2018/10/22

Third Saturday GM October 2018 R2


モンテネグロのGM トーナメント、Third Saturday は2日目を迎えます。私はロシアのマスターと久々の試合です。

Kargin, A (IM, RUS, 2420) - Kojima, S (IM, JPN, 2408)
Third Saturday GM October 2018 (2)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 Bf5 4. Nf3 e6 5. Be2 Nd7 6. O-O h6 7. Nbd2 Ne7 8. c3 Qc7 9. b4 g5!?



Kargin はCaro-Kann に対してどの変化を指してくるか分かりませんでしたが、Advanced Variation は1つの候補でした。Qd8-Qc7 から、様子を見てg7-g5 を仕掛ける変化を久々に使ってみます。ここは9... a5 としておくのもありだったでしょう。

10. Nb3 Bg7 11. a4 O-O 12. Ba3 b6


a3-f8 のダイアゴナルを取られることは承知のうえです。このラインを支配されると面倒なので、c6-c5 を返せるように準備しておき、弱くなったf4 のマスにナイトを向かわせます。

13. Rc1 Rfd8 14. Re1 Ng6 15. h3 Nf4 16. Bf1 Bf8!?



ここは悩みましたが、ビショップを退いて相手の出方を伺うことにします。相手が何もしなければ、次にa7-a5 があります。他にはf7-f6 から仕掛ける手も考えましたが、e6 のポーンが弱くなるため、c3-c4 が嫌でした。16... f6!? 17. exf6 Nxf6 18. c4!

17. Ra1 Rab8 18. Qd2 f6!?


一度は諦めたこのブレイクを、ルークがcファイルから離れたのを見て実行します。e5 をアウトポストにしても、Nd7-Nf6-Ne4 までいければ勝負できるというアイディアです。

19. b5 c5 20. h4 c4 21. Nc1 Be4



21... fxe5 22. dxe5 Bxa3 23. Rxa3 Rf8 24. hxg5 Be4 25. Nd4 Nxe5 で黒が良いというのがコンピュータの指摘ですが、キング前とe6 を大きく弱める変化に踏み込むのは難しかったです。本譜では、まずナイトを捌こうとします。

22. hxg5 fxg5?!


ここはセンターを開きにいかない安全策を取りましたが、これが弱気すぎました。22... fxe5 23. dxe5 Nxe5 24. Nxe5 Qxe5 25. g3 ならば、白はポーンを捨てて難しい形勢です。22... hxg5! 23. Qe3 Bxa3 24. Rxa3 Bxf3 25. Qxf3 fxe5 26. g3 e4! がおそらく選ぶべき変化ですが、これも黒は勇気を出してキング前を崩さなければいけません。

23. Nh2 Bxa3 24. Rxa3 Rf8



fファイルからのアタックチャンスは十分ではなく、黒のほうが弱点を多く抱えていると知りつつも、ここまできた以上はこうするしかありません。

25. g3 Nh5 26. Qd1 Ng7 27. Ng4 Kh7?!


私はエクスチェンジを相手が捨ててくるならば、それで勝負だと考えていました。27... Bf3 28. Be2 Bxe2 29. Qxe2 h5= はビショップを捌く安全策です。

28. Bg2


28. Rxe4! dxe4 29. Bg2 Nf5 30. Bxe4 Kg7 31. Qe2 これは黒が大丈夫だと思っていましたが、黒は白マス全体が弱く、あまりルークを活用できる場所がないため、白はNc1-Na2-Nb4-Nc6 といったマヌーバリングなどで手を作り、攻めやすいようです。

28... Bg6 29. Ra2 Rf7 30. f3?!



これは余計だったと思います。Nc1-Na2 のプランを諦めてまでルークを2段目に退いたのであれば、f2 のポーンはそのままで大丈夫です。本譜のようにポーンを進めてしまうと、g3 が弱くなり、黒に付け入るスキを与えてしまいます。

30... Nf5 31. Kf2 Rbf8 32. Rh1 Kg7 33. Ne3?


まさか、こちらがh6-h5 をやる前にナイトを退いてくるとは思いませんでした。残り時間ぎりぎりまで考え、勝負のサクリファイスを実行します。本譜の代わりに33. Qd2 は安全です。

33... Nxe3 34. Kxe3 Nxe5!



