2011/08/31

デザイン変更のお知らせ

すでにこのページをご覧の皆さんはお気づきだと思いますが、HP全体のデザインを本日、変更致しました。特にBlogページには、アーカイブとラベルを出すようにしましたので、以前に比べ過去記事が検索しやすくなったと思います。またコメント欄も出しましたので、これからはコメントもご自由にどうぞ。どちらもBlogには必要な機能でしたが、長い間放置しており、申し訳ありませんでした。

さらにはトップページも変えようと思いましたが、これだけがうまくいかず苦戦しています。もう少しプログラミングの知識がある友人を頼り、近いうちに何とかするつもりです。

加えて(可能ならば)来月には、Blogページで公開した自分の棋譜を並べることのできる、Gameページを用意したいと考えています。試合の少ない9月はこちらのHPいじりに力を入れるつもりですので、今後ともShinya Kojima のHPをよろしくお願い致します。

2011/08/30

World Cup R1

二日間更新をさぼっている間に、FIDE World Cup がロシアのKhanty-Mansiyskで始まっていました。これは世界中から集められた128名のプレーヤーが、チェスの大会としては珍しく、勝ちぬき形式で頂点を争うトーナメントです。白黒を入れ替えたR1.G2が昨夜行われ、面白い結果となっています。下位のプレーヤーが上位のプレーヤーを破り、2回戦進出を決めたところは赤で示しています。ちなみに下位ボードに行けば行くほど、対戦相手同士のレイティング差は詰まります。

1 2−0 Karjakin, Sergey (RUS) 1−0 Kaabi, Mejdi (TUN)
2 0−2 Steel, H R (RSA) 0−1 Ivanchuk, Vassily (UKR)
3 2−0 Mamedyarov, S (AZE) 1−0 Ibrahim, Hatim (EGY)
4 0.5−1.5 Gwaze, Robert (ZIM) ½-½ Ponomariov, Ruslan (UKR)
5 2−0 Gashimov, Vugar (AZE) 1−0 Hansen, Eric (CAN)
6 0.5−1.5 Genba, Vladimir (RUS) ½-½ Grischuk, Alexander (RUS)
7 2−0 Radjabov, T (AZE) 1−0 De La Paz Perdomo, Frank (CUB)
8 1−1 Di Berardino, D (BRA) 1−0 Kamsky, Gata (USA)
9 1.5−0.5 Svidler, Peter (RUS) 1−0 Lima, Darcy (BRA)
10 0−2 Salem, A.R. Saleh (UAE) 0−1 Jakovenko, Dmitry (RUS)
11 1−1 Vitiugov, Nikita (RUS) ½-½ Bezgodov, Alexei (RUS)
12 0−2 El Gindy, Essam (EGY) 0−1 Almasi, Zoltan (HUN)
13 1−1 Vallejo Pons, F (ESP) 0−1 Cori, Jorge (PER)
14 0−2 Kabanov, Nikolai (RUS) 0−1 Navara, David (CZE)
15 1.5−0.5 Vachier-Lagrave, M (FRA) 1−0 Rahman, Ziaur (BAN)
16 0.5−1.5 Moradiabadi, E (IRI) ½-½ Dominguez Perez, Leinier (CUB)
17 0−2 Wang, Hao (CHN) 0−1 Ivanov, Alexander (USA)
18 1.5−0.5 Shankland, Samuel L (USA) ½-½ Leko, Peter (HUN)
19 1.5−0.5 Moiseenko, A (UKR) 1−0 Esen, Baris (TUR)
20 0.5−1.5 Megaranto, Susanto (INA) ½-½ Le, Quang Liem (VIE)
21 1.5−0.5 Adams, Michael (ENG) ½-½ Paragua, Mark (PHI)
22 0.5−1.5 Leon Hoyos, Manuel (MEX) ½-½ Shirov, Alexei (ESP)
23 2−0 Jobava, Baadur (GEO) 1−0 Guliyev, Namig (AZE)
24 0.5−1.5 Pridorozhni, Aleksei (RUS) ½-½ Caruana, Fabiano (ITA)
25 2−0 Nepomniachtchi, I (RUS) 1−0 Ortiz Suarez, Isan Reynal (CUB)
26 1−1 Robson, Ray (USA) ½-½ Bacrot, Etienne (FRA)
27 0.5−1.5 Wang, Yue (CHN) ½-½ Fier, Alexandr (BRA)
28 0−2 Zhao, Zong-Yuan (AUS) 0−1 Tomashevsky, Evgeny (RUS)
29 1.5−0.5 Efimenko, Zahar (UKR) 1−0 Babula, Vlastimil (CZE)
30 1−1 Felgaer, Ruben (ARG) ½-½ Malakhov, Vladimir (RUS)
31 1−1 Sutovsky, Emil (ISR) ½-½ Vorobiov, Evgeny E. (RUS)
32 0−2 Hou, Yifan (CHN) 0−1 Movsesian, Sergei (ARM)
33 2−0 Polgar, Judit (HUN) 1−0 Corrales Jimenez, Fidel (CUB)
34 0−2 Jumabayev, Rinat (KAZ) 0−1 Fressinet, Laurent (FRA)
35 1−1 Eljanov, Pavel (UKR) ½-½ Zherebukh, Yaroslav (UKR)
36 0.5−1.5 Mareco, Sandro (ARG) ½-½ Berkes, Ferenc (HUN)
37 1.5−0.5 Andreikin, Dmitry (RUS) 1−0 Kazhgaleyev, Murtas (KAZ)
38 1−1 Halkias, Stelios (GRE) ½-½ Morozevich, Alexander (RUS)
39 0−2 Zhigalko, Sergei (BLR) 0−1 Filippov, Anton (UZB)
40 0.5−1.5 Bluvshtein, Mark (CAN) ½-½ Riazantsev, Alexander (RUS)
41 1−1 Motylev, Alexander (RUS) ½-½ Drozdovskij, Yuri (UKR)
42 0−2 Pashikian, Arman (ARM) 0−1 Wojtaszek, Radoslaw (POL)
43 1−1 Potkin, Vladimir (RUS) ½-½ Shulman, Yuri (USA)
44 1−1 Postny, Evgeny (ISR) ½-½ Nielsen, Peter Heine (DEN)
45 1.5−0.5 Grachev, Boris (RUS) 1−0 Romanov, Evgeny (RUS)
46 0.5−1.5 Salgado Lopez, Ivan (ESP) ½-½ Inarkiev, Ernesto (RUS)
47 0.5−1.5 Mamedov, Rauf (AZE) 0−1 Gupta, Abhijeet (IND)
48 1−1 Lysyj, Igor (RUS) ½-½ Kobalia, Mikhail (RUS)
49 1.5−0.5 Bologan, Viktor (MDA) ½-½ Socko, Bartosz (POL)
50 0−2 Adly, Ahmed (EGY) 0−1 Bu, Xiangzhi (CHN)
51 1.5−0.5 Onischuk, Alexander (USA) 1−0 Ivanisevic, Ivan (SRB)
52 1−1 Quesada Perez, Y(CUB) ½-½ Bruzon Batista, Lazaro (CUB)
53 0−2 Yu, Yangyi (CHN) 0−1 Parligras, Mircea-Emilian (ROU)
54 0−2 Zhou, Jianchao (CHN) 0−1 Korobov, Anton (UKR)
55 1.5−0.5 Harikrishna, P. (IND) ½-½ Rodshtein, Maxim (ISR)
56 1.5−0.5 Nguyen, Ngoc T S (VIE) 1−0 Li, Chao b (CHN)
57 1.5−0.5 Kasimdzhanov, R (UZB) ½-½ Nisipeanu, L-D (ROU)
58 2−0 Negi, Parimarjan (IND) 1−0 Akopian, Vladimir (ARM)
59 1−1 Feller, Sebastien (FRA) 1−0 Iordachescu, Viorel (MDA)
60 1.5−0.5 Azarov, Sergei (BLR) 1−0 Timofeev, Artyom (RUS)
61 1−1 Ni, Hua (CHN) ½-½ Khairullin, Ildar (RUS)
62 0.5−1.5 Lupulescu, C (ROU) 0−1 Fridman, Daniel (GER)
63 1−1 Alekseev, Evgeny (RUS) ½-½ Ragger, Markus (AUT)
64 1−1 Ding, Liren (CHN) ½-½ So, Wesley (PHI)

中国勢にとっては悪夢の初戦だったと言えるでしょう。Wang Yue, Wang Hao, Yu Yangyi, Li Chao, Zho Jianchao, Hou Yifan が姿を消し、2回戦進出を確定させたのはBu Xiangzhi だけです。一昨年は、喫煙→遅刻→失格で話題になった中国の2人も、今年は早々に帰国ですね。

対してアメリカ勢はG2まででの敗退なしと、非常に頑張っています。今夜のタイブレークも注目したいと思います。

個人的にはAlmasi Zoltan, Riazantzev Alexander らがどこまでいけるかに注目しています。皆さんのお気に入りのプレーヤーも入っていますか?

