昨日は昼前に、せっかくなので海に入ってみることにしました。10月後半でもモンテネグロは暖かで、海水浴をしている人の姿もちらほら見られます。私は海の町の生まれと育ちではありますが、海の遊びと言えばもっぱら釣りで、海で泳ぐのはさほど好きではありませんでした。しかし、こうした綺麗な海を見ていると、入らないのはもったいないように思えてきます。
ところが、入ってみると水が冷たい! 日差しの強さと気温のわりに水が冷たい気がします。それとも海水浴ってこういうものでしたでしょうか... ブダペストの温水プールに慣れすぎたせいか、この冷たさはたまらないということで、5分で久々の海水浴は終わりました(笑)
15時からはいつも通り試合です。この日の相手はアメリカのDer Manuelian という若いプレーヤーで、ここ2年ほどはヨーロッパにも足を運んで精力的にプレーしています。それでも今大会でレイティングは一番低いため、私としては黒でも勝っておきたい相手でした。
Der Manuelian, H (USA, 2269) - Kojima, S (IM, JPN, 2408)
Third Saturday GM October 2018 (4)
1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. h4 h6 7. Nf3 Nd7 8. h5 Bh7 9. Bd3 Bxd3 10. Qxd3 e6 11. Bd2 Ngf6 12. O-O-O Bd6!?
満を持してこのラインが登場です。
12... Be7 のこれまでの勝率はとても良いですが、相手に研究されているとも思ったため、新しいラインにチャレンジします。
13. Ne4 Nxe4 14. Qxe4 Nf6 15. Qe2 Bc7!
この変化の大切なアイディアです。一度閉じたクイーンの前を開き、
Qd8-Qd5 のチャンスを作ります。
16. c4 b5! 17. Bc3?!
b7-b5 が成功し、d5 がアウトポストになることが確定した形では、c3 のビショップは単にターゲットにしかならないでしょう。
17. Kb1 bxc4 18. Qxc4 0-0 19. Qxc6 Rb8 と進めば、黒は開いたbファイルとd5 のアウトポストを活用し、1ポーン分の代償を伴ってプレーできそうです。
17... bxc4 18. Ne5 O-O 19. Kb1 Nd5 20. Qxc4 Bxe5 21. dxe5 Qg5!
白のビショップと黒のナイトでは、明らかにナイトのほうが強いため、交換はすぐせずにポーンを狙いにいきます。
22. Qe4 Nxc3+ 23. bxc3 Rfd8 24. Kc2 Rd5 25. f4 Qe7
ここは
25... Qg4!? として、g2, f4 へのプレッシャーを残しておく選択肢もありましたが、本譜でも黒は概ね満足です。
26. Qb4 Qc7 27. Rxd5 cxd5 28. Rb1 Rc8 29. Rb3 Qc6
ところが、ここまできてどのように進めれば明確に良くなるのか、わからなくなってしまいました。黒はポーンストラクチャー、ピースの働きから有利であることは疑いようがありませんが、クイーンが潜り込む隙がなかなか作れません。
30. Qb5 Qc7 31. Kd2 Rd8 32. g3 Rc8?!
もうしばらく様子見かと思いましたが、ここは
32... Qc4! と入るチャンスでした。dファイルにルークをまわしたのは、
d5-d4 がメインのアイディアのつもりで、こちらを見落としていました。
33. Ke2 a5 34. Kf3 Qa7 35. Kg4 Qf2
なんとかキングサイドに逃げていく白キングを追いかけ、このポジションまで到達しました。ここから上手くメイトスレットを作れれば良かったのですが、それは私の苦手とするところです。
36. Qa6 Rf8 37. Qxa5 Qe2+?!
37... Qg2! 後になってから、f3, h3 のどちらにも白キングを逃がさないために、ここがクイーンのベストの位置だと気付きました。しかし、ここから具体的にどうするのか、コンピュータが指摘するラインを全て追っていかないと分かりませんでした。
38. Qb4 (38. c4 f5+! 39. exf6 gxf6-+) 38... g6! 39. hxg6 h5+! 40. Kxh5 Qh3+ 41. Kg5 Qxg3+ 42. Kh5 Qxg6+ 43. Kh4 Kg7! 44. Qxf8+ Kxf8-+ こうしてg3 を取れるように工夫すれば、白はクイーンを捨てるしかなかったのですね。もっとこうした正確に相手キングを追い詰める計算力は鍛えねばなりません。
38. Kh4 g5+
38... Qh2+ 39. Kg4 Qg2-+ で再び同じポジションですが、見えていれば最初から指しています。
39. hxg6 fxg6?!
ここはまず取りかえす1手だろうと思いましたが、
39... Qh2+! 40. Kg4 Qg2! やはりこの位置です!
