2011/10/31

中部快速オープン 2011

気付けば10月も最終日で、来月最初の国内大会が迫ってきています。以下、名古屋チェスクラブからの転載です。
                    
日時:2011年11月6日(日)
会場:名古屋市芸術創造センター (6F会議室)

     住所:名古屋市東区葵一丁目3番27号
     (地下鉄「新栄町」駅下車北へ徒歩3分)
     Tel:052-931-1811

競技方式:スイス式6回戦25分(+15秒/手)
表彰:賞金総額 95,000円 
    オープン1~3位・Aクラス1位 トロフィー

    オープン(全競技者対象)       優勝 40,000円
                           2位 25,000円
                           3位 15,000円
    Aクラス (レイティング1700未満) 優勝 15,000円

参加資格:日本チェス協会会員
参加費:8,000円(18歳未満6,000円)
      10月31日迄に郵便振込の場合、7,000円(18歳未満5,000円)
      【郵便振込番号 12120-79242231 名古屋チェスクラブ】

スケジュール:開場       9:00
         組み合わせ  9:30
         第1局      9:40
         第2局     11:00
         第3局     12:50
         第4局     14:10
         第5局     15:30
         第6局     16:50
         表彰式     18:30

備考:組み合わせ上による強制Byeは1/2勝とします。
申込締切り:2011年11月5日(土)
申込先:名古屋チェスクラブ(堀江)
Tel: 052-671-0393

私は汐口くんと試合前日の土曜日昼から、名古屋に乗り込む予定です。ツインを予約したのは初めてで、新幹線+1泊+朝食で17800円という安いパックを取ることができました。今からスケジュールを調整して、前日入りする人は少ないと思いますが、今後の参考のために以下のサイトを載せておきます。私は名古屋や新潟に行くときは、大抵ここで安い宿泊+JRのパックを探します。

日本旅行(http://www.nta.co.jp/kokunai/jrplan/

土曜日に早稲田大学で開催される、篠田くんのチェス講義(http://chessplayer.jugem.jp/?eid=705)に顔を出せないのは残念ですが、その分、初めての名古屋観光を楽しんでこようと思います。もちろん昨年同様、優勝も狙っています!

2011/10/30

A magnificent draw!

待ちに待っていた人にも、忘れてしまっていた人にも、フランスでのVachier-Lagrave との同時対局の結果をお伝えします。羽生さんが黒を持ってドロー、そして残念ながら森内さんは負け、という結果だそうです。詳しくは以下のリンクから。

http://www.asahi.com/culture/update/1030/TKY201110300210.html

今回のイベントに向けて、森内さんと準備をしてきた私としては少し寂しい結果ですが、その分、羽生さんがやってくれました。黒番で(当然白番だとしても!)2700GMからのドローは、大変素晴らしい結果です。近いうちにChessBase にも記事が出るのではないでしょうか。羽生さんが勝ちを逃したという局面を、早く私も考えてみたいです。

私も2200台にレイティングを落としている場合ではありません!12月のラスベガスに向けて、勉強を続けたいと思います。

Vachier-Lagrave, Maxime - Habu, Yoshiharu
Villandry Simul

1. c4 Nf6 2. Nf3 g6 3. Nc3 Bg7 4. e4 d6 5. d4 O-O 6. h3 e5 7. d5 Nh5 8. Nh2 Qe8 9. Be2 Nf4 10. Bf3 f5 11. g3 Nxh3 12. Bg2 fxe4 13. Be3 Na6 14. Qd2 Nc5 15. Bxc5 dxc5 16. Nxe4 Bf5 17. Ng4 Bxg4 18. Bxh3 Bf3 19. Be6+ Kh8 20. Rh4 Bxe4 21. Rxe4 Qa4 22. Ke2 Qb4 23. Qc2 Rf6 24. Rh1 Raf8 25. Rh2 b5 26. b3 c6 27. Reh4 h5 28. Qc1 Kh7 29. Qc2 Kh8 30. Qc1 Kh7 31. g4 cxd5 32. Bxd5 Rf4 33. gxh5 g5 34. Qc2+ Kh8 35. Rxf4 exf4 36. h6 Bd4 37. Kf3 bxc4 38. Bxc4 Qb7+ 39. Kg4 Qd7+ 40. Kxg5 Bf6+ 41. Kh5 Re8 42. Rg2 Re5+ 43. Kg6 Qh7+ 44. Kxf6 Qxc2 45. Kxe5 f3 46. Rg8+ Kh7 47. Kf6 Qxf2 48. Rg4 Qb2+ 49. Kf5 Qc2+ 50. Kg5 f2 51. Rf4 Qg6+ 52. Kh4 Qg2 53. Rf6 Qh2+ 54. Kg4 Qg2+ 55. Kh4 Qh2+ 56. Kg4 Qg2+ 1/2-1/2


*羽生さんの棋譜を追加しました。 22:11

2011/10/29

Breaking the Records - S79 -

まだJCAや松戸チェスクラブのHPには掲載されていませんが、JCAの新レイティング、S79が更新されたようです。以前は私の手元にレイティング表が送られてきたため、すぐに数字の変動をチェックできましたが、慶應チェスクラブの代表を退いてからはそれもなくなりました。そこで先日、現代表の桑田くんから送られてきたデータを、一部ですが公開しようと思います。bはベストレイティング更新の意味です。

小島慎也 2387 b (+18)
南條遼介 2348 b (+1)
桑田晋  2178 b (+51)
中村尚広 2062 b (+18)
汐口達也 2017 b (+85)
Egoruva Ekaterina 2036 b (+39)
古谷昌洋 1956 b (+10)
吉村謙治 1928 (+28)
篠田太郎 1819 b (+44)

慶應チェスクラブの現役、OBメンバーの上位陣は、ほぼ全員がベストレイティング更新となりました。主な集計対象が9月のチーム選手権と10月のJapan Open なので、チーム選手権の1位、2位をとったチームメンバーのレイティングが上がるのは当然ですが、それにしてもこの+には驚きです。新しく大台に乗ったメンバーには、お祝いの言葉を贈りたいと思います。特に汐口くんとEkaterina さんは、久々の新2000台ですね。

私や一部のプレーヤーにとっては、JCAのレイティングよりもFIDEのレイティングのほうが重要です。しかし、それでもこうやって国内のベストレイティングを更新することは、とても嬉しいものです。きちんと試合をして勝てば、レイティングは間違いなく上がりますし、国内での調子が悪ければ、海外でも勝てるはずがありません。今後も後輩をビシバシ鍛え、レイティングが伸び続けるようにしたいと思います。

2011/10/28

Can you find tactical blows?

