2018/10/27

Third Saturday GM October 2018 R7


Third Saturday もいよいよゴールが見えてくる頃です。この日の相手はドイツのジュニアプレーヤー、Gungl です。他の若いプレーヤー同様にここ数年で力を伸ばし、GM からもポイントを削ってレイティングを伸ばしてきています。

Kojima, S (IM, JPN, 2408) - Gungl, T (FM, GER, 2347)
Third Saturday GM October 2018 (7)

1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 c6 4. Nc3 e6 5. e3 Nbd7 6. Qc2 Bd6 7. Bd3 e5!?



彼がこの変化を指すことは分かっていたので、試合前にかなり調べてきました。ここ数年でとても多く指されるようになった、7... 0-0 8. 0-0 e5 のラインに比べると、黒のイコアライズには一苦労しそうな変化です。

8. cxd5 cxd5 9. Nb5 Bb8 10. dxe5 Nxe5 11. Nxe5 Bxe5 12. Bd2 O-O


以前の彼のゲームでは、12... a6 13. Bc3 Bxc3+ 14. Nxc3 0-0 15. Rd1 Be6 16. 0-0 Rc8 と進んでいました。私はここで17. Qa4! と出るアイディアを発見し、d4 をコントロールして白良しと準備していました。本譜の手も対策済みです。

13. Bc3 Bxc3+ 14. Qxc3 Bd7 15. O-O Bxb5 16. Bxb5 Qb6 17. Qb3 Rad8



Chessbase の機能を色々いじっていると、ポジション検索の際にピースを置かず、ポーンストラクチャーだけを設定すると、そのポーンストラクチャーになったあらゆるゲームが出てくることを発見しました。これを利用し、全く同じポーンストラクチャー、ピースの数でのゲームを色々とチェックし、白の作戦を考えてきました。次の手は18. Be2!? Qxb3 19. axb3 a6 も考えましたが、Rd8-Rd6-Rb6 に対してb3 のポーンが負担になると感じ、このプランは諦めました。本譜では孤立ポーンを捌かせてしまいますが、その代わりにビショップでf7 に対して長くプレッシャーを持つことができます。

18. Rfd1 d4 19. exd4 Rxd4 20. Rxd4 Qxd4 21. Rd1 Qe5 22. h3 Qc7


黒はd5 を捌いても、f7 の守りに多少気を使わなければいけないため、ミスも出やすい状況です。なるべくクイーンを残しつつ、プレッシャーをさらにかける作戦を考えます。

23. Qd3 Rc8 24. Ba4 b6 25. Bb3 Re8 26. Qf3 h6 27. g3 Qe7 28. Qc6 Rd8 29. Rxd8+ Qxd8 30. Qb7



ルーク交換の後でクイーンが侵入すると、これはチャンスなのではないかと思いました。a7 を当てつつ、もちろんメインはf7 です。

30... Qd7 31. Qa8+ Kh7 32. Qf8!


このマスに潜り込むのが絶妙で、黒はディフェンスがかなり限られ、ピースを動かしづらくなります。

32... Nd5 33. h4 Kg6?



まさかと思いました。見た目通りキングが上がるのは危険で、33... h5 からじっと耐えるしかありません。それでもd5 のナイトが動けず、白が有利であるのは明らかです。

34. Qa8! Ne7 35. Bc2+


4Rでもあったように、相手のキングへの一番良いプレッシャーのかけかたを見つけるのは、私の苦手とするところです。本譜も悪くありませんが、35. h5+! Kf6 36. Qf3+ Qf5 37. Qc3+ Qe5 38. Qc4!+- ならばf7 を取って完全に白勝ちでした。

35... f5 36. g4 h5 37. gxf5+ Nxf5 38. Qf3



ここはピンになっているf5 のナイトにどう詰めよるかが課題です。38. Qg2+ Kf7 39. Bb3+ Kf8 40. Qg5!+/- ならば、h5 を確実に取ることができます。

38... Qe6?


