2023/07/22

Czech Open 2023 R1

ラピッド大会から一夜明け、Czech Openの本戦が始まりました。エントリーの締め切りが試合開始2時間前までということで、跳びこみ参加や逆にキャンセルもあったようです。最終的に私が参加しているAクラスは292人の参加者でスタートしています。試合開始ぎりぎりの発表で、私の初戦の相手はポーランドのジュニアと分かりました。

Grot, B (CM, POL, 2089) - Kojima, S (IM, JPN, 2335)
Czech Open 2023 (1)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nd2 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. c3 e6 7. Nh3 Nf6 8. Nf4 Bd6 9. h4 Qc7 10. Qf3 Nbd7 11. h5 Bc2 12. Rh4?!

11手目までは経験のある形で、12手目に新手がきました。一般的にここは12. h6 g6 13. Bd3 Bxd3 14. Nxd3 Qa5 と進むところです。Caro-Kann Classicalでは本譜のようにRh1-Rh4のマヌーバリングもありえますが、キャスリングの遅れが問題無いのかが気になるところです。

12... O-O-O


ビショップの逃げ道を作るために黒からh7-h6も考えましたが、展開の早さを優先しました。12... h6 13. Bd3 Bxd3 14. Nxd3 O-O! となった形は、白からのキングサイドへのプレッシャーはさほどではなく、黒がc6-c5の反撃で十分戦えるポジションです。

13. Bd3 Bxd3 14. Nxd3 Rhe8 15. Bf4?!

展開の遅れをカバーしつつ、局面を単純化しようというアイディアは理解できます。しかし、黒はe6-e5のブレイクをすでに準備しており、e1から逃げ遅れたキングは問題になりそうです。15. Ne4 e5!? という展開はまだ白が本譜よりも良かったでしょう。

15... Bxf4! 16. Rxf4?


f4を何で取り返しても、黒は基本的にe6-e5を仕掛けるつもりでした。16. Nxf4 e5! 17. Nfe2 exd4 18. Rxd4 c5 19. Rd2 Ne5 これは黒が少し良さそうですが、eファイルから決定的な攻めがあるわけではありません。

16... e5! 17. dxe5 Nxe5 18. Nxe5 Rxe5+?!

ここは最初に読んでいた通り、クイーンで取り返してすぐに黒勝ちでした。18... Qxe5+! 19. Kf1 Qb5+! 20. Kg1 (20. c4 Qxb2 21. Re1 Rxe1+ 22. Kxe1 Qc1+ 23. Ke2 Rd2+ 24. Ke3 Qc3# これがメイトとなるため、a1のルークは逃げ場がありません) 20... Rd3!-+ これでクイーンがトラップになっていることに気づいていませんでした。Qe5-Qb5からはb2を取ることばかり読んでおり、それだとh5-h6,Ng3-Nf5などの反撃が面倒だと思い、本譜を選んでしまいました。

19. Kf1 Nxh5?!


これで有利になると思ったのも18手目でルーク取りを選んだ理由なのですが、さほど簡単ではありません。

20. Rxf7 Nxg3+ 21. Qxg3 Qxf7 22. Qxe5 Rd2 23. Qe3 Rxb2 24. Qxa7 Qc4+ 25. Kg1 Qxc3 26. Rd1 Kc7 27. a4?

黒は1ポーンアップですが、白から一番厳しい攻めをされた際、あまり良いディフェンスがありませんでした。27. Qa8! Kb6 28. a4! が正しいaポーン突きのタイミングで、黒はキングがbファイルに跳び出したことで、ルークのチェックをきにしなければならず、b2からルークを自由に動かせません。こうなると局面を進展させるのが難しく、ドローになった可能性は高いです。

27... Re2!


ルーク交換をして白からの反撃を消せば、黒はcポーンを進めるというプランの分かりやすいクイーンエンディングに持ち込めます。先日のジャパンチェスクラシックで最終戦では、青嶋くんを相手にチャンスのあるクイーンエンディングを簡単にドローにしてしまったため、そのやり直しだと思って丁寧に指すことを心がけます。

28. Kf1 Rd2 29. Re1 Qd3+ 30. Kg1 Rd1 31. Qa5+ Kd7 32. Rxd1 Qxd1+ 33. Kh2 Qd6+ 34. Kg1 c5

ルークを交換し、cポーンを進め始めます。クイーンエンディングのポイントの1つはパペチュアルチェックに気を付けることですが、ここでは黒キングはbポーンの助けもあり、白クイーンのチェックを簡単にかわすことができます。

35. Qc3 Qd1+! 36. Kh2 Qd4! 37. Qh3+ Kc7 38. Qxh7 c4


g7が落ちると少し面倒ですが、hポーンが落ちる分にはさほど気になりません。ポーンを取らせている間に肝心のcポーンを進めておきます。

39. Qf5 c3 40. a5 Kb8

私の残り時間は余裕がありましたが、それでも40手到達で30分増えると気持ちの余裕も生まれます。ここでは40... Qd7 41. Qe4 Qc6 42. Qc2 Qh6+ 43. Kg1 Qd2-+ とストレートに進める手もあったようですが、私は慌てずにキングの位置を改善し、あわよくばaポーンを取る作戦を考えました。

41. f4 Ka7 42. Kh3 Qc4 43. Qc2 Ka6 44. Qf2 Qc6 45. Qc2 Kxa5 46. Qa2+ Kb4 47. Qb1+ Ka5 48. Qa2+ Kb6


一度キングを上げましたが、c4の位置でQf1+があることに気づき、作戦を練り直します。チェックさえ食らわなければ、aポーンを取れた黒はbポーンをゆっくり進める作戦で勝つことができます。白にとっての失敗はキングをh3に上げたことで、8段目でのチェックの際にQc6-Qc8がクイーン強制交換になってしまうことです。

49. Qc2 Kc7 50. g4 b5 51. Kh4 b4 52. g5 Qc4 0-1

最後はb4-b3を止められなくなり、リザインしました。ラピッドではこれくらいのレイティングの相手に苦戦したので、クラシカルは初戦を勝つことができ、胸をなでおろしています。

7/21 15:00 Classical R1 Grot, B (CM, POL, 2089) - Kojima, S (IM, JPN, 2335) 0-1
7/22 15:00 Classical R2 Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Krawczyk, F (CM, POL, 2053)
7/23 15:00 Classical R3
7/24 15:00 Classical R4
7/25 15:00 Classical R5
7/26 15:00 Classical R6
7/27 15:00 Classical R7
7/28 15:00 Classical R8
7/29 15:00 Classical R9

続く2Rもポーランドのジュニアとの対戦になりました。初戦を勝って、次の相手のレイティングが下がるのは意外でしたが、このジュニアは初戦で2300弱のIMに勝っているようです。私もポイントを落とさないよう頑張ります。
今大会のポスターは、ナイトがタツノオトシゴみたいで可愛いです。

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