今日は私の実戦で現れたポジションをテーマに、タクティクスの問題を3問出しておきます。興味のある方は、コメント欄に回答を残して下さい。

Black to move
Watanabe,Ke-Kojima,S

Black to move
Furuya,M-Kojima,S

White to move
Kojima,S-Takada,Y

2011/10/27

Rapid Strategy

「時間は17番目のピース」という言葉があります。それはもちろん、ただ早く指せば良いということではありません。盤上の16個のピースだけでなく、持ち時間をうまく使った側が勝利を得るという意味だと私は考えています。特に持ち時間の短い快速チェス(ラピッド)の場合、クラシカルとは違う時間の使い方が求められます。

ラピッドでクラシカルと同様に指そうとしても、時間が足りなくなって自滅する可能性が高いと言えます。そのため、時間を使う局面とそうでない局面を区別し、時には丁寧な読みを切り捨てる必要があります。先日の吉祥寺クロージングトーナメントでは、うまいラピッドの指し方が一つできたので、今回はそれをご紹介しようと思います。

Kojima, S - Misaka, S
Kichijoji Closing Tournament (3)

1. Nf3 Nf6 2. c4 c6 3. d4 d5 4. Nc3 dxc4 5. a4 Bf5 6. e3 e6 7. Bxc4 Bb4 8. O-O Nbd7 9. Qe2 Bg6 10. e4 O-O 11. Bd3 Bh5 12. e5 Nd5 13. Nxd5 cxd5 14. Qe3 Bg6 15. Ng5 Re8 16. f4 Bxd3 17. Qxd3 f5



三阪さんがSlav のメインラインとは、意外なチョイスでした。私も4.Nc3 を初めて指しましたが、ここまでは自分の知識通りです。
このラインで最も有名なのは、2006年のTopalov-Kramnik の一戦で、私もそれが頭にありました。

18. g4!?


ここで先述の試合を外れます。快速のゲームなので、よりダイレクトなアタックを目指します。

18...g6?


三阪さんはかなり時間を使ってこの手を指しましたが、大きなミスでした。しかし私も正しい手を見落とします。
試合中に考えていたのは、18...h6 19.Nxe6 Rxe6 20.gxf5 で、2ポーンピースにする変化です。
形勢判断は難しいですが、gファイルが攻撃の起点となってプランが分かりやすいため、白を持っても良いと思います。

19. Qh3?!


将来的にBe3 とした際にクイーンがh7を攻められなくなることを気にし、早めにクイーンを動かしましたが、もっと良い手がありました。
19.gxf5 gxf5 (19...exf5 20.Qb5!+-) 20.Qg3!+-

Analysis Diagram

19...Nf8 20. Kh1 Be7 21. gxf5 Bxg5?



ここがゲームのポイントです。三阪さんはうっとうしいナイトを取り除くことを優先しましたが、これは白に危険なアタックを許してしまいます。
私はたいして時間を使わず、次の手を指しました。

22. fxg6!


ピースをあえて取り返さず、黒キング前のポーンを消し去ります。
この後の変化は正確に読み切っていたわけではなく、私の勝負勘から「これはいける!」と判断したことによる決断です。
また、この時点で私の持ち時間は18分、対する三阪さんは10分以下だったため、複雑な変化のほうが勝負にいきやすいと考えました。

22...Bh4 23. gxh7+ Nxh7 24. f5!



ビショップとルークの利きを両方開き、アタックのチャンスを増やします。

24...exf5 25. Bh6 Kh8 26. Rxf5 Re6 27. Rh5 1-0



e6,h4,h7 にいる全てのピースが負担となり、黒は試合を諦めざるをえません。
26...Re6 が怪しい手にも見えますが、他の手でもa1のルークを参加させれば白が順当に勝つでしょう。

25分+1手10秒のような早指しは、普通のチェスとはやや趣が異なります。上位のプレーヤーでもミスをしやすく、下位のプレーヤーに対してポイントを落としやすくなります。しかし私の経験から言えば、海外のマスターはクラシカルのチェスが強ければ、ラピッドの経験もしっかりと積んでおり、こちらも強いと言えます。(ただし、ラピッドになると異様に強くなるプレーヤーもいます。)また、クラシカルのチェスではなかなか試せない戦法や、新しい手が指せる点もラピッドの楽しみです。

6月の記事で書いたように、JCAの快速選手権は大きな失敗でしたが、早指し自体を日本のチェスプレーヤーが嫌っているわけではないことが、今回の吉祥寺クロージングトーナメントで分かったため、(もちろん最終日なので参加したという点も無視できませんが)もう少し日本でラピッドの大会が開催されると良いですね。吉祥寺クロージングと同様に非公式戦にすれば、上位のプレーヤーも問題なく集まるでしょう。

2011/10/26

Challenging the French Champion!

日本国内では今月、Japan Open や、吉祥寺チェスクラブの閉店などがありましたが、日本人にとって最後のビッグイベントがまだ残っています。来たる10/29にフランスのヴィランドリーで、現フランスチャンピオン、Maxime Vachier-Lagrave とプロ将棋棋士の森内さん、羽生さんの二人が同時対局を行います。

Maxime Vachier-Lagrave

Vachier-Lagrave は21歳になったばかりですが、現在、FIDEレイティング2715、強豪国フランスで最強のチェスプレーヤーです。レイティング差を考えれば厳しい対戦になりそうですが、お二人にとって良いゲームができるよう、さらにはポイントを取れるよう日本から祈っています。

今回の同時対局は、27日から始まる第5回国際将棋フォーラムに便乗(正式にはこのイベントの一部ではないようなので、便乗としておきます。)したもので、元日本チャンピオンのジャックピノーさんの協力により実現したそうです。Unive での試合を終えたばかりのAnish Giri も、会場に駆け付けるとのうわさです。

試合の詳細や棋譜が公開されるかどうか、といったことは公式サイトを見てもよく分かりません。もし公開されないならば、私から森内さんにコンタクトを取って、棋譜を入手しようと思います。森内さん、羽生さん、お二人とも頑張って下さい!

第5回国際将棋フォーラム http://www.shogi.or.jp/topics/2011/09/post-470.html
Vahier-Lagrave 同時対局 http://www.chateauvillandry.fr/sommaire/

2011/10/25

チェススクール企画

現在、松戸チェスクラブのHPで、私のチェススクール企画についてのアンケートが行われています。

http://www003.upp.so-net.ne.jp/hpmtmd/

今回の企画は、松戸チェスクラブの田畑さんのご厚意で話が持ち上がりました。アンケートの内容は水曜夜の18:00~20:00頃に、私が松戸チェスクラブでレクチャーをやるとして、参加してみたいかどうか、というものです。詳しくはリンク先をご参照ください。アンケートの集計期間はあまり長くないため、興味のある方は早めにご協力いただけると助かります。よろしくお願い致します。

2011/10/24

吉祥寺クロージングトーナメント

昨日、吉祥寺チェスクラブの閉店に伴う、最後のトーナメントが開催されました。40名もの参加者に加え、見学者も多く訪れ、かなりの盛況だったと言えるでしょう。上位クラスの入賞者は以下の通りです。

1st 小島慎也 4/4
2nd 馬場雅裕 3/4(0,小島)
3rd 三阪晋 3/4(0,小島)
4th 森内俊之 3/4(0,馬場)




吉祥寺チェスクラブにはレクチャーだけでなく、トーナメントやトレーニングの場として、私も大変お世話になりました。オープン以降、一度も足を運ばなかった月はほとんどなく、最も多く顔を出したメンバーの一人だと自負しています。JCA会員ではない人たちと多くの繋がりを持つことができた点でも、吉祥寺チェスクラブには感謝しています。慶應義塾大学チェスクラブの後輩たちを誘って、トレーニングや交流戦をしたのも良い思い出です。

今回の吉祥寺チェスクラブの閉店は、現状では仕方のないことですが、やはり残念です。またこのような常設チェスクラブが誕生することを願いつつ、私も自分にできることを少しずつ行っていこうと思います。

2011/10/22

吉祥寺最終レクチャー

本日、吉祥寺チェスクラブで毎月恒例の自戦記レクチャーが行われました。吉祥寺チェスクラブの閉店に伴い、今回が最終回で、参加者数は過去最多の20名でした。参加して下さった皆さん、ありがとうございました。