World Cup Official Site (http://chess.ugrasport.com/)

2011/08/27

Japan League Best Game

マレーシアから帰国して一段落ついたので、振り返る暇のなかった、Japan League について考えてみようと思います。

今年のJapan League では私が昨年注文した通り、プレーヤーのリストがFIDEレイティングで作成されていました。これは海外からもプレーヤーの来るFIDE公式戦ならば、当然のことだと考えます。ただ、そのようにリストを作成することを事前に告知しなかった点と、下のクラスの表彰をJCAレイティングでやったという点は、来年に向けて改善すべきでしょう。

個人の戦績について言えば、南條君には負けたものの、他の6試合を全て勝ちきれたことを評価したいと思います。特に最後の2試合は自分でも満足の指し回しでした。佐野さんとの試合はチェス通信に解説を回し、こちらでは最終戦の馬場さんとの試合を扱おうと思います。

Kojima,S (FIDE2300,JCA2340) - Baba,M (FIDE2237,JCA2254)
Japan League 2011(7)

昨年同様に5/6で2人が並んだJapan Leagueでは、最終戦の結果に最終順位が委ねられることになりました。ところが、2Bの南條-上原戦は1時間かからずに白勝ちになったため、早い段階で私が南條君に追いつくためには、自身で馬場さんに勝つしかなくなりました。もとより全日本の借りを返すために勝つつもりでしたが、俄然気合が入ります。

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. Nc3 d5

Grunfeld set-up に対してどう組むかは、私が1.Nf3を指し始めた頃から抱える課題でした。フィラデルフィアでは4.Qa4+をメインに考えていましたが、馬場さんとの試合のために用意した答えはこちらです。

4. cxd5 Nxd5 5. Qc2!?
このよく指されそうな一手が、実は今年、Topalov がKamsky を相手に出したばかりの新手だという事実には、驚きを隠せません。

5...Nb6 6. d4 Bg7 7. e4 O-O 8. Be3 Bg4

正確な手です。この局面をもっと古い試合で見たことのあるという人は(あまりいないでしょうが)おそらく、5.Qa4+ Bd7 6.Qc2 からの手順前後でしょう。

9. Ne5 Be6 10. Rd1 c6 11. Be2 N8d7

ここまでは両者とも自然な展開で準備通りでしたが、ここで何を指すか初めて悩みます。e5のナイトの扱い次第では、ここからの局面が大きく変わってきます。

12. O-O!?
今年指された試合で、12.Nf3,12.Nd3の両方をチェックしていましたが、前夜の準備でコンピュータが提案したこちらを選びました。ダブルポーンを作ってもラインを開き、g7のビショップを閉じ込めることで勝負します。

12...Nxe5 13. dxe5 Qc7 14. f4 Bc4

c4のマスを活用することは黒にとって重要な戦力だと言えますが、この白マスビショップの交換により、自分は白の優勢を確信することができました。残った2つのマイナーピースの働きが、黒よりもはっきりと良いためです。

15. b3! Bxe2 16. Nxe2 Rad8 17. Nd4!
もちろんルークは盤上に残し、ナイトをセンターに持っていって勝負します。黒が大きくアクションを起こしてこなければ、白はQf2-Qh4,Nf3-Ng5 というように、黒キングを攻めるマヌーバリングが可能です。このようなクイーンの大胆な切り替えによって相手キングを狙うアイディアは、直前の森内さんとのトレーニングで学んだものです。

17...Rd7?!

17.Nd4を指した直後から、それはないだろうと読んでいた手ですが、黒にとって代わりの正しい手を見つけることは容易ではありません。

18. e6!

ここは迷わず、一時的に1ポーンを捨ててもビショップをもらっておき、相手キングの安全を脅かしにいきます。

18...Bxd4 19. Bxd4 fxe6 20. Be5 Qd8 21. Qe2!
こちらも私の気に入っている手で、Qc4,Qg4 の両方に出られるように準備をし、e6のポーンを取り返しにいきます。特にg4は、h4-h5も加えて、黒のキングを直接狙うことができる好位置です。

21...Rxd1 22. Rxd1 Qc8?
ここは一時的にピンになるとしても、22... Nd7 と指して、ナイトをなるべく早めにキングサイドに戻すべきでした。Qb6+が入ればピンは解消でき、そうでなくとも、Qe8-Nf6でキングのディフェンスを強化できれば、黒はまだ戦えます。

23. Qg4!

e6を攻撃することで、Nd7-Nf6を妨害します。もちろん前述通り、h4-h5も強力な狙いです。これで試合が終わったかと思いましたが、まだまだ黒も粘ります。

23...Rd8! 24. Rf1!
すぐにポーンを取り返す、24.Rxd8+ Qxd8 25.Qxe6+ Kf8 でも白が優勢ですが、次の26...Qd7 からのクイーン強制交換が気になります。そこで私はルークを盤上に残し、直接キングを狙うチャンスをキープすることにしました。

24...Rd2 25. Qh3!

e6へのアタックは残したまま、Qh6の準備ができるのはここしかありません。

25... Qe8 26. f5! Nd7

黒が生き延びるためには、エクスチェンジを切る他ありません。私が密かに期待していた美しいフィニッシュは、26...Rxa2? 27.Qh6! Qf8 28.Qxf8+ Kxf8 29.fxg6+ Kg8 30.Rf8+! Kxf8 31.gxh7+- です。

27. Qh6 Nxe5 28. Qxd2
他に何か手がないものかと考えましたが、Nd7-Nf6 が有力なディフェンスになるため、大人しくエクスチェンジをもらっておくのが正解です。あとは時間の問題なので、解説は割愛します。

28...exf5 29. Qd4 Qb8 30. exf5 gxf5 31. Rxf5 Ng6 32. Qc4+ (32. h4) 32... Kh8 33. Qe6 Qd8 34. h3 Qd4+ 35. Kh2 Qb4 36. Qd7 (36. Rf7!+-) 36... Kg7 37. Rf3 Ne5 38. Rg3+ Ng6 39. Qg4 Qxg4 40. Rxg4 Kf6 41. Kg3 Kf5 42. Ra4 a6 43. Kf3 e5 44. Rc4 Ne7 45. a4 Ke6 46. a5 Nf5 47. Rb4 Nd6 48. Rh4 Nf7 49. Ke3 h6 50. g4 Kd5 51. Rh5 c5 52. Kd3 Ke6 53. h4 Kd5 54. g5 hxg5 55. hxg5 Ke6 56. Kc4 Kf5 57. Kxc5 Nxg5 58. Kb6 Kg4 59. Rh1 Ne6 60. b4 Nd8 61. Kc7 Nc6 62. Rb1 1-0
最終的にはこのような形に。やはりナイトでルークと勝負するのは難しいですね。

