2018/10/21

Third Saturday GM October 2018 R1


モンテネグロのデノビッチで、新しいトーナメントがスタートしました。この日は午前中、少し町の中をぶらぶら。ドブロヴニクから来た大通りに出て、バス停を確認します。ホテルは目の前が海ですが、5分歩いて大通りに出ると、険しい山の中にいるような感じです。こうした山と海に囲まれているのが、モンテネグロの特徴ですね。ちなみにこのバス停、名前も書いてなければ時刻表もない(笑) トーナメント終了後、ここからコトル、もしくはドブロヴニクに行こうかと思っていましたが、本当にバスが来るのか不安です。


さて今回のThird Saturday、初戦のの相手はセルビアのGM Miljkovic です。d4系のソリッドなプレーヤーだと事前に調べ、試合の準備を進めてきました。

Miljkovic, M (GM, SRB, 2484) - Kojima, S (IM, JPN, 2408)
Third Saturday GM October 2018 (1)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. cxd5 cxd5 5. Nc3 Nc6 6. Bf4 Ne4!?



Slav Exchange に対して、新しいラインをチャレンジします。この変化はナイトを交換することでポーンストラクチャーを対称ではなくし、よくあるドローの流れを防ぐことにあります。

7. e3 Nxc3 8. bxc3 e6 9. Ne5!?


9. Bd3 Bd6 10. Bxd6 Qxd6 11. O-O O-O 12. c4 dxc4 13. Bxc4 b6 がメインの変化ですが、白のセンターポーンよりも黒のクイーンサイドポーンマジョリティのほうが武器になりそうで、この形を勉強していました。これを嫌って相手もナイトを交換を催促してきます。

9... Bd6 10. Bb5 0-0!



ここはしっかり読んでポーンを取らせても大丈夫であることを確認しました。

11. Bxc6


11. Nxc6 bxc6 12. Bxc6 Rb8 13. Bxd6 Qxd6 14. Qa4 a6! これがビショップを逃がさないために重要な1手です。15. c4 (15. O-O Rb6! 16. Be8 Qd8 17. Bc6 Qc7 18. Be8 e5! 19. c4 Re6 20. cxd5 Rexe8-/+) 15... Rb4 16. c5 Rxa4 17. cxd6 Rc4 18. d7 Rxc6 19. dxc8=Q Rfxc8=/+

11... Bxe5


ここは少し迷いましたが、1ポーンを捨てずに戦うことにしました。11... bxc6 12. Nxc6 Qc7 13. Bxd6 Qxd6 14. Nb4 a5 15. Nd3 Ba6 16. Nc5 Bc4 17. f3 e5 これでも戦えそうですが、ナイトをc5 に置かれたうえでのポーンダウンは少し嫌でした。

12. Bxe5 bxc6 13. Qa4 Qb6?!



白マスビショップをどう展開するかを間違え、少しずつここから悪くなってしまいました。13... f6 14. Bg3 Qd7! 15. O-O a5!= このシンプルな手が見えていませんでした。これでBc8-Ba6 を可能にしておけば、黒は全く問題なく指すことができ、おそらくドローになるでしょう。

14. O-O Ba6 15. Rfb1 Bb5 16. Qd1!


白クイーンが一時的にa4 に出たことで、Qd1-Qg4 はないと思い込み、油断していました。白はルークを展開したうえでクイーンをd1 に戻せば、Qd1-Qg4 の狙いが復活し、黒のキングにプレッシャーをかけることができます。

16... Qd8


16... f6 17. Bd6 Rfd8 18. Be7 Rd7 19. Bxf6 gxf6 20. a4+/= この流れとどちらが良いか、非常に悩みました。

17. a4 Ba6 18. Qg4 g6 19. h4 h5 20. Qg5!?



Miljkovic はクイーンを交換しても、bファイルのコントロールとf7 の固定によって、白のアドバンテージは十分だと判断しました。クイーンを残す展開との比較は難しいですが、こうなった以上は黒はクイーンを交換して抵抗するしかありません。

20... Qxg5 21. hxg5 Rfc8 22. Rb4 Kf8!?


c6-c5 と迷いましたが、まずはキングをセンターに寄せておきます。

23. Rab1 Ke8 24. Bd6 Kd7 25. Bc5 Rc7 26. Kh2 h4?!



白のKh2-Kg3-Kf4-Ke5-Kf6 をどう止めるか考え、hポーンを捨てるアイディアを思いつきましたが、ややリスキーでした。最初に考えた通り、26... Re8! で待っておくのが良かったです。

27. Rb8


27. Kh3! Rh8!? 28. Rb8 Rxb8 29. Rxb8 Rc8 30. Rb4 Rc7 31. Kxh4 Kc8 32. Kg4 Rb7 33. Rxb7 Kxb7 34. Kf4 Bf1 35. g3 Ka6 36. Bb4 Kb7 37. Ke5 Kc7 38. Kf6 Kd7 39. Kxf7 Bd3 でも、黒は2ポーンを捨てていますが、白はキングサイドでアクションを起こすのが難しく、ドローは取れそうに見えます。

27... Rxb8 28. Rxb8 Rc8 29. Rb4 Rc7 30. Kh3 Kc8! 31. Rb1!



