2019/08/22

Vienna Open 2019 R6


VOLKSinn から少し進んだ大通りはMuseum通りと名付けられ、その名が示すように美術館が並んでいます。その1つである美術史美術館にあるカフェは、世界で最も美しいカフェとの呼び声が高く、昨日はそこに足を運んでみようかと思っていました。しかし、カフェがあるのはチケットを購入して入場するエリア内とのこと。せっかく美術館に入るならば、試合が終わって時間ができる24日以降にしようということで、名物カフェはまたのお楽しみです。


美術館を離れ、向かったのはウィーン歌劇場、いわゆるオペラです。この日は場所の確認だけのつもりでしたが、日本語も喋れるチケット売りのおじさんのトークに乗せられ、24日夜のコンサートチケットを2人分購入してみました。その会場はここではなく、(おじさん曰く)ウィーンで最も美しいシェーンブルン宮殿のようです。カジュアルな格好でも大丈夫だと言われましたが、本当でしょうか...

さて、ウィーンでの試合も折り返しの5R を終え、昨日から後半戦がスタートです。この日の相手はイタリア代表のGM Valsecchi でした。イタリアのGM と言えば、ベテランのGodena、若手のBrunero、そしてまだジュニアのMoroni Lucas Jr などが思い浮かびますが、これからはValsecchi の名前もしっかり覚え、ゲームもチェックしてみようと思います。そんな彼も今大会は黒で下に3勝、白では下に2ドローと、やや調子は上がってきていません。チャンスだと思い、試合に臨みました。

Valsecchi, A (GM, ITA, 2497) - Kojima, S (IM, JPN, 2390)
Vienna Open 2019 (6)

1. Nf3 d5 2. g3 g6 3. Bg2 Bg7 4. O-O e5



初手は1. e4 もしくは1. c4 を予想していましたが、見事に裏切られました。King's Indian Attack 対策は去年の遠征時から試行錯誤し、現在はGrunfeld セットアップに落ち着いています。Ng8-Nf6 を遅らせることで、本譜のように早いe7-e5 を実現します。白はこれが嫌であれば、c2-c4、もしくはd2-d4 を指さなければいけませんが、それであればGrunfeld の変化に入り、KIA からは外れます。

5. d3 Ne7 6. Nbd2 O-O 7. e4 Nbc6 8. c3


私が白で指すのであれば、8. Re1 h6 9. exd5 Nxd5 10. Nc4 Re8 11. Bd2!? を試すかもしれません。これは黒がc7-c5 を突いていないものの、現在人気のあるFianchetto King's Indian に対しての組み方です。

8... a5 9. a4 h6 10. Re1 d4!?



少し迷いましたが、eファイルを開かれてe5 にプレッシャーをかけられる展開を避けるため、ポーンをぶつけてみることにします。10... Be6 11. exd5 Bxd5 がメインラインで、これでも白は簡単にNd2-Nc4 ができないため、黒はOK でした。

11. cxd4 Nxd4


11... exd4 からb4 のアウトポストにナイトを送り込み、勝負する展開もあったでしょう。しかし、私は本譜の流れでd3 が弱点として残ると判断し、d4 にはポーンを残さないことにします。

12. Nxd4 Qxd4 13. Nb3



13. Nf3 Qd6 もありえる展開です。これであれば、黒はBc8-Bg4 からビショップナイト交換を狙い、d4 のアウトポストを将来的に使いやすくする作戦で戦うつもりでした。

13... Qd6 14. Be3 Rd8


c5 のマスは少し気になるものの、ビショップ、ナイトのどちらが来ても問題ないことを確認して、d3 へのプレッシャーを増やしておきます。

15. Rc1 Qxd3?!



ここまでは良かったのですが、シンプルにポーンに跳びついた手がイマイチで、完全にドロー模様になってしまいます。黒が勝ちを目指すのであれば、d3 は長く弱点として残しておくべきでした。15... Nc6! 16. Rc3 Nb4 17. Qd2 Kh7 18. Rd1 は白がd3 を守り切れていますが、負担であることは間違いありません。d3-d4 をどこかで許すと完全にイコールかと思っていましたが、それも簡単ではないようです。

16. Qxd3 Rxd3 17. Nc5!


この手を見落としていたため、d3 を単純に取る手が黒良しになると勘違いしてしまいました。17. Rxc7? Rxb3 18. Rxe7 Be6-/+ ならば、b7 を守りながらb2 を攻撃するb3 のルークが好位置で、はっきりと黒が優勢でした。15. Rc1 はこの変化に入ると思い込んだのが私のミスです。

17... Rd8 18. Nxb7! Bxb7 19. Rxc7 Bc6



ナイトを捨ててb7 を取る手が白のアイディアで、これでポーンを取りかえされてしまいます。こうしてポーンとピースの交換が進めば、完全にドロー模様のエンドゲームです。

20. Rxe7 Bxa4 21. Bf1 Bb3 22. Rc1 Rac8 1/2-1/2


最後は互いにドローオファーのタイミングを窺っていたような状態で、私から提案してゲームを終わらせました。2500近いGM に黒で簡単にドローは悪くない結果にも思えますが、d3,d4 を弱めた段階でもう少し作戦を練り、勝ちを目指すような展開にできなかったか、熟考すべきでした。

8/17 15:00 R1 Kojima, S (IM, JPN, 2390) - Lytvynets, D (UKR, 2117) 1-0
8/18 10:00 R2 Kokoszczynski, J (POL, 2198) - Kojima, S (IM, JPN, 2390) 1/2-1/2
8/18 17:00 R3 Kojima, S (IM, JPN, 2390) - Makynovskiy, R (AIM, UKR, 2178) 1-0
8/19 17:00 R4 Steindl, J (AUT, 2277) - Kojima, S (IM, JPN, 2390) 0-1
8/20 17:00 R5 Kojima, S (IM, JPN, 2390) - Blohberger, F (IM, AUT, 2467) 1/2-1/2
8/21 17:00 R6 Valsecchi, A (GM, ITA, 2497) - Kojima, S (IM, JPN, 2390) 1/2-1/2
8/22 17:00 R7 Kojima, S (IM, JPN, 2390) - Diermair, A (GM, AUT, 2473)
8/23 17:00 R8
8/24 10:00 R9

Vienna Open 2019 R7 Pairings
Vienna Open 2019 R7 Live Games

今日の対戦相手はオーストリアのGM Diermair です、初戦からポイントを落とし、下のボードをフラフラしていましたが、ようやく10番台まで戻ってきました。まだ本調子とは言えないと思いますので、しっかりプレーしてポイントを取ってきたいですね。


上のリンクからライブをご覧になっている人にとってはもうお馴染みかもしれませんが、このChess Results のライブ画面、プレー中の様子と局面が同時に分かって良いですね。昨日は最長で6時間近いゲームがあり、ルーク+ナイトvs. ルークで100手以上続き、ドローになっていました。

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