全体を通しても、これまでの馬場さんとの試合の中で、かなりうまく指せた試合だと思います。チェス通信に掲載する佐野さんとの試合も楽しみにお待ちください。

2011/08/25

Malaysian Open Day 8

帰国間際、空港からの更新です。最終ラウンドの結果を公開します。

B24 FM Kojima,S (2300,JPN) - Lee,Kah (1985,) 1/2-1/2
Slav 4.e3
B32 Shinoda,T (1897,JPN) - Zulfic,F (2098,AUS) 0-1
Benko Gambit
B35 Ajeet,S (1864,MAS) - Nakamura,N (2033,JPN) 1-0
Queen's Gambit
B44 Ravry,K (1784,FRA) - Ding,T (1486,MAS) 1-0
Stonewall
B46 Watanabe,K (UR,JPN) - Marret,B (1821,FRA) 1/2-1/2
French Tarrasch

Final Score

4.5P 小島
3.5P 中村、篠田、針谷
2.5P 渡辺

私は最後までとことん勝てないトーナメントでした。1勝1敗7ドロー、最後は人生初の5連続ドローです。レイティングは大幅に下がりますが、確かな実力があればどこでも取り戻せると信じているので、次のトーナメントで頑張ります。

今回、私たち5人を応援して下さった皆さん、ありがとうございました。マレーシア期間中は、私のブログ開設以来、最高のヒット数でした。皆さんが私たちの戦績に注目して下さったことを、感謝致します。次回は日本でお会いしましょう。

Malaysian Open Day 7 - the 2nd rest day -

今日は2回目の休憩日でした。前回はホテルに引きこもりでしたが、今回は惇多君と相談し、オーストラリアチームとでかけることになりました。

電車はタクシーよりも安いですが、待ち時間が長かったです

マレーシアのバベル、ペトローナスツインタワー

とりあえず日本チームで記念写真

くまさん

ツインタワーのチケットは売り切れだったため、KLタワーに向かいます

イグアナと出会ったので、とりあえず睨み合います

オーストラリアのZulfic君、篠田君の最終戦の相手です

KLタワーの展望台からは、クアラルンプールのビル群が一望できます

KLタワーのチケットとセットで、乗馬の権利、動物ゾーンへの入場券、F1のシュミレーションの3つから、1つを好きに選ぶことができました。全員相談なしでチケットを買ったところ、篠田君が一人乗馬を選んでしまい、他は全員動物にしたため、彼は慌てて受付に変更を申し出ていました。

わくわくどうぶつランド1

わくわくどうぶつランド2

わくわくどうぶつランド3

KLタワーの動物ゾーンを出た後は、セントラルマーケットに行く案もありましたが、雨がぱらつき始めたのでホテルに戻ることに。前回と異なり、5時間ほどの観光があった今日は有意義な休日となりました。

あとは明日の最終戦で全員そろって勝てることを願うのみです!

2011/08/24

Malaysian Open Day 6

本日は疲れ気味なので、簡単に結果をまとめます。

R7

B22 Shinoda,T (1897,JPN) - Olay E (2303,PHI) 0-1
Queen's Gambit Accepted
B23 FM Kojima,S (2300,JPN) - Adeimi,M (1895,MAS) 1/2-1/2
King's Indian
B26 IM Lim,Y (2253,MAS) - Nakamura,N (2033,JPN) 1-0
Caro-Kann Fantasy
B35 Cheah,C (2008,MAS) - Ravry,K (1784,FRA) 1-0
Stonewall Dutch
B43 Watanabe,K (UR,JPN) - Subramaniam,S (2117,MAS) 0-1
Sicilian Sveshnikov

R8

B25 Lee,Kai (2008,SIN) - FM Kojima,S (2300,JPN) 1/2-1/2
Caro-Kann Classical
B30 WFM Zhai,M (2198,CHN) - Shinoda,T (1897,JPN) 1/2-1/2
Ruy Lopez Breyer
B33 Nakamura,N (2033,JPN) - WCM Nur,N (1894,MAS) 1/2-1/2
Catalan
B41 Iskandar,B (1956,SIN) - Ravry,K (1784,FRA) 1-0
Stonewall Dutch
B43 Gibbons,R (2034,NZL) - Watanabe,K (UR,JPN) 1-0
Caro-Kann Two Knights

私は下相手に四連続ドローです。どうも勝ちきれなくていけないですね。特にR8は芸術的なタクティクスで1ポーンアップし、楽勝かと思っていただけに残念です。

篠田君はR8で珍しいことに、ナイト+ビショップ+キング VS キングになりました。ちなみに逃げる側です。中国の少女は経験がなかったのでしょう。50手逃げてドローになりました。

尚広君は昨年敗れた地元の幼女にリベンジならず。針谷君と渡辺君はここで痛い連敗です。最終日に期待しましょう。

そして明日の休憩日を挟んだ最終戦のペアリングは以下の通りです。

B24 FM Kojima,S (2300,JPN) - Lee,Kah (1985,)
B32 Shinoda,T (1897,JPN) - Zulfic,F (2098,AUS)
B35 Ajeet,S (1864,MAS) - Nakamura,N (2033,JPN)
B44 Ravry,K (1784,FRA) - Ding,T (1486,MAS)
B46 Watanabe,K (UR,JPN) - Marret,B (1821,FRA)

泣いても笑ってもこれが最後の試合です。皆さん頑張りましょう!

2011/08/22

Malaysian Open Day 5

マレーシアオープンも今日で2/3が終了しました。長いようであっという間のトーナメントです。
それでは、今日のR6のペアリングと結果です。

B18 FM Ikeda,J (2349,AUS) - Shinoda,T (1897,JPN) 1-0
Ruy Lopez Closed
B25 Lei,T (2061,CHN) - FM Kojima,S (2300,JPN) 1/2-1/2
King's Indian Attack
B26 Ravry,K (1784,FRA) - FM Wallis,C (2287,AUS) 0-1
Stonewall
B38 Nakamura,N (2033,JPN) - Watanabe,K (UR,JPN) 1-0
King's Indian Fianchetto Panno

私たちの中で最も上位ボードに座ったのは、一昨日ブルネイのFMに勝った篠田君です。今日は初めての日本人対決、オーストラリアの池田君との対戦になりました。何でも指せる池田君のプリパレーションに苦労したようですが、私が見に行ったときには白がポーンアップ。そのまま実力で押し切られたようです。池田君は9月に日本に数日間滞在するそうなので、何か歓迎のイベントを企画したいと思います。

私は連続で中国のジュニアとの対戦、しかもこのラウンドは女の子が相手でした。黒でも勝ちに行くつもりでしたが、クイーンサイドのポーンを固めた判断がおかしく、苦しい同色ビショップエンディングになってしまいました。最後はお互い一分を切る時間切迫の中、改善の方法がなくドロー。なかなか私も二勝目が遠く、苦労しています。

隣のボードでは針谷君が、FM相手にStonewallで応戦しましたが、cファイルを食い破られてマテリアルはイコールながら、苦しい展開が続きました。最後は望みのないルークエンディングとなり、やむなくリザイン。

そして今日一番のネタペアリングである中村-渡辺は、尚広君が上位の貫録を見せて順当に勝ち・・・とはいかず、早々に白が駒損する苦しい展開でした。渡辺君は用意通りにツーピースルークの駒得となりましたが、そこからボードの端に行ったナイトをしばらく戻さずにいたところ、それが取られてしまい、逆転負けになってしまいました。

ここまで日本からの5名の獲得ポイントは

3P 小島、中村、篠田
2.5P 針谷
2P 渡辺

となっています。そして明日のペアリングは

B22 Shinoda,T (1897,JPN) - Olay E (2303,PHI)
B23 FM Kojima,S (2300,JPN) - Adeimi,M (1895,MAS)
B26 IM Lim,Y (2253,MAS) - Nakamura,N (2033,JPN)
B35 Cheah,C (2008,MAS) - Ravry,K (1784,FRA)
B43 Watanabe,K (UR,JPN) - Subramaniam,S (2117,MAS)

と発表されています。注目は尚広君の相手でしょうかね。かつて私や井上さんとも対戦したことのある、元マレーシア代表、Lim Yee-Weng です。彼も今回、あまり調子が良くないようなので、尚広君がポイントを取ることに期待しています。

私は尚広君がR4で負けた相手ですが、この辺りに勝てないと、もはやどこに勝つの?という話なので、きっちり勝ちに行こうと思います。


2011/08/21

Malaysian Open Day 4 - rest day -

今日は試合のない休憩日でした。予定は朝決めるというグダグダっぷりでしたが、結局どこにも行きませんでした。次の休憩日にはどこかに出かけようと思います。(多分)その代わりと言っては何ですが、これまで撮った写真を公開します。

到着したら列車の中ですぐにチェスを始めます。

フードコートでの食事風景です。

いきなり日本人対決となりました。

くまさん。

試合会場の様子です。

今日はジュニアの快速選手権が開催されていました。参加者は250名です!