私にとって大人数を相手に定期でレクチャーを行うのは、吉祥寺チェスクラブが初めてであり、大変勉強させていただきました。ほぼ毎月参加して下さってメンバーもおり、私のレクチャーが皆さんの勉強の一助になれば幸いです。また機会があれば、他のチェスクラブでもレクチャーを行いたいと思います。


2011/10/21

Little Positional Mistakes

すでに公開済みのJapan Open の8試合のうち、野口さんとの試合は、負けた側のミスがどこだったのかが一番分かりにくいと思います。小さな判断ミスが結果を左右する例として、ご紹介したいと思います。

Noguchi, K (2143) - Kojima, S (2369)
Japan Open (7)

1. g3 d5 2. Nf3 c6 3. Bg2 Bg4 4. O-O Nd7 5. b3 e5 6. Bb2 Bd6 7. d3 Ngf6 8. Nbd2 O-O 9. h3 Bh5 10. e4 Re8 11. Qe1 a5 12. a3 dxe4 13. dxe4 Qc7



Re8でe5を守りつつ、f8のマスを空けてから、センターを開きます。

14. Nh4?!


試合中この手はおかしいと感じました。f5のマスをナイトで狙うのは自然なプランですが、まずはd2のナイトを気にすべきです。
白は14. Nc4 と指すべきでした。

14... b5!



c4のマスをポーンで抑えてしまうことで、d2のナイトが行く場所を奪います。

15. Nf5 Bc5 16. Kh1 Rad8 17. Nf3 Bxf3!



将来的にd4のマスをコントロールするため、白の重要なナイトを消しておきます。

18. Bxf3 Nf8 19. Bc3 Bb6 20. Bg2 g6 21. Nh6+ Kg7 22. f4?



白は念願のf2-f4を果たしましたが、このピースサクリファイスはやりすぎです。
丁寧にキングが守りきれることを読んだ後、ナイトを取りました。
22. Ng4 Nxg4 23. hxg4 Ne6=/+

22... Kxh6 23. fxe5 Ng8-+ 24. Qc1+ Kg7 25. Rxf7+ Kxf7 26. Qf4+ Ke7 27. Rf1 Kd7 28. e6+ Nxe6 29. Qh4 Kc8 0-1


白のミスはd2のナイトを動かすのが遅れたこと、そしてf4を突きにこだわり過ぎたことだと言えるでしょう。

2011/10/20

Chinese Star

Chinese GM Zhao Xue

すでに国内でも話題になっていますが、現在、Nalchik で開催されている女子のGrand Prix で、中国のGM Zhao Xue が8.5/9、2位に3.5P差 というとんでもない戦績で大会をリードしています。この大会は、世界のトップクラスの女子12人が戦うラウンドロビンで、ロシアのKosteniuk, ブルガリアのStefanova などの名前もあります。私はJapan Open を7.5/8 で優勝しましたが、このレベルの大会での独走は珍しいことです。

Zhao Xue は近年は、後輩のHou Yifan の活躍の陰に隠れていますが、間違いなくここ数年の中国女子を牽引してきたプレーヤーです。私は2,006年のドーハアジア大会で初めてその姿を目にし、(厳密にはトリノオリンピアードでも同じ会場にいたはずですが、よく覚えていません。)それ以降、参加する大会では中国女子代表の座をほとんど外れていないと思います。

Zhao Xue が残り2R でさらに星を伸ばせるか、注目したいと思います。最終戦の相手は現在2位につけている、同国の後輩WGM Ju Wenjun です!

GM Zhu, Chen (2490) - GM Zhao, Xue (2497)
Nalchik WGP 2011 (6)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. Qc2 O-O 5. a3 Bxc3+ 6. Qxc3 d6 7. f3 d5 8. Nh3 c5 9. dxc5 d4 10. Qc2 e5 11. Nf2 a5 12. e4 Be6 13. Rb1 a4 14. Bd2 Nfd7 15. Bb4 Nc6 16. Be2 Qe7 17. Nd3 Qh4+ 18. Nf2 f5 19. Bd3 f4 20. Be2 Qg5 21. Bf1 Rfc8 22. Rc1 Qe7 23. Nd3 Nxb4 24. axb4 b6 25. Be2 bxc5 26. b5 Qh4+ 27. Nf2 Rf8 28. Ra1 Nb6 29. Bd3 Qg5 30. Kf1 Kh8 31. h3 h5 32. Rg1 Qe7 33. Ke2 Qf7 34. Rgc1 g5 35. Kd2 Kg7 36. Be2 Kf6 37. Qd3 Rfd8 38. Ke1 Qg8 39. Rc2 Rd7 40. Rac1 Rg7 41. Qa3 Rc8 42. Kd2 d3 43. Bxd3 Rd7 44. Ke1 g4 45. fxg4 hxg4 46. hxg4 Bxg4 47. Bf1 Be6 48. Qf3 Rcd8 49. Qa3 Rc7 50. b4 axb3 51. Qxb3 Ra7 52. Rc3 Ra4 53. g3 Rb4 54. Qa2 Qg5 55. Qa7 fxg3 56. Ng4+ Bxg4 57. Qxb6+ Kg7 58. Qa7+ Rd7 59. Qa2 Qf4 60. Bg2
60...Rb3! 0-1


2011/10/19

How to build up your opening

チェスのオープニングというものは、莫大な数があり、膨大な研究が残されています。その中から自分に合って物を選び、使いこなしていくということは簡単ではありません。そもそも自分に”合う”ということがどういったことなのか、その判断も悩むところです。

チェスを覚えたばかりの頃は、「周りが指していたから」「人に勧められたから」「たまたま本で見かけたから」といった理由で、なんらかのオープニングを使い始めるでしょう。もちろん最初はそれでOKです。それからだんだんとチェスに慣れてきて、周りの試合を見て様々なオープニングがあることを知ったり、GMのゲームを見て興味を持ったり、ソフトや本でより細かい情報を仕入れられるようになったりすると、オープニング研究の世界はぐっと幅が広がります。今日は(も?)ややマニアックな話ですが、私がどのようにオープニングを調べ、選択するかという話をしようと思います。

1. 何かのきっかけで、なんらかのオープニングに興味を持つ。

きっかけというものなんでも良いのです。黒でもっと勝ちに行くレパートリーが欲しい、と思ったり、先程書いたようなGMの試合で、なんだこれは、強そうだ!と思ったり、本当に何でもOKです。私は最近、2年ぶりにFrench Defence を調べ直していますが、きっかけはたまたま人に教える機会が続き、自分でも指してみたい気分になったからです。

2. Mega database で試合を探す。

ここから少しマニアックになるかもしれません。私は興味を持ったオープニングが出てきたときは、熱が冷めないうちに早めに試合をチェックします。自分の場合はChessbase というソフトでMega Database を起動して試合を探しますが、最近は棋譜の検索サイトも様々なものが出ているので、そちらを参考にしても良いでしょう。ちなみにこのとき、自分がチェックする項目がいくつかあります。

a) 近年指されているか、そして試合内容はどうか
b) 全体と近年の勝率
c) どんなGM が指しているか(特定のポジションで、自分が持ちたい側のレイティングをソート)
d) そのオープニングを得意としているGM は誰か。(特定のポジションで、自分が持ちたい側の名前をソート)
e) 気にいった勝ち(自分が持ちたい側で)の試合があるか。
f) 基本的なStrategy を理解できるか、そして気に入るか。

