今日、ジャパンチェスクラシックの最終戦が行われ、7R の全試合が終了しました。参加者と運営の皆さん、4日間お疲れ様でした。最終戦のトップボードでは、南條くんがIM らしい巧みな指しまわしを見せてトップを走っていた青嶋くんを破り、久々の国内大会優勝となりました。2人のゲームの棋譜は細かくチェックできていませんが、今大会と言わず、今年日本で指された試合の中でも、ベストゲームの候補となるでしょう。南條くん、素晴らしいゲームでの逆転優勝おめでとう!
1st Place Nanjo Ryosuke 6/7
2nd Place Aosima Mirai 5.5/7
3rd Place Kojima Shinya 5.5/7
4th Place Averbukh Alexander 5.5/7
Japan Chess Classic 2019 Final Standings
2nd Place Aosima Mirai 5.5/7
3rd Place Kojima Shinya 5.5/7
4th Place Averbukh Alexander 5.5/7
Japan Chess Classic 2019 Final Standings
昨年の香港、東京チェス選手権、全日本選手権、快速選手権と優勝を続けてきた青嶋くんですが、今大会でついに連続優勝にストップがかかりました。それでも6R までトップを走り、レイティングもプラスで終えているのは流石です。南條くん、青嶋くん、私は三つ巴状態で1勝1敗ずつでしたが、青嶋くんと私は2日目に1つだけドローでポイントを削られたのが最終順位に響きましたね。
それでは私の最終戦の棋譜解説へ。杉本さんとは久々の対戦です。
Kojima, S (IM, JPN, 2390) - Sugimoto, K (JPN, 1983)
Japan Chess Classic 2019 (7)
1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 c6 4. Nc3 a6 5. g3 Bg4?!
Japan Chess Classic 2019 (7)
5... e6, 5... Bf5, 5... dxc4 などはチェックしてきましたが、この手は見たことがありませんでした。ここではありがたく、ナイトをセンターに跳ばせてもらいます。
6. Ne5 Bc8
黒は6... Bh5 7. Qb3! が予想以上に苦しいと読んだのでしょう。b7-b5 からbポーンを守ろうとしても、a2-a4 からすぐに崩されてしまいます。
7. Bg2 e6 8. O-O Be7 9. Qc2
Catalan Player にとっては、白がかなりテンポを得して理想的な状態に思えるでしょう。ここはすぐに9. e4 O-O 10. Bf4 と進めたほうが、わかりやすく白良しだったかもしれません。
9... O-O 10. Rd1 Nfd7 11. Nf3 b5 12. c5 f5
黒はe2-e4 を止めて局面を閉じたままにすることで、展開の遅れをカバーしようとします。白はもちろん、e5, e6 の弱さをついて違うアドバンテージを取りにいくのが正解です。
13. h4
ありえる手ですが、13. Bf4 g5 14. Bd2 とわざとg7-g5 を突かせるアイディアもあったでしょう。
13... Nf6 14. Ne5 Ne4 15. Bf4 Bb7 16. f3 Nf6 17. Nd3 Nh5 18. Qd2 Nd7 19. Qe3 Rf6?!
19... Nxf4 20. Nxf4 e5!? 21. Ne6 Qb8 22. Nxf8 Kxf8 このエクスチェンジを捨てるアイディアは読んでいたつもりでしたが、黒が駒損でも十分戦えるというのが意外でした。確かにd4 が崩れると、伸ばしすぎたcポーンも負担となります。
20. Bg5 Rg6 21. f4?!
Bf4-Bg5 と入った時点で、こちらのポーンを伸ばすつもりでした。しかし考えてみれば、別のポーンを伸ばすほうが簡単であるとすぐに分かります。21. g4! Bxg5 22. hxg5 f4 23. Qf2 Qxg5 24. gxh5 Rh6 25. Re1+/- 本譜のようにg5 の守りを増やす必要はなく、すぐに端のナイトを狙いにいけば駒得確定でした。
21... h6 22. Bf3
これがBf4-Bg5 の時点から頭にあった動きで、ビショップを差し出す代わりに端の不安定なナイトと、その先のルークを狙います。
22... Nxg3 23. h5 hxg5
23... Nxh5 24. Bxh5 Qe8! 25. Kf2 hxg5 26. Rh1 この変化での黒クイーンの動きは見えていませんでした。ナイトに続いてg6 でルークを取らせても、ピンを利用してビショップを取りかえせれば、黒は戦える駒割りです。
24. hxg6 Ne4?
最終的にはこの手が負けを決めるミスになってしまいました。e6 をサポートするにはこうしてアウトポストのナイトを入れる手が自然に見えますが、よくよく考えてみれば、g3 のナイトはアタックされていないため、後でタイミングを見てNg3-Ne4 のアイディアは使えます。代わりに24... Nf8 25. Ne5 Qe8 ならば、まだ形勢不明で勝負は続いていたでしょう。
25. Bxe4! dxe4 26. Qh3+-
こうして素早くhファイルにクイーンを回してしまえば、h7 のマスへの攻撃が強く、黒はディフェンスすることができません。
26... Nf8
26... Nf6 27. Nxe4! fxe4 28. Qxe6+ Kh8 29. Kg2+- これもhファイルを利用し、鮮やかなフィニッシュです。
27. Ne5 Qe8 28. Qh5 Bf6 29. Nf7 1-0
29... Nxg6 30. Nd6 でも黒はさらにピースを諦めざるをえないため、ここでリザインしました。a6 Slav は私も黒番のレパートリーで、前日の試合では青嶋くんに敗れているため、対策をどうするか色々と考えました。調べていたラインとは違ううえ、細かいミスも多かったですが、最後に面白いゲームができて良かったと思っています。
ジャパンチェスクラシックは昨年までのジャパンリーグと比べ、参加費が半額以下になったことで参加もぐっとしやすくなったと思います。今大会、FIDEレイティング非保持者の参加も多く、しかも皆さん結構FIDEレイティング保持者からポイントを取っていた印象を受けました。8月に続き、9月のFIDEレイティング更新でも、新たに日本国籍のFIDEレイティング保持者が増えることを楽しみにしています。
それでは皆さん、また次の大会でもよろしくお願い致します。私は4日後からオーストリアのウィーンに向かい、今年の夏最後のビッグトーナメントにチャレンジです!
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