会場の外まで参加者とその保護者が溢れています。

ちなみに明日のペアリングは、また面白いことに日本人対決が続きます。

B18 FM Ikeda,J (2349,AUS) - Shinoda,T (1897,JPN)
B25 Lei,T (2061,CHN) - FM Kojima,S (2300,JPN)
B26 Ravry,K (1784,FRA) - FM Wallis,C (2287,AUS)
B38 Nakamura,N (2033,JPN) - Watanabe,K (UR,JPN)

こんなに日本人同士で当たる大会は初めてですね。何かに憑かれているとしか思えませんが、なにはともあれ、ベストを尽くすのみです。

2011/08/20

Malaysian Open Day 3

今日は前半戦最終日、R4,R5の1日2戦です。まずはR4から。

B10 GM Salvador (2527,PHI) - FM Kojima,S (2300,JPN) 1-0
English
B34 Shinoda,T (1897,JPN) - Gibbons,R (2034,NZL) 1F-0F
B35 Nakamura,N (2033,JPN) - Adeimi,M (1895,LIB) 0-1
King's Indian
B39 Ismail,A (1989,MAS) - Watanabe,K (UR,JPN) 1-0
Torre Attack
B44 Ravry,K (1794,FRA) - CM Goundar,S (1934,FIJ) 1-0
English

私はフィリピンのGM相手に悪くないポジションでしたが、ちょっとした見落としでエクスチェンジが消え、苦しい展開になりました。最後はファンタスティックな手を指されリザイン。勉強させてもらいました。

篠田君は待ち人来たらず。午後の試合前に会場に姿を見せ、謝罪していました。日本の皆さんも何らかの理由で不戦敗になった場合、相手に謝りましょう。

尚広君の試合は彼の名誉のため、触れないでおきます。

渡辺君は用意通りのTorre Attack でしたが、相手の攻めをナーバスに考え過ぎたために自ら形を崩して劣勢に。相手のタクティクスも決まって負けとなりました。

針谷君は相手の隙を突いてポーンをサクサク取り、問題なく勝ちです。私との試合でも感じましたが、レイティング1700台は嘘ですね。(彼は慶應のトレーニングで、桑田君に勝ったりもしています。)これからもっと上を食っていってもらいましょう。

続いて午後のR5のペアリングと結果です。

B24 FM Kojima,S (2300,JPN) - Chen Y (2152,CHN) 1/2-1/2
Slav 4.e3
B26 Shinoda,T (1897,JPN) - FM Yee S (2281,BRU) 1-0!!!
Grunfeld Russian
B36 Bennett H (1994,NZL) - B44 Ravry,K (1794,FRA) 0-1
King's Indian Attack
B41 Loh Z (1769,AUS) - Nakamura,N (2033,JPN) 0-1
Queen's Gambit Bf4
B44 Watanabe,K (UR,JPN) - Klein G (1919,GER) 1-0
Sicilian Kan

私はちょっと凝ったプランでいこうとしたのがうまくいかず、ピースがうろうろした挙句にアドバンテージを放棄してしまいました。それでも試合を続けるべきでしたが、弱気虫が出てドローに。ダメな1日でした。

二つの隣のボードをふと見ると、篠田君が10数手でピースアップしていました。そのまま駒をすべて消して楽勝かと思いましたが、最後の最後で緩い手が出て肝を冷やします。その後、だいぶ考えた末に、なんとか唯一の勝ちのプランを見つけることができ、勝利となりました。篠田君は2200台及び、タイトルホルダーに勝ちは初めてしょうね。おめでとうございます。

針谷君は得意のFrench で1900台に連勝です。波に乗ってきました。休憩日を挟んだ明後日も期待しています。

尚広君はオーストラリアの少年に危なげなく勝ちです。午前のミスがあるので手放しでは喜べないでしょうが、とりあえず勝って休憩日を迎えられたことは安心できる要因でしょう。

渡辺君も今大会、嬉しい初勝利です。Sicilian が早々にFrench のようなストラクチャーとなり、白が指しやすいなと思って見ていましたが、驚きのピースタダ落ち。しかしめげずに、さらにピースをキング前で叩き切ったところ、攻めが通ってメイトとなりました。危ない勝ち方ですが、まずは初勝利を喜ぶべきでしょう。

さて結果を見た段階でお気づきかもしれませんが、R5は私だけ勝てませんでした。やはりイコールでも勝ちにいかなければだめですね。明日1日休憩日を挟み、勝負の後半戦を迎えます。

3P 篠田
2.5P 小島、針谷
2P 中村、渡辺

2011/08/19

Malaysian Open Day 2

マレーシアオープン二日目の結果です。今日は午後3時から1試合の緩いスケジュールでした。

B25 FM Kojima,S (2300,JPN) - Nakamura,N (2033,JPN) 1-0
Catalan Open
B28 Watanabe,K (UR,JPN) - CM Wang,Y (2262,CHN) 0-1
Sicilian Taimanov
B37 Ong,W (2041,MAS) - Ravry,K (1794,FRA) 1-0
French Tarrasch
B48 Greenwood,M (UR,ENG) - Shinoda,T (1897,JPN) 0-1
Ruy Lopez Breyer

私と尚広君の試合は、Catalan のマイナーラインで白が早々にポーンを捨てるアツい展開になりました。しかし私がぬるい手を指したことで、なにもない2ポーンダウンに。その後いろいろとごまかしを入れて、1ポーンダウンながら白にチャンスがあるエンドゲームに突入し、何とか初白星をもぎ取りました。お互い前途多難な試合内容と言えます。ちなみに彼は試合後、ショックで悶えていました。

渡辺君は2試合連続で中国人が相手です。午前中から試合の用意を進めましたが、Kan の予想がTaimanov に。ビショップとナイトの不利な交換の後、駒を捨てて攻めに行きましたが、すぐさま受けられて負けです。

針谷君だけ、だいぶ試合が始まらないなと思って彼の様子を見ていましたが、なんと対戦相手が58分遅刻したそうです。(1時間遅刻で負けになります。)French Tarrasch で始まった試合は、私が見に行ったときには黒が1ポーンダウンで苦しい展開でした。海外まで来て不戦勝になっても嬉しくはないですが、こういう負け方も悔しいですね。

篠田君は負ければ最下位ボードもありえる、プレッシャーのかかる試合でしたが、UR相手に問題なく勝ちました。私もそうですが、このラウンドで初勝利を取れてほっとしたでしょう。明日は再び、1日2試合のスケジュールに戻るので、連勝して勢いに乗りたいところです。

ここまで日本勢の戦績は

2P 小島
1P 中村、篠田、渡辺
0.5P 針谷

となっています。そして気になる明日のペアリングは

B10 GM Salvador (2527,PHI) - FM Kojima,S (2300,JPN)
B34 Shinoda,T (1897,JPN) - Gibbons,R (2034,NZL)
B35 Nakamura,N (2033,JPN) - Adeimi,M (1895,LIB)
B39 Ismail,A (1989,MAS) - Watanabe,K (UR,JPN)
B44 Ravry,K (1794,FRA) - CM Goundar,S (1934,FIJ)