41. gxf7+ Kxf7 42. Rb7+ Kg6-+ こうした変化がありました。
40. Kh3! Qf1+ 41. Kh2 Qf2+ 42. Kh3 Qg1
私がイメージしたのはこのクイーンの位置です。h2 に白キングを下げられないようにしたうえで、追い詰め方を考えます。
43. Rb2 g5 44. fxg5 hxg5
44... Qh1+ 45. Rh2 Qf1+ 46. Rg2 hxg5 47. Qa4 で本譜と同じですが、ルークを挟ませるのを強制させる点で、こちらの手順が正解でした。
45. Qa4 Qh1+ 46. Rh2 Qf1+ 47. Rg2 Qf5+ 48. Kh2 Kg7!
すぐにe5 のポーンを取りかえさず、hファイルからの攻撃チャンスを見せておきます。
49. Rb2 Qxe5?!
しかし、ここで時間を使っても手が見えませんでした。
49... Rh8+! 50. Kg1 Qh3! e6 を守ったままでクイーンが跳び込むのはもちろん考えました。
51. Rb7+ Kh6!! しかし、ルークの前にキングを持ってくる手を考えていませんでした。
51... Kg6 52. Qc2+ があるため、hファイルにルークとクイーンを重ねるアイディアは諦めてしまいましたが、単にクイーンがh3 にいるだけで、g3 のポーンを取ることができます。
50. Qd4 Qxd4 51. cxd4
ここで相手からドローオファーがきましたが、aファイルのパスポーンは役に立たず、ポーンがバラバラな分だけ、白が少し悪いエンドゲームです。私がドローを受ける理由は何一つとしてありません。
51... Rf3 52. Kh3 Rd3?!
思い描いた形は良かったのですが、手順が不正確です。
52... Kf6! 53. Kg4 Rd3! 54. Rb4 Ra3 55. Rb2 Ra4 が正しい手順です。
53. Rb4?
53. a4! Rxd4 54. Ra2! Rc4 55. a5 Rc7 としたほうが、白は粘れたでしょう。確かにaファイルのパスポーンも、後ろからルークにサポートされると厄介です。
53... Kg6 54. Kg4 Ra3 55. Rb6 Kf6 56. Rb2 Ra4 57. Rd2 e5
これでd4 のポーンが落ち、黒に強力なパスポーンができます。
58. Kh5 exd4 59. Kg4 Ke5!?
ここはかなり迷いました。
59... d3+ 60. Kf3 Ke5 61. Ke3 g4-+ でも勝てそうですが、私は相手のgポーンよりも、自分のdポーンが強力だと信じて本譜を選びます。
60. Re2+ Kd6 61. Kxg5 d3!?
これでも勝ちですが、
61... Kc5 62. Kf5 d3 63. Rd2 Kd4-+ としてキングをd4 に潜り込ませるほうが簡単だったかもしれません。
62. Rd2 Rd4 63. Kf5 Kc5 64. g4 Kc4 65. g5 Kc3!-+
残り数秒まで考えてこの手を選びました。黒の勝ちはこれしかありません。
65... Re4? 66. g6 Kc3 67. g7 Re8 68. Rg2 d2 69. Rg1 Kc2 70. Kf6 d1=Q 71. Rxd1 Kxd1 72. Kf7 Ra8 73. g8=Q Rxg8 74. Kxg8 d4 75. a4 d3 76. a5 d2 77. a6 Kc2 78. a7 d1=Q 79. a8=Q= はお互いに2回目のクイーンが同時にでき、ドローです。
66. g6 Kxd2! 67. g7 Kc2 68. g8=Q d2
相手に先にクイーンを作らせても、黒のプロモーションは止められません。
69. Qg2 Kb1 0-1
このゲームをなんとか勝ち切り、これで連勝です! 前半4試合、白1黒3にもかかわらず、2つ勝ち越しはかなり良いスコアだと言えるでしょう。白を引く今日の試合もしっかり勝って3つ勝ち越しになりたいですね。
10/20 Miroslav Miljković (GM, SRB, 2484) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408)
1/2-1/2
10/21 Arseny Kargin (IM, RUS, 2420) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408)
1/2-1/2
10/22 Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) - Kotronias Vasilios (GM, GRE, 2487)
1-0
10/23 Der Manuelian, Haik (USA, 2269) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408)
0-1
10/24 Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) - Vladan Rabrenović (IM, SRB, 2343)
10/25 Manush Shah (IND, 2302) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408)
10/26 Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) - Theo Gungl (FM, GER, 2347)
10/27 Atakisi Umut (IM, TUR, 2394) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408)
10/28 Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) - Nebojša Nikčević (GM, MNE, 2424)
Third Saturday GM October 2018
+2 Miljković, Kojima, Atakisi
+1 Kargin, Manush,
+-0 Nikčević, Gungl,
-2 Der Manuelian
-3 Kotronias, Rabrenović
Kotronias はKargin に負けて苦しい3つ負け越しです。私が今日対戦するRabrenović もここまで良くない戦績ですので、ここもポイントを取りたいですね。