いくつか補足をしておくと、勝率を見るときは勝ち試合、負け試合、ドロー試合のバランスもチェックします。つまり、100試合で白の勝率50%のラインがあった場合、白勝ち40試合、黒勝ち40試合、ドロー20試合なのか、はたまた100試合全部ドローなのか(そういうことはありえませんが・・・)で、ラインの特徴は全く違います。また、勝率というのは母体となる試合数が多くなければ、信用の度合いは低下します。高い数字だけを見て、跳びつかないよう気を付ける必要があります。

そして難しいのは最後のf)の項目です。誰しも好きな形があり、それに持ち込みたいものです。しかし、同じ形ばかりを求めて指していると戦略の幅が広がりませんし、嫌いなものを避けているだけでは、苦手を克服することができません。そのため、食わず嫌いをせずに色々な形を試してみて、結果どうしても嫌だと感じるならば、なるべくそれを避けるようにオープニングを用意すれば良いと思います。実を言えば、私にもなるべく避けたい形というものはあり(どんな形かは秘密です)、それをどうするか苦労してきた経験があります。その経験と、苦手に対する工夫の積み重ねが、私を育ててきたようにも感じます。

ここまで色々と書き連ねてみましたが、ちょっとした思い付きから、試合や形を調べてみるのが最初の一歩です。例えばKing's Indian のメインラインと言えば、1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nc3 Bg7 4. e4 d6 5. Nf3 O-O 6. Be2 e5 7. O-O
ここで7...Nc6 と指すのがポピュラーですが、「ナイトが他のマスに出る手はないのだろうか」などと疑問に思うことが、(もちろんあります。)King's Indian 研究の幅を広げます。こういった疑問や好奇心がチェスの勉強には大切なのです。皆さんも些細なきっかけから、自分のオープニングを見直してみては如何でしょうか。

2011/10/18

Mate in 2

1手メイトの問題というものは、必ずチェックになる手が正解なので、それらしい手をしらみつぶしに考えていけば、必ず正解にたどり着けます。1手メイトの正解がどうしても見つけられない、ということはほとんどないでしょう。しかし、これが2手メイトとなると途端に複雑さが増します。

White to move

White to move

今日、自由が丘のチェス教室で子供たちと一緒に考えた問題です。フリーのチェスソフトの問題から持ってきたものですが、なかなかよくできています。1問1分以内で正解したならば、私よりもこういったプロブレムが得意だと言えるかもしれません。

2011/10/16

年内の予定

今年も残すところあと2ヶ月半、トーナメントも少なくなってきました。これから年末にかけての大会スケジュールはこんな感じです。

10/23(日) 吉祥寺クローズドトーナメント


25分+1手15秒/4ラウンド/JCA非公式戦/賞金あり

吉祥寺チェスクラブの閉店に伴うトーナメントです。クローズドと名はついていますが、誰でも参加できるオープントーナメントです。私は今日、スケジュールがはっきりし、参加することにしました。吉祥寺チェスクラブにまだ足を運んでいない方、最後に一度、吉祥寺チェスクラブを訪れたい方は是非どうぞ。

11/6(日) 中部快速オープン


25分+1手15秒/6ラウンド/JCA公式戦/賞金あり

一昨年は馬場さんが、去年は私が全勝優勝した、賞金付きラピッドトーナメントです。こちらも今日、参加することを決めました。今年は汐口くんや吉村くんと一緒に参加しようとの話が持ち上がっており、関東から参加するプレーヤーも去年より増えそうです。

11/19(土),20(日) 東京オープン


50分+1手30秒/6ラウンド/JCA公式戦/賞金あり

チェス通信ではこのスケジュールでしたが、HPのカレンダーでは12,13日になっています。JCAには確認のメールを出しましたが、返答がありません。ここ数年は海外大会と被って参加を見送ってきましたが、どちらの日程にせよ、今年は参加できそうです。

12/10(土) 函館チェス大会


20分+1手30秒/4ラウンド/JCA公式戦

2007年から、都合のつく限り参加している大会です。今年も参加できそうなので、冬の函館を楽しんできます。去年は弘平くん相手に不覚を取りましたが、今年こそはきっちりと優勝してくるつもりです。ちなみに持ち時間は確定ではないそうです。

12/26(月)-12/29(木) North American Open


40手2時間+1時間/7ラウンド/FIDE公式戦/賞金あり

詳しくは昨日の記事通り。ちなみに私はOpen クラスにエントリーしました。

Japan Open 後に今年の国内公式戦の戦績を集計してみたところ、55試合で42勝4敗9ドロー、勝率は84%でした。毎年夢見てきた85%が今年は間近に迫っているため、俄然やる気も出てきます。

2011/10/15

Las Vegas Dream


年末のトーナメントは、ラスベガスのNorth American Openに決まりです。今のところ日本からの参加メンバーは私、佐野さん、吉村くん、唐堂くんの四人で、さらにはハワイのポール飯沼さんを誘ったところ、前向きに検討したいとの返答でした。チェスとギャンブル、勝って笑うか負けて泣くかは分かりませんが、魅惑の一週間のスケジュールは以下の通りです。

12/25(日) 日本発、現地着
12/26(月) R1 6:00 p.m
12/27(火) R2 11:00 a.m, R3 6:00 p.m
12/28(水) R4 11:00 a.m, R5 6:00 p.m
12/29(木) R6 10:00 a.m, R7 4:30 p.m
12/30(金) 観光
12/31(土) 現地発
01/01(日) 日本着

航空券は、この時期にしては安い125600円で確保することができました。ちょうど日程が学生選手権と被っているため、大学生は参加できませんが、そうでない皆さんはまだ間に合います。参加を考えている方は私までご相談ください。

2011/10/14

Closed Training at Chess.com

先々週からChess.com のOnline Chess を利用したトレーニングが始まりました。
今のところ参加者は、私、大塚さん、酒井くん、早瀬くんの4名で、白黒両方を持つ総当たり、ダブルラウンドロビンです。
もう少しメンバーが増えてくると、さらに面白くなりそうですね。

今までは行ってきたトレーニングは、持ち時間が一人何分といった形式でしたが、今回は1手につき1日の持ち時間です。
じっくりと考えて手を決めることができるのが特徴ですが、ここまでは皆(特に私が)早指しペースになっています。
考える局面ではじっくり時間を使うつもりですが、それ以外でも少しペースを落としたほうが良いかもしれません。

ここまで私は黒での3試合が終了し、結果は3勝となっています。
酒井くんとの試合は丁寧に指せたと思いますので、棋譜を公開しておきます。

shinano (1856) - Shinya_Kojima (1942)
Chess.com

1. c4 c6 2. e4 d5 3. exd5 Nf6 4. Nc3 cxd5 5. cxd5 Nxd5 6. Nf3 Nc6 7. Bb5 e6 8. O-O Be7 9. d4 O-O 10. Re1 Qd6 11. Ne4 Qc7 12. Bg5 Rd8 13. Rc1 Bd7 14. Ne5 Be8 15. Bxc6 bxc6 16. Bxe7 Nxe7 17. Nc5 Nf5 18. Nf3 Rd5 19. Qa4 Rad8 20. Rcd1 Qb6 21. b4 Nxd4 22. Nxd4 Rxd4 23. a3 0-1

facebook 上で大塚さんに声をかけられているメンバーは、是非動向をチェックしてみてください。
私も面白い試合ができれば、解説を書こうと思います。

2011/10/13

Kohei, the Courageous, in Netherlands


明日からオランダでUnivé Open が開始されます。日本からは2008,2009年学生チャンピオン、山田弘平くんが単身乗り込みます。彼は私と同じ88年生まれで、昨年から、カペル、ハンティマンシスク、広州といった海外大会に精力的に参加しています。今大会の情報は、以下のリンクからどうぞ。

http://www.univechess.nl/

すでに今大会のトップシード、GM Sergey,Tiviakov に将棋を教えた、オランダトップGM Anish,Giri の家にホームステイしているなど、面白いネタがたくさん入ってきていますので、試合はもちろん、それ以外にも期待したいと思います。函館の後輩のためにも、弘平くん、頑張って下さい!