私のGM戦よりも篠田君と尚広君が、かなりぎりぎりで対戦を回避したことのほうに目が行きそうです。この先のラウンドも少し危ないですね。なにはともあれ、皆満足な戦績で休憩日を迎えられるよう、精一杯戦うのみです。

自戦記レクチャー in August

毎月、吉祥寺チェスクラブで行っているレクチャーのご案内です。参加をご希望の方は、当日申し込みでも構いませんが、なるべく吉祥寺チェスクラブへ事前にご連絡ください。

会場: 吉祥寺チェスクラブ
スケジュール:2011/08/27(土) 13:00-15:00 
参加費: 席料込   3000円/2000円(一般/大学生以下)
レクチャーのみ  2000円/1000円(一般/大学生以下)
対象: レイティング1200~1800
テーマ: Bishop takes Knight

レクチャー概要:
ビショップとナイトの価値の比較は難しいものです。
多くのかたは「ビショップのほうが、少しだけ強い」と思っているかもしれませんが、
私は正確には「ビショップのほうが、少しだけ使いやすい局面が多い」と解釈しています。
今回のレクチャーでは、そんなビショップをあえて相手のナイトと交換し、
ナイトでビショップに対抗するポジションを考えてみようと思います。

ゲーム:
小島-桑田/ Azabu Open 2005/ 1-0
薄葉-小島/ Team Championship 2009/ 0-1
小島-内田/ Japan Universiade Championship 2009/1-0

Malaysian Open Day1

マレーシアで毎年行われている、Malaysian Chess Festival の中心大会であるMalaysian Open に、今年は日本から5名での参加となります。到着した昨日も簡単なレポートを書くつもりでしたが、Blogger の不調により、試合初日の今日から更新再開です。まずはR1のペアリングと結果です。

B12 IM Bitoon,R (2491,PHI) - Nakamura,N (2033, JPN) 1-0
Caro-Kann Two Knights
B28 IM Sharma,S (2350,IND) - Shinoda,T (1897,JPN) 1-0
Ruy Lopez Qe2
B36 FM Kojima,S (2300,JPN) - Ravry,K (1794,FRA) 1/2-1/2
Queen's Indian
Bye Watanabe,K (UR,JPN)

フィリンピンのIM Bitoon はアジアのトーナメントではお馴染みのプレーヤーです。日本人は私、南條君、渡辺暁さんらが対戦し、いずれも敗れています。中村君はCaro-Kann Two Knights で、うまく指しているように見えましたが、謎のg7-g5というポーン突きにより、自陣を崩壊させ自滅。 最後はピースが受かりませんでした。

IM Sharma とは私が2年前に対戦したことがあり、試合前の準備も当たりましたが、私が見に行くとすでに篠田君のポジションは終わっていました。なかなかこのレベルのマスターからポイントを取るのは難しいと思います。

そしてR1 最大のネタペアリングは私と針谷君の日本人対決です。(針谷君はフランス名で登録しているため、表記はRavry,K となっています。)Queen's Indian で始まった試合は、黒の見落としでポーンをかすめ取った私が何事もなく勝つかと思われましたが、衝撃的な見落としによりポーンを返してしまい、イコールに。その後、無理をして勝ちに行こうとしたせいで劣勢になりましたが、彼もベストの手を見つけることができず、ドローに落ち着きました。 ちなみに私たちの隣のボードで中国のWang Jue が試合をしていたため、篠田君が羨ましがっていました。

渡辺君はリスト最下位であったために、Byeを食らいます。海外まで来てByeはへこみますね。続いてR2のペアリングと結果です。

B22 WGM Zhang,X (2389,CHN) - Watanabe,K (UR,JPN) 1-0
Caro-Kann Classical
B24 GM Sanchez,J (2534,PHI) - FM Kojima,S (2300,JPN) 1/2-1/2
Caro-Kann Advanced
B25 Ravry,K (1794,FRA) - Udani,I (2307,PHI) 0-1
Symmetrical English
B31 Shinoda,T (1897,JPN) - Li,P (2135,CHN) 0-1
Catalan Open
B39 Nakamura,N (2033, JPN) - William,L (1800,MAS) 1-0
Catakan Closed

初戦、Byeで1ポイントもらった渡辺君は、中国女子チャンピオンのZhang Xiaowen との対戦です。今度は私が羨ましがる番でした。私の教えたCaro-Kannのラインでしたが、あっさりとブランダーでエクスチェンジが落ちて負け。悲しい結果でした。

私はなぜか、リスト2のベテランGMとの対戦になりました。普通に指していたら優勢となり、R1同様にロープ際まで追い詰めましたが、フィニッシュを見つけることができず、ドローで妥協しました。勝てるプランはいくつかあったようです。

隣のボードでは針谷君が2300台との連戦になりました。English のチョイスは意外でしたが、オープニングから白にさほどアドバンテージがなく、そのまま実力差で押し切られたという印象を受けました。

篠田君は中国女子との対戦で、ポイントが取れそうなところまでうまく指し続けましたが、痛恨のナイトフォーク見落としがあり、悔しい連敗です。

尚広君は地元の少年に楽勝。特筆することはなにもありません。

ここまで日本人の戦績は

1P 小島、中村、渡辺
0.5P 針谷
0P 篠田
となっています。そして明日のペアリングは再びネタです。

B25 FM Kojima,S (2300,JPN) - Nakamura,N (2033, JPN)
B28 Watanabe,K (UR,JPN) - Wang,Y (2262,CHN)
B37 Ong,W (2041, MAS) - Ravry,K (1794,FRA)
B48 Greenwood,M (UR,ENG) - Shinoda,T (1897,JPN)

100人の大会で5人が日本からの参加者なので、誰かは当たるだろうと思いましたが、私が3試合中2試合、日本人を引かなくても良いと思います。油断はしませんが、ジャパンリーグ同様、さっくり勝たせてもらいましょう。

2011/08/16

Japan League Final Day

無事に最終ラウンドで勝って、大会を締めくくることができました。隣のボードでは、南條君が1時間かからずに相手を片づけていたので、今年は6/7での同時優勝です。賞金は等分ですが、優勝の楯はタイブレークで南條君の物になりました。直接対決で負けていますので、仕方ないですね。

R7 小島慎也 - 馬場雅裕 1-0 Anti-Grunfeld

Final Standing

1st-2nd 南條、小島(6P)
3rd-8th 馬場、佐野、中村(龍)、山田、野口、岩崎(4.5P)

私はFIDE公式戦は5勝1敗で、レイティング+10弱ですかね。フィラデルフィアで落とした分を取り戻すには、少し足りませんでした。一方南條君は、+20程だと思います。いよいよ2300が見えてきましたので、近いうちに日本に新たなFMが誕生しそうです。

明日からは休む間もなく、マレーシアのトーナメントに向かいます。こちらは9Rで、日本からは5名のグループで参加します。詳しくは過去の記事(http://shinyakojima-blog.blogspot.com/2011/07/blog-post_20.html)をご覧ください。引き続き、応援をよろしくお願い致します。

2011/08/15

Japan League Day3 - It's a fine day -

昨夜の宣言通り、死力を尽くしての連勝となりました。特にR6の佐野さんとの試合は、ほぼ完璧な指し回しができたと思います。最後の形も綺麗でした。これで今日連続ドローの南條君と5Pで並び、明日の最終戦に運命を託します。

R5 小島慎也 - 塩見亮 1-0 Symmetrical English
R6 佐野富 - 小島慎也 0-1 Caro-Kann Classical

最終戦の上位ボードのペアリングは、以下の通りです。

B1 小島(5P)-馬場(4.5P)
B2 南條(5P)-上原(4P)
B3 中村(龍)(4P)-山田(4P)

流石に馬場さんをかわしてトーナメントが終わる、などという都合の良いことはありませんでした。白も引けましたので、全力で勝ちに行きます。

2011/08/14

Japan League Day2

ジャパンリーグは3,4Rが行われ、前半戦が終了しました。私は勝負所の4Rで南條君に敗れ、一歩後退です。終始押され気味だったうえ、最後の最後で訪れたチャンスに全く気付きませんでした。南條君には早く2300台に乗ってもらいましょう。

