2019/07/23

2019 CTCA International Chess Open R7 and R8


高雄の大会もいよいよ大詰めです。この日の午前中は、ブリッツ大会でも対戦した男性を相手に、黒で問題なく勝ち。続いて大事なアメリカのFM Li Ethan とのゲームを迎えます。ブリッツ大会では全勝の彼を私が破り、逆転優勝を果たしたのでした。色もその時と同じ白ですし、勝てば準優勝がほぼ決まるため、気合十分で試合に臨みます。

Kojima, S (IM, JPN, 2391) - Li, E (FM, USA, 2234)
2019 CTCA International Chess Open (8)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 d5 4. d4 c6 5. e3 Nbd7 6. Qc2 Bd6 7. Bd3 O-O 8. O-O dxc4 9. Bxc4 b5 10. Bd3 Bb7 11. a3!?



ずっと11. Rd1 ばかり指してきましたので、この手は初めてのトライです。黒のb5-b4 を止めつつ、タイミングを見てb2-b4 を狙います。

11... a6 12. Ng5 Bxh2+?!


このサクリファイスは黒が1ポーン取れますが、どんなタイミングでも黒はややリスクがあると思っています。12... h6 13. Nge4 Nxe4 14. Nxe4 Be7 15. Bd2 c5 16. dxc5 Nxc5 17. Nxc5 Bxc5 18. Qxc5 Qxd3 19. Bc3= ならば何事もなくドローですので、白は勝つためにはどこかで工夫が必要でしょう。

13. Kxh2 Ng4+ 14. Kg1 Qxg5 15. f3 Ngf6 16. e4 Qh4 17. Be3 e5 18. Ne2



この1ポーンサクリファイスの基本形にたどり着きました。白はダブルビショップ、センターの厚み、そしてb7 のビショップの抑え込みで1ポーンの代償が十分にあると判断できます。

18... Rfe8 19. Rfd1 Nh5 20. Qd2 Ng3 21. Nxg3 Qxg3 22. Rac1 h6 23. Be2?!


私はe5 にナイトが跳んだ際にf3 を守っておくこと、そしてdファイルを開けることを目的としてビショップを退きました。代わりに23. Qf2!? が面白い手で、白は1ポーンダウンでもクイーンを交換すれば、キング周りが安全になりますし、黒マスのコントロールが強くなります。このアイディアは羽生さんとの試合で使ったことがあったものの、ゲーム中は頭から抜け落ちていました。

23... Rac8 24. b4 Kh7 25. a4 Rcd8 26. axb5 axb5 27. Qa2



2ルーククイーンの交換は白にとって良さそうですが、意外と難しい局面になります。27. dxe5 Nxe5 28. Qxd8 Rxd8 29. Rxd8 Ng6! ここからNg6-Nh4 を狙われると、白はf3 とg2 の守りに苦労しそうです。本譜ではクイーンのaファイルからの侵入を見せつつ、f7 を狙うアイディアが良いと思いました。しかし、Ethan は上手いディフェンスで対抗します。

27... exd4! 28. Bxd4 Ne5!


ポーンを返すアイディアが上手く、これで白のアドバンテージは無くなります。私はf7 を取れば白が良いと思ってQd2-Qa2 を仕掛けましたが、それが間違いでした。

29. Bxe5 Rxd1+ 30. Rxd1 Rxe5!



30... Qxe5 31. Qxf7+/- ならば、白は守りの薄い黒キングと、eファイルのパスポーンを活用してまだチャンスを作れるでしょう。

31. Qxf7 Rg5 32. Bf1 Bc8


こんな直接的なアタックはさすがに問題ないだろうと思いましたが、白のアタックも決定的なものがありません。ひとまずパペチュアルチェックは確保できるので、ゆさぶりをかけながら何かないかを探します。

33. Rd8 Bh3 34. Qg8+ Kg6 35. Qe8+ Kh7 36. e5



ルークやクイーンを退いてg2 を守るようではアタックが消えてしまうので、b1-h7 のダイアゴナルを開けてビショップでのチェックを狙います。

36... Qxf3!


本譜は分かりやすいディフェンスです。36... Qxe5?? 37. Bd3+ Bf5 38. Qxe5+- ならば当然クイーンを取って白の勝ちになるでしょう。

37. Qg8+ Kg6 38. Qe8+ Kh7 39. Bd3+ Bf5 40. Qg8+ Kg6 41. Qe8+ Kh7 42. Bxf5+ Qxf5 43. Qg8+ Kg6 44. Qe8+ Kh7 45. e6 Qe4 46. Qg8+ Kg6 47. Qf7+ Kh7 48. Qg8+ 1/2-1/2



試合後の解析でも何も見つけられず、f7 を取った後はドローという結論に至りました。g2 への反撃はシンプルながら効果的でしたね。

R1 Hwang, C (TPE, 1398) - Kojima, S (IM, JPN, 2391) 0-1
R2 Kojima, S (IM, JPN, 2391) - Chang, Wei-Chen (TPE, 1637) 1-0
R3 Chong, Chor Yuen (HKG, 1773) - Kojima, S (IM, JPN, 2391) 0-1
R4 Kojima, S (IM, JPN, 2391) - L'Ami, A (IM, ROU, 2291) 1/2-1/2
R5 Tiviakov, S (GM, NED, 2608) - Kojima, S (IM, JPN, 2391) 1-0
R6 Kojima, S (IM, JPN, 2391) - Lu, L (AUS, 1733) 1-0
R7 Loftus, J (TPE, 1739) - Kojima, S (IM, JPN, 2391) 0-1
R8 Kojima, S (IM, JPN, 2391) - Li, E (FM, USA, 2234) 1/2-1/2
R9 Kojima, N (WCM, JPN, 1737) - Kojima, S (IM, JPN, 2391)

2019 CTCA International Chess Open R9 Pairings


Tiviakov の独走は結局止められず、2位グループは1.5P離れて、4人が6/8 となっています。そして順位が決まる最終戦、私は妻のなつみとペアリングが組まれてしまいました。泣いても笑ってもこれが最後ですので、悔いのないようにプレーしてきたいと思います。


入賞者のトロフィーとメダルです。私はブリッツ大会優勝で、左端のメダル獲得が決まっていますが、オープンセクションの順位は、明日の最終戦が終わるまでは分かりません。

1 件のコメント:

ピカチュウ さんのコメント...

夫婦対決 ▼o・~・o▼

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