弘平くんとAnish の2ショットです。

*現在、世界ランキング23位のGM Anish,Giri は、かつて北海道に在住し、 弘平くんのお父さんにチェスを教えてもらっていました。

2011/10/12

Complicated King's Indian

先日のJapan Open から解説を一つ書かせていただきます。この試合は相手が唯一2000未満ということもあり、さらっと流した人が多いかと思いますが、King's Indian の理解をするためのアイディアが詰まっています。

Kojima, S (2369) - Usuba, H (1859)
Japan Open 2011 (2)

1. Nf3 g6 2. e4 Bg7 3. d4 d6 4. c4 Nf6 5. Nc3 O-O 6. Be2 e5 7. O-O Nc6 8. d5 Ne7 9. b4


King's Indian 対策は私が長く頭を悩ませてきたテーマですが、現在は一番人気のBayonet を採用しています。

9...Ne8!?



この手は最もロジカルな手ではありませんが、激しい攻め合いを望むならばありえる選択肢です。9...Nh5, 9...a5 が普通です。

10. a4!? f5 11. a5 f4?!



おそらく薄葉さんは、ほとんどKing's Indian を指した経験がなかったのではないでしょうか。やや勉強不足がうかがえる手です。
確かに黒はキングサイドのポーンを固めて攻撃することが多いですが、それは十分e4に圧力を掛けてからの話です。
以下に示してあるのが私が研究していた試合で、本譜と似た流れになりますが、白は重要な1テンポを得ています。

11... Nf6 12. Nd2 (白はe4のポーンを守るためにナイトを退きます。ここでナイトを退かせるのが、黒としては重要なアイディアです。) f4 13. c5 g5 14. g4 h5 15. h3 Ng6 16. f3 Kf7 17. Kg2 Rh8 18. Rh1 Rh6 19. Ba3 Bf8 20. Rc1 Be7 21. Nc4 Qf8 22. Nb5 Ne8 23. Qb3 Bd7 24. Nxc7 Nxc7 25. cxd6 Bxd6 26. Nxd6+ Qxd6 27. b5 1-0 Van Wely,L (2622)-Yanayt,E (2207)/Las Vegas 2009

12. c5!


白はc4-c5,Nf3-Nd2-Nc4 と組んで、d6に圧力をかけるのが普通です。
しかしここでは白はe4への圧力がすでにないため、ナイトを急いで退く理由がありません。
そこでナイトは一時的にf3に残し、黒にg6-g5 を指させないようにします。

12...h6


黒がg5を突くためにはこの一手が必要ですが、それが上記の試合に比べて1テンポロスになります。
King's Indian のこのような形ではスピードが勝負、無駄な一手が命取りになります。

13. Nd2 Nf6 14. Nc4 g5 15. g4! Ng6 16. f3 Rf7 17. Ba3 Ne8



攻め合いに持ち込むために17... h5 がベターだと考えます。

18. b5 Bf8 19. Qb3 Rh7 20. b6 a6 21. bxc7 Qxc7 22. h3!?



コンピュータは22. Rfc1 で白勝勢を示しますが、私はここで一手ディフェンスの手を入れておきました。
黒がhファイルを開いて攻撃を仕掛けてきた場合、白もルークをhファイルに回してルーク同士をぶつけるつもりです。

22... h5 23. Kg2 hxg4 24. hxg4 +/-



すでに白の優位は確実です。d6への圧力、Nc3-Na4-Nb6 など、白にはクイーンサイドからの攻撃が多数あります。
それに対し、黒のキングサイドアタックは十分ではなく、決死のピースサクリファイスも成功しません。

24...Bxg4? 25. fxg4 f3+ 26. Bxf3 Nf4+ 27. Kf2 Rh2+ 28. Ke3 Nh3 29. Rh1 Qf7 30. Ne2 Rxe2+ 31. Kxe2 Nf4+ 32. Ke3 dxc5 33. Nxe5 Ng2+ 34. Bxg2 Qf4+ 35. Ke2 Qxe5 36. d6+ 1-0


King's Indian はキングサイドのポーンをとりあえず伸ばせば良い、というような簡単なオープニングではありません。研究と実戦からの理解が求められる、複雑なオープニングです。それでも(それゆえ?)何十年もの間、多くのチェスプレーヤーを惹きつけてやまない魅力を持っており、今日も世界のどこかで激しい攻め合いが行われています。

2011/10/11

A Studying Day

今日は起きるとなぜか三阪さんが私の家におり、一緒にチェスをすることになりました。Japan Open での私の試合→三阪さんの試合→ルークエンディングのスタディという順で見ていくと、五時間程が経過していました。誰かと一緒にチェスをしていると、時間が過ぎるのもあっという間です。

R3 Sano,T - Kojima,S

18. Bc1?!


この手は特に働かないうえ、黒の狙いに気付いていないことが分かります。18. Rfe1 ぐらいで良いでしょう。

18... Bh2+ 19. Kh1 Bf4 20. Bc2 Bxc1 21. Rxc1 Qf4


このように黒マスビショップを交換してクイーンを潜り込ませれば、黒は安全にイニシアチブを得ることができます。

22. Rce1?


決定的なミスです。22. Rcd1-Kg1 としていれば、白に大きな問題はないでしょう。

22... Nd2! 23. Rg1


このポジションはBehind the Scene でも取り上げられていました。

23...Rxd4!! 24. cxd4 Nf3!


綺麗なタクティクスが決まりました。白は決定的なマテリアルを失います。

25. g3 Nxe1+ 0-1


今大会ではエクスチェンジサクリファイスを三回を行い、二回成功、一回失敗しました。失敗した塩見さんとの試合は後日の解説にまわし、もう一つの成功例はチェス通信の原稿に使います。

ルークエンディングのスタディについては、私自身の手で調べてから記事にしようと思います。

2011/10/10

Japan Open - Perfect Victory -

Japan Open 最終日の今日は、野口さんと竹本さんに勝って単独優勝を決めました。5か月前の全日本で落とした、オリンピアード代表の権利を獲得することができ、一安心です。Japan Open の最終順位は以下の通りです。

1st 7.5/8 小島慎也 (1/2 塩見)
2nd 6.5/8 Averbukh, Alexander (1/2 山田、0 小島)
3rd 5.5/8 塩見亮 (1/2 小島、0 Averbukh、佐野)
4th 5.5/8 佐野富 (1/2 三阪、0 小島、Averbukh)