R3 小島慎也 - 袴田栄治 1-0 Queen's Gambit Tarrasch
R4 南條遼介 - 小島慎也 1-0 g6 Slav

明日の上位ボードのペアリングは以下の通りです。

佐野(3.5)-南條(4)
小島(3)-塩見(3)
馬場(3)-山田(3)

残り3戦あるので、最終順位がどうなるかはまだまだ分かりません。再び連勝できるよう死力を尽くします。

2011/08/13

Japan League Day1

今日から四日間のJapan League が始まりました。昨年はオーストラリアから来た中内君との激しい優勝争いを、ギリギリのところで私が制しましたが、果たして今年はどうなるでしょうか。初日の結果は、岩崎さんと中村君に連勝スタートです。

小島慎也 - 岩崎雄大 1-0 King's Indian Bayonet
中村尚広 - 小島慎也 0-1 a6 Slav

試合内容も問題なく勝ち、と言いたいところですが、序盤で優勢を築きながら、中盤で怪しくしてしまう展開が続きました。どうも詰めが甘くて良くないですね。残りの5試合、油断せず臨もうと思います。

明日のペアリングはある筋によれば

1B 小島-袴田
2B 馬場-南條

とのことです。私もチェスを始めて11年になりますが、袴田さんとは公式戦では初対戦です。どのような試合になるか楽しみにしています。

2011/08/11

マンガで覚える 図解チェスの基本


今日は書籍の発売情報です。私が監修したチェスの入門書が、先日から全国の書店で販売されています。詳細は以下の通りです。

タイトル:マンガで覚える 図解チェスの基本
出版社:土屋書店
監修:小島慎也
発行日:2011年8月10日

Amazon ではまだ画像が出ていなかったため、楽天ブックスのリンクを張っておきます。
こちらでも情報の確認ができます。
http://search.books.rakuten.co.jp/bksearch/nm?g=000&sitem=%BE%AE%C5%E7%BF%B5%CC%E9&x=0&y=0

盤面は大きく、フルカラーで見やすくなっています。内容はルールの説明から、ナイトフォークやディスカバードアタックといった、タクティクスの紹介までです。岩崎さんの本ほどではありませんが、練習問題も多めに入っています。

また、小中学生でも読みやすいよう、各章の頭には数ページのマンガによるストーリーが設けられています。もちろん大人のかたにも、楽しんでいただける内容になっていますので、もし近くの書店で見かけた場合は、お手に取って中身を確認してみてください。よろしくお願い致します。

A new training style

今週末からJapan League とマレーシアでFIDE公式戦が続くため、今週はトレーニング強化週間です。今日は山田君、森内さんと3人でトレーニングを行いました。私の記憶が正しければ南條君も誘ったはずでしたが、彼は集合予定時刻に、なぜか神戸にいたため、参加はキャンセルとなりました。

参加者が奇数となったため、今回はいつものような対戦+検討ではなく、いくつかの試合やポジションを見て意見を出し合うことにしました。なかなか面白かったのは、Grandmaster Chess Strategy の第3章から選んだ、以下のゲームです。

Andersson, Ulf - Knaak, Rainer
Capablanca Memorial-A

1. Nf3 Nf6 2. c4 b6 3. g3 Bb7 4. Bg2 c5 5. O-O g6 6. b3 Bg7 7. Bb2 O-O 8. Nc3 Ne4 9. Qc2 Nxc3 10. Bxc3 Bxc3 11. Qxc3 d5 12. d4 cxd4 13. Qxd4 dxc4 14. Qxc4 Nc6 15. Rfd1 Qe8 16. Qf4 Rc8 17. Rd2 Kg7 18. Rad1 Ba8 19. Ne5 Nxe5 20. Qxe5+ f6 21. Qe6 Bxg2 22. Rd7 Rf7 23. Kxg2 Rc5 24. Rxa7 b5 25. e3 1-0

16.Qf4! のアイディアを掘り下げたり、本には載っていない別の変化を考えたりしました。複数の強豪プレーヤー同士で、こういったトレーニングをやってみると、自分にはない視点やアイディアの出し方に気づけることは、大きな発見でした。

他にはEndgame Manual, 100 Endgame You Must Know などのエンドゲームの本から、興味深いポジションを抜き出し、時計を使って実際に指してみました。これも、私としてはほとんど試したことのないトレーニング方法であり、とても新鮮でした。You Must Know を読んでルークvsナイトの基本を理解したつもりでも、時間に追われる実際の試合で、正確に指して勝つのは簡単ではないでしょう。以下のポジション、白が2分、黒が4分、1手2秒増加で問題なく勝てますか?
White to Move

他には日本のチェス界や、出版物、海外トーナメントについての雑談もたくさんしました。森内さん、今日は色々とありがとうございました。また機会を見て、一緒にトレーニングをやりましょう。

2011/08/08

Fighting Spirits - 刹那の攻防 -

女子選手権のゲームの中で、私が最もアツい試合だったと感じたものをご紹介します。トーナメントのキーともなった、3ラウンドのEkaterina-石塚戦です。

Egorova, E (JCA 1987)-Ishizuka,M (JCA 1642)
Women's Championship (3)
Position after 16...a4

17. Bc3 e6!?

私もここで黒がどのように指すかかなり悩みましたが、石塚さんの判断は面白いと思います。狙いはd5からのセンターブレイクです。

18. Qc2 d5 19. Ne5 Qc7! 20. exd5 exd5 21. Qxa4 d4

プロテクテッドパスポーンを作る判断は正しいですが、ここは一度冷静に21... Ra8! と指してa2を取り返しに行くべきでしょう。22.Qb3?! には22...d4 23. Bd2 Rfb8! があります。

22. Ba5 Ra8 23. Bxc7 Rxa4 24. Bd6 Rc8 25. Nxf7?
25. a3 と指してa2のポーンを守っておけば、d4のパスポーンが強力ながら、やや白にチャンスがある局面です。本譜は一見すると強力なタクティクスに思えますが、f7のナイトは特に何か狙ってるわけではありません。ならば黒はこれを無視して、クイーンサイドからカウンターを入れるチャンスです。

25...Rxa2!

25...Kxf7? 26.Re7++/=

26. Ne5 Rxb2 27. Nf3

これで黒はポーンを取り返して、一息つけるだけでなく、7段目に侵入したルークと強力な白マスビショップ、さらにはd4のパスポーンにより優位に試合を進めることができます。

27...Ng4! 28. Kg1 Ne3 29. Rf2 Rxf2 30. Kxf2 Bf8!
ルークをc5の守りからフリーにするための手です。こういった地味ながら重要なアイディアは、是非どなたも見習ってほしいと思います。

31. Bxf8 Rxf8 32. Kg3 Ra8!

f4を一度当てた後は、オープンファイルから敵陣への侵入を狙います。まさにお手本のようなルークの使い方です。

33. Rb1 Bc6 34. Rb2 Ra3 35. Rd2 Bxf3!

白のビショップはdポーンをブロックしなければならず、黒のナイトに比べて働きが劣るのは明らかです。ここで黒のビショップと白のナイトを交換すれば、残ったピースの働きの差で黒は勝つことができます。

36. gxf3 Rc3

これでc4のポーンが落ちて黒必勝ですが、白もまだまだ粘ります。

37. f5!? gxf5

37... Nxc4 38. Bxc4+ Rxc4 39. fxg6 hxg6 40. Kf4 Rc3 -/+

38. Kf4 Kf7 39. Bxf5 Nxf5 40. Kxf5 Rxf3+?!
2コネクテッドパスポーンを作ったほうが、楽に勝つことができます。本譜ではキングを侵入させ、c4のポーンを守らせてしまうため、黒にとってやや面倒な局面になります。
40... Rxc4 41. Ra2 d3 42. Ra7+ Ke8 43. Ke6 Rd4 -/+

