先月のAsian Continental で対戦した台湾のトッププレーヤーの1人、Baiくんのお母さんから、なつみ経由でオープニングセレモニーの写真が送られてきました。こちらは大会の公式HP にあったようですね。ありがとうございます!
この日は午前スタンダード1試合、午後ブリッツ9試合というスケジュールでした。Alina L'Ami は現在こそ2200台までレイティングを落としていますが、ベストは2440を超えており、私よりも上です。さらにはヨーロッパのトーナメント、各国の女子代表との試合で私よりも経験は豊富でしょう。今大会で対戦するのが最も楽しみだったプレーヤーの1人です。
Kojima, S (IM, JPN, 2391) - L'Ami, A (IM, ROU, 2291)
2019 CTCA International Chess Open (4)
1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. d4 Bg7 4. g3 O-O 5. Bg2 d6 6. O-O Nc6!? 7. Nc3 Bf5!?
2019 CTCA International Chess Open (4)
Alina は根っからのKing's Indian プレーヤーで、私も彼女の得意ラインを受けるつもりで調べていました。しかし、彼女が最も指している6... c6 7. Nc3 Bf5 ではなく、Nb8-Nc6, Bc8-Bf5 の組み合わせですた。少し面喰いましたが、このラインは馬場さんとIVL で指したことがあります。
8. d5 Na5 9. Nd4 Bd7 10. b3 c5 11. dxc6 bxc6!?
11... Nc6 とナイトが戻るほうが自然にも見えますが、このポーンストラクチャーは私が求めるもので、これまでも多くの試合経験があります。ポーンで取りかえした場合、ナイトと違ってd5 のマスを一時的にカバーしているのがポイントでしょうか。
12. Bb2 Rb8 13. Rb1 Qc8 14. Qd2
最も自然な手を指したつもりでしたが、14. Re1 Bh3 15. e4 とする流れもあったようです。黒にc6-c5, Na5-Nc6 とするアイディアがある以上、e2-e4 によってd4 をアウトポストにするのは要注意ですが、Nc3-Nd5 のチャンスを強めておいて白は勝負できるということでしょう。
14... c5 15. Nc2 Bh3 16. Ne3
私としては、d5 のマスにナイトを長期的に残して戦う作戦が好みで、この試合もそうすることばかり頭にありました。しかし、黒がc6 をナイトでなくポーンで取りかえしているこの試合では、d5 を思い切ってポーンで埋めるのも良い選択です。16. Nd5! Nxd5 17. Bxg7 Kxg7 18. cxd5 Bxg2 19. Kxg2 Nb7 20. e4+/- こうしてBenoni に近いポーンストラクチャーになった際、白にはNc2-Ne3-Nc4、e4-e5 という明確なプランがあります。黒がbファイルを開けているのは黒にプラスに見えますが、こうしてポーンストラクチャーが変わると、c4 のマスがナイトにとって絶好のアウトポストになっていることが分かります。本譜も悪くはないものの、こうしてd5 をポーンで埋める選択肢をあまり考えなかったのは、アイディアが柔軟でなかった反省点です。
16... Bxg2 17. Kxg2 Nc6 18. Ned5 Re8
d5 をしっかり支えてナイトを送り込む、私好みの展開になりました。気になるのは将来的なa7-a5-a4 の反撃です。
19. Rfd1 Qb7 20. f3 Rbd8 21. Nxf6+ Bxf6 22. Nd5 Bxb2 23. Rxb2
ピースを捌くのは白にとって嫌な流れではなく、基本的にセンターにナイトが残れば多少のチャンスがあるくらいで考えています。ここではさらに、Qd2-Qh6, h2-h4-h5 のような流れを期待しています。
23... Kg7 24. Qc3+ e5
私が黒であれば、d5 のマスを完全にアウトポストにしてしまうのは躊躇われ、この手は決断できないでしょう。ここからはd6 のポーンにいかにプレッシャーをかけるかを中心に作戦を組み立てます。
25. Rbd2 f6 26. e3 Re6 27. Qb2 Ne7 28. Nxe7
ここも28. Nc3 からナイトをe4, b5 に組み直すことも考えましたが、黒はそれらを妨害して十分にd6 を守れるでしょう。ならばナイトの交換は受け入れ、d6 を攻撃するという目標が分かりやすい展開を選びました。
28... Qxe7 29. Rd5! Rb8! 30. e4 a5
先に30... Rb6 と上がってくるとばかり思っていたので、この手にも驚きました。一見するとQb2-Qd2 がダブルアタックになりそうですが、それにはa5-a4 の反撃からドローのルークエンディングになるでしょう。本譜ではなるべくa5-a4 を抑え、a5, d6 を攻撃するチャンスを伺います。
31. Qc2 Rb4 32. a3 Rb6 33. R1d3 Qb7 34. Qd1 Qa6 35. Qd2 Rc6
しかし、このルークとクイーンの位置取りがあったかと感心させられます。私の狙いであるQxa5, Rxd6, Rxc5 の全てに対応しています。そして白が油断すれば、a5-a4 の反撃もあります。
36. Qd1 Rb6 37. Qd2 Rc6 38. h4
ここでドローにすることも考えましたが、何かアクションを起こすチャンスがあるとしたら白ですので、f3-f4 のタイミングを窺いつつもう少しゲームを続けることにします。
38... h6 39. a4 Qb6 40. Qe1 Qc7 41. Qd2 Qb6 42. Re3 Qd8 43. Red3 1/2-1/2
ここでAlina が3回同一局面を指摘してきたため、確認する前にドローにしました。試合後、コンピュータの評価はかなり白が良いとのことでしたが、それはd6 へのプレッシャーの過剰評価ではないかと少し疑ってしまいます。例えば、h4-h5 から仕掛けた後で、白キングをc2 まで運んでb3 をサポートすることも考えましたが、e4 への反撃が生まれる以上、f3-f4 もリスクがあり、勝負にいくのは難しい状況です。ただどうしても勝ちたい状況であれば、その辺りまでひとまず進めてみるというのもあったかもしれませんね。
R1 Hwang, C (TPE, 1398) - Kojima, S (IM, JPN, 2391) 0-1
R2 Kojima, S (IM, JPN, 2391) - Chang, Wei-Chen (TPE, 1637) 1-0
R3 Chong, Chor Yuen (HKG, 1773) - Kojima, S (IM, JPN, 2391) 0-1
R4 Kojima, S (IM, JPN, 2391) - L'Ami, A (IM, ROU, 2291) 1/2-1/2
R5 Tiviakov, S (GM, NED, 2608) - Kojima, S (IM, JPN, 2391)
2019 CTCA International Chess Open R5 Pairings
そして明日の休憩日を挟んだ5R は、いよいよTiviakov との試合です。1. e4 を指していた時期は、彼のゲームを幾度となく並べてきました。そんな憧れの相手と、こうしてアジアの大会で対戦できるのは幸運なことです。今大会の優勝争いという点でも重要な試合になることは間違いありませんので、心してゲームをしてこようと思います。明日の観光でリフレッシュして、良いゲームを指したいですね。天気が良くなることを願います!
午後はブリッツトーナメントでした。Tiviakov, L'Ami らは欠場なので、優勝せねばと気合が入ります。結果はアメリカのFM Li Ethan との直接対決を制し、8.5/9 での優勝でした! 途中危ないゲーム、逆転のゲームも多かったため、課題もありましたが、前半戦の締めくくりとして良い結果が出せたと思います。これまでマレーシア、タイ、中国などの海外大会でもブリッツトーナメントに参加してきましたが、優勝は今回が初めてです!
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