後半戦の幕開けは、いきなりリスト1 のTiviakov との対戦からです。今大会の優勝を決める大事な一戦です。
Tiviakov, S (GM, NED, 2608) - Kojima, S (IM, JPN, 2391)
2019 CTCA International Chess Open (5)
1. e4 c6 2. Nc3 d5 3. Nf3 Bg4 4. h3 Bxf3 5. Qxf3 e6 6. g3 Nf6 7. Bg2 Bb4!?
2019 CTCA International Chess Open (5)
今大会はCaro-Kann も復活させながら、1. e4 プレーヤーとの試合に臨んでいます。このポジションでは過去に7... dxe4 と7... Nbd7 の2つを指していましたが、今回は思い切って新しい変化を試すことにします。
8. e5 Nfd7 9. Qg4 Bf8 10. f4 c5
白マスビショップは失っていますが、クイーンサイドで広くスペースを取る形になりました。このポーンストラクチャーは、これまでSicilian とFrench で経験があります。
11. d3 Nc6 12. O-O Nd4 13. Qd1 Be7 14. Be3 Nb8!?
2009年に仙台で渡辺さんと指した際、このマヌーバリングを試したことを思い出しました。2つのナイトをd4 に利かせ、白のダブルビショップに対抗します。
15. Ne2 Nbc6 16. c3 Nf5
ここはナイト交換も考えましたが、白マスビショップが無い以上、c3-c4 がどこかで嫌な手になりそうです。f4-f5 のブレイクも気にしなければいけないので、オーソドックスにf5 を抑えておくことにします。
17. Bf2 h5 18. a3 g6 19. b4 cxb4 20. axb4 a6 21. d4
私にとってはこの手が意外で、黒マスビショップの利きを閉じると同時にc4 を弱めています。Tiviakov の狙いはそうした弱みを作っても、e5 を守ることで、f4-f5 を実現することです。
21... Kf8 22. Qd3 Kg7 23. g4 hxg4 24. hxg4 Nh4
ここからが勝負です。白が仕掛けるならばgポーン突きからのf4-f5 だと思っていましたが、これには当然、hファイルを開くリスクもあります。
25. Bxh4 Bxh4 26. f5 Qg5
ビショップでh4 を取りかえし、g5 にクイーンを上げる。これが私のf4-f5-f6 に対する構想でした。
27. Rf4 Qh6 28. Rf3 gxf5!? 29. gxf5 Rag8 30. Nf4 Rh7!
かなり残り時間が少ない中、これで難しい形勢になったと思いました。安全な場所がどこか分かりづらかった黒キングですが、ここにきてh8 に逃げ込むアイディアが生まれています。白は思い切ってg,h ファイルを開きましたが、その2ファイルは現在黒が抑えており、白キングも気をつけなければいけない状況です。
31. Raf1 Kh8 32. Rh3 Ne7!
f5-f6 が怖くなくなってから、最後のピースをキングサイドへと向かわせます。このナイトは相手のナイトとぶつけてg2 の守りを削っても、g3 のマスへの跳び込みを狙っても、どちらでも良いと思っていました。
33. fxe6 fxe6 34. Qf3 Rhg7?!
ここは少し焦りました。将来的にどこかでgファイルにルークを重ねる構想は良いですが、今はhファイルのピンがまだ厄介です。34... b5 からRg8-Rg5, Rh7-Rg7, Kh8-Kg8 などというアイディアが面白そうで、黒ははっきり攻撃のチャンスがあり、勝ちを十分に狙えます。
35. Kh1 Nf5?!
しかし残り時間30秒で焦ったのが失敗でした。白キングがh1 に避けた状況であれば、Ne7-Mf5-Ng3 はぴったりに見えます。本譜でTiviakov が指した手も予想していたつもりでしたが、先まで読み切れませんでした。
36. Nxe6! Ng3+ 37. Kg1 Rg4?
これで私の負けとなりました。ルークを一度避けるのは正しいアイディアでしたが、マスが違います。37... Rg6! 38. Nf8! (38. Nf4? Rg4!-+) 38... Rg4! 39. Qf6+ Qxf6 40. Rxf6 Nf5! 41. Rxf5 Rxg2+ 42. Kf1 Rg1+ 43. Ke2 R8g2+ 44. Kd3 Rd1+ 45. Ke3 Re1+ 46. Kd3 Rd1+= 短い時間では、こうしてパペチュアルチェックをするのが最善だとはとても見つけられません。本譜と違い、白のナイトがf8 に跳び込んだタイミングで、g4 にルークを進めるのがポイントです。
38. Qf6+!+-
この手も読んでいたつもりでしたが、細かな読み抜けが多く、白の勝ちだと判断できませんでした。
38... Qxf6 39. Rxf6 Kh7
上記の変化に比べ、まだ白のナイトがe6 にいるため、Rf6-Rh6 がぴったりメイトとなります! このスレットを受けている間に、白のアタックされている駒たちは逃げてしまいます。
40. Nf8+ Kg7 41. Ne6+ Kh7 42. Kh2 Nh5 43. Bf3 Nxf6 44. exf6 Kh6 45. Bxg4 1-0
去年からGM相手に黒番でかなり良いポジションになりながら、時間切迫で正しい手、プランが見つけられずに逆転負けを喫したのは、Ragger, Horvath, Aczel, そしてこの試合とたくさん思い浮かべることができます。これを改善するには、どういったトレーニングが必要なのか。もう少し工夫したいと思います。
R1 Hwang, C (TPE, 1398) - Kojima, S (IM, JPN, 2391) 0-1
R2 Kojima, S (IM, JPN, 2391) - Chang, Wei-Chen (TPE, 1637) 1-0
R3 Chong, Chor Yuen (HKG, 1773) - Kojima, S (IM, JPN, 2391) 0-1
R4 Kojima, S (IM, JPN, 2391) - L'Ami, A (IM, ROU, 2291) 1/2-1/2
R5 Tiviakov, S (GM, NED, 2608) - Kojima, S (IM, JPN, 2391) 1-0
R6 Kojima, S (IM, JPN, 2391) - Lu, L (AUS, 1733) 1-0
2019 CTCA International Chess Open R7 Pairings
午後の相手はブリッツ大会で唯一ドローを取られたオーストラリアのLu でしたが、ここは問題なく勝ちました。次の対戦相手のLoftus は、台湾でチェスを教えているとのことで、レイティングよりも強い印象を受けます。今日はAlina がEthan に敗れたことで2位争いが面白くなってきましたので、明日こそ星を伸ばして準優勝はなんとか確保したいところです。
今大会ではショップにチェスグッズも充実しています。DGT の時計など、仕入れたものも販売していますが、高雄チェス協会のオリジナル商品もいくつかあり、開発と営業の努力が窺えます。私たちは数日前ですが、残り一点ということで、こちらのジグソーパズルを自分たちのお土産に購入しました。
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