41. Ke5 Kg6 42. Rg2+ Kf7 43. Rd2 Rh3 44. Kd5 Rh5+ 45. Kd6 Kf6 46. Re2 d3?

時間切迫のためについ指してしまった手ですが、すぐにポーンが落ちてしまうことに気づけるでしょう。46... Rf5! でc5を守りながら、キングをg5-f4と上げていけば、黒にまだ勝つチャンスがあります。

47. Rd2 Kf5 48. Rxd3 Ke4 49. Rd2 Ke3 50. Rd5 Rxd5+??
衝撃的なブランダーでした。予想はできるでしょうが、ポーンで取り返す手しか読んでいなかったそうです。もちろん黒はポーンを取ってドローです。
50... Rxh2 51. Kxc5 h5=

51. Kxd5 h5 52. Kxc5 h4 53. Kd6 Kf2 54. c5 Kg2 55. c6 Kxh2 56. c7 Kg2 57. c8=Q h3 58. Qc2+ (58. Qg4+ Kh2 59. Ke5 -+) 58... Kg1 59. Qd1+ (59. Ke5 h2 60. Kf4 h1=Q 61. Kg3-+) 59... Kg2 60. Qe2+ Kg1 61. Qg4+ 1-0

石塚さんとしてはとても悔しい敗北だったと思いますが、時間切迫の中、勝ちを求めて最後まで戦った姿勢には、頭が下がります。もちろん苦しいポジションを切り抜けたEkaterina さんにもです。

2011/08/07

Women's Championship Day2

女子選手権は本日、後半の3試合が行われ、シード1のEkaterina さんが危なげなく優勝となりました。2位は北海道出身の長谷川さんが獲得し、3位にはタイブレークでKamila さんが滑り込みです。最終順位は以下の通りです。

Final Standing

1st Ekaterina 5.5P
2nd 長谷川 4P
3rd Kamila 3.5P

4th-6th 中川、菊池、内田 3.5P


昨年の女子チャンピオンである内田さんは、今日の午前のラウンドで菊池さんに敗れる波乱があり、昨日好調だった石塚さんも、今日は二連敗+bye と星を伸ばせませんでした。

不満の残る結果だったメンバーもいるでしょうが、とりあえず皆さん、二日間お疲れさまでした。そして入賞した3名には、お祝いの言葉を贈りたいと思います。

優勝したEkaterina さんは、来週蒲田で開催されるJapan League にも参戦を表明。さらには来月のチーム選手権にも、慶應チームのメンバーとして参加してもらう約束をしました。現役とOBでどのようなチーム編成にするかは、これから思案します。

2011/08/06

Women's Championship Day1

世間の注目はWGP かもしれませんが、日本でも今日から二日間、女子選手権です。公式発表がないため、ミスがあるかもしれませんがご了承ください。

1st Round

注目のWFM Ekaterina さんは、長谷川さんに白で快勝。試合後に話をしたところ、慶應大学に留学生として在籍しているそうです。慶應チェスクラブの新メンバーとして、今後も活躍に期待しています。

2Bでは第2シードの内田さんが、Kamila さん相手にピースアップのチャンスを逃して劣勢に。その後、勝負どころでKamila さんが間違えたためにドローに落ち着きました。中川さんも前田さんにドローで、初戦から上位陣が荒れます。

1B Ekaterina-長谷川 1-0
2B Kamila-内田 1/2-1/2
3B 中川-前田 1/2-1/2


2nd Round

Ekaterina さんは、ブラジルから帰省中の星野華怜ちゃんに危なげなく勝ち。早々に連勝を決めます。

2Bではドレスデンとトリノの女子代表である、内田さんと石塚さんの対戦となりました。予定試合時間をオーバーする大熱戦の末、石塚さんが先輩女子プレーヤーとしての意地を見せ、勝ち星をもぎとりました。

1B 星野-Ekaterina 0-1
2B 内田-石塚 0-1


3rd Round

2Bで中川さんが華怜ちゃんに、3Bで長谷川さんがKamila さんに勝つと、Ekterina さんと石塚さんのアツい1Bが残りました。中盤でパーフェクトな指し回しを見せた石塚さんが必勝のエンドゲームに持ち込みましたが、時間切迫で大きなミスを犯し、大逆転でEkaterina さんの勝ちとなりました。

1B Ekaterina-石塚 1-0
2B 中川-星野 1-0
3B Kamila-長谷川 0-1


Standing after Round 3

1st Elaterina 3P
2nd 中川 2.5P
3rd-4th 石塚、長谷川 2P


石塚さんとは2006-2008の3年間で、カペル、トリノ、マカオ、マレーシアと4つの海外大会を共にしてきましたが、その頃に比べてずっと成熟した、力強いチェスを指すようになりました。是非イスタンブール代表の座を勝ち取ってほしいと思います。明日は最終ラウンドだけ見学に行きます。

2011/08/05

Chess Lessons for beginners

今日から三日間、慶應大学チェスクラブは箱根で合宿です。私は参加するつもりではありませんでしたが、急遽予定を変更し、初日の今日だけ顔を出してきました。3時半ごろに宿に到着し、荷物を置いたら即チェスです。

Furuya,M - Kojima,S
Keio Chess Club Blitz Tournament(5)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. e3 Bg4 5. Nbd2 e6 6. Bd3 Nbd7 7. O-O Bd6 8. h3 Bh5 9. b3 e5 10. cxd5 cxd5 11. dxe5 Nxe5 12. Bb5+ Nc6 13. Qc2 Rc8 14. Bb2 O-O 15. Rac1 Bg6 16. Bd3 Nb4 17. Qxc8 Qxc8 18. Rxc8 Rxc8 19. Bxg6 hxg6 20. Nd4 Nd3 21. Ba1 a6 22. N2f3 Ne4 23. Ne2 Rc2 24. Nfd4 Rxa2 25. f3 Ng3 26. Nxg3 Bxg3 27. Rd1 Bf2+ 28. Kf1 Bxe3 0-1

夕食までの時間の前半で、11人での5回戦ブリッツトーナメントを行いました。今月、ユニバーシアードに参加する古谷君は、初手を1.d4 にするとのこと。ブリッツの内容だけでは調子の良し悪しは判断できませんが、一抹の不安は残ります。ブリッツ中、一年生の試合内容をチェックしながら、後半のメニューを考えました。

後半は上級生、下級生のグループに分かれて、トレーニングを行うことにしました。私は下のグループについて、レクチャーです。例えば以下の局面で、
なぜ白は6.Bb3 と退いたのか、といったことを考えてもらったり、
黒は次に6...Nbd7 と指すべきか、それとも6...Nc6 と指すべきかを考えてもらいました。そして後半の最後には、モーフィーの試合を並べて、ポイントとなる手のアイディアを話し合ってもらったり、次の手を当てるクイズなどを行いました。

Paul Morphy - Duke Karl / Count Isouard
Paris

1. e4 e5 2. Nf3 d6 3. d4 Bg4 4. dxe5 Bxf3 5. Qxf3 dxe5 6. Bc4 Nf6 7. Qb3 Qe7 8. Nc3 c6 9. Bg5 b5 10. Nxb5 cxb5 11. Bxb5+ Nbd7 12. O-O-O Rd8 13. Rxd7 Rxd7 14. Rd1 Qe6 15. Bxd7+ Nxd7 16. Qb8+ Nxb8 17. Rd8# 1-0

この試合は私のお気に入りで、こういった機会には必ず紹介するゲームです。もしご存じない方は、是非並べてみてください。

慶應チェスクラブの合宿は明日が本番で、長い持ち時間で3試合やるそうです。1年生の中には、そのような形式が初めての子もいるので、なかなか苦労するでしょう。私としては試合は2試合にし、空いた時間は今日やったようなレクチャーにしても良いと思います。本も大量に持ち込んでいたようなので、何かゲームを適当に選んで、皆で並べてみても良いですね。

