは、22...Nd7!?と指して、e5を抑えるピースをナイトからビショップに切り替えるプランです。本譜は白のキングサイドアタックを軽視しており、勝負は一気に決まります。

23. Qh5! h6 24. f6!
上記のラインと同じアイディアです。Bg5とRa3の両方があるので、黒はg5のナイトを取っても厳しい展開となります。

24...gxf6 25. Nf3!

落ち着いて一度ナイトを退けば、白は安全に攻撃を続けることができます。

25...Ng6 26. e5! f5 27. e6!+- Nf4 28. Bxf4 Bxf4 29. Qxf5 Be3+ 30. Kh1 Kg7 31. Ng5 1-0
要君としては不本意な試合だったと思いますが、白のアタックがきれいに決まったので使わせてもらいました。次回はまた別の変化の試合を扱います。

2011/05/21

Gelfand's Rook Ending

Candidates Matches Final 初戦のGrischuk-Gelfandで、興味深いルークエンディングが現れました。私は白のGrischukが勝つかと思いましたが、結果はドローでした。Chessbaseの解説を読む限り、Gelfandは正確に指して、1ポーンダウンながら危なげなくドローだったようです。私はこれをすぐには理解できなかったため、今日ここで取り上げようと思います。

Grischuk,A(2747)-Gelfand,B(2733)
Candidates Matches Final(1)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. Nc3 Be7 5. Bf4 O-O 6. Rc1 c5 7. dxc5 Bxc5 8. e3 Nc6 9. a3 d4 10. exd4 Nxd4 11. b4 Nxf3+ 12. Qxf3 Bd4 13. Nb5 e5 14. Bg5 Re8 15. Bxf6 e4 16. Bxd8 exf3+ 17. Kd2 Rxd8 18. Nxd4 Rxd4+ 19. Kc3 fxg2 20. Bxg2 Rg4 21. Rhd1 Be6 22. Bxb7 Rxc4+ 23. Kb2 Rxc1 24. Rxc1 Rd8 25. Kc3 Kf8 26. b5 Ke7 27. a4 Rd6 28. a5 Kd8 29. b6 Bc8!
30. Bxc8 Kxc8 31. Kb4+ Kb8 32. bxa7+ Ka8 33. Rc8+ Kxa7 34. Rc7+ Ka6 35. Rxf7 Rg6 36. h3 Rg2 37. f4 Rg3 38. f5 h5 39. h4 Rg4+ 40. Kc5

私はこの辺りで、真剣にこのルークエンディングがどのような結末を迎えるのかを考え始めました。同時にコンピュータにもこの局面をかけ、形勢を確認します。すると42手目がポイントで、白が勝つとコンピュータは評価しました。しかし、それは幻だったようです・・・

40...Rxh4 41. Rxg7 Rf4 42. Rg6+

私はこの手がミスで、Grischukが勝ちを逃したのだと思いました。ところがそれは間違いで、白はa5を取らせないようにしても、勝つことはできません。私が考えていたのは、42.Rg6の代わりに42.Rg5です。

42. Rg5 h4 43. Rh5 h3 44. Kd6 h2 45. Ke6 Rf2 46. f6 Re2+ 47. Kf7 Rf2 48. Kg7 Rg2+ 49. Kh7 Rf2
このような形にすれば、本譜とほとんど同じで黒はドローに持ち込めます。

42...Kxa5 43. Rg5 h4 44. Rh5 h3 45. Kd6 h2 46. f6+ Kb6 47. Ke6 Rf2 48. f7 Re2+ 49. Kf6 1/2-1/2
最後は、黒が後ろからルークでのチェックをかけ続け、キングが離れれば...Rf2でポーンを狙ってドローになります。h2にポーンがあるために、ルークをぶつけるルセナポジションのアイディアが使えないことがポイントです。

Grischuk-Gelfandのマッチは、Game2もドローのルークエンディングとなり、Game3は短手数ドローでした。Game4からの後半戦に注目しましょう。

2011/05/19

Candidates Matches Final - Boris Gelfand -

現在、タタールスタン共和国の首都、カザンでCandidates Matches 2011が開催されています。これは現世界チャンピオンのViswanathan Anandへの挑戦者を決めるもので、8人いた選手は2人まで減り、決勝戦が行われている最中です。決勝の組み合わせはロシアのAlexander GrischukとイスラエルのBoris Gelfandです。

世界ランキング1位のCarlsenが参加を辞退したため、今回の本命はアルメニアのAronianとブルガリアのTopalovだと言われていました。しかし蓋を開けてみれば、その2人は初戦で姿を消し、先述の2人が決勝まで残りました。これを意外だという声は多いですが、私はGelfandが残ったことは、そう不思議でもないと考えています。今日はそんなGelfandにスポットを当て、彼がどういった人物がご紹介します。

