2019/08/20

Vienna Open 2019 R4


この日から1日1試合、17時スタートのゆったりスケジュールになりました。試合前の散策で、近くのヘルデンプラッツへ。(Platz はドイツ語で広場の意味) 最も目を引く2つの像を見て、数年前に1人でウィーンを訪れた際も、ここに足を運んだことを思い出しました。奥に見える巨大な建物も含め、広場にはいくつかの美術館が点在しています。


巨大ナイト! 私と比べるとその大きさがよく分かります。


お土産屋さんには兵隊を模したチェスセットが売っていました。今回のウィーン滞在中、会場以外で初めてのチェスセット発見です。


ヘルデンプラッツには観光客を乗せた頻繁に馬車が出入りしています。後ろの席でワインや料理を広げている馬車もあり、そんなサービスも頼めるのだと驚きました。

さて17時からは大事な4試合目です。私の相手はオーストリアの20歳、Steindl となりました。Caro-Kann に対してFantasy Variation を使うことは分かっていたので、色々と調べてゲームに臨みます。

Steindl, J (AUT, 2277) - Kojima, S (IM, JPN, 2390)
Vienna Open 2019 (4)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. f3 e6 4. Nc3 Qb6 5. a3 Nd7 6. Be3 Ngf6 7. Be2 dxe4 8. fxe4 Be7!?



7. Be2 はコンピュータ評価の高い手として私もチェックしていました。e3 のビショップをクイーンで取った際にチェックにならないようにすることで、次のe4-e5 の際にNd7-Nxe5 を防ぎます。これに対して私は、e6-e5 を急がずに様子を見るアイディアを用意していました。

9. e5 Nd5 10. Nxd5 exd5 11. Qc1?!


黒の2つの狙いであるNd7-Nxe5Qb6-Qxb2 を受けるには、この1手しかないように見えます。しかし、私はポーンアップよりもピースの展開を優先するため、b2 を取る気はあまりありませんでした。b2 を捨てる11. Nf3 のほうがバランスが良く、本譜では白クイーンが若干不自然な位置に行ってしまいます。

11... O-O 12. Nf3 f6!



10... exd5 の段階では、Nd7-Nf8-Ne6 のマヌーバリングが頭にありましたが、そんなことをせずともナイトと白マスビショップの位置を改善できるアイディアがありました。fポーンのぶつけからポーンストラクチャーをほぼ対象にしてしまえば、白の良い点は一切なくなります。

13. exf6


13. O-O fxe5 14. dxe5 Bc5 15. Bxc5 Nxc5 16. Qe3 Bg4=/+ この展開でも、白のe5 に残ったポーンはパスポーンとしての強みより、孤立ポーンとしての弱さが目立つでしょう。

13... Nxf6 14. O-O Ne4 15. Ne5 Be6 16. Bd3 Rxf1+ 17. Kxf1 Rf8+ 18. Kg1 c5!



d4 のポーンにチャレンジするのが良いアイディアで、クイーンが不自然な位置の白は対応に困ります。

19. c3


19. Bxe4 dxe4 20. c3 (20. d5 Qd6 21. dxe6 Qxe5-/+) 20... Rd8=/+ 白マスビショップを貰ったうえ、dファイルも開くのであれば黒にとってはありがたい流れです。

19... cxd4 20. cxd4 Rc8! 21. Qb1?


どうせb2 のポーンは守り切れないため、早めに捨てる決断をして黒マスビショップは残しておくほうが良かったでしょう。21. Qe1 Qxb2 22. Rb1 Qc3 23. Qxc3 Rxc3 24. Rxb7 Bd6 25. Bxe4 dxe4 26. Kf2 Rxa3-/+

21... Bg5!



c6-c5 からcファイルを開き、相手のクイーンをc1-h6 のダイアゴナルから外したのは、まさにこの手のためだったと言えるでしょう。黒はh6-c1a7-g1 の黒マスダイアゴナルを2つ存分に使い、駒得を確定させます。

22. Qe1 Qxb2 23. Rb1 Bxe3+ 24. Qxe3 Qxa3-+


2ポーンを取り、白の反撃は無いので黒勝勢です。あとはここから、クイーンサイドのポーンを押し進める作戦を考えます。

25. h3 b6 26. Qe1 Qc3 27. Qe3 Qd2 28. Qxd2 Nxd2 29. Rd1 Nb3 30. Ba6 Rc3 31. Kf2 Bc8



クイーンを交換して白の反撃を極力減らし、aポーンを進める準備をします。ルークを早めに交換することも考えましたが、d4 のポーンは負担になっており、それを守るために不自由な白ルークは、ひとまず盤上に残しておいて良いでしょう。

32. Bb5 a5 33. Ba4 Bf5 34. Kg1 h6 35. Rf1 Nxd4


これで3ポーンアップです。ここまでくると、途中で駒を返しても十分に勝てるだろうと予想できてきます。

36. Be8 Be6 37. Ng6 Rc1!



3ポーンアップになるまで待ち、ここでルークを交換します。まだキングの位置が悪いため、すぐに勝ちとはいきませんが、白も3つポーンが無い分を補うのは大変です。

38. Ne7+ Kh7 39. Rxc1 Ne2+ 40. Kf2 Nxc1 41. Ke3 g5 42. Kd4 Kg7 43. Bb5 Nb3+ 44. Ke5 Nc5


a4 のマスをサポートし、aポーンを進められるようにします。後はゴールまでもう一息です。

45. g3 Kf7 46. Nxd5 Bxd5 47. Kxd5 a4 48. Kc6 a3 49. Kxb6 Ne4 50. g4 Nc3 0-1



序盤、中盤、終盤、全て上手く指せたと思います。ここで黒番での大きな白星を挙げ、いよいよ上位との対戦を迎えます。

8/17 15:00 R1 Kojima, S (IM, JPN, 2390) - Lytvynets, D (UKR, 2117) 1-0
8/18 10:00 R2 Kokoszczynski, J (POL, 2198) - Kojima, S (IM, JPN, 2390) 1/2-1/2
8/18 17:00 R3 Kojima, S (IM, JPN, 2390) - Makynovskiy, R (AIM, UKR, 2178) 1-0
8/19 17:00 R4 Steindl, J (AUT, 2277) - Kojima, S (IM, JPN, 2390) 0-1
8/20 17:00 R5 Kojima, S (IM, JPN, 2390) - Blohberger, F (IM, AUT, 2467)
8/21 17:00 R6
8/22 17:00 R7
8/23 17:00 R8
8/24 10:00 R9

Vienna Open 2019 R5 Pairings
Vienna Open 2019 R5 Live Games

R5 の相手はオーストリアのU18 ランキング1位、IM Blohberger です。今大会5試合目にしてようやく上を引き、さらには200ボード中7ボードまで上がってきました! 昨日に引き続き中継されるボードですので、良いプレーができるように頑張ります。


17時から試合の日は夕飯をどうするか悩んでいましたが、2日連続で21時前には2人とも試合が終わり、なんとか夕飯を食べる場所も苦労せずに見つけられています。この日は宿近くのベトナム料理へ。ヨーロッパ料理に飽きたら、馴染みのあるアジア料理が嬉しいですね。

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