最近は大学のチェスサークル、クラブの活動が盛んになっているので、どこもこういった合宿を企画してみてほしいと思います。合宿の内容は参加者のレベルによって様々だと思いますが、きちんと指導をしたいのであれば、上級生は下級生に対し、教えるべきことをあらかじめ考えておくと良いでしょう。もちろんどういった内容でやるべきか、私に相談してくださっても構いません。私は来月頭には、暁星学園チェスサークルの合宿にコーチとして参加予定です。

2011/08/04

The successful man who has been hidden - Zoltan Almasi -

Khanty-Mansisk Olympiad より。左から私、Almasi、山田君です。

現在、FIDEのレイティングが2700を超えているプレーヤーは、世界中に42名います。皆さんはその中で、誰が一番好きでしょうか。Kramnik? Carlsen? Topalov? Gelfand と答える人は、かなり渋いですね。

私が今日ご紹介するのは、ハンガリーのトップGMである、Zoltan Almasi というプレーヤーです。彼は現在、FIDEレイティング2726で、世界ランキングは19位です。しかし、これほどの実力がありながら、日本でのAlmasi の知名度はかなり低いと言えるでしょう。果たしてはそれはなぜでしょうか。

その理由は二つあると私は考えています。一つはハンガリーには、Leko,Polgar という2大GMの存在があるためです。Peter Leko は10代前半でGMとなり、2700に到達してからは、世界のトップGMとしのぎを削ってきました。2004年には、当時世界チャンピオンであったKramnik への挑戦権を得て14回戦のマッチに挑みましたが、最終戦で惜しくも敗れ、チャンピオン交代とはなりませんでした。

一方でJudit Polgar と言えば、歴史上最もチェスの強い女性だと断言して良いでしょう。現在は中国のHou Yifan, インドのHumpy Koneru が女性プレーヤーとして2600を超えましたが、他に2600の女性がいなかった時代に、一人2700を超えていたPolgar は、完全に別次元の強さだったと言えます。結婚と出産を経てカムバックした彼女は、もう少しで2700にレイティングを戻すでしょう。地元のハンガリーではLeko 以上の人気を誇るアイドルのような存在です。

この二人の影に隠れていたことに加え、Almasi の知名度が低いもう一つの要因は、彼がトップGMの世界では遅咲きであったことです。現在の2700台42人のうちの多くは、10代か20代で2700に到達しています。さらに言えば、Carlsen やGiri のように今現在、20歳前で活躍するプレーヤーは話題になりやすく、私たちも名前をよく耳にします。それに対し、Almasi は昨年、30代で初めて2700に到達しました。彼は19歳で2600を超えましたが、そこからレイティングを100上げるのに15年かかっているのです!

私がいつAlmasi のことを知ったのかは定かではないですが、ハンガリーのチェスに興味を持った中学3年生頃だった気がします。以来、ずっと彼の試合を追ってきたわけではありませんが、Ruy Lopez の力強い試合などはいくつも目にしてきました。彼の正統派1.e4 スタイルと、長く努力を続けてきた姿勢は、是非私たちが見習うべきでしょう。私は今後のAlmasi の活躍に大いに期待しているので、日本でも彼のことを応援してくれる人が増えれば、私としては嬉しい限りです。

Zoltan Almasi
http://www.chessgames.com/perl/chessplayer?pid=14210

2011/08/01

名古屋オープンベストゲーム - Always black can play Qb6? -

Baba,M (2256) - Kojima,S (2340)
Nagoya Open(3)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. h4 h6 7. Nf3 Nd7 8. h5 Bh7 9. Bd3 Bxd3 10. Qxd3 e6 11. Bf4 Qa5+ 12. Bd2 Qb6!?
このブログではおなじみの手ですが、この局面では珍しい手です。ウズベキスタンのSaltaev が得意とし、11.Bf4 を11.Bd2 の変化へと切り替えることができます。馬場さんには前回の吉祥寺での対戦で、メインの12...Bb4を指して敗れているため、私にしては珍しく、盤上での思い付きで手を変えてみました。
12...Bb4 13. c3 Be7 14. c4 Qc7 15. O-O-O Ngf6 16. Kb1 O-O 17. Ne4 Rfd8 18. Bc3 b5! / Lee T H,B-Kojima,S/ Thailand Open 2011

13. O-O-O Ngf6 14. Ne4 Be7

これで局面は、11.Bd2 Ngf6 12.0-0-0 Be7 13.Ne4 Qb6!? に手順前後しました。私にはこの試合で、11.Bd2 の代表的な3つの変化である13.Ne4,13.Kb1,13.Qe2 の全てに対して、Qb6を指したことになります。(赤文字の手をクリックすることで、それぞれの試合の解説記事にジャンプできます。)

15. Kb1 Rd8!

白からのg2-g4を警戒し、早めにセンターへの反撃を準備します。d8のマスをルークに明け渡すことは、早いQb6の狙いの一つです。

16. Qe2 c5 17. c3
判断の難しい手ですが、私は黒のc5ブレイクに対して、c3と白が受けるようであれば、白のアドバンテージはあまりないと考えています。試合中にメインで考えていたのは、17. Nxf6+ Nxf6 18. dxc5 Bxc5 19. Bc3 O-O 20. Bxf6 gxf6= という変化です。

17... Nxe4 18. Qxe4 Nf6 19. Qe2 O-O=
黒はキャスリングを大分遅らせましたが、何も問題はありません。逆にクイーンサイドとセンターからの反撃をすでに見せているため、白のキングサイドアタックに対して余裕をもって対応できます。

20. g4 Nxg4

20... cxd4!? 21. Nxd4 Nd5= もありえる選択肢だと考えました。ただ、私は今までg4を突かれた試合では、全てポーンを取っています。(試合数はさほど多くないですが)好みの問題もありますが、やはりg4-g5とされるのが怖い、という思いからです。g5まで突かせてディフェンスする経験もしておいたほうが良いと思うので、次回はなるべくそちらを指してみることにします。

21. Rdg1?!

この手は少し変だと感じました。g4でポーンを捨てた場合、h1のルークには特に仕事がないため、21. Rhg1と指すほうが自然に思えます。21. Rhg1 f5 22. Rde1 がコンピュータの示す変化で、gファイルを慌ててこじ開けようとせず、弱点であるe6にプレッシャーをかけます。

21... f5 22. Ne5 cxd4!

22...Nxe5 23.dxe5 でも黒は悪くないですが、ビショップとクイーンがパッシブなうえ、ディフェンスに回らざるを得なくなります。ここは攻め合う形で勝負します!

23. Nxg4 fxg4 24. Rxg4 Bf6!

g7を守りながら白キングにもプレッシャーをかけます。

25. cxd4 Bxd4
Black queen works well.

ここにきて、黒のクイーンはアタックにもディフェンスにも、最高の位置にいると言えます。

26. Be3 Bxe3 27. fxe3 Rf7 28. Rhg1 Kh8 29. a3 Rd5 30. Qg2 Qd8!
1段目でのチェックによるルーク交換を狙うことで、g7を守ります。この後は馬場さんはかなり深刻なタイムトラブルで、ピースをディフェンスからアタックに切り替えることに成功した黒が、一瞬で勝負を決めます。

31. Rc1 Rd2 32. Qh3 Rff2 33. Rb4 Qf6 34. Rc8+ Kh7 35. Rc3 Qxc3 0-1

この黒による貴重な勝ちで、名古屋オープンの初単独優勝を手繰り寄せました。昨年の中部快速も全勝することができましたし、自分にとって名古屋は縁起の良い地となりそうです。

名古屋オープン Day2

名古屋オープンが終了しました。私は今日も3/3のスコアで5連勝。無事に優勝することができました。疲れているので、棋譜の公開は明日にします。

R1 木下晃 1759 B 1 Slav 4.Qc2
R2 野口恒治 2155 W 1 English
R3 馬場雅裕 2254 B 1 Caro-Kann Classical
R4 高田侑一良 1753 W 1 Queen's Indian
R5 入江有樹 2167 W 1 Chigorin

1st 小島 5p
2nd 野口 3.5p
3rd 馬場、高田、Looijmans、神田 3p

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