Gelfand はイスラエルのトップGMであり、10年以上2700台をキープし続ける、世界でもトップクラスのチェスプレーヤーの一人です。20代、10代の台頭が激しいチェス界で、彼らに一歩も退かず第一線で戦い続けるベテランプレーヤーです。白ではCatalanを中心とした1.d4系、黒ではSlavやPetrofを好み、そのスタイルは、Avrukh,Postny,Roiz,Rodsteinといった、他のイスラエル代表にも大きな影響を与えています。
彼の最近の大きな活躍としては、2009年のFIDE World Cupでの優勝が挙げられるでしょう。Karjakin, Polgar, Ponomariovを破っての価値ある勝利でした。黒ではPetrofを使って徹底したドロー狙いを貫き、白で勝ちに行くことでマッチを勝ち抜いていきました。イマイチGelfandのチェスは地味で、魅力が分からないという人は是非一度、以下の試合を並べてみてください。

Karjakin,S(2723)-Gelfand,B(2758)
FIDE World Cup 2009

1. e4 e5 2. Bc4

Petrofを嫌っての判断です。しかし、これこそGelfandの思うつぼです。

2...Nf6 3. d3 Nc6 4. Nf3 Be7 5. O-O O-O 6. Bb3 d5 7. exd5 Nxd5 8. h3 a5 9. a4 Nd4 10. Nxd4 exd4 11. Re1 Ra6!!
非常に力強いルークのマヌーバリングです!これ以降も白キングを直接攻める力強いプレーが続きます。

12. Qh5 Nb4 13. Na3 Rg6 14. Bf4 b6 15. Qf3 Be6 16. Bxe6 fxe6 17. Qe4 Bd6 18. Bxd6 cxd6 19. Qxd4 Qg5 20. g3 Qf5 21. g4 h5 22. Re4 d5 23. Kh2 Qf3 24. Ree1 hxg4 25. Qe3 gxh3 26. Qxf3 Rxf3 27. Rg1 Rxf2+ 28. Kxh3 Rxg1 29. Rxg1 Nxc2 30. Nb5 Rf3+ 31. Kg4 Rxd3 32. Nd6 Ne3+ 33. Kf4 Nc4 0-1
今回のGrischukが1.d4ばかりを採用しているため、Petrofの出番はなさそうですが、その代わりにQueen's gambitでの熱い試合が続きそうです。是非皆さんも、Gelfandの活躍をチェックしてみてください。決勝の試合は、以下のサイトからチェックできます。

http://kazan2011.fide.com/live-games.html

2011/05/18

全日本選手権10R解説

昨日、Behind the Sceneで馬場さんが、Exchange Sacrifice をテーマに、全日本の3試合を取り上げていました。その中には10Rの、Amgalanbaatar君と私との試合もありました。この試合は解析をしてみると、終盤の複雑な変化が一番の見どころだと私は考えていますが、Behind the Sceneでは、その辺りはパスされています。

http://chessplayer.jugem.jp/?eid=623

この試合の解説は、こちらのブログで詳細に書こうと思っていたのですが、全日本終了直後に依頼があったため、チェス通信ですでに記事を書かせていただきました。とは言え、楽しみに待っている方もいらっしゃると思いますので、次号のチェス通信発行後に、こちらでも扱おうと思います。

2011/05/17

全日本の棋譜公開に関して

慶應義塾大学チェスクラブのブログから、今年の全日本の棋譜がダウンロードできるようになっています。編集と公開を手掛けてくれた桑田君、中村君には大いに感謝しています。上位10ボード×11ラウンドの計110局が、pgn形式になっているので、ChessBase やWinboard で開いてください。棋譜だけを見るならば、メモ帳でも可能です。

http://keiochess.blog130.fc2.com/blog-entry-77.html

さて、ここで全日本の棋譜公開について、もう少し話をしておきましょう。かつて日本チェス協会では、全日本の棋譜をチェスセンターなどで販売していました。私も中学2年生の頃に全日本の棋譜を購入し、一つ一つ並べて勉強した思い出があります。余談ではありますが、その年の優勝者であるSimon Bibby氏のオープニングレパートリーには、当時大きな影響を受けました。

しかし考えてみれば、海外のトーナメントでは棋譜が無料で公開されるのが一般的であり、棋譜を有料で手に入れるという話はあまり聞きません。日本でも無料で公開すべきだという声は、昔からありました。

流れが変わったのは、2009年の全日本からでした。全日本後に優勝者のSam Collins氏から、棋譜をネット上のチェス新聞であるChess Todayで扱いたいので自分に送ってほしい、との要望があり、私から彼に全日本の棋譜を渡すこととなりました。Chess Todayで全日本の棋譜が解説付きで紹介されたことを受け、日本チェス協会でも棋譜の販売を諦めたのでしょう。その年から日本チェス協会のHPでも、無料で棋譜が公開されるようになりました。

現在、世界中で行われている試合の棋譜は、Chess Base,Chess Games,The Week In Chessなどから閲覧、ダウンロードできます。私も知らない、その他のサイトを活用しているプレーヤーも大勢いるでしょう。棋譜が無料ですぐに手に入ることは、間違いなくプレーヤーの成長を促進させます。今回の棋譜公開が日本のチェスプレーヤーの棋力や、やる気の向上に繋がれば、私としても嬉しい限りです。
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