私も見えていませんでしたが、時間切迫で相手に大きなミスがでます。38... Qc8! が正しい手で、c2 のビショップをアタックしておくことでテンポを稼ぐことができました。

39. Qf4! Kf6


39... Qf6 40. a4 a6 41. Be4 a5 42. Kg2+- はツークツワンクとなり、黒はf5 のナイトがどうしようもありません。黒クイーンがナイトとg5 のマスを守れる位置が、f6 のたった1マスしかないのがポイントです。

40. Qg5+ Ke5 41. f4+!



時間も増え、余裕をもってこの手を指しました。パペチュアルチェックもないことを確認したうえで、f5 のナイトを取りにいきます。これで問題なく白勝勢のはずなのですが、ここから信じられない事件が起こります。

41... Kd6 42. Bxf5 Qe1+ 43. Kh2 Qf2+ 44. Qg2?


私のミスは2つ。2ポーンを取らせても、クイーンを交換したエンドゲームは勝ちだと思ったこと、そしてなぜか2ポーンを捨てる以外にチェックを切る方法はないと思ってしまったことです。44. Kh1! もし41... Kd4 であれば、Qg5-Qg1 がチェックとなるため、当然この位置にキングを逃がすつもりでした。しかし、41... Kd6 に対してはなぜか、キングを1段目に退く選択肢がすっぽりと頭から抜けていました。時間も豊富にあっただけに、なぜここで正確に指せなかったのか、悔やんでも悔やみきれません。44... Qe1+ 45. Qg1! Qxh4+ 46. Qh2 Qe1+ 47. Kg2 Qd2+ 48. Kg3 Qe1+ 49. Qf2+- これであれば、f4 のポーンが残っているため、本譜とは大違いです。

44... Qxh4+ 45. Bh3 Qxf4+ 46. Qg3 Ke5



このポジションまで来て愕然としました。2ポーンを返してしまったため、このエンドゲームは勝つことができません。時間ぎりぎりまで考えましたが、勝ちを掴み寄せるアイディアは出てきませんでした。

47. Bd7 g5 48. Kg2 Qxg3+ 49. Kxg3 Ke4


g3 にキングを上げさせてもらえたのはラッキーかと思ったのは一瞬で、クイーンサイドのディフェンスが間に合いません。

50. a4


50. Be8 Kd3 51. Bxh5 Kc2 52. b4 b5= これもドローです。

50... Kd3 51. Bf5+ Kc4 52. Bc2 Kb4 1/2-1/2



ビショップナイトのアドバンテージを活かしてプレッシャーをかけ、相手のミスを誘って駒得をし、完全に自分の流れだと思っていたゲームでした。それをこうした1つのミスで台無しにしてしまうとは、勝負の恐ろしさをあらためて痛感した1局です。この試合を勝っていればGMノームにリーチだっただけに、自分のふがいなさにがっかりしますが、気を落とさずにあと2局、頑張ろうと思います。

10/20 Miroslav Miljković (GM, SRB, 2484) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) 1/2-1/2
10/21 Arseny Kargin (IM, RUS, 2420) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) 1/2-1/2
10/22 Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) - Kotronias Vasilios (GM, GRE, 2487) 1-0
10/23 Der Manuelian, Haik (USA, 2269) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) 0-1
10/24 Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) - Vladan Rabrenović (IM, SRB, 2343) 1-0
10/25 Manush Shah (IND, 2302) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) 1/2-1/2
10/26 Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) - Theo Gungl (FM, GER, 2347) 1/2-1/2
10/27 Atakisi Umut (IM, TUR, 2394) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408)
10/28 Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) - Nebojša Nikčević (GM, MNE, 2424)

Third Saturday GM October 2018

+3 Kojima, Atakisi
+2 Miljković
+1 Nikčević
+-0 Kargin, Manush
-1 Gungl, Der Manuelian
-2 Kotronias
-5 Rabrenović

レイティングトップのKotronias が、ようやくManush を相手に今大会初勝利を挙げました。Manush はFirst Saturday でもそうでしたが、IMノームの条件である1つ勝ち越しがなかなか厳しいようです。あと2試合頑張れ!

0 件のコメント:

コメントを投稿

Copyright © 2011 Shinya Kojima All rights reserved.