白は勝つチャンスを残すために、ルーク交換を当然避けます。31. Kxh4 Rb7 32. Rxb7 Kxb7 33. Kg4 Bf1 34. g3 a6 35. Kf4 Kc7 36. Ke5 Kd7 37. Kf6 Ke8= ならば、黒はポーンを1つ捨てても白キングの侵入に対処してドローです。

31... Rb7 32. Bb4 Bd3 33. Rd1 Bc2 34. Ra1 a5 35. Bxa5 Ra7 36. Bb4 Rxa4 37. Rh1 Be4 38. f3 Bd3 39. Kxh4 Ra2 40. Kg3 Re2


ここでようやく時間が増えましたが、まだ私はかなり苦しい状況です。f7 が落ちるのは確定しているので、その代わりにe2 を貰い、白キングの前進を止めて戦うことを決めます。

41. Kf4!



41. Rh7 Rxe3 42. Rxf7 Re2 これだとドローなのではないかと、試合後に相手は指摘しました。これこそ私が望んだ展開です。

41... Rxg2 42. Rh8+?


私は当然、ルークは7段目にくるものだと思いました。そのほうが1テンポ早くf7 を取れるためです。しかし、相手はどう勘違いしたか、チェックをしてくれました。これでもまだ白が良いのは間違いありませんが、キングの上がるテンポを得られたのは完全にラッキーです。42. Rh7! Kb7 43. Rxf7+ Kb6 44. Re7 Bf5 45. c4!+- こうして黒キングの前進を止めつつ、e3-e4 の準備をすれば白勝勢でした。

42... Kb7 43. Rf8 Re2?!



私はこの手が間に合ったことでドローにできるのはないかと思いましたが、少し不正確でした。43... Ka6! 44. Rxf7 Bf5 45. c4 dxc4! 46. e4 Bg4 47. Rf6 Bh5 48. Rxe6 Kb5 これは本譜と似ていて、黒はキングでアクティブな反撃を作れそうです。

44. Rxf7+ Kb6 45. Bc5+?


45. Re7 Bf5 46. c4! 結局のところ、この手がポイントです。46... dxc4 47. e4 Bh3 48. Bc5+ Ka6 49. Ra7+ Kb5 50. Rb7+ Ka5 51. Rb1+- これで黒キングをaファイルに閉じ込め、白が勝勢というのがコンピュータの指摘です。本譜では私が望んだ通りにキングが前進でき、e3 をアタックできます。

45... Kb5 46. Rb7+ Kc4 47. Bb4 Bf5 48. Rb6 Kd3 49. Rxc6 Rxe3=



これで危険なe3-e4 もなくなり、白はブレイクのチャンスが一切なくなりました。この先は問題なくドローです。

50. Ra6 Re2 51. Ra3 Kc4 52. Ba5 Kd3 53. Ra1 Kc4 54. Kg3 Kd3 55. Kf4 Kc4 56. Kg3 1/2-1/2


白マスビショップの展開を間違えたことでかなり苦しくなりましたが、よく耐えたと思います。ひとまず負けスタートではなかったことに一安心で、また今日から頑張ります。

10/20 Miroslav Miljković (GM, SRB, 2484) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) 1/2-1/2
10/21 Arseny Kargin (IM, RUS, 2420) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408)
10/22 Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) - Kotronias Vasilios (GM, GRE, 2487)
10/23 Der Manuelian, Haik (USA, 2269) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408)
10/24 Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) - Vladan Rabrenović (IM, SRB, 2343)
10/25 Manush Shah (IND, 2302) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408)
10/26 Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) - Theo Gungl (FM, GER, 2347)
10/27 Atakisi Umut (IM, TUR, 2394) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408)
10/28 Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) - Nebojša Nikčević (GM, MNE, 2424)

Third Saturday GM October 2018

+1 Nikčević, Atakisi
+-0 Miljković, Kargin, Kojima, Gungl, Rabrenović, Manush
-1 Kotronias, Der Manuelian

今日はロシアのIM Kargin が相手です。連続の黒は少し嫌ですが、しっかりとプレーしてきたいですね。


試合会場はレストランで、ホテルの2階に位置しています。レストランは通常営業をしておらず、宿泊選手専用の食堂と化していますが、隣で試合をしているため、全試合終わらないと夕飯は食べられません。試合をした選手自身が棋譜を入力するのも面白いです。


夕飯は全員決まったメニューで一皿出てきます。昨日はチキンのリゾットでした。

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