2019/08/23

Vienna Open 2019 R7


奥に見える建物が、試合会場となっているウィーン市庁舎です。

ウィーンに到着してから、試合会場のウィーン市庁舎に隣接するRathauspark では、Film Festival が開催中です。ここ数日、歩ける範囲は各方面行ったと思っていましたが、市庁舎のすぐそばは死角でした。様々な飲食店が出ていますが、レストランで食べるのとさほど値段も変わらず、良心的です。冬はクリスマスマーケットで賑わうウィーンですが、夏にもこうした催しがあると嬉しいですね。

この日の相手はオーストリアの代表にも入ったことのあるGM Diermair です。ここまで私と同じ3勝3ドローですが、ドローは全て下相手で、まだ上とは1試合も当たっていません。本調子とは言えないGM 相手に白で勝負のラウンドです。

Kojima, S (IM, JPN, 2390) - Diermair, A (GM, AUT, 2473)
Vienna Open 2019 (7)

1. Nf3 Nf6 2. c4 b6 3. g3 Bb7 4. Bg2 g6 5. b3 Bg7 6. Bb2 O-O 7. O-O c5 8. Nc3 Na6 9. Rc1 e6



Queen's Gambit Vienna Variation か(ウィーンの大会だけに)、Semi-Slav かと予想していましたが、相手は全くデータベースにないオープニングをチョイスしてきました。このダブルフィアンケットの変化は近年人気で、昨年のFirst Saturday でもIM Anishimov に指されています。その試合は9... d5 だったので、ここで外れました。

10. d4 Rc8?!


驚くようなミスで、Diermair の不調が分かります。ここは10... d5 とすべきだったでしょう。

11. Nb5! Ra8 12. Nd6 Bc6 13. d5!?



ナイトを潜り込ませた白は、イニシアチヴのためにポーンを捨ててみることにします。私としてはGM 相手に思い切った決断でした。

13... exd5 14. cxd5 Nxd5 15. Bxg7 Kxg7 16. e4


Queen's Indian のd4-d5 サクリファイスのラインのように、白はd7 のポーンを抑え込んで代償は十分にありそうです。

16... Nf6 17. Qe2



ここはシンプルに17. Ne5 でも良かったかもしれませんが、c6 のビショップを取りにいくのはもう少し後にしようと思っていました。

17... Nc7 18. Rfd1 Nfe8 19. Qb2+


私は考えなかったですが、コンピュータの提案は19. Nc4 と退く手でした。確かにe8 のナイトをパッシヴにしたまま、dファイルを開いてd7 を攻撃し、Nc4-Ne5 を見せておくのは理にかなっている気もします。

19... f6 20. e5 Ne6 21. b4! Rb8 22. Nxe8+ Qxe8?



黒のアイディアは、Bc6-Bxf3, Ne6-Nd4 で、これが決まるとc5 を崩す準備を進めていても、ポーンの代償は不十分になりそうです。22... Rxe8 23. Rd6 ならば、f6 への攻撃でNe6-Nd4 を遅らせ、難しいポジションで勝負できると思っていましたが、本譜では完全に白が良くなります。

23. exf6+! Rxf6 24. Ne5! Nd4 25. Rxd4!


Diermair はこれを見落としていたのでしょう。エクスチェンジを捨ててポーンを取りかえし、その後でエクスチェンジを取りかえします。

25... cxd4 26. Qxd4 Rc8 27. Ng4 Qe6 28. Bxc6?!



しかし、ここが問題のポジションでした。エクスチェンジを取りかえして駒数をイコールにできることが確定した白ですが、時間ぎりぎりまで考えても、アドバンテージを取る方法が分かりませんでした。最初は28. b5 Bb7 29. Rd1! Rc7 30. Bxb7 Rxb7 31. Rc1 くらいで白良しかと思っていましたが、黒には白の手に関わらず、28... Bf3!? というアイディアがあることに気付きます。これで白にチャンスがあるのか自信が持てなくなってしまいました。実際には28. a4 Bf3 29. Rxc8 Qe1+ (29... Bxg4 30. h3!) 30. Bf1 Bxg4 でも、孤立のdポーンとa7 を狙って白良しのようです。

28... Rxc6 29. Rxc6 dxc6 1/2-1/2


このクイーンエンディングはドローにしかならないことは、28手目を指す時点で分かっていました。相手からのドローオファーを受けて試合を終わらせます。28手目が重要だと認識しながら、ベストの手が分からなかったのはまだ実力不足ですね。

8/17 15:00 R1 Kojima, S (IM, JPN, 2390) - Lytvynets, D (UKR, 2117) 1-0
8/18 10:00 R2 Kokoszczynski, J (POL, 2198) - Kojima, S (IM, JPN, 2390) 1/2-1/2
8/18 17:00 R3 Kojima, S (IM, JPN, 2390) - Makynovskiy, R (AIM, UKR, 2178) 1-0
8/19 17:00 R4 Steindl, J (AUT, 2277) - Kojima, S (IM, JPN, 2390) 0-1
8/20 17:00 R5 Kojima, S (IM, JPN, 2390) - Blohberger, F (IM, AUT, 2467) 1/2-1/2
8/21 17:00 R6 Valsecchi, A (GM, ITA, 2497) - Kojima, S (IM, JPN, 2390) 1/2-1/2
8/22 17:00 R7 Kojima, S (IM, JPN, 2390) - Diermair, A (GM, AUT, 2473) 1/2-1/2
8/23 17:00 R8 Bakhmatsky, V (IM, UKR, 2442) - Kojima, S (IM, JPN, 2390)
8/24 10:00 R9

Vienna Open 2019 R8 Pairings
Vienna Open 2019 R8 Live Games

次はウクライナのIM Bakhmatsky との対戦です。4連勝の後連敗、7R を勝っての5Pで、私とは対照的なポイントの取り方です。黒番ですが、ここを負けずに乗り切り、最終戦を迎えたいですね。


4日連続で夕飯はベトナム料理です。店員とも完全に顔なじみになりました。こちらはブンチャーヨー(Bun Cha Gio)という米麺の一種で、一昨日試してお気に入りになりました。ブンは米の細麺で、日本でよく知られる平麺のフォーよりも、ベトナムではポピュラーとのことです。東京でも食べられる店を探してみたいですね。

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