3ポーンピースでも、白のキングはポーンを崩されて危なく、c,d ファイルのパスポーンに対応するのが簡単ではないように見えるため、このナイト捨てを決断します。

35. dxe5 Qxe5+ 36. Kd2


36. Kf2 Qxc3 でも黒は面白いポジションで、例えば37. Ne2?? Rxf3+! 38. Bxf3 Qxf3+ は即黒勝ちとなります。

36... Qxg3 37. Qg1 g4!?



37. Qe2 ばかりを考えており、ここでどうするか悩みました。実際に指した手も、f3 のポーンを崩して新たなパスポーンを作るチャンスがあるため、良さそうに見えます。しかし、一番良い手はさらに踏み込まねばならず、そこまで正確に読むには時間が足りませんでした。37... d4! 38. Ne2 (38. Qxd4+ e5 39. Qg1 Rd7+-+) 38... dxc3+ 39. Kc1 (39. Kxc3 Rxf3+! 40. Bxf3 Qxf3+ 41. Kxc4 e5-+) 39... Qc7 40. Qh2 Qxh2 41. Rxh2 g4! 42. Nxc3 (42. fxg4 Rf1+ 43. Bxf1 Rxf1#) 42... gxf3-/+ これで黒優勢というのがコンピュータの指摘です。確かにd5-d4 の押し込みは考えましたが、細かなマテリアル勝負でさらにポーンを捨てるような変化には、跳び込みづらかったです。

38. Ne2 Qe5 39. Qd4 Qxd4+ 40. Nxd4 Rf6


ここで30分が増えて一安心です。g4 のポーンは取られる心配がないため、次にf3 を崩して黒にチャンスがあると思っていました。

41. Re1 gxf3 42. Bxf3!



しかし、このピースを返す手が見えていませんでした。2ピースルークの交換でも、e6 が落ちるのが予想外で、また評価の難しいエンドゲームへと突入します。

42... Rxf3 43. Nxe6+ Kf7 44. Nxf8 Kxf8 45. Raa1!?


白は安全策を取りました。徹底的に勝負であるならば、45. a5 Rd3+ 46. Kc2 h5 としてまだ形勢不明でしょう。

45... Rd3+ 46. Kc2 Be4 47. Rad1 Rg3+ 48. Kd2 1/2-1/2



最後の手で相手がドローを提案するまで、勝負してくるつもりなのだと思っていました。確かに白キングをbファイルに遠ざけられれば、hポーンを伸ばして勝負できそうですが、キングが近いようであればリスクが高いでしょう。少し考えて、Rg3-Rd3 を指すことなく、彼のオファーを受けることにしました。

10/20 Miroslav Miljković (GM, SRB, 2484) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) 1/2-1/2
10/21 Arseny Kargin (IM, RUS, 2420) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) 1/2-1/2
10/22 Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) - Kotronias Vasilios (GM, GRE, 2487)
10/23 Der Manuelian, Haik (USA, 2269) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408)
10/24 Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) - Vladan Rabrenović (IM, SRB, 2343)
10/25 Manush Shah (IND, 2302) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408)
10/26 Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) - Theo Gungl (FM, GER, 2347)
10/27 Atakisi Umut (IM, TUR, 2394) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408)
10/28 Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) - Nebojša Nikčević (GM, MNE, 2424)

Third Saturday GM October 2018

+2 Atakisi
+-0 Miljković, Nikčević, Kargin, Kojima, Gungl, Manush, Der Manuelian
-1 Kotronias, Rabrenović

2日目は初戦でKotronias を下したGM Nikčević がレイティング最下位のアメリカのジュニアに負け。トルコのAtakisi が連勝でプラスを伸ばしています。3R は待望の白ですが、相手はあのKotronias! しっかりと準備をして試合に臨みたいと思います。


試合前に会場に降りると、今年のKorchnoi Memorial で指された、Paravyan - Golubov のゲームを並べていました。少し写真の駒の配置が見えづらいかもしれませんが、この局面での白番の1手を、興味のある方はリンク先を開かずに考えてみてください。

2 件のコメント:

ピカチュウ さんのコメント...

奥様 ▼o・~・o▼

https://twitter.com/davidllada/status/1054159596489793536

Shinya_Kojima さんのコメント...

見ましたよ。ありがとうございます。

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