2011/10/19

How to build up your opening

チェスのオープニングというものは、莫大な数があり、膨大な研究が残されています。その中から自分に合って物を選び、使いこなしていくということは簡単ではありません。そもそも自分に”合う”ということがどういったことなのか、その判断も悩むところです。

チェスを覚えたばかりの頃は、「周りが指していたから」「人に勧められたから」「たまたま本で見かけたから」といった理由で、なんらかのオープニングを使い始めるでしょう。もちろん最初はそれでOKです。それからだんだんとチェスに慣れてきて、周りの試合を見て様々なオープニングがあることを知ったり、GMのゲームを見て興味を持ったり、ソフトや本でより細かい情報を仕入れられるようになったりすると、オープニング研究の世界はぐっと幅が広がります。今日は(も?)ややマニアックな話ですが、私がどのようにオープニングを調べ、選択するかという話をしようと思います。

1. 何かのきっかけで、なんらかのオープニングに興味を持つ。

きっかけというものなんでも良いのです。黒でもっと勝ちに行くレパートリーが欲しい、と思ったり、先程書いたようなGMの試合で、なんだこれは、強そうだ!と思ったり、本当に何でもOKです。私は最近、2年ぶりにFrench Defence を調べ直していますが、きっかけはたまたま人に教える機会が続き、自分でも指してみたい気分になったからです。

2. Mega database で試合を探す。

ここから少しマニアックになるかもしれません。私は興味を持ったオープニングが出てきたときは、熱が冷めないうちに早めに試合をチェックします。自分の場合はChessbase というソフトでMega Database を起動して試合を探しますが、最近は棋譜の検索サイトも様々なものが出ているので、そちらを参考にしても良いでしょう。ちなみにこのとき、自分がチェックする項目がいくつかあります。

a) 近年指されているか、そして試合内容はどうか
b) 全体と近年の勝率
c) どんなGM が指しているか(特定のポジションで、自分が持ちたい側のレイティングをソート)
d) そのオープニングを得意としているGM は誰か。(特定のポジションで、自分が持ちたい側の名前をソート)
e) 気にいった勝ち(自分が持ちたい側で)の試合があるか。
f) 基本的なStrategy を理解できるか、そして気に入るか。

いくつか補足をしておくと、勝率を見るときは勝ち試合、負け試合、ドロー試合のバランスもチェックします。つまり、100試合で白の勝率50%のラインがあった場合、白勝ち40試合、黒勝ち40試合、ドロー20試合なのか、はたまた100試合全部ドローなのか(そういうことはありえませんが・・・)で、ラインの特徴は全く違います。また、勝率というのは母体となる試合数が多くなければ、信用の度合いは低下します。高い数字だけを見て、跳びつかないよう気を付ける必要があります。

そして難しいのは最後のf)の項目です。誰しも好きな形があり、それに持ち込みたいものです。しかし、同じ形ばかりを求めて指していると戦略の幅が広がりませんし、嫌いなものを避けているだけでは、苦手を克服することができません。そのため、食わず嫌いをせずに色々な形を試してみて、結果どうしても嫌だと感じるならば、なるべくそれを避けるようにオープニングを用意すれば良いと思います。実を言えば、私にもなるべく避けたい形というものはあり(どんな形かは秘密です)、それをどうするか苦労してきた経験があります。その経験と、苦手に対する工夫の積み重ねが、私を育ててきたようにも感じます。

ここまで色々と書き連ねてみましたが、ちょっとした思い付きから、試合や形を調べてみるのが最初の一歩です。例えばKing's Indian のメインラインと言えば、1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nc3 Bg7 4. e4 d6 5. Nf3 O-O 6. Be2 e5 7. O-O
ここで7...Nc6 と指すのがポピュラーですが、「ナイトが他のマスに出る手はないのだろうか」などと疑問に思うことが、(もちろんあります。)King's Indian 研究の幅を広げます。こういった疑問や好奇心がチェスの勉強には大切なのです。皆さんも些細なきっかけから、自分のオープニングを見直してみては如何でしょうか。

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