表彰式

最終ラウンドの佐野-塩見戦。塩見さんは勝ちのエンディングをなぜか負けにしてしまい、もったいない3位でした。

全勝優勝こそ逃しましたが、もちろん満足な結果です。特に今日の2試合は、完璧な指し回しができたと自負しています。チェス通信に載せる原稿とは別に、明日以降いくつか試合解説も書こうと思います。1~8ラウンドの私の戦績は、以下の通りです。

Round/Color/Name/Rating/Result/Opening

1 / B / 佐藤要 / 2047 / 1 / Caro-Kann Advanced
2 / W / 薄葉洋人 / 1859 / 1 / King's Indian Bayonet
3 / B / 佐野富 / 2156 / 1 / French Tarrasch
4 / W / 塩見亮 / 2157 / 1/2 / Queen's Gambit Tarrasch
5 / B / 岩崎雄大 / 2118 / 1 / Sicilian Sveshnikov
6 / W / Averbukh / 2183 / 1 / Chigorin?
7 / B / 野口恒治 / 2143 / 1 / King's Indian Attack
8 / W / 竹本寛 / 2102 / 1 / Symmetrical English

ちなみにレイティングは、チーム選手権と合わせて、2400に乗るかどうかといったところでしょう。国内のレイティングよりFIDEレイティングのほうが重要ですが、それでもレイティングの上昇は嬉しいものです。

Noguchi, K (2143) - Kojima, S (2369)
Japan Open 2011 (7)

1. g3 d5 2. Nf3 c6 3. Bg2 Bg4 4. O-O Nd7 5. b3 e5 6. Bb2 Bd6 7. d3 Ngf6 8. Nbd2 O-O 9. h3 Bh5 10. e4 Re8 11. Qe1 a5 12. a3 dxe4 13. dxe4 Qc7 14. Nh4 b5 15. Nf5 Bc5 16. Kh1 Rad8 17. Nf3 Bxf3 18. Bxf3 Nf8 19. Bc3 Bb6 20. Bg2 g6 21. Nh6+ Kg7 22. f4 Kxh6 23. fxe5 Ng8 24. Qc1+ Kg7 25. Rxf7+ Kxf7 26. Qf4+ Ke7 27. Rf1 Kd7 28. e6+ Nxe6 29. Qh4 Kc8 0-1

Kojima, S (2369) - Takemoto, H (2102)
Japan Open 2011 (7)

1. Nf3 c5 2. c4 Nf6 3. g3 b6 4. Bg2 Bb7 5. O-O e6 6. Nc3 Be7 7. d4 cxd4 8. Qxd4 d6 9. Rd1 a6 10. b3 O-O 11. Ba3 Ne8 12. e4 Nc6 13. Qe3 Qc7 14. Rac1 Nf6 15. Nd5 exd5 16. cxd5 Ng4 17. Qe2 Qd7 18. dxc6 Bxc6 19. Rxc6 Qxc6 20. Nd4 Qd7 21. Bh3 h5 22. Nf5 Rfe8 23. Bxg4 hxg4 24. Qxg4 1-0


最終日の会場は大田区産業プラザの一階会議室でした。

一日コースも同じ会場です。一緒にラスベガスに行く(予定の)唐堂くんが貫録の優勝でした。

最後はオマケ。とあるプレーヤーの研究ノートです。

この3日間、応援のメッセージをくださった皆様、ありがとうございました。今後も日本のトッププレーヤーとして恥じない試合ができるよう、精進していきます。

2011/10/09

Japan Open - Running Alone -

Japan Open 二日目の今日は、2勝1ドローでトップを守りました。塩見さんら2位グループとは1ポイント差をつけています。今日の3試合の棋譜は以下の通り。

Kojima, S (2369) - Shiomi, R (2157)
Japan Open 2011 (4)

1. Nf3 Nf6 2. c4 c5 3. Nc3 e6 4. g3 Nc6 5. Bg2 d5 6. cxd5 exd5 7. d4 Be7 8. O-O O-O 9. Bg5 cxd4 10. Nxd4 h6 11. Be3 Re8 12. Qa4 Bd7 13. Rfd1 Nb4 14. Qb3 a5 15. a4 Bg4 16. Nc2 Bf8 17. Nxb4 Bxb4 18. Nxd5 Nxd5 19. Rxd5 Qf6 20. Rd4 Bxe2 21. Rf4 Qg6 22. Bxb7 Rad8 23. Rxb4 Rd3 24. Qc2 Ra3 25. Rc1 Qxc2 26. Rxc2 Ra1+ 27. Rc1 Rxc1+ 28. Bxc1 axb4 29. Be3 Re6 30. a5 Ba6 1/2-1/2

Iwasaki, Y (2118) - Kojima, S (2369)
Japan Open 2011 (5)

1. e4 c5 2. Nf3 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 e5 6. Ndb5 d6 7. Bg5 a6 8. Na3 b5 9. Bxf6 gxf6 10. Nd5 f5 11. Bd3 Be6 12. c3 Bg7 13. Qh5 O-O 14. exf5 Bxd5 15. f6 e4 16. fxg7 Re8 17. Bc2 Re5 18. Qh3 Qg5 19. O-O Qxg7 20. Bb3 Be6 21. Bxe6 Rxe6 22. Nc2 Kh8 23. Ne3 Rg8 24. Nf5 Qg5 25. f4 exf3 26. Rxf3 Qd2 27. Rf2 Qg5 28. Rd1 Ne5 29. Qh4 Nf3+ 0-1

Kojima, S (2369) - Averbukh, A (2183)
Japan Open 2011 (6)

1. Nf3 d5 2. d4 Bg4 3. Ne5 Bf5 4. c4 f6 5. Nf3 e6 6. Qb3 Nc6 7. e3 Nb4 8. Na3 a5 9. Be2 a4 10. Qd1 g5 11. O-O Ne7 12. Bd2 Nec6 13. c5 Kf7 14. Bb5 Bd3 15. Bxb4 Bxb5 16. Nxb5 Nxb4 17. a3 Nc6 18. Nc3 Qd7 19. Nxa4 Nxd4 20. Nxd4 Qxa4 21. Qh5+ Ke7 22. c6 e5 23. Qg4 Kf7 24. Qd7+ Be7 25. Qxd5+ Kg6 26. cxb7 Rad8 27. Qe4+ Kf7 28. b3 Rxd4 29. exd4 Qxd4 30. Qc6 Qd6 31. Rfc1 Qxc6 32. Rxc6 Bd6 33. Rac1 Ke6 34. Rxc7 Bxc7 35. Rxc7 Rd8 36. Kf1 1-0


調子は良いと思いますが、岩崎さんとの試合は完全にラッキー勝利でした。Behind で何やら不吉なことが囁かれていますので、気を引き締めて最終日を迎えようと思います。

初日は上位4ボードだけ別室に隔離されていましたが、今日は全ボード同じ部屋でした。

小島 - Averbukh

麻布学園チェスサークルの同期、汐口くんと桑田くん。そう言えば今回、南條くんはどうしたのでしょうか・・・

明日のペアリングは

1B 野口 - 小島
2B Averbukh - 佐野
3B 塩見 - 岩崎

と発表されています。逃げ切りを図りますよ!

2011/10/08

Japan Open - Successful Start -

今日から三日間は秋の名物、Japan Open です。上位入賞者には、来年トルコで開催されるオリンピアードと、全日本選手権への参加権利が与えられるため、それらを狙うメンバーにとっては大きな意味を持つ大会です。また、ほぼ忘れかけていましたが、昨年は私が5勝3ドローで優勝したため、初の連覇がかかっています。

参加メンバーはリスト順に私、山田くん、Alex、塩見さんとなっています。馬場さんと南條くんがいないので、レイティングから言えば優勝を逃すわけにはいきません。私の初日の結果は、黒二つ、白一つで問題なく三連勝でした。棋譜を公開しておきます。

Sato, K (2047)- Kojima, S (2369)
Japan Open 2011(1)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 Bf5 4. Nc3 a6 5. h4 h5 6. Nge2 e6 7. Ng3 Bg6 8. Be2 c5 9. dxc5 Bxc5 10. Bxh5 Bxh5 11. Nxh5 g6 12. Nf4 Rxh4 13. Rxh4 Qxh4 14. Nd3 Ba7 15. Qf3 Qh1+ 16. Ke2 Nc6 17. Kd2 Bd4 18. Ne2 Nxe5 19. Nxe5 Bxe5 20. c3 Nf6 21. Kc2 O-O-O 22. Qe3 Bc7 23. Qf3 Qh4 24. Bf4 e5 25. g3 Qg4 26. Qxg4+ Nxg4 27. Bd2 e4 28. Rf1 Rh8 29. Nf4 Bxf4 30. Bxf4 Rh2 31. Kb3 Nxf2 0-1

Kojima, S (2368) - Usuba, H (1859)
Japan Open 2011(2)

1. Nf3 g6 2. e4 Bg7 3. d4 d6 4. c4 Nf6 5. Nc3 O-O 6. Be2 e5 7. O-O Nc6 8. d5 Ne7 9. b4 Ne8 10. a4 f5 11. a5 f4 12. c5 h6 13. Nd2 Nf6 14. Nc4 g5 15. g4 Ng6 16. f3 Rf7 17. Ba3 Ne8 18. b5 Bf8 19. Qb3 Rh7 20. b6 a6 21. bxc7 Qxc7 22. h3 h5 23. Kg2 hxg4 24. hxg4 Bxg4 25. fxg4 f3+ 26. Bxf3 Nf4+ 27. Kf2 Rh2+ 28. Ke3 Nh3 29. Rh1 Qf7 30. Ne2 Rxe2+ 31. Kxe2 Nf4+ 32. Ke3 dxc5 33. Nxe5 Ng2+ 34. Bxg2 Qf4+ 35. Ke2 Qxe5 36. d6+ 1-0

Sano, T (2156) - Kojima, S (2369)
Japan Open 2011(3)

1. e4 e6 2. d4 d5 3. Nd2 c5 4. exd5 Qxd5 5. Ngf3 cxd4 6. Bc4 Qd6 7. O-O Nc6 8. Nb3 Nf6 9. Nbxd4 Nxd4 10. Nxd4 a6 11. c3 Qc7 12. Qe2 Bd6 13. h3 O-O 14. Bg5 Ne4 15. Be3 b5 16. Bb3 Bb7 17. Rad1 Rfd8 18. Bc1 Bh2+ 19. Kh1 Bf4 20. Bc2 Bxc1 21. Rxc1 Qf4 22. Rce1 Nd2 23. Rg1 Rxd4 24. cxd4 Nf3 25. g3 Nxe1+ 0-1


初日と二日目の会場は、大田区民センター。早くPIOに移りたいです。

こちらは3Rの塩見-汐口戦。私ならば黒を持っても良いと思っていたので、白勝ちの結果はやや意外です。

ネット上で公開された情報によれば、初日の三連勝は私、Alex、塩見さんの三人のみです。4Rのペアリングは以下の通り。

1B 小島 - 塩見
2B Alex - 山田
3B 岩崎 - 中村(龍)

しっかり休んで、二日目も気合を入れて臨みます!

2011/10/07

エリーゼキャッスルマグネットチェスセット

今日は新しいチェスセットとデジタルカメラを購入したので、記念の公開です。チェスセットは特別なものではなく、大きなおもちゃ屋ならば目にすることのできる、エリーゼキャッスルのマグネットチェスセットです。日本で最も手に入れやすいチェスセットの一つだと思います。


私はこのエリーゼキャッスルのチェスセットとは、とても長い付き合いをしています。小学校卒業直前に父が買ってくれたのも、中学2年の夏に先輩にもらったのも、大学1年の秋に自分で買ったのも、このチェスセットでした。折り畳み式で持ち運びがしやすく、小さすぎることもないので普段の棋譜並べから海外遠征のお供まで、重宝しています。慶應義塾大学チェスクラブの活動でも、メンバーの多くがこれを使っています。ちなみに今日は、秋葉原のヨドバシカメラで1470円で購入することができました。定価よりもだいぶ安いはずです。

ところで全く話題は変わりますが、明日から3日間、東京の蒲田でジャパンオープンが開催されます。私は来年のオリンピアード代表の権利がかかっているため、いつも以上に真剣に取り組もうと思います。新しいカメラで写真も撮ってくるつもりなので、明日の更新をお楽しみに。加えて皆さん、私が2位以内に入れるよう、応援よろしくお願い致します。

2011/10/06

The French Defence A Complete Black Repertoire


最近の日本ではFrench Defence の本といえば、ウクライナのVictor Moskalenko のシリーズが有名なようです。私自身も2008年のドレスデンオリンピアードで、The Flexible French を20歳の誕生日プレゼントとして、チームメイトから貰っています。The Flexible FrenchThe Wonderful Winawer については、ここでは詳しく語りませんのでBehind the Scene をご覧ください。

今日、ご紹介するのは昨年、ロシアのGM Nikita Vitugov が出したFrench Defenceの本です。Vitugov? と思われる方もいるかもしれませんが、最近2700を突破し、現在世界ランキング21位につけているプレーヤーです。まだ若いですし、ロシアのGMの中では名前の売れていないほうでしょうね。
Nikita Vitugov

Vitugov が書いたThe French Defence A Complete Black Repertoire はその名の通り、French Defence を黒で指すプレーヤーのための本です。メインはRubinstein なので、3.Nc3 にも 3.Nd2 にも対応できますが、きちんと別のTarrasch (3.Nd2) 対策も紹介されています。また、分量はRubinstein に比べれば多くありませんが、Winawer とSteinitz (Classical) にも触れられています。各章の内容までは細かすぎて書けませんが、大雑把な分類はこんな具合です。

Part 1. White avoids the main line
Part 2. The Advanced Variation (1.e4 e6 2.d4 d5 3.e5)
Part 3. The Rubinstein Variation (1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nc3 dxe4 4.Nxe4 Nd7)
Part 4. The Morozevish Variation (1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nd2 Be7)
Part 5. The Tarrasch Variation with 3...c5 (1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nd2 c5)
Part 6. The Winawer Variation (1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nc3 Bb4)
Part 7. The Steinitz Variation (1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nc3 Nf6)

この本では他の本とは違うユニークなラインがいくつか紹介されており、それらが面白くてパラパラとみています。例えば日本で最近よく見かけるTwo Knights Variation に対しては

1.e4 e6 2.Nc3 d5 3.Nf3 d4!?
Maskaleko の本では3...Nf6 がメインで扱われていますが、こちらでは一言も触れられていません。

4.Ne2 c5 5.c3 Nf6!?

他にもKing's Indian attack には

1.e4 e6 2.d3 d5 3.Nd2 c5 4.Ngf3 Nf6 5.g3 g6!?
などなど。機会があれば私も使ってみようと思います。French Defence は、その特徴的なポーンストラクチャーと、柔軟なスタイルからいつの時代も熱烈な愛好者がつきないもの。私も裏のオープニングとして、もう少し研究してみるつもりです。

2011/10/05

Play Like Sveshnikov - SS part11 -

Game7

- White plays 15.Rxa4 -


IM Lengyel, B (HUN,2267) - FM Kojima, S (JPN,2312)
FSIM March 2010 (5)

1. e4 c5 2. Nf3 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 e5 6. Ndb5 d6 7. Bg5 a6 8. Na3 b5 9. Nd5 Be7 10. Bxf6 Bxf6 11. c3 Bg5 12. Nc2 Ne7 13. Ncb4 O-O 14. a4 bxa4
15. Rxa4

Game6 と異なり、ルークでポーンを取り返す手も十分考えられます。

15...a5 16. Nxe7+


ナイトを交換して位置を入れ替えるのが、スタンダードなアイディアです。
ピンを利用してピースを展開する手に対しては、一つ面白い変化をご紹介します。

16.Bb5!? Bh3!? 

17. Nxe7+ Qxe7 18. Nd5 Qb7 19. Bc4 Bd7 20. Ra2 Kh8 21. O-O f5 22. exf5 Bxf5 23.
Ne3 Qd7 Dominguez Perez, L - Leko, P / WchT 2001 / 1/2-1/2


16...Qxe7 17. Nd5


ナイトはセンターのアウトポストがベストの位置であることは、疑いようがありません。

17. Nc6?! Qb7 18. h4 Bh6 19. Qxd6? Qxb2 20. Ne7+ Kh8 21. Ng6+ hxg6 22. Qxf8+ Kh7 23. Qd6 Qxc3+ 24. Kd1 Qc1+ 25. Ke2 Ba6+ / Arpijuntarangkoon, J (THA,2000) - Kojima, S (JPN,2225) / BCCO 2008 / 0-1

17...Qb7

Game6 同様に、黒のクイーンは白のbポーンにプレッシャーをかけます。

18. b3


bポーンを守るためには、ルークを下げる手も考えられます。
次のゲームは、私がこのラインを研究するきっかけとなった思い出深いものです。

18. Ra2 f5 19. Bc4 Kh8 20. O-O fxe4 21. Ne3 Qb6 22. Bd5 Ba6 23. Re1 Rad8 24. Bxe4 d5 25. Bf3 e4 26. Bg4 Bc4 27. Nxc4 dxc4 28. Qb1 Qxf2+ 29. Kh1 Rd2 30. Bh3 e3 31. Rxa5 e2 32. g3 Rd1 / Berg, E - Moiseenko, A / Turin ol (Men) 2006 / 0-1

18...Bd7 19. Ra2 f5 20. h4!?


part7 でも説明した通り、このようなポーン突きは攻撃的に見えますが、このポーン自体がターゲットとなります。
20.Bc4 Kh8 ならばスタンダードなポーンストラクチャーになりそうです。

20...Bd8!

ここではh6 にビショップを下げる理由はありません。d8 でa5 のポーンを守りつつ、b6 に出るチャンスを窺います。
h4 のポーンをアタックし続けている点も重要です。

21. Bd3?! Bc6?!


21...Be6! 22.h5 Bxd5 23.exd5 e4 24.Be2 Bf6 -/+
このようなd5 をポーンで埋めた異色ビショップのミドルゲームは、ビショップの働きの差とセンターの厚みで黒が優勢だと考えられます。
本譜のようにc6 からナイトを取りに行っても問題ないと思いましたが、次の手を見落としていました。

22. Bc4!

Bd3-Bc4 とビショップを連続で動かすのは奇妙に見えますが、上記のラインを避けることは白として絶対です。

22...Kh8 23. exf5 Rxf5 24. Ne3 Rf6 25. Bd5


Sveshnikov の理論では、他のマイナーピースを全て交換したうえでの、d5 のナイトvs黒マスビショップは白が有利です。
そのため、この時点で少し作戦を間違えたかと焦りましたが、少し進めてみるとそう簡単でもないことが分かりました。

25...Rb8 26. Bxc6 Qxc6 27. Nd5 Rf7

おそらくハンガリーのベテランマスターであるLengyel は、これで自分の作戦が成功したと思ったでしょう。
確かに、アウトポストのナイトは、黒のビショップを抑え込んでいます。
しかし、黒は早めにfファイルとbファイルからルークでの反撃を準備しています。
さらには白はh4 が弱点となっていてキャスリングができないため、黒としては十分に楽しんで指せるポジションだと言えるでしょう。

28. Rh3!?


白は完全にキャスリングを放棄しました。a2-a4 とh2-h4 からのルーク活用は珍しいですが、指していて非常に楽しい形です。

28...Qc5!


このようなポーンストラクチャーでは、c5 が黒クイーンのベスト位置だと言われます。
a5 のポーンを守りつつ、c3,f2 へプレッシャーをかけます。

29. Rd2 h6


何を指すか迷った際は、安全にキングが上がるマスを作り、将来的なバックランクメイトの危険を消します。

30. Qh5 Rf8 31. Qd1 Rb7!

31...Rf7 32.Qh5 Rf8= も少しだけ考えましたが、この試合は強気に攻めます。
本譜の狙いはfファイルにルークを重ねることです。

32. b4


このようにbポーンをぶつける手は評価が難しいところです。
黒からポーンを交換すれば、白にはbファイルのパスポーンができますが、きちんとブロックすればさほど怖くはありません。
むしろ、黒の弱点であるaポーンを消してしまうことで、黒を楽にさせてしまうという点もあります。

32...Qa7 33. Rf3


黒がfファイルからアタックを作る前にルークを捌こうという魂胆ですが、恥ずかしながら試合中、
ビショップでh4 を取ると何が起こるのか、全く分かりませんでした。
私はこのように自分で読めない際は、もらえるものをもらっておく主義です。

33...Rxf3 34. Qxf3 Bxh4 35. Qf8+ Kh7 36. Qxd6


なぜかd6 を取られることが全く読めておらず、36.Qf5+?! g6 =/+ ばかりを考えていました。
しかし、白はうまくセンターのポーンを崩したように見えますが、h4 のビショップはセンターに取り残されたキングに襲いかかります。

36...axb4!

aファイルは黒のアタックを通す重要なルートとなります。

37. cxb4 Qa1+ 38. Rd1 Qb2 39. g3?

ビショップを追い払おうと何気なく指したこの手が、決定的な敗着となります。
f2 を守りつつ黒の次の手を防ぐ、39.Qf8! が絶対の一手で、これならばまだ勝負は分かりません。

39...Rf7! -/+


これで勝負ありです。白にはf2 を守る満足な方法がありません。

40. Rd2 Qb1+ 41. Rd1


41.Ke2 Bxg3! -+

41...Qe4+ 42. Ne3

この局面でのドローオファーには耳を疑いました。老人なりのジョークだったのかもしれません。

42...Bxg3 -+ 43. Qd3 Qxd3 44. Rxd3 Bxf2+ 45. Ke2 Bxe3 46. Rxe3 Rb7 47. Rb3 Kg6 48. Kd3 0-1


このポジションで次の手を待たず、白はリザインしました。
このゲームは私のSveshnikov の中でも、次のGame8 と並び、最も